椎名作品二次創作小説投稿広場


秋さがし!

えぴろぉぐ・下山、そして・・・


投稿者名:BOM
投稿日時:03/11/23

「何で、何でみんながでっかくなってんだよ!?」

そう、そこには今までの身長の半分くらいの大きさになった横島がいた。

「・・・一体何がどうなってんだ!?」

困惑する雪之丞。だがそれはその場にいる全員も同じことだ。何せ、今さっきまで何ともなかったハズの横島が
いきなり小さくなってしまったのだから。

「あんたのさっきのキノコがいけなかったんじゃないの!?」
「そ、そんなことはないと・・・思うで・・・ござるが・・・」

タマモがシロに突っかかる。シロは反論するも最後の方の言葉は小さい。
まあ無理もない。先ほど自分が食べさせたキノコのせいでこうなったのは明らかな事実だし。

「横島さん!体はなんともないんですか!?」
「え?あ、ああ・・・今度は本当に大丈夫みたいだけど」

おキヌがとても心配そうに尋ねる。だがどうやら今度は本当に何ともないようだ。
と、ここで美神が横島に告げる。

「横島クン、一応念のために文珠で解毒しておきなさいね」
「あ、はい・・・」

ヴィムッ
横島が文珠を取り出してそれぞれに「解」「毒」と込めて自分の体にあてる。が・・・、

「あ、あれ?治りませんけど・・・」
「美神さん!これはどういうことなんですか?」
「わ、私だって知らないわよ!でも多分そのキノコ、食べた人の霊力を下げる働きがあるみたいね。
 横島クンの霊波動が少し弱まってるみたいだから・・・」
「ホントだ〜〜、ちょっとだけだけど弱まってるわね〜〜、令子ちゃん〜〜」

冥子がクビラを出して横島を見ている。霊力が弱まってるのは事実らしい。

「ま、文珠で解毒したんならもう大丈夫ね。なんだかんだ言って、文珠の回復力は相当なものだし・・・
 とにかくさっさと食べちゃって山を下りましょう」

その意見に全員が賛成したので・・・



ガツガツガツガツ・・・

「お、雪之丞。この松茸もらうぞ・・・おーっ!やっぱ美味い!」
「あっ!?横島、てめえ人が食ってんのに!出せっ、出しやがれ!」
「別にいいじゃんか、まだまだあるんだしさ」
「そんなのは問題じゃねえ!とにかく出せぇ!!」

再び昼食会が始まったのだ。ただし横島と雪之丞はとてもハイスピードで食っている。
それはもう・・・大食いチャンプ顔負けなぐらいに。

「あんた達ねえ・・・もうちょっと静かに食えないの!?」
「まあまあ、いいじゃないっすか美神さん」
「あんたも呑気ねえ、自分が小さくなったってのに・・・」
「開き直りも大事なんですよ。
 お、ちょっと具が足りなくなってきたな。シロ、お前のカゴの中にまだ材料入ってるか?」
「え?まだまだ入ってるでござるよ」
「じゃあ悪いけど取ってきてくれないか?」
「承知したでござる!」

そう言うとシロは上へと駆け上っていく。そしてカゴを持ってこようとするが、

ずるっ・・・

「あっ!?し、しまったでござるー!」

シロがこけた。カゴの中身がどんどん下に向かって落ちていく。

いがぐりころころどんぶりこ・・・

カゴから転げ落ちたイガ栗はどんどん加速して山を落ちていく。

ころころころころごろごろごろごろ・・・

加速を増した栗は決して止まる素振りを見せずに転がっていく。
もちろん――下にいる横島達目がけて――

「美味しいですか、横島さん?」
「うん、美味い美味い。やっぱおキヌちゃんが作ってくれただけあるよなぁ」
「へっ!?や、やだ、横島さんたら・・・」

照れるおキヌ。が、ふと横島の後ろに視線を移すと・・・

「・・・う、後ろ!」

その声に美神も反応する。

「ん、どうかしたの?・・・って!?逃げるわよ、おキヌちゃん!」
「ちょっと待って、美神さ・・・よ、横島さ〜ん!!」
「バ、バカ犬〜!」
「待ってよ〜〜、令子ちゃ〜〜ん」
「何やってんだ、横島!早く逃げろ!」
「へ?一体何だってんだ?」

横島がそう言って後ろを向くと・・・、

ゴロゴロゴロゴロォ!栗が勢いよく転がってくる。

「な、何じゃこりゃー!?」

ぷすぷすぷすぷすぅっ

「いでーーーーーーーーーっ!!」

本来ならここで終わるはずなのだが、今日は横島、実に運がいい。

ぷすっ・・・・・・

「あっ、い、痛〜〜〜い!?・・・ふえ、ふえ・・・」

逃げ遅れた冥子に栗が1コ襲いかかった。栗まみれの横島が顔をあげると・・・

「ふえ〜〜〜〜〜〜んん!!」

どっごーん!

「あぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」

そんな横島を少し離れた所から見ていた美神達はこう言った。

「・・・こんなこともあろうかと早めに逃げといてよかったわ・・・」
「あうあう、横島さん・・・ごめんなさい・・・」
「う〜ん、久々に見るとやっぱすげえな。六道の旦那の暴走は」
「あ、あれが・・・」
「美神さんやおキヌちゃんが言っていた・・・」
「「 暴走(プッツン)・・・ 」」

獣娘2人が初めて見るその光景は、凄まじいものだった。
なんせ今まで見たこともないような奴らが・・・


めっちゃくっちゃに暴れ回っているのだから。


この事件の後、冥子が暴走仕掛けるたびに2人も止めに入るようになったと言うが、それはまた別の話。
そんな中騒ぎの被害者である横島は・・・

(おーい、誰か・・・助けて・・・)

バサラに吹き飛ばされながら助けを請うていた。

(それにしてもさっきのキノコ・・・どっかで見た気がすんのよね・・・どこだっけ・・・ああっ!!)

美神が何かを思い出した。そしてこう叫んだ。

「冥子〜!もっとよ!もっとやっちゃいなさい!!」
「ええっ!?み、美神さん、何を言ってるんですか!?」
「大丈夫よ、まあ見てなさいって、おキヌちゃん」



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ザクッザクッザクッ・・・

「ほら横島!何ぼさっとしてんのよ!置いてくわよ!」
「ア、アンタなあ!今さっき元に戻ったばっかだってのに俺をこんなに働かせる気ですか!?」
「まあまあ横島さん、落ち着いて下さいよ」
「・・・バカね、やっぱり」

そう、ついさっき横島は元の状態に戻ったのだ。それにはこんなことがあったわけで・・・


ズドーンッ

横島がバサラに吹き飛ばされて地面に叩きつけられた。
それとほぼ同時に冥子のプッツンが終わりを告げる。

「よ、横島さーーーん!」
「せんせーっ!大丈夫でござるか!!」

おキヌとシロが横島の元に駆けつける。そのころ横島はピクピクいっていた。

「美神さん!どういうことですか、もっと暴走させろって!?」

おキヌが美神に問いつめる。すると美神は信じられない行動に出た。

「まあ見てなさいって。・・・コラッ横島ァ!さっさと起きなさい!」

そう言って横島を何回も『げしっ』と踏みつける。全員、唖然・・・すると、

ピカーーーーッ

再び横島の体が光り出した。そして、元に戻ったのであった・・・



下山しながら美神が言う。

「あのキノコは食べた人の霊力を下げて、その人の体を小さくする作用があったのよ。どっかの文献で見たわ。
 『一定以上のダメージを与えると元に戻る』ってね」
「そんな都合のいいキノコがあるんすかね?」
「あるんじゃないの?実際、あんたが体験したじゃない」
「でも〜〜、元に戻ってよかったじゃない〜〜、横島君〜〜」
「そうでござるよ、一時はどうなるかと思ったでござる」
「本当に良かったです。もしあのままだったら私どうしようかと・・・」

おキヌの目にはちょっと涙が浮かんでいる。まあ仕方ないが。

「もう大丈夫だって。ところで雪之丞、お前何で山を下りたかったんだ?修行に来てたんじゃないのか?」
「え゛っ!?いや、まあ・・・そんなところだ」
「?」

雪之丞が何故山を下りたいかという疑問が残されたまま、一行は山を下りたのだった。



――後日――

ズドドドドドドドドドッ・・・!!

「どわああっ!?ちょ、ちょっと待て弓ぃーっ!話を聞けーっ!」
「話すことなどございませんわ!山で迷ってデートをすっぽかした上、その上、その上・・・・・・
 あなたがロリコンだったなんて!!」
「それは違〜う!!大体誰に聞いたんだ、そんな話!!」
「横島とか言う人が教えてくれましたわ!マザコンなのは知ってましたがまさか、まさか・・・
 童女趣味だったなんて!たとえあなたのよーな人といえども、とりあえず今は私の彼氏!こうなったら私の手で
 ・・・あなたを更正させてあげます!」
「だからそれは違うって言ってんだろーがっ!!」
「問答無用!おとなしく・・・更正・・・いえ、成仏しなさいっ!!」
「止めんかーっ!ってか成仏ってなんだ成仏ってーっ!?水晶観音と薙刀で迫ってくるんじゃねーっ!」
「待ちなさーーーーいっ!」

ズドドドドドドドドドッ・・・!!

その日、白煙をまき散らしながらおいかけっこをする、トゲトゲした鎧を装備した男と、クリスタルの輝きを放ち
ながら薙刀を振り回すカップルが東京23区で目撃されたらしい。

「横島ーーっ!てめえ覚えとけよーっ!・・・・・・あっ!?・・・・・・ぎゃあああああああっ・・・!!」

そして、Wコン疑惑を押しつけられた男の悲鳴が日本中に鳴り響いたという。

これはとある秋のお話。
のどかな雰囲気がちょっとだけ壊れた、そんな秋の一日。

おしまい



ちなみに、弓にロリコン疑惑を教えたのは実はおキヌちゃん♪

こんどこそおしまい。


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