椎名作品二次創作小説投稿広場


文字

推理は続くよどこまでも!


投稿者名:cymbal
投稿日時:04/ 3/13

「何もかも変わっちゃったな・・・・・・・。」

病院の屋上から眺める景色。どこから見ても面影すらない。

全てが通り過ぎた後の世界。居場所なんておそらくどこにも無いだろう。


(・・・・・・涙も出やしない。)


自分にとっては昨日の事。いつの間にやら先行く人ってか。


「冥子・・・・・・・・。会いたいな・・・・・。」


そして暗転する世界・・・・・・・・・・・・。






「起きて〜〜〜!!タ〜くん〜!!!」

バッ!!!

目の前にポーラ・・・・いや冥子の顔がある。
・・・・・思わず抱きしめてしまった。

「た、タ〜〜くん〜。・・・・・会いたかったの〜〜〜。」

これは現実なのだろうか・・・。さっき見た光景のせいなのか、どうも頭が混乱している。

何故だか・・・・目からとめどなく涙が溢れる。
二人はしばらくの間離れる事が出来なかった。




「・・・・・俺何してたんだっけ。」
ふと、我に返る横島。

「私が助けに来たの〜〜。タ〜くんは今、本の中にいるのよ〜〜〜。」

(・・・・・・本の中?俺は確か・・本を読もうとして・・・それで・・・・・。)

「椅子のせいなの〜〜。なんとかしないと私達〜一生この中で暮らすことになるのよ〜〜。」



・・・・・冥子から説明を受ける。時間掛かったけどなんとか状況を理解する事が出来た。

「そうゆう事かー。・・あれ、でもなんで記憶が戻ってんだ?」
「私達の霊力が〜椅子の力を上回ったからだと思うの〜〜。だから、力も少しは使える筈よ〜〜〜。」

試しに霊波刀を出してみる。・・・・・一応使えるな。少し短いけど。


(・・・・・待てよ。ひょっとして・・・・。)


冥子の方を見る。・・・・急に見つめられて照れている冥子。

「・・・・・煩悩が足りんのかも知れん!!冥子、協力してくれるな!!!」
言うが早く、冥子に飛び掛る横島!!!

「えっ〜!い、今はダメ〜〜〜〜!!!!」
「ええいっ!!大人しくせんかい!!夫婦とは協力しあって生きて行くものなのだ!!」


ゴスッ!!
その時、懐かしき一撃が横島の頭に叩き込まれる!!

「何してんのよアンタは!!人待たせてんだから早くしたらどうなの!!」

横島が一撃を叩き込んできた人物の顔を見上げる。それはとても見覚えのある人物だった。

「・・・・・・・美神さん?あれっ!?なんでここに?????」
「ポーラもそんな名前言ってたわね・・。そんなに似てるのかしら?」

「ごめんね〜〜〜、令子ちゃん〜〜〜〜。」
「・・・・だから、そんな名前じゃないって言ってるでしょーが!!」

彼女は一つ咳を入れるとポーズを取る。・・・どう見ても美神さんなのだが・・・。

違いと言えば黒のスーツの上下を着てる事。それにお揃いの黒の帽子。
後は・・・だいぶ髪が短いかな、隊長みたいな感じ。

「私の名前は、シャルロッテ・ボムズ。ちゃんと覚えなさいよ!」

「・・・・・シャルロッテ・ボムズ・・。あの名探偵の!?」


小説家、江戸荒川 放次(えどあらかわ ほうじ)がこの世に送り出した名探偵。

気が強くプライドが高い。ちなみに本名はシャルロッテ・三上・ボムズ。ハーフである。
幼い頃に両親が離婚。親の愛を十分に受けずに育った為、実はかなり寂しがりやであった。
行動力は凄まじいものがあり、どんな犠牲を出しても事件を解決する。


「わかった!?二度と変な名前で呼ばないでよね!!」
「なるほど・・・・、それじゃ一緒に事件を解決するって事ですね・・。」
ぎゅっ。横島の手がボムズの手を包み込んだ。

ドゴッ!!バキッ!!

「タ〜くん〜〜〜!!!!」
「いきなり何してくれんのよアンター!!」

前と後ろから攻撃受けた横島。自業自得である。
「・・・・・軽いお茶目じゃないですかー。」
そう言って、ボムズの胸元を覗き込んでいた。

プチッ!プチッ!

・・・・・・・その後、血の惨劇がこの場で起こった事は言うまでも無い。

「冗談なのにーーーー!!!!」








六道家地下・・・・・。

爆笑する父親の影があった。







再び戻る。

「それで・・・・、容疑者をここに集めたからには話を聞かないといけないのよねー。」
ここは、金成木家のロビーである。三人はでっかいソファーに腰を降ろしていた。

「それは・・・当然の事じゃないスか?話は聞かないと・・。」
「・・・・面倒くさい。適当に怪しい奴をボコッて、犯人に仕立て上げちゃおうかしら。」

(多少、姿や名前が違っても考える事は大して変わらんな・・・・。)
思わず笑ってしまいそーになる横島。ある意味横島の想像が影響しているのだから当然の事なのだが。


「それじゃあ・・・・、一人目を呼んで・・。」
「待った!全員呼んできて!いちいち一人一人聞いてられないわ!」
警官が困った顔をしている。しかし、命令ならばしかたないとしぶしぶと容疑者達を呼びに行った。


(本当にそっくりだな・・・・・。懐かしい・・。この雰囲気。)
思わず見とれてしまう横島。そういえば・・・ここ一年ほどまともに会っていない。


(出れたら久しぶりに会いに行ってみようか・・・・。殴られるかも知れんけど。)


「・・・・何ジロジロ見てんのよ。」
「えっ、い、いや。何でも無いです!」
急いで敬礼する。長年染み付いた習慣である。


・・・・ぎゅっ!
気が付くと冥子が腕をしっかりと掴んでいた。ちょっとした嫉妬みたいなものです。



ガチャ!

・・・・部屋に容疑者達が入ってくる。その一人目を見たとき、・・・横島は犯人を確信した。


(こいつしかおらん!この顔は悪い奴と決まっておるのだ!!)


その人物とは、さっきここまで乗ってきた長髪のタクシーの運転手。
見るからに悪人面だ!!←横島の主観。

次に入って来たのは2人組。金髪の青年と黒髪の女である。


(ピ、ピート!!それと・・・・・エミさんではないか!!!)


その二人組はベタベタとくっついている。明らかに恋人同士に見えた。
・・・・・横島に殺意が芽生える。


(・・やっぱ、犯人はコイツじゃ!!ピート、許してはおけん!!塀の中にぶち込んでやる!!)


・・・そして最後に入ってきたのは又も二人組。老人と女性であった。


(カオスのおっさんか・・・・。まあどーでも・・・・・良くない!!よく考えたらこのおっさんのせいでこんな事になっておるのだ!!やっぱりコイツも怪しい!!)


女性の方は当然マリア。ただアンドロイドでは無かった。

(おおっ!!新鮮だ!!過去行ったとき見たけど、やっぱりいいなあ!!)



そんな訳で・・・・結局怪しいと感じたのは当然男共であった。


(男三人の共犯という事で解決と言う訳にはいかんのだろーか・・・。)


都合の良い想像を巡らせている。その思考を読まれたかのよーにボムズさんに睨まれた。

「・・・・・なんか変な事考えて無いアンタ。」
「えっ!!い、いや、何も!」

いちいち鋭い。さすが(美神)さんだ。



そして全員が椅子に座る。一気に場の緊張感が張り詰めて行く。
容疑者達も、そして横島も・・・・・・・・冥子は別です。

「ドキドキするわ〜〜〜。こんなの初めてだもの〜〜。」



その緊張感の中(一人を除いた)・・・・・ゆっくりとボムズさんが言葉を発した。






「こん中で犯人がいたら手を上げてちょーだい!」


ずるっ!
みんなが一斉にコケる。

その中でエミさん(仮)が真っ先に声を上げた。

「ば、馬鹿じゃないのアンタぁ!!なんで犯人が自分から手を挙げなきゃなんないワケ!!」
もっともな意見である。

「一番最初に声を上げたわね!!アンタが怪しいと思ってたのよ、コイツを連行しなさい!!」
横島と大して変わりゃしない理論である。本当に名探偵なのだろうか。

「ちょっ、ちょっと待って下さい。彼女は僕と一緒にいたんです。犯行なんて出来ませんよ!!」
ピート(仮)が、反論した。しかしその言葉が命取りであった。


(一緒にいた・・・・それはつまり・・・・・・!!!許せん!!!!!)


「ボムズさん!!きっと共犯です!!一緒に連行しちまいましょう!!」
横島の悪い考えが後押しを始める。

「・・・意見が合うわね。私も共犯じゃないかと思ってたのよ!!!」
さすが根は似ている二人。利害が一致すれば話は早い。


「な、何言ってんのよ!!!碌に調べもせずに犯人扱いするワケ!?」
「そ、そうですよ。」
二人が声を張り上げて抵抗する。


「探偵の言葉は絶対よ!!連れて行きなさい!!」
二人の周りを警察官が取り囲む。もう抵抗など無駄であった。

「違いますーーーー!!!」「なんでこーなるワケーー!!!」
・・・・・・屋敷から連れ出されていく犯人達。


「犯人ってのはみんなそー言うのよ。これにて一件落着ね。」
「難しい事件でした。犯罪と言うのは悲しいものですね。」
・・・・いつのまにかコンビが入れ替わっている。冥子はポカーンと見つめていた。


ちゃーらら、ちゃーらら、ちゃらららー・・・・・←コ○ンボのテーマ



・・・・・犯罪は悲劇しか生まない。
しかし、犯罪があるからこそ我々のような人間が生活出来るのである。・・・・・悲しい矛盾だ。





終劇。






「・・・・・あの・・・・・、調べによると単独犯の可能性が高いと言う事なのですが・・・・。」
警官の一人がおずおずと喋り出す。


「えっ、そーなの!?先に言ーなさいよそんな事!!」
「事件が振り出しに戻っちゃったかー。」
連れてかれた人達の立場は・・・・・・。


「・・・まあ、いいわ。時には間違いもある。とりあえず残ってる奴らの誰かが・・・・。」
「犯人ですね!!!」
ボムズと横島は決意新たに犯人を探し始める。今度はちゃんと調べてくれればいいが・・・。


「・・・・・すー、・・・すー。・・・ん〜〜タ〜〜くん。ダメだったら〜〜〜。」

・・・・その時冥子はソファで寝息を立てておりましたとさ。


つづく・・・・・・。


今までの評価: コメント:

この作品はどうですか?(A〜Eの5段階評価で) A B C D E 評価不能 保留(コメントのみ)

この作品にコメントがありましたらどうぞ:
(投稿者によるコメント投稿はこちら

トップに戻る | サブタイトル一覧へ
Copyright(c) by 溶解ほたりぃHG
saturnus@kcn.ne.jp