椎名作品二次創作小説投稿広場


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二人と二人


投稿者名:cymbal
投稿日時:04/ 3/23

「おめでたですね。」
「へっ・・・・。」
「妊娠3ヶ月ってところですか。おめでとうございます。」


本の中から帰り、1年が過ぎた頃。冥子が・・・子供を授かった。


「タ〜くん〜〜!!嬉しい〜〜〜!!」
彼女の微笑みは、今までで一番誇らしげに見えた。

(こども・・・こども・・・子供!?パパになるのか俺が!?)


あまりの驚きに思考が追いつかない・・・・当然かも知れない。
彼はまだ二十歳そこそこの若造なのだ。


「ど〜したの〜?あんまり嬉しそうじゃない顔〜〜。」
冥子の顔が目の前に来た、目に不安の色が映る。


ちゅっ・・・・


唇が触れ合う。冥子の顔が一瞬にして真っ赤に染まった。
「も〜、タ〜くん〜〜それズルい〜〜。」

「冥子ーー!!」
「な〜、何〜〜?」


「出会った時からずっと愛してましたーーー!!!」
「私も〜〜〜〜!!」


「あーーー、あの、そおゆう事は2人きりに時にやって頂けないかな・・。ここは病院なんで。」
医者と看護士が、目のやり場に困っていた。










「何考えてるの〜〜〜。」
病室から出た所で横島の動きが止まる。不思議そうな顔で冥子が尋ねた。


「いや・・・・、ここ来たの初めてだよな・・・・。」
「そ〜だと思うけど〜〜〜?」


(何処かで見たような・・・・・・・気のせいかな。)


「た〜くん〜、早く〜〜!!」
「あっ、ああ。今行くって。」


階段の所まで歩いて行く・・・そこで・・・・


(この上は・・・・・・・屋上・・・・か。)


自然に足が動いた。階段を上に上っていく。

「た〜くん〜?」
「ちょっと、待ってて!!」

だんだんスピードが上がっていく。視線の上には扉が見えていた。





バンッ!!





「はあ、はあ、はあ、はあ。」





目の前に広がる光景。そこは・・・・・・・




(・・・・・永遠に続いていく雲の流れ・・・・・。)




彼はそこにいたのだ。そして・・・・・ここで二人は一人になる。



(・・・・・ありがとな。・・・・・横島忠夫・・・さん。)



・・・・・彼は無事戻る事が出来た。それこそが彼の幸せである。

そして・・・・・、もう一つの幸せ。


「た〜〜くん、こんなとこに何の用があるの〜〜?]


それは今から上がってくる女性ともう一人。

・・・・・・横島達は嬉しそうに扉の方を眺めるのであった。



幸せ・・・・それは探している時には見つからない。歩き疲れた時に、気が付けば側にあるもの。
彼は今、それを見つけたところです。



おしまい。


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