あぁ、青天の霹靂っていうのはこういう事か……。
眼が覚めて、気が付くとオレは何処とも分からぬベッドに寝かされていた。
オレは頭をボリボリと掻きながら、辺りを見回す。
見覚えがある場所ではある――だけど、オレの頭脳はど忘れしていた。
ベッドは思ったより広く、高級そうだ。
枕には石鹸のいい香りがした。
周りは木造建築の一室という趣だった。
床はやたらと乱雑しているが足が踏めない、という程でもない。
部屋の持ち主はどうやら女性らしい。
少し開きかけているクローゼットから垣間見える下着やら服やらから、判断した。
此処は何処なんだ――?
「で、なんで此処にいるんだろ、オレも……。」
……足音が聞こえた。パタパタ言っている――スリッパみたいだ。
誰だろう、此処に連れてきた張本人か?
そう言えば、自分の着ている服も何かおかしい。
赤いYシャツに黒のスラックス。間違いなくオレの服じゃあない。
でも、これもどこかで見たような――
「エェト、一体、何処で見……、」
「キャアァァァァァァァァッ!?」
「!? お、おキヌちゃん!?」
ドアが開くと同時に絹を裂くような悲鳴。
その悲鳴の犯人はおキヌちゃん――て、ことは此処は事務所か……。
「ねぇ、おキヌちゃん、なんでオレ、ここで寝てんの?」
その返事が彼女の口から出る事は無かった。
おキヌちゃんはオレを見た瞬間、窓側の壁に寄りかかってへたり込んでいる。
彼女の表情は酷く怯えきっていた。
と、向こうからもう一つの足音が聞こえてくる。
恐らく美神さんだろう。
「どうしたの、おキヌちゃん……?」
「あ、あれ…………、よ……、よこ……!」
「一体どうしたって………!!!!?」
美神さんがオレの方を覗き込む。
すると、美神さんも身を仰け反らせて、驚いた表情を見せる。
「なんで―――、なんで此処に居るの?……横島クン!!」
……一体、美神さんも、おキヌちゃんもどうしたって言うんだよ、チクショウ――
言われてみれば本人も驚きますよね、カオスのところで倒れて起きたら変なとこにいたら。手術室なんかにいるよりいいけど。 (RT)