椎名作品二次創作小説投稿広場


秋さがし!

小判をフルチャージ!


投稿者名:BOM
投稿日時:03/11/ 6

「そーいや、松茸ってさっき言ったアレでいいのか?なんか今頃になって不安が・・・」

先ほど自分の言ったことに対して不安になる雪之丞。
なにしろ昔の話、完全に覚えているほうがスゴイというものである。

「まぁいーか。どっちにしろ、松茸が食えんでもメシにはありつけるハズだし。」

う〜む、ポジティブというかなんというか・・・とにかく強い男である。
何気に目的が松茸探しから食事へと変わっている。さすがは横島のライバル(自称)。だが・・・

「・・・ふぅ・・・」

雪之丞、深いため息を1つつく。

いいかげん疲れた。いくらこの俺でもこんなに飲まず食わずではそろそろ限界だ。
早くメシ食って横島のトコに行かなきゃならんのに・・・そうだ、一刻も早く、横島のトコへ・・・というよりは山を下りなければ。

そんなことを考えていると遠くから、

「雪之丞殿!雪之丞殿!“松茸”が見つかったでござるよ〜」 という声が。

「何っ、見つかったのか?よしっ、これでようやくメシにありつける!」

ガサガサガサガサ・・・

おっ?シロがきたか・・・・・・・・・・・って!

「なんじゃそのカゴは〜!?」
「え?何がでござるか?」

雪之丞の見たそれは、それはそれは大きなカゴ。
カゴ一杯に溢れている栗とか竹の子とかワラビとか銀杏・・・それがたくさんあったそな。
なんか尾ひれがビチビチいってる魚もいるよーな気がするのは気のせいだろうか?
いや、気のせいではない。だって尾ひれから水がかかってるんだから。

「・・・それは一体どーしたんだ?それは?」

顔にかかる水しぶきは気にせず、というか無視してシロに聞く雪之丞。
シロは答える。

「え?これでござるか?美味しそうな匂いのするものを集めてたら・・・」
「こうなったと?」

こくりと頷くシロ。
全く疑念のない、晴れ晴れとした顔である。輝いている。

もうダメだ。これ以上何を言ってもムダだ。
『その魚はなんなんだ?』と聞いたって、『美味しそうだったから』でお終いだ。
喉元まで出かけてきていた疑問を飲み込んで聞いてみる。

「そのさか・・・いや、松茸は見つけたのか?」
「見つけたでござる!これでござるよ」

そういって先ほど見つけたキノコを差し出すシロ。
うん、相変わらず毒々しい、赤くて青い斑点のキノコ。・・・が、

「・・・ん?・・・おぉ!おお!?これだ!思い出したぜ!これが“松茸”なんだ!」
「そうでござるか!?やっぱりこれが“松茸”なんでござるな!?」
「あぁそーだ!よし、でかしたぜシロ!早速横島んトコ行くぜ!」
「ハイでござる!」

・・・とてつもない勘違いな、それでいてハイテンションな者達が、ここに約2名。
山頂に向かって出発したのであった。





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場所は変わってここは妙神山。美神は小竜姫に呼び出されていた。

「美神さん、今日はあなたにお知らせがあってここへ来てもらいました。忙しかったとは思いますが・・・」
「別にいいわよ。ちょーど仕事も一段落して暇してたしね」
「ありがとうございます。では早速用件を伝えます。以前起きた“聖戦”・・・まあ、アシュタロスとの戦い
 なのですが。その時でのあなたの功績を評して、特例ですが神界から恩賞が与えられることになりました。」

“恩賞”なんて言葉を聞いた瞬間、美神の態度というかなんというか・・・オーラが、変わった。

「ふ〜ん、それでここに呼び出されたのね」
「はい。」
「それで?一体恩賞って何よ?」
「それなのですが・・・協議の結果、美神さんに自由に選んでもらうことになりました」
「マ、マジ!?何でもいいわけね!?」

超加速より早く移動して小竜姫に詰め寄る美神。
目が『¥』マークになっている。

小竜姫、背中に冷や汗が一筋。こんな反応だろう、と予想していたにしろ、こうやって間近に見るとやっぱり、

(・・・こ、怖い!目が血走ってるんだもん!・・・)

と思ってしまう。

「え、ええ。そうですよ。ソレデハナニニシマスカ?」

かなりビビっている小竜姫。腰が引けている。セリフの後半が棒読みだ。
そんな小竜姫を見ながら、美神はこう言ってのけた。

「・・・世界よっ!!」

どどぉっ

めっちゃ勢いよくコケる小竜姫
全く予想外の答えが返ってきた・・・

「で、できるわけないでしょーがっ!そんなのはムリですっ!」
「何よーーーっ!何でもいいって言っていったじゃないのっ!?」
「確かに言いましたが、そのよーに世界の均衡バランスを根底から崩すことはできません!」
「さっきそんなこと言ってなかったじゃない!?何よそれ、神様のくせにずっこーーーーーーいっ!」
「ずっこいとかずっこくないとかそういう次元の問題ではありません!とにかく他のにしてください!」

激しい議論が繰り広げられた。ちなみに先ほどの小竜姫のセリフ、「世界の均衡バランスを・・・」
というのは、美神が世界征服すると世の中が金で溢れるだろうという懸念から来ていることは言うまでもない。

「・・・・・・・」

しばし考え込む美神。そしてこんなふうに言った。

「わかったわ。じゃあね、神界にある小判、全部ちょうだい!」
「・・・なっ!す、全てですか!?」
「もちろん。ありったけね」

あっさりと言う美神。開いた口がふさがらないとはこのことだ、とばかりの表情の小竜姫。

「・・・・・・わかりました。では後ほど事務所の方へお送りするということでいいですか?」
「そうしてちょうだい」
「わかりました。どうもありがとうございます。帰りは鬼門達に送らせますよ」
「あ、そうしてくれるの?助かるわ〜」

美神を見送る小竜姫。帰り際、玄関で・・・

「じゃあ小竜姫様。小判の方、よろしくお願いしますね♪」
「ははは、はい・・・」

鬼門に送られ去っていく美神を見送った後、ひきつった顔で立ちつくす小竜姫。
その胸の中ではこう思っていた。そして叫びたかった。


・・・・・・・・・お、鬼っ!鬼ぃぃっ!!・・・・・・・・・



そして・・・

「なあ左の?ワシらこれだけなのかのう?出番・・・」
「どうやらそうらしいな、脇役は辛いのぉ・・・」

脇役が約2名、美神を乗せて山を駆けていった。


その後、神界では一週間も議論を続けた結果、
小判一千万枚で手を打つことになり、(これでも全体の1/1000にも満たないが)
それと・・・今後なるべく美神には助っ人を頼まないことにするという条約が締結された。



それからさらに数日後・・・

「れ・い・こちゃ〜〜ん。あ〜そ〜ぼ〜」

美神のところにやって来たのは六道冥子。
理由:ただ遊びたかったから。

事務所に入り、ルンルン気分でドアを開けようとする冥子。・・・だが、

『冥子様、今はお入りにならない方が良いと思います・・・』
「何で〜〜?人工幽霊壱号〜〜?」

人工幽霊壱号が応対する。

『それがですね・・・ピーッザザーッ・・・という訳なのです』

肝心なトコに何やら怪しい音が入って聞き取れない。
だから冥子には何がどうなっているかなんてわかるハズもなく・・・

「変なの〜〜。入るわね〜〜。人工幽霊壱号〜〜」
『いけませ・・・ピーッ!』

がちゃ

「令子ちゃ〜〜ん、遊びに来たわ〜〜・・・きゃあ〜〜〜〜〜〜!?」

冥子の声がこんな音にかき消される。


どざざざざざざざ・・・という音に。
開けた扉の向こうから、黄金色の金属が一気に流れ出てくる音に。


「だから言ったじゃないっすかー!大体いくら一千万両が手に入ったからって、
 一気にバラ撒くこたぁないでしょー!?」
「うっさいわねー!それ以前に千両箱積み重ねたのはアンタでしょ!?何とかしなさいよ!」
「く、苦しいです〜。皆さんどこです〜?」
「せんせー!どこでござるか〜?」
「あいたた!ちょっと!人の手踏まないでよ、このバカ犬!」

先ほど冥子が開けたドアから出てきたのは、神界から送られた小判一千万枚。
千両箱を積み上げたはいいが、美神がそれを手に取ろうとするとそれが一気に倒れて・・・

がっしゃーーん!

部屋は一気に小判の海に。
そしてそんな中で冥子がドアを開けたもんだから・・・

ぎゅううううっ

小判に押しつぶされる冥子。

「きゃあ〜〜〜〜〜〜!?な〜〜に〜〜これ〜〜〜〜?」
「・・・ん?今の妙に伸ばすクセのある声は・・・冥子!?人工幽霊壱号!もしかして・・・」
『ピピーッガガーッ・・・』
「ちょっと?」
『すみません、オーナー。どうやらあまりの小判の多さに床が耐えきれなくなってきているようです。
 それと冥子様ですが確かに来ておられます。止めたのですが・・・』
「ってことは・・・?」
「令子ちゃ〜〜ん?どこにいるの〜〜〜?」
「冥子!ここよ、ここよ!私はここよー!」

冥子に向かって叫ぶ美神。だけど辺りは小判の海。まともに音が伝わるハズがない。
ましてや事務所の端から入り口にかけてならなおさらだ。
よって今の美神の声が冥子には・・・

「冥子!?何できたのよ!邪魔だからあっち行ってなさい!」

・・・と聞こえたのだ。

「令子ちゃんが〜〜、令子ちゃんが〜〜。“親友”の私に〜〜、こんなことを〜〜〜
 令子ちゃんの〜〜、令子ちゃんの〜〜・・・」

キィィィィィィン

冥子の近くに異常なまでの霊圧がかかり・・・

『い、いけません、オーナー!霊圧が以上に高まってます!このままでは・・・!』
「ま、まさか!?」

そのまさかである。精神に異常をきたした冥子ちゃんのとる行動はたった1つ。

「・・・バカァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」


ちゅっど〜〜〜〜ん


閃光が、走った。






「はっ!?ま、待って〜。私の小判〜!・・・ってあれ?ここは・・・?」

辺りを見渡す美神。そこはさっき自分がいた山頂と全く同じで。

「ゆ、夢!?それにしては異様にリアルだったわね・・・」

額をぬぐう美神。どーやら少しばかり汗をかいていたらしい。袖が湿っている。

「でも最初のほうは良かったのに!何であそこで冥子が出てくるの!?」
「令子ちゃん〜〜?私がどうかしたの〜〜〜?」
「あんたのせいでせっかく見てたいい夢が最悪になっちゃったのよ!」
「そ、そんな〜〜〜!?」
「ほとんどあんたのせいなんだからね!・・・・・・って!?」

ぎょっとなって振り返る美神。するとそこには・・・

「令子ちゃんが〜〜、令子ちゃんが〜〜」

充電(フルチャージ)完了10秒前の冥子が、そこにいた。

続く


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