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六道家の一族

おまけ・・・六道家の一族 別の未来。


投稿者名:cymbal
投稿日時:04/ 2/26

カゴの中は、甘い香りに包まれていた。餌を手に入れた俺は同時に退路を失う。
ガシャーン!!!
「しまったーーー!!やっぱり罠だったのかーー!!!」


チュンチュンチュン
暗い部屋に光が差し込む・・・。
今日は横島の晴れの日。結婚式である。
あれから1年・・・なし崩しに的に冥子と付き合う事になり・・・いつのまにか式場に予約が入ってました・・・・。恐るべき六道家の力。

あの日の事はお茶目ではすまされなかったようだ。
「うわーーー!!!俺本当に結婚しちゃうのか!!?あああ!!不安ばっかり押し寄せてくる!!これがマリッジブルーってやつかーー!!?」

別に冥子の事が嫌いな訳じゃない、でもまだ自分は19歳。こんなに早く人生の道筋を決めてしまっていいのだろうかという迷いが彼の頭の中にはあった。
「そーだ!!逃げよう!!なーにまだ籍を入れた訳じゃない!ほとぼりが冷めるまで海外に潜伏していればいい!!これはギャグまんがなんだ!!何事も無かったかのよーに帰ってきて話を続ければ・・・・・・・・・・ってワケにはいかんわなあ・・・第一冥子がかわいそうだ。」

ここ一月ほど何度同じ台詞を繰り返した事か・・・・。

行き着く答えはいつも一緒、冥子の事で堂々巡りする。
(結婚・・・結婚かあ・・・・。俺が?まだ高校でて1年経ってないんだぞ。本当にいいのか!自分なんかが・・・人を幸せに出来るのだろうか・・・・。)

式の時間が近づいてくる・・・、早く布団から出なければ・・・。

ドンドンっ!!バン!!!勢い良くドアが開けられる!!
「忠雄!!!あんた何、まだ寝てんの!?式に間に合わないでしょうが!!早く準備しなさい!!」
「・・・・母さん。」
「忠雄・・・あんたまさか逃げようとか考えてないでしょーね!!」
ドキィ!!!
「そ・・そんな事あるわけないだろ!!当日だぞ!!」
「本当に・・・・・?」突き刺さるような視線を浴びせてくる。
(本当にあんたは父さんにそっくりだわ・・、・・顔にすぐ出る・・。)

「ひょっとしてまだあんた踏ん切りがついてないの?」
母親にかかってはかなわない。自分の心の中など彼女にとってはガラス張りみたいなものなのだろう。

「・・・・母さん・・・、俺みたいな奴が・・・結婚しちゃっていいのかな?冥子ちゃんを幸せにできるんだろうか・・・。」

「忠雄・・、聞きなさい。あんたはまだ若いから不安で一杯かも知れない。確かにあんたの年で所帯を持つのは大変な事よね。でも・・・・・、なんかあんたに話すには硬いか、簡単に聞くわ、あんた冥子さんの事どう思ってる?」
「・・今更何言ってんだよ、好きに決まってるだろ。じゃなきゃこんなに悩んだりするか!!」
「それで十分じゃない。」
「えっ・・・?」

「あんたのクセに難しく考えんじゃないわよ。結婚なんて好きあってれば十分!!後は野となれ山となれよ・・・。ダメならそのうち別れるんだから。」
「そ・・それが結婚式を迎える息子の母親の台詞かー!!」
「そーよ、あんた若いんだからいくらでもやり直しがきくでしょ。まっ、もっともあんないい娘を裏切っちゃったら・・・母さんが責任取って・・・・あんたを殺してあげるから。」

一瞬の冷や汗・・・。「・・・・・・・・ありがとう母さん。」

「・・・なんか素直なあんたって気持ち悪いわね・・・。まっ、いいわ早く準備しなさい!!」


心にかかってた霧が・・少しはれた気がした・・・・。(好きなだけで十分か・・・・そーかも知れんな)
いそいで準備を始める横島。彼の幸せはあのドアの向こうに待っているはずだ。

「よっしゃー!!グダグダ悩むなんて馬鹿らしいんじゃ!!冥子ーーーー!!!!!」

彼が、六道家の一族になった日・・・・。

男とは本能で生きる生き物である。
ゆえに目の前に甘い蜜があるのならば、罠と知りつつも飛び込んでいかねばならんのだ!!!

おしまい。


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