椎名作品二次創作小説投稿広場


秋さがし!

大いなる誤解・・・


投稿者名:BOM
投稿日時:03/11/11

「「「あーーーーーーーーっ!!」」」

三人の声が森にこだまする。声の主はシロタマと雪之丞。そしてその声の先にいるのは・・・
2人して抱き合っている、横島とおキヌ。それもなんか“きす”までしている。
いや、実を言えば正確にはしていない。ほんのちょっと、ほんのちょっとだけ離れている。
あと少しでも動けば触れ合う、そんな距離で。
でも3人からは確実に、濃厚なやつをブチかましてるように見えた。

《横島》
・・・見られたっ!?ヤバイ、俺のイメージがっ!ってか何故雪之丞までいるんだ!?
目の前にはおキヌちゃんの顔が、麗しそうな唇があるっちゅうのに!だぁぁ、もったいねぇぇ!

《おキヌ》
はうぅ!?シ、シロちゃんにタマモちゃんまで!それに何で雪之丞さんが?
あとちょっとで横島さんと“きす”できたのに・・・何でこんなとこで邪魔するんですぅ?

《シロ》
な、何をやっているでござるか!?何で先生とおキヌ殿が抱き合っているのでござる!?
拙者でさえあんなにしてもらったことはないのに・・・
ずるいでござるよー、おキヌ殿!抜け駆けは禁止でござる〜!!キャンキャンアオ〜ン!

《タマモ》
うわぁ・・・やっちゃってるわね。やっぱり横島っておキヌちゃんのことそんな風に思ってたんだ・・・
おキヌちゃんは前から見え見えだったけど。でもいーなー。私も真友君と・・・って何考えてる私!
この前初めて逢ったばかりでしょ!?

《雪之丞》
おお、やりやがったか横島。よし、このことは弓に教えとくか。アイツ血相変えて反対するんだろうなぁ、絶対。
まぁ俺はさっさとメシ食わしてもらえればそれでいいか。とりあえず早くなんか食わせてくれ、横島!


一人顔を赤らめ、『いやんいやんツイスト』をしつつ自問自答しているタマモがいるが、この際それは別問題。


5人がいる場はそれぞれの思いが錯綜し、ただお互いの顔色をうかがうだけ。
とても静かな、音のない空間になっていた。が、その静寂を破ったのは意外や意外、この男。

「・・・お、お前ら、何でこんなトコにいるんだ?それに何で雪之丞まで?」

横島だった。そして横島のこの声につられて全員がしゃべり出す。まずタマモが、

「わ、私は松茸見つけたから、と、とりあえず山頂に行こうかと思って」
「あ、そ、そうだったのか」

でもやっぱり声が緊張している。

「そんで雪之丞は?何かシロと一緒にいたみたいだけど」
「俺か?俺はだなー、ちょっと・・・」
「せんせー、せんせー、拙者見事松茸見つけたんでござるよ!」

シロによって雪之丞の声が遮られる。

「何、お前もか!?」
「でも拙者が松茸を探している時、雪之丞殿が拙者を襲ってきたのでござる」
「お、おいシロ!?違うだろ?アレは・・・」
「ゆ、雪之丞・・・お前まさか・・・
 
 
 
 ロリ○ンだったのかーーーーーーーっ!?」



その言葉を聞いた瞬間、その場の温度がぐっと下がり、バックにはブリザードが吹き、

ずざざっ!

全員が雪之丞から1歩離れた。

「違うわぁっ!!俺には弓がいる!俺が欲しいのはママみたいな母性だ!
 第一、何で俺がこんな“ガキ”相手にしなきゃなんねーんだっ!?」

血相変えて弁解する雪之丞。だが、どうやら狼のシッポを思いぃっきり踏んでしまったらしい。

・・・ヴォンッ・・・

ラ○トセ○バーが発動するような音をたて、何かが起動する。
シロの右腕に生まれしそれは、青白く光り、見る者を魅了する。そう、霊波刀。

「・・・誰がガキでござるか?雪之丞殿・・・?」
「だからシロがガキだって言ってんだよ!まったく・・・どいつもこいつ・・・も・・・?」
「・・・武士を・・・拙者を愚弄する者は・・・誰であろうと天誅でござるー!」
「だあぁっ!ち、ちょっと待て!俺は決してそんなつもりじゃ・・・」
「問答無用!成敗いたす!そこへ直れ、たたっ斬ってくれるでござるー!」
「うわわわ、ちょっと待っ・・・ぐはっ!あぐうぁ!」

いつもの雪之丞なら避けるぐらいはできただろう。
だが今は“いつも”ではない。シロがキレてる。それに、雪之丞は限りなく空腹だ。
よって・・・

ばきぃ!どがっ!斬っ!滅っ!殺っ!

シロに滅多打ちにされる雪之丞。もうぼっこんぼっこんである。

「お、おい横島、見てないで助けて・・・」
「悪いな、雪之丞。俺の親友にマザコンはいるが、ロリコ○はいないんでな」

そう言ってゆっくりと後ろに下がる横島。やっぱりコレばっかりは・・・と言った表情である。
ちょっと怯えている。

「拙者はもう大人でござる!ガキじゃないでござる!母性だってあるんでござる!
 胸だってもう“びぃかっぷ”になったんでござる!成長してるんでござる!」

雪之丞の暴言に怒り、ちょっと危ない言葉を発するシロ。もうどうにも止まらない。
そんなシロを見物しつつ、先ほど真友くんとのラブラブトリップから還ってきたタマモ、

「ねえおキヌちゃん、○リコンって何?」
「・・・この世の中にはね、知ってていいことと悪いことがあるのよ、タマモちゃん。
 その言葉は闇に葬られるべき言葉なのよ・・・」

遠い目をしてそう言いつつ、おキヌは思っていた。

(弓さんにこのこと言ったら・・・やめとこう、お友達のお葬式には出たくないわ・・・雪之丞さんの)

シロに殴られながら、いわれのない童女趣味のレッテルを貼られた哀れな男、
マザコン+ロ○コンのWコン疑惑を押しつけられた雪之丞は思った。

(ああ、ママ。もうすぐそっちに逝くからね・・・大好きだったオムレツ作って待っててくれよ・・・)

・・・・・・もうダメかも、コイツ



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そのころ山頂では・・・

「令子ちゃんが〜〜令子ちゃんが〜〜」

リーサルウエポン発動10秒前の冥子。
それを見て美神は・・・

(な、何で冥子がここにいるの!?ってかその前に・・・早く泣きやませないと!!)

「あーっ!違う違う!あんたとは何の関係もないのよ!謝るから!ゴメン、冥子!だから泣くの止めてーーーっ!」

ぴたっと泣きやむ冥子。そしてこんな質問。

「じゃあ〜〜、令子ちゃん〜〜。私たち、“心友”よね〜〜〜〜?」
「え?・・・うんうん!心友よ、親友!大真友じゃない!」

『もーどーにでもなっちゃえ!』みたいな感じ120%で言う美神。そして、

「だから令子ちゃん好き〜〜〜〜〜」

令子に抱きつく冥子。さっきまでの泣き顔はどこへやら、今はヒマワリも恥じらうような笑顔だ。

(・・・悪い娘じゃないんだけどな〜。コレさえなけりゃ・・・)

そんなことを思う美神、ふと聞きたかったことを思い出す。

「あっ!そーだ!ねえ冥子、あなた何でここにいるの?」
「え〜〜?だって〜〜〜〜。ここ〜〜、ウチのお山なんだも〜〜ん〜〜」
「え?・・・・・・・・・・・ええーーーーーーーーーっ!?」










「・・・・・・ん?あれは美神さんの声?」

横島が美神の「ええーーーーーーーーっ!?」に気づく。
ちなみに松茸探し隊は皆合流して山頂に向かっていた。

「美神さ〜ん!どこっすか〜?」

下から聞こえる横島の声に気づいた美神。

「ん?あれは横島クン?
 こっちよー、横島クン・・・ん?」

そう言って下を見てみる。すると・・・、
横島とおキヌがすっごい仲よさげに2人して歩いてくる。その後ろにはタマモ、シロと続く。
シロはでっかいカゴ付きだ。そしてその後ろには、

・・・・・・牛?・・・・・・

そう、牛・・・みたいなのがいた。黒くて、なにやらモゾモゾと動いている。
だんだん近づいてくるそれは、近づくごとにその姿を明確に現していく。

「・・・雪之丞?」

そう、牛は雪之丞だった。ただ、ズダボロである。もうボロぞうきんの方がマシなくらいに。
棒を杖代わりにしてやっと歩いてるといったところだ。先ほどのシロの怒りの度合いがうかがえる。

「何で雪之丞がいるの?それに何であんなにボロボロなの?横島クン、おキヌちゃん?」

横島達に聞いてみる。が、

「それがですね・・・」
「私たちにもわかんないんですよ。でもただ1つハッキリしていることと言えば・・・」
「言えば?」

美神は横島達に聞き返す。そして横島はキッパリとこう言った。

「雪之丞は、俺たちとは違う次元を生きているってことっすね」
「・・・はぁ?」

その雪之丞、未だこちらに向かって歩いている。あ、倒れた。








「・・・・・ふ〜ん、そうだったの。ま、別に私には関係ないことだけどね」

話の内容はだいたい掴めた。雪之丞はいろんな意味でスゴイ奴なんだと。
 
「ところで・・・何で冥子さんがいるんすか?」
「え〜〜?冥子〜〜暇だったから〜〜みんなでこのお山に遊びに来てたのよ〜〜」
「え?みんなって・・・まさか・・・?」

おキヌが尋ねる。

「そ〜よ〜。出ておいで〜〜」

十二神将“みんな”が一斉に出てこようとする。・・・が、

「「「「「 わーーーーっ!出さんでいい!いい!(です!) 」」」」」

慌てて止める美神達。シロタマは冥子の暴走については知らないのできょとんとしている。

「何で〜〜?令子ちゃ〜〜ん?」
「いいからいいから。そういえば皆、目的の物は見つかったの?」
「そうっすね、俺とおキヌちゃんはコレを」
「私はコレ・・・」
「拙者はこれでござる!」

各々自分がとってきたキノコを見せる。
ちなみにこれ、みんな“松茸”だと言い張るのだが、どれもこれも形が違う。色も違う。

「わあ〜〜、凄いじゃない〜〜」
「ん・・・と、おキヌちゃん達のは本物ね。よくやったわね、おキヌちゃん」
「あの・・・俺に何かお礼の言葉とかは?」
「んなもんないに決まってるでしょ。あんたには岩で十分よ」
「やっぱりあの岩投げたのアンタだったんですか!もし死んでたらどーすんです!?」
「歴史に“もし”はないのよ!アンタが今生きてるからいーでしょ?文句ある?」
「・・・さいでっか」

いじける横島。それをおキヌが「まーまー」と慰める。いつもの光景である。

「じゃあタマモのは・・・?珍しいキノコね、でもどっかで見たような・・・」
「けっこういい匂いしたから持ってきたんだけど」
「令子ちゃん〜〜、これ〜〜、アレじゃない〜〜〜〜?『リカバリ〜マッシュル〜ム』霊薬に使われる〜〜〜」

【リカバリーマッシュルーム】
名前の通り、回復薬として使われるキノコ。回復力は普通よりちょっと高め。
だが使用法によっては呪薬にもなる。殺傷能力はあまりないため重要されない。そして安い。

「ああそっか。どっかで見たと思ったら薄汚い貧乏性のエミのとこにあったっけ」


「・・・へっくし!誰かが私のウワサをしてるワケね。あっ!もしかしてピートね?私のことが好きだって
 言ってるのね!待っててね〜、今行くワケ、ピートぉぉぉぉぉ・・・!」
以上、特別出演の小笠原エミさんでした。


「次は拙者の番でござる!見て下され美神殿!拙者の見事な“松茸”!」
「どれどれ・・・ってちょっとシロ!コレどー見たって毒キノコじゃないの!」
「アンタ鼻大丈夫なの!?凄い臭いじゃないの!この馬鹿犬!」
「な〜〜にこれ〜〜?・・・う〜〜〜?!?!」

ぱたっ

「ああっ!?冥子ちゃんが“ぷっつん”せずに倒れたぁ!?」
「シロちゃん、これはちょっと・・・」

いつの間にか復活していた横島まで加わり、シロを責めまくる。
それに対して・・・

「だってだって、これが“松茸”だって雪之丞殿が・・・」

おどおどするシロ。うん、ウソは言っていない。確かに雪之丞は言っていた。

「おぉ!おお!?これだ!思い出したぜ!これが“松茸”なんだ!」って。

そしてシロの言葉で全員、やっと雪之丞がいたことに思い出す。
慌てて辺りを見渡してみると・・・



ピクピクいってる雪之丞がまだ倒れてた。

続く


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