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秋さがし!

毒キノコ推参!


投稿者名:BOM
投稿日時:03/11/17

・・・ママ?どこだい、ママ?一体どこにいるんだ?
まさか置いてけぼりか?いや、そんなことはない。ママはそんなことしないハズだ。
ママッ!どこにいるんだ?俺も、俺も連れて行ってくれ!

「・・・ママーーッ!」

がばぁっ

「おわぁ!?」
「ママッ!ママーーーーーッ!!」
「誰がママだッ!?ってかどーでもいーから早く離れろ!」

そう、雪之丞は横島にしがみついていた。でも半分暴走してる雪之丞、そんなことに全く気がつかない。

「ああっ!なんて温かいんだ!ママーーーっ!」
「止めんかあぁーーーっ!早く離せぇ!男はイヤやーーーーーーっ!
 男イヤーーーーーーーーーっ!!死ぬのイヤーーーーーーっ!女がええんやーーーーーーっ!」

そう言って横島、雪之丞の頭部にエルボースマッシュを一発。

ごきゃっ!

「ぐふぅ、な、何をするんだ?ママ・・・・!」
「誰がママだっての!さっさと起きろ!」
「・・・はっ!よ、横島!?」

ようやく頭がハッキリしてくる。そうか、さっき俺は倒れて・・・

「・・・まったく、シロを襲ったかと思えば今度はこれかよ。たまったもんじゃねえぞ」
「スマンな。・・・ってか俺は襲ってないって言ってんだろーが!」
「わかったわかった。弓さんには言わんといてやるから。」
「何をだ、何を!?」

殺気満々の目つきで聞き返す雪之丞。

「まあ、落ち着け。ところで何でお前がこんなとこにいるんだよ?」
「・・・この山で迷っちまってな。ここ数日なんも食ってなくてよ。そこにちょうどシロが来てな・・・」
「それでシロを襲ったってワケか」
「だから違うっての!ったく、・・・まあ、あともう1つ理由があるんだが・・・」
「言わなくていいぞ、雪之丞。俺には全部分かる」
「そ、そうか?じゃあ・・・」

がしっ

雪之丞の肩を掴んで横島、目を最大限にウルウルさせつつ・・・

「たまには年下もいいかなぁ・・・なんて思っちまったんだろ?」
「違ーーーーーう!!山を下りるとき一緒に連れてってくれつってんだ!いいかげんその話題から離れろ!」


「・・・まだやってますね。横島さん達」
「ほんとにいい加減にしなさいよね。」
「でも〜〜、何か〜〜、楽しそうね〜〜〜」
「それはちょっと違うんじゃないんでござるか?」
「私もそう思う・・・」

女性陣はこんな2人の漫才・・・らしきものを見て呆れている。そしてここで冥子が一言。

「ねぇ〜〜、令子ちゃ〜〜ん?」
「何よ?冥子」
「お腹空かない〜〜?お昼ご飯食べよ〜〜」
「そういえば拙者も先ほどから何か・・・」
「私もそろそろ・・・」
「もうお昼時ですもんね。仕方ないですよ」

そう言って空を見上げるおキヌ。なるほど、確かに彼女たちの上には太陽が高々と昇っている。

「ダメよダメ!せっかく見つけた松茸、高く売るんだから!」

あくまでも売るつもりの美神。だが・・・

きゅう〜〜、ぐるぐるぐる、ぐーーーーっ・・・・・・

真っ赤になる者が約一名。すかさず横島がぼやく。

「体は正直っすね、美神さ・・・ぷごぉっ!?」
「やかましい!」

本邦初公開、必殺のシャイニングウィザードを横島にくらわす美神。照れ隠しなのは言うまでもない。


その後はもちろん昼食会になった。
山菜鍋、焼き松茸、焼き栗etc・・・そこら中にいい匂いが漂っている。
ちなみに、何故こんなにも準備が良いのかというと、先ほど・・・


「さあ、そうと決まったら早速お昼ご飯にしましょうか!」

開き直る美神。腹が空いているのは皆同じなのだから、このさい・・・といった感じである。

「あ、でも美神さん。お昼ご飯作るにしても道具がないですよ?
 いくらなんでも生で食べるわけにはいかないし・・・」
「大丈夫よ、おキヌちゃん。横島クン、あんたに持たせたリュック持ってきなさい」
「あ、あんた、この状態の俺にこれ以上働かせる気ですか!?」
「アンタの場合は自業自得でしょ?だいたい従業員が雇用主に従うのは当たり前じゃない」
「いや、しかし、このダメージじゃあ・・・」
「さっさと行かんかーーーっ!」
「はっ、はひーーーーーーっ!」

先ほどのシャイニングウィザードの傷やダメージはどこへやら、いつの間にか回復した横島は自分がしょってきたリュックを取りに猛ダッシュ。

「・・・ったく、相変わらず人使い荒いんだからあの鬼は・・・よっと・・・美神さーん、持ってきましたよ」
「ありがと、横島クン。それとね・・・」
「はい?」
「人使い荒い鬼とは何よ!?」
「な、何でそれを知って・・・ぷばぁっ!?」

美神、世界をも狙えるであろう必殺の右ストレートを横島にくらわす。
それをくらってのたうち回る横島。そんな横島を哀れむ様子もなく、

「いいから横島クン、そのリュックの中身を出して」
「ふぇ?あ、はいはい・・・」

ガラガラガラガラ

横島がリュックから取り出した物は・・・

「な、鍋?」
「包丁に・・・」
「お味噌と〜〜、お醤油と〜〜、これ調味料〜〜?」
「これは・・・まな板か?」
「こっちにはでっかいシートがあるでござるよ」
「み、美神さん?これはいったい何なんですか?」

おキヌが美神に尋ねる。すると美神は、

「こんなこともあろーかと、事務所の調理用具一式リュックに詰め込んで横島クンに持ってきて貰ったのよ!」
「じゃなんすか?これを持ってくるために俺にリュック持って行けって言ったんですか!?」
「そーよ」

横島が美神に突っかかる。が、しれっと返す美神。

「なんでこんな隠すように持って来なきゃなんないんですか!?」
「隠すようにはしてないじゃない!ちゃんと頼んだでしょ?」
「“とても大事な物だから丁寧に扱ってね”って銃突きつけながら言うような代物ですか!?これは!?」
「何か文句ある?」
「・・・もういいです」

横島も諦めたのだろう。もう半分投げやりである。

「さあ、これで準備OKね!さっさと準備に取り掛かるわよ!」

もはや誰にも止められない。この時、そこにいた全員は美神の新たな一面を垣間見た、と言う。
それは・・・

“さすがの美神さんでも、食欲が一番の欲なんだなぁ〜”ってことを・・・

とまあこんなワケで、

グツグツグツグツ・・・と鍋が煮え、

パチパチパチパチ・・・と松茸が良い感じに焼けていて、

「こら美味い!こら美味い!」
「あ!横島、それは俺のだ!」
「やかましい!早いモン勝ちじゃ!」
「よ、横島さん。そんなに慌てなくても・・・」

「ちょっとシロ!それ私の油揚げよ!」
「いーんでござる!怠けてるからでござるよ!」
「ああ、シロちゃんまで・・・」

「まぁまぁおキヌちゃん、こんな時は楽しくいこうよ。ほら、食べようぜ」
「・・・そうですね、頂きましょうか」
「美味しいね〜、令子ちゃん〜〜」
「結構いい味ね」

全員で鍋をつついていた。シロの採ってきた山菜、竹の子、魚とかが一気に鍋にぶち込まれていい感じだ。

「はい、横島さん。どーぞ、松茸」
「お、サンキュ」
「・・・ねえどーしたのあの2人?シロ、何か知ってる・・・?」

美神がシロに聞いてくる。シロは先ほどの2人の濃厚なキスシーンを思い出して、(実際はしていない)

「ああ、そのことでござるか。実は先ほどせんせーとおキヌ殿が2人で・・・っ!?」

言葉を濁すシロ。その視線の先には・・・横島の目が。
『美神さんに言ったら・・・これから2度とサンポなしな?』って訴える横島の目があった。
シロは困った。サンポを取るべきか、否か。シロの出した答えは・・・?

「2人で・・・踊ってたんでござるよ・・・」

シロは、散歩に負けた。打ちひしがれるシロが横島を見てみると・・・
『よし、次の散歩は2倍にしてやる』って言う横島の目があった。
シロは喜ぶべきか悲しむべきか分からない。けど嬉しそうだ。シッポをぶんぶん降っている。

「・・・タマモは、何か知らない?」
「別に・・・しいていうなら・・・っ!?」

タマモも言葉を濁す。うつろになった視線の先には・・・
『タマモちゃん、もし言ったら・・・お稲荷さん作ってあげないからね?』って言いたげなおキヌが。
タマモも迷った。シロの二の舞にはなりたくない、でもお稲荷さんも・・・そして、

「しいていうなら・・・2人で踊ってたからじゃないかしら?」

タマモも、お稲荷さんに負けた。すっごい悔しそうだ。

どーやらこの2匹・・・いや、2人が食欲とかの欲に負けなくなるのはもうちょっと先のお話になりそうだ。
そんなことをしてると、冥子が喋り出した。

「いいじゃない、令子ちゃ〜〜ん。ご飯は楽しく食べなきゃ〜〜」
「そりゃそうなんだけどね、冥子・・・」
「ホラ〜〜、このキノコなんか可愛いじゃない〜〜?」

そう言って冥子が出したのはちょっと赤みがかかったキノコ。よく見ると斑点も付いている。
どっかで見たような・・・って!?

「め、冥子!それさっきの毒キノコじゃないの!?早く捨てなさいよ!」
「え〜〜、でも〜〜美味しそうだよ〜〜?」
「どんなに美味しそうでも毒キノコは毒キノコよ!」
「もう〜〜、令子ちゃんのいじわる〜〜」

なんてなことを繰り広げていると冥子と美神の耳にはこんな会話が。

「せんせーせんせー、コレがさっき拙者が採ってきた松茸でござるよ!食べるでござる!」
「ん?どれだよ?」
「コレでござる!そーれっ」

そう言ってシロが横島の目の前に出したのはさっき美神と冥子が問題にしてたキノコそのものだった。
そしてシロは横島の口の中にすかさずそれを入れる。

「もがっ!?ふぃ、ふぃふぉ?」
「ほらほら、食べるでござるよ!」
「ふ、ふふぃふぃふっふぉふふぉふぁふぁふぇんふぁー!!」
(く、口に突っ込むのは止めんかーっ!!)
「何やってるのよ、バカ犬!?」

タマモがすかさず止める。

「よ、横島さんん!?」
「おいっ横島っ!?」
「ちょっと横島クン!?」
「え〜〜?横島君〜〜?」

他の4人もそれに続く。が、シロが横島から離れると・・・

ぱくっ ごっくん・・・

「の、」
「「「「「 飲んじゃった・・・? 」」」」」

あっけにとられる一同、ただ一人を除いて。

「な、何があったんでござるか?」
「このバカ犬!何してんのよ、横島に毒キノコ食べさせちゃって!」
「なっ!?も、もしかして拙者が今食べさせたのは毒キノコだったんでござるか!?」
「もっと早く気づけ!何やってやがんだ!」
「横島クン、体は何ともないの?」
「え?ええ、まあ・・・」

だが横島がそう言うやいなや、

ピカーーッ

横島の体が光り始めた。

「「「「「「 !? 」」」」」」

全員が驚く。そしてやっと光が収まった。その中心にいた横島はといえば・・・

「あれ?何ともありませんよ?」
「ほ、ホントですか?横島さん!?」
「ああ、この通り」

腕を曲げてみせる横島。どうやら異常はないようだ。

「よ、良かったですぅ・・・」
「全く、よけいな心配させんじゃないわよ」
「令子ちゃ〜〜ん、そんなに言わなくてもいいじゃない〜〜」
「せ、せんせースマンでござる・・・拙者・・・」
「そう責めるなってシロ。大丈夫だからもういいよ」
「せ、せんせー!」
「どわっ!?わかった、わかったから顔を舐めるなって!」
「さあ、仕切り直しよ。お鍋が冷めちゃうわ」

とりあえず仕切り直して昼ご飯再開。だがしばらくして・・・

(あれ?私の気のせいかな?何か横島さん、“小さく”なってるような・・・)

「ん?どーしたの、おキヌちゃん?」
「い、いえ、何か横島さんが・・・」
「俺がどーかしたの?」
「あ、何でもないです・・・」

(何考えてるの、私ったら?そんなこと、あるわけないじゃない)

おキヌがそう考えて落ち着いた後、再び横島を見る。が、おキヌの不安は的中した。

「!?よ、横島さん!?」
「ん、どーしたの?・・・ってうわっ!?」
「どーしたのよ、おキヌちゃ・・・って、ええっ!?」
「よ、横島・・・どうしちまったんだ、一体!?」 
「どーしたんでござる・・・っ!?」
「横島君〜〜、どうしたの〜〜」

皆の視線の先には横島の姿が・・・ただ、いつもの横島とは確実に違う姿がそこにあった。そして横島は叫ぶ。

「何で、何で皆が“でっかく”なってるんだよ!?」

そこには今までの身長の半分くらいの大きさになった横島がいた。

続く


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