椎名作品二次創作小説投稿広場


秋さがし!

俺の常識とパトラッシュ!


投稿者名:BOM
投稿日時:03/11/ 4

ガサガサ・・・ガサガサ・・・

「はぁっ!」

ばきぃ!ずず〜ん・・・

とてつもなく物騒な音がする・・・環境破壊と違うか?これは。

「お〜い、あったか?シロ?」
「全然ないでござる〜」
「じゃぁもうちょっと探してみるか〜?」
「わかったでござる〜」

ガサガサガサガサ・・・

「・・・ちっ!どこにもねーじゃねーか!ホントはもう絶滅しちまってんじゃねーだろーな!
 “国産品”とか言っておきながら実は中国産とかあるんじゃねーのか!?」

毒づく雪之丞。とはいいつつ、ガサガサと松茸さがし。

「ふぅ、ちょっと一休みするか。それにしても・・・は、腹減ったぁ。」

そう、実は雪之丞、ここんとこな〜んも食ってない。よってフラフラだ。もう腹と背がくっつきそうとまで行かないが
かなり腹が空いている。あまりの空腹に耐えきれなくなり、先ほどシロを襲ってしまった。
とはいえ、雪之丞もシロだとは全く思ってなく、そこらへんの住民だろうと思っていた。
一般人ならば魔装術を使えば自分が誰だかはわからない。魔装術を見て気を失ってくれれば、脅す手間が省けるし逃走の時間も稼げる。
・・・なんてとんでもないことを考えていた。

人間、あまりの究極な状態になると正しい判断ができなくなるものである。そこは是非わかっていただきたい。

「それにしてもまさかシロだったとはな・・・メシ奪うわけにはいかねぇよな、うん」

どーやらまともな思考に戻ったようである。
それと、彼にはもう一つの理由があった。これこそが横島を探している理由。
しかしなるべくならこれは他の誰かには・・・特に横島には言いにくい。
“あの”横島には・・・。しかし他に頼れる人物がいない以上仕方ないことだ。背に腹は代えられん。

そんなことを思っているとふと気がついた。

「そーいや、松茸ってさっき言ったアレでいいのか?なんか今頃になって不安が・・・」





「う〜ん、ないでごさるな」

あたりを散策するシロ。雪之丞のいう“松茸”を探す。
しかし・・・そんなものは見あたらない。むしろほかのものが多いくらいだ。
カゴの中には栗、竹の子、ワラビ、銀杏・・・ほか多数。
いろいろ入っている。しかもさっきよりも確実に量が増えている。

「ホントに松茸とは雪之丞殿のいうアレでいいんでござろうか?」

回想シーン

「雪之丞殿、松茸とはどのよーなものでござるか?何か特徴があれば教えて欲しいんでござるが・・・」
「いくら食ったことがあるとはいえ、あれはかなり昔の話だし、それに・・・」

首をかしげて腕を組む雪之丞。

「あれは食ったというよりは食わされたというべきか」
「食わされた、でござるか?」
「あぁ。なんか寺の坊主に無理矢理食わされてな、そいつが『大丈夫だ、これは松茸だ。美味いから食える』って
 言ってたんだよ。なんか汗ダラダラにしながら言ってた記憶がある」

シロはちょっと疑問に思い聞いてみる。

「それはもしかしたら“毒味”というやつではないのでござろうか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

【毒味】飲食物を人に勧める前に毒の有り無しを調べること。

永い永〜い時が流れる・・・

「ああっ!あんのじじい!だからあの後安心したよーに食ってやがったのか!」
「・・・・・」

地団駄を踏む雪之丞。あきれるシロ。『普通気付けよ、それぐらい』みたいな目である。
それに気づいた雪之丞、シロに背を向けて言う、

「い、いや、何だ?その・・・。ま、アレはアレですげえ美味かったからな。たぶんアレが松茸なんだろう。」

だけどおそらく恥ずかしいんだろう、いや、絶対に!
だって、だって後ろ向いてるのに耳が、耳が真っ赤っか。湯気まででてるし。

「・・・して、その松茸はどのよーなもので?」
「えーとだな、色が赤色で青い斑点がついてたな。あと笠の大きさが10cmほどか」

ふむふむ、と真剣に聞くシロ。と、ここでまた疑問が1つ。

「ところで松茸とは霜降り肉のことではないのでござるか?」

ドドッ
勢いよく倒れる雪之丞。

「んなわけあるか!キノコだ、キノコ!」
「な、なんと!松茸とはキノコだったのでござるか!?」
「当たり前じゃ〜!わかったらさっさと行けえ!」
「は、はいでござるぅ〜!」
「・・・ったく。なるほど、だから数え方が『匹』だったのか。良かった、俺の常識間違ってなくて」

そこには己の常識の正しさにほっと胸をなで下ろすしている雪之丞がいた。

回想おわり

「う〜ん、今更になってホントかどーかわからなくなってきたでござるよ・・・」

・・・ところが、

「・・・?おや、これは?この赤くて青い斑点のあるこれは・・・?ま、“松茸”でござる〜〜!!
 雪之丞殿!雪之丞殿!“松茸”が見つかったでござるよ〜」

ズドドドドドッ
白煙を巻き上げて走り去るシロ。・・・が、

ばきぃばきぃばきぃ ずず〜んずず〜んずず〜ん・・・

シロの走っていった後にはただ無造作に倒れる木が散らばっていた。


これは絶対環境破壊だっ!と思った人、挙手願います。










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・・・これは?光か?なんか眩しい・・・
それとこの匂いは何だ?柔らかくて、温かくて、それでいてすっごい心地いい・・・
なんか、優しさに包まれてるみたいだ・・・


少し目を開けてみる。
目の前にわずかに開けた視界から、光を背にした何かが見える。


あれは何だろう?蒼い髪の・・・天使?
ま、いーか。でもこの柔らかさは何なんだろ?すっげぇ・・・気持ちいい・・・
そういえば昔こんなシチュエーションのアニメあったなぁ、確かタイトルは・・・

「・・・・・ん!・・・・さん!・・・島さん!!」
「う〜ん・・・パトラッシュ・・・」
「何言ってるんですか!?起きて下さい!横島さん!死んじゃイヤーっ!」
「・・・っは!?」

完全に目が覚めた。あたりを見渡してみる。自分の顔の上には・・・

「・・・お、おキヌちゃん?」

そう、おキヌちゃんの顔があった。すっごくいい顔。

「よかった、気がついた。30分も起きないから私、心配したんですよ?」
「俺は一体?ここで何を?」
「上から岩が落ちてきて・・・それでその・・・」
「くらって気絶してたって訳ね」
「・・・はい」

おキヌちゃんの説明もあってようやっと頭の回路が繋がる。
そーか、あのとき誰かの投げた岩が当たって・・・おそらく美神さんだろうな。
まったく、あの人は・・・

と、ここで俺はあることに気がついた。

!!〜検証タイム〜!!
1.仰向けである。
2.目の前にはおキヌちゃんの顔。すこし紅くなってる気もする。
3.出血は止まっている。
4.後頭部に感じる人肌並の体温と感触

まさかこれって・・・・・・


「ひざまくら」じゃねーのかぁっ!?


そう、俺はおキヌちゃんに膝枕してもらってた。

(そっか〜、だからこんなに柔らかくていい気持ちだったんだ〜。
 う〜ん、いいっ!いいぞぉ!このシチュエーション!
 『家事大得意のお嫁さんにしたい候補NO.1』の美少女とこの状況!
 くーっ!キタキタキタ!キタよぉ〜!そうだ、これこそが青春の王道なんだ!
 よっし、これからはおキヌちゃん一本で行こう!決めた!)
「・・・え?よ、横島さん?」

すんごく驚いた顔のおキヌちゃん。何で?そう思ってると・・・

「こ・れ・か・ら・は!? で!? い・こ・う!?」
「あぁっ!また声に!?堪忍や〜〜!お願いやからネクロマンサーの笛吹かんといてぇ!!」

・・・早くこのクセ直さんとアカンなぁ、そろそろ死ぬんやないか?俺・・・
おキヌちゃんのあまりのプレッシャーに押されつつ、多少の命の危険を感じつつ、俺はそう思ったのだった。












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くんくん、くんくん・・・

「う〜ん、なんか違うわね。これはキノコじゃないし・・・こっちにはないのかな?」

タマモは一人松茸を探していた。手の中には松茸らしいものがなく、かわりに他のキノコが2,3個・・・
どれもこれも怪しすぎるものばかりである。
でも松茸を知らないタマモにとっては、キノコ=松茸みたいな法則ができてるのでしかたない。

「これも違うっと・・・もう、どこにあんのよ?松茸は?」

タマモが半分投げやりになっていたその時、

ぺちょっ

「!?!?!?・・・きゃーーーーーっ!な、何よこれー!?ネバネバする〜?」

目の前にはでっかいクモの巣が。それがけっこう前髪についたもんだから・・・

「・・・よ、よくもやってくれたわね。たかが昆虫の分際で金毛白面九尾にたてつくなんて、
 いい度胸してるじゃない!」

と言ってクモを見据えるタマモ。目がもうマジにキレている。


が、ここで彼女はとあることにちょっとした恐怖を覚える。異常なまでに・・・デカイのだ、その巣の住居人が。


タマモが驚いてるとそのクモが反撃に出てきた。恐らくタマモの目にビビったのだろう。勢いよく糸を吐くクモ。
だがタマモはそれに対して避ける事なくジッと見据える。そして・・・

びゅんっ

『!?』

驚くクモを尻目に、

「やっぱりただの昆虫ね。幻術に簡単にひっかかっちゃって・・・」

と言いのけるタマモ。そして、

「・・・燃えろ」

指先に霊力を溜めて、炎を創り出す。タマモのもう一つの技、狐火だ。
その炎はとても紅く、まるで生きているかのごとく爛々と燃えさかる。そして、

ボォッ

指先から放たれたそれは標的であるクモ目がけて放たれ、だんだんクモに近づいて・・・

ジュッ

クモは一瞬にして消滅した。

「たとえクモとはいっても、この私に刃向かおうなんて、千年早いわよ!・・・何?これ・・・」

タマモはあるものを発見する。それはキノコ。だが、今まで見つけたのとは確実に違うキノコ。

くんくん・・・

実に美味しそうな匂い。動物的なカンで、タマモはこれは掘り出し物だと認識した。
そしてそれをウエストポーチに入れ、他にないかと探す。すると、

「あ、あった。」

どーやら見つけたらしい。それらを全部ウエストポーチに詰め込む。結構な数だ。

「これだけ見つければ十分ね。一回戻ることにしようかしら」

タマモ隊、帰還準備完了。
山頂へと戻ることにした。

続く


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