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冥探偵登場


投稿者名:cymbal
投稿日時:04/ 2/28

どうにも見覚えのない景色・・・・。
現代と過去が混ざり合ったような街中。
現実感がまるで無い。

・・・・頭の中がすっきりとしない感じだ。
「ここは?俺は・・・・・何してたんだっけ。」

頭を振って、立ち上がり・・・・椅子に座っていた事に気付いた。
(椅子・・・・、なんで座ってたんだっけ?)
あきらかにおかしい光景だと思う。
何故かって?だってここは道の真ん中だから・・・。

誰も自分を気に留めない。
「とりあえず、事務所に行かないと・・・・・、事務所?」
なんで自分はそんな事言ったのだろう。良く判らない。
たけど、そこに行かないといけないような気がした。

自然と足が動き出した。あきらかに自分の意志では無いと思う。
(そもそも俺って誰だっけ・・・・・、名前は・・・・よ、・・・よこし)
「遅いわよ平介(へいすけ)くん〜〜〜!!」

目の前に急に女性が現れる!!
その事で、彼の思考は停止してしまった。
勝手に口が動き出し、別の頭が働きだす。
「すいませーーーん!!堪忍してやーー!!ポーラさんは綺麗なんですから、あんまり怒ると皺が増えますよー。」

ポーラはうっ、と引いたかと思うと手鏡で自分の顔をチェックし始めた。
「平介くん大丈夫かな〜〜私〜!?・・・最近化粧のノリも悪い気がするし〜〜〜・・・。」
・・・彼女の名前は、八方 来美(はっぽう くるみ)通称ポーラ。
世間的に有名なポーラ探偵事務所の所長である。
おかっぱ頭に丸眼鏡、そして赤いネクタイがトレードマーク。
普段は抜けているが、いざ事件が起こると!彼女の七色の推理が謎を解き明かしてゆく。

「大丈夫ですって!!め・・・、じゃないポーラさんの美しさは俺だけが知ってますから!」
「平介くん〜〜〜・・・・。だから、好きなの〜〜。」
見つめ合う二人・・では無くて、んっ?ポーラさんは俺に目を合わせず他の事に興味を示したようだ。

「平介くん〜、何かポケットで光ってるよ〜〜。何か持ってるの〜〜?」

言われて自分の胸ポケットを見ると・・・、なんだこりゃ?確かに光ってる??
ポケットの中を探ると・・・・・、深緑色をした珠が2つ出て来た。
「きゃ〜〜〜、綺麗〜〜。平介くん見せて〜〜〜〜!」
「は、はあ。いいですよ。」
ポーラに珠を渡す。

「凄い〜〜〜、・・あれ〜〜、なんか字が書いてあるよコレ〜〜。」
「えっ、ちょっと見せて下さい。」
「はい〜〜。」

珠を返してもらうと、・・・・確かに文字が書いてある。
「(気)と・・・(憶)かなこれは。なんだろ?」
そう言ったとたん、さっき以上に珠が光り始めた!
「わっ!!!」
「きゃ〜〜!!」

ぱあああああああああああああ!!!







「二人とも〜〜〜、お茶でも〜〜いかがかしら〜〜?」
冥子の母が地下室に戻ってくる。
「あら〜〜〜、居ないわね〜〜?まさか逃げた〜〜〜?」

部屋の中を見渡す。すると、向かって右手の方に丸い珠が落ちているのに気付いた。
「文殊じゃない〜〜!も〜〜勿体無い〜〜。こんな所に落としていくなんて〜〜。」
珠を拾おうと近づいてゆく。しかしそこで、あるモノが彼女の目に飛び込んできた。
「・・・・・冥子!!!!!!!」
そこには気を失った彼女の娘がいた。
「冥子!!!」
娘に駆け寄り身体を抱きかかえ、身体を揺さぶる。

「・・・・・ん〜・・・・・、あれ、・・お母様〜〜。私〜何を〜・・・・・・・!!!タ〜くん!!ねえお母様〜!!!タ〜くんは何処にいったの〜〜〜!!!!」
気が付いたのもつかの間、冥子は夫の呼び名を連呼する。

「忠雄さん〜〜〜?さあ〜〜?一緒だったんでしょ〜〜?一体何があったの〜〜〜?」
「ターくんが〜!!ターくんが〜!!消えちゃったのよ〜〜〜!!!!」







しゅーーーーーーーー。
・・・珠が光り終わると自分の中に妙なモノを感じた。
これは・・・この記憶は・・・・・。

それは未来の自分。たぶんこの世界の事では無い。
そして・・・・・「あらっ、ここからは・・・・えーと・・何だっけ?」
「あ〜、眩しかった〜〜〜。今の何〜〜〜?」




彼女の言葉に又もう1つの脳は働きを停止させた。
「いやっ、良くわかんないすけど・・・・、あっ、ところで今日の仕事は?」
「ん〜〜、なんかね〜〜、お金持ちさんの家で〜、殺人があったんですって〜〜。怖いわ〜〜。」
「怖いって・・・・、それを調査するんでしょーが!!」
「平介くん怒らないで〜〜。」
「じゃあ、行きましょうか・・・。あっ、タクシー待った!!!」

ちょうど目の前を通りがかったタクシーを呼び止める。
ドアを開いて、2人は中に滑り込んだ。
「どこまでだい、君達。」
長髪の男が聞いてくる。なんか気に食わない顔してるなコイツ。

「ん〜〜と〜〜、金成木通りまで〜お願い〜〜。」
「了解した。」
そう言うとタクシーは、ゆっくりと発進する。


流れる景色を見つめながら・・・、二人は事件現場へと近づいてゆくのであった。


つづく・・・・。


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