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横島争奪チキチキバトル鬼ごっこ

宴に来たれし訪問者!!


投稿者名:詠夢
投稿日時:04/ 4/ 6

パァンッ!! という軽快なクラッカーの音が、一斉に鳴り響く。

会場である美神所例事務所の大広間は、大勢の参加者で賑わっていた。


「横島くん、誕生日おめでとーっ!!」


美神の声とともに会場のあちこちから拍手や歓声が聞こえてくる。

そう。今日は横島忠夫の17歳の誕生日。そしてこれはその誕生パーティーなのである。


「みんな…っ!! 今日は、今日は俺のためにありがとーッ!!」


感動に涙しながら、どこぞのアイドルの引退ライブよろしくなノリで、横島は叫んでいた。

それもそのはず。

もともとデンジャーでサバイバーな家族に包まれた横島。

最近は一人暮らしのため、誰かに盛大に祝ってもらうということなどほとんどない。

しかも、参加者がほんの身内だけでなく、神界や魔界にいる知人たちまで来てくれているのだ。

感動しない方が人間として問題ありだ。

さらにと言っては何だが、あの美神でさえ機嫌よく祝ってくれているのだ。

横島にとっては天地がひっくり返って、再び『GS美神』がアニメ化するくらいの衝撃だったろう。

ちなみに、美神が機嫌がいいのはパーティー費用の負担がオカルトGメン(美知恵)もちということだからだ。

もともと、さほど冷血でもない美神のこと、機嫌よく祝うのは当然とも言えた。

……それにしても、神も悪魔もいる誕生パーティーの主役とは、何とも豪華なものである。





「これで、やっとアンタも17歳かぁ…。 卒業まであと一年だっけ?」

「はい!! 夢の18禁まであと一年ッス!!」


ワイングラスを傾けながら声をかけてきた美神に返した、横島の一言。

最低である。


「何をする気よ、何を…!」

「─どう? 楽しんでる?」


そこへ美神令子の母、美神美知恵が入ってきた。

美神も美知恵も色違いのドレスを着ているため、親子でなく姉妹のように見える。


「あ、はい隊長!! …ありがとうございます。こんなパーティー開いてもらって。」

「いいのよ、別に。……こんなことぐらいしか出来ないしね。」


美知恵の心境としては、アシュタロス戦でルシオラを失い、いまだ悲しみを抱えてる横島を元気付けたい気持ちがあった。

そのための罪滅ぼしの意味もあるのである。


「…充分ですよ。ただ…。」


横島はチラッと美知恵の隣を見る。

そこには、タキシードを着こなした西条輝彦がいた。


「なんでこのめでたい日に、お前の顔なんぞ見なきゃならんのだ。」

「君ねぇ…人がせっかく素直な気持ちで祝ってやろうと来てるのに、その言い方はないだろう?」

「冗談だよ。」


笑みを引きつらせる西条に、横島はにやりと笑ってみせる。

それを見てくすくす笑う美神親子だったが、美知恵がふと横島を見る。


「ところで横島くん。もうみんなに挨拶は済ませたの?」

「ええ、大体の人にはもう。」


とはいっても、タイガーや雪之丞は、カオスや厄珍とともに料理を食い漁り。

隣ではピートと唐巣神父が、神に感謝をしていた。また食糧難に陥っていたのだろう。

それを呆れた様子で、愛子が見ていたのは言うまでもない。

おキヌはクラスメイトの真理や弓たちと談笑していた。

シロやタマモは、パピリオと一緒にいろんなテーブルを渡り歩いたり、会場を走り回ったりしていた。

それぞれ、シロは骨付き肉。タマモはきつねうどん。パピリオは蜂蜜を求めて。

それを諌めていたのは、パピリオの姉のべスパと、現保護者である小竜姫。

ワルキューレとヒャクメは二人で、飲み比べのようなものをしていた。二人ともかなりの酒豪らしい。

魔鈴と小鳩は給仕の仕事があるため、会場を忙しそうに走り回っている。マリアはその助手だ。

斉天大聖老師と土偶羅魔具羅も来ていたが、気があったのか二人してちびちびと飲んでいる。

エミは冥子の子守を美神に押し付けられ、それをさらに鬼道になすりつけようと必死であった。

………あれ?


「……なんつーか、まともには挨拶できませんでしたけど…。」


ちょっとへこみ気味になってきた横島の肩を、ぽんぽんと美知恵に抱かれたひのめが叩く。

美神親子も西条でさえ、なんか同情の念がわいてきた。


「ただ、ジークの奴はみかけませんでしたけど…。」

「ああ、彼だったら私の頼みで、ビッグゲストを迎えに行ってるわ。」

「ビッグゲスト?」


横島が首を捻る。

美神も西条も不思議そうにしているということは、美知恵が勝手に仕組んだことなのだろう。


「ねぇ、ママ。誰なの、そのビッグゲストって?」

「何でも横島くんの誕生パーティーのことを知って、是非自分も顔を出したいそうよ。」

「ちょっと、ママ…?」


はぐらかす美知恵に美神が食いかかろうとしたとき、ジークが駆け寄ってきた。


「こんなところにいたんですか、美知恵さん。横島さんも。」

「ジークさん。もう準備は?」

「ええ。彼もいいそうです。……最初に聞かされたときは僕も驚きましたが。」


どこかげんなりした様子で、ジークは言った。


「あちらのステージのほうに控えておられますので、どうぞ。」

「あ、ああ。」


促されて、横島たちはステージの方に歩いていく。

やがて壇上に立った横島に全員の視線が向けられ、ジークが舞台袖に走っていく。


「…ご紹介します。どうぞ。」


ジークが扉を開けると、そこから一人の男が進み出てきた。

髪は金髪でさらさらと流れ、どこか子供っぽい顔立ちだが背はすらりとしており長身。

美少年ともいえる美形の男だった。

やがて、彼は横島の目の前に立つと、にこやかに横島の手を握って挨拶をする。


「やあ、はじめまして。君が横島忠夫くんだね? 僕は…」

「おい、ジーク。この美形さんはどこのタレントだ?」


あからさまに美形に対して敵意むきだしの横島だった。

その言葉に、ジークも苦笑するしかない。


だが、そのとき。会場のある場所でガタンと椅子を倒す音が聞こえた。

横島たちがそちらを見ると、ワルキューレが立ち上がって口をパクパクさせてる。


「どーした、ワルキューレ?」


怪訝に思い横島が尋ねるが、ワルキューレの驚愕の瞳は男から動かない。

やがて、ワルキューレの口から男の名前が飛び出す。


「ろ…ろ、ろ…ロキ様ァッ!?」



空白。



「何ィィィッ────!!?」


一同の絶叫が会場に響き渡るが、その当人はにこにこしたままだった。


「うん。そう。僕の名前は、ロキ。北欧の邪神…ロキ。」


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