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秋さがし!

山賊の襲来!あの人は今!?


投稿者名:BOM
投稿日時:03/11/ 2

「・・・ふぅ〜ん。松茸ってキノコのことなんだ。それって美味しいの?」
「さぁな、俺は食ったことないし・・・おキヌちゃんは?」
「私もないです。でも多分、美神さんならあるかと」
「やっぱりか。あんの守銭奴め!自分だけいい思いしやがって!俺たちが必死になって働いてるってのに!
 どうせ正月にはキャビアとシャンパンをメシにしておせち料理をオカズにしつつ超大型壁掛け12面テレビで
 のんびりとした正月過ごしてんだろーが!いっつも体張ってギリギリの生活してる俺の身にもなれ〜!
 美神さんの、美神さんのドケチ守銭奴ぉ〜〜〜!!」

山に向かって上司への不満を爆発させる横島。

「ちょっと、横島さん。いくらなんでも、そこまで言ったらいけませんよ」

否定しないとこを見ると、おキヌも不満を感じているのだろうか?すると・・・

・・・ひゅぅぅぅぅううううう

ドッゴーンッ!

「ぎゃーーーーーーーーーっ!?」

あいやー、山びこの代わりにでっかい岩が飛んできたアルよ。あ、なんか書いてるアル。(厄珍調で)
『横島ぁ!帰ったら私刑!!』
ボウズもこりないアルね。まったく。

「あうあう・・・だから言ったのに・・・大丈夫ですかぁ?」
「・・・バカ」
「・・・・・・だ、誰だ?“人類皆平等”だなんて言ったのは!?理不尽・・・ぐは!」

血をドクドク流しながらピクピクしてる横島。かなりの量だ。そんな横島を放っといてタマモ、

「じゃあおキヌちゃん、私捜しに行ってくるから。松茸」
「え?あ、うん。でも1人で大丈夫?私も一緒に行ったほうが・・・」
「別にいいわよ。松茸って要はキノコでしょ?そんなんならいくらでも持ってこれるわ。
 それに・・・馬鹿犬には負けてられないしね」

グッと拳を握るタマモ。目が・・・目の奥が燃えている・・・

「そ、そう?じゃあお願いするね。私も横島さん復活したら一緒に行くから」
「わかったわ。じゃ」

こうして松茸さがしタマモ隊出発。その背中には自身が満ちあふれていたように見える。・・・が、

「松茸ってどんなキノコ?油揚げより美味しいのかな?」

前言撤回。行く末は不安だらけだ。





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「どこでござるかー?松茸殿〜?」

あたりをガサガサと散策中のシロ。そしてどこから取り出したのかでっかいカゴを担いでいる。
そしてその中には栗に竹の子、銀杏にわらび・・・
秋の味覚よりどりみどりである。一言で言うと美味そう。それがふさわしい。



・・・話は変わるが、どんなに時を隔てて世が過ぎようとも、食うことに困る連中はいくらでもいる。
その理由として重税、不況、不作、・・・まあ、とにかくいろいろあった。
そしてそれは日本では昔、追いはぎだとか盗賊だとか言われていた。今はあんまり見かけないが、
“山賊”なんてのもいた。

そして今ここにそんな山賊が1人。
狙うはあのカゴ。秋の味覚100%がぎっちり詰まった、あのカゴ。

「・・・よし、行くか・・・」

草むらに身を隠し、気づかれないように近づく。本能を全開にして獲物へと接近する様子はまさに
“飢えたライオン”さながらであった。だが・・・彼は1つだけ間違いを犯した。
ライオンはウサギを狩るときにも全力を尽くすというが、彼が今狩ろうとしているのはウサギではない。
古き神の末裔である“狼”だった。


「う〜ん、どこにも“松茸”はないでござるな。でも一体どんな牛なんでござろうか?
 やっぱり『松茸牛』とかそーゆー名前でござるかな?」

相変わらず勘違いをしたままのシロ。だが・・・、

「・・・殺気!」

すぐさま山賊が放つ殺気に気づく。そしてシロが戦闘態勢に入ると同時に、

ゴオォッ!
一筋の光弾がシロに向かって放たれた!

「霊波砲!?」

さっ!と、すかさずよけるシロ。だが、

「もらったぁ!」

後ろに回られる。しかしシロの顔には笑みが。

「遅いでござる!」
「何ぃっ!・・・ぐはっ!」

ここでシロが何をしたか説明しよう。
霊波砲をよけたシロの背後に山賊が迫った。が、シロはそこから回し蹴りを山賊の腹めがけて食らわしたのだ。
そしてそれはドンピシャ。山賊が腹を押さえ倒れ込む。

そして山賊に霊波刀を突きつけるシロ。勝負は決した。

「何者でござるか!拙者達の食料を狙うとは!」
「げほげほっ・・・まあ、落ち着けって、シロ」
「・・・あぁ!おまえは!」

シロの脳裏に今まで出逢ってきた人達が浮かび上がってくる。
せんせー、美神殿、おキヌ殿、女狐、美智恵殿、肉屋のおばちゃん、伝説の中華料理人、その他もろもろ。だが・・・

「・・・誰でござるか?でもどこかであったことがあるよーな・・・」

どーやらシロの回想のなかにこいつはいなかったらしい。

ズドッ

コケる山賊。そして一言。

「何言ってやがる!俺だ!伊達雪之丞だ!」
「あっ、その背と目つきは確かに雪之丞殿!」
「・・・他に見分けるところはないのか?他には!?」

怒りと泣きの混じったような眼をする雪之丞。なんせ自分の確認方法がそれしかないような言い方だったから。

「あ、あはははは。いや、スマンでござる。襲いかかって来るからつい敵かと・・・」
「まぁいい、ところでこんなトコで何やってるんだ?見たところ食料調達のようだが」

カゴを見て言う雪之丞。ちょっと、よだれが出そうな顔したらダメだっつの!

「え?あぁ、これは拙者達の食料でござる。なにやら“松茸”を探せということなので探しているのでござるが、なかなか見つからず・・・仕方ないから美味そうな匂いのするものを入れてるんでござる」
「はぁ?松茸?まさかアレか?あのめちゃくちゃ旨い?」

雪之丞は驚いた。
何でコイツが松茸を?肉食だろコイツは?全然関係ねぇじゃねーか。その前に松茸知ってんのか、コイツ?

「雪之丞殿は知ってるんでござるか!?拙者は食べたことがないからわからんでござるよ。」
「まぁな、とはいっても昔だからほとんどうろ覚えなんだが・・・(やっぱり知らなかったか)
 あ、そーだ!おまえさっき『拙者達』って言ってなかったか?」
「そーでござるよ。せんせーやおキヌ殿もいるでござる」
「何!?横島もいたのか!?よし、案内してくれ!ちょっと用事があるんだ」

『俺を救えるのはお前しかいない!』みたいな眼で頼む雪之丞。しかし、

「いいでござるが少しばかり手伝って欲しいんでござる」
「何をだ?」
「松茸探しでござるよ。拙者まだ1匹も見つけてないんでござる」
「まぁいーか。・・・ってか今おまえ『匹』って言わなかったか!?」
「言ったでござる。何か?」

雪之丞は困った。松茸だろ?数え方は普通は『本』だよな?何なんだ『匹』ってのは?
新手の数え方か?「本日は伊達選手が3匹のこぶた・・・いえ、ホームランを打ち大活躍・・・」
なんて言われる時代なのか?あぁ、俺の常識が・・・俺のトリビアが・・・

雪之丞が現実逃避してブツブツ言っている。そんな雪之丞を不思議に思いつつも、
放っといて松茸さがしを再開するシロ。

「どーしたんでござるか、雪之丞殿?行くでござるよ〜」
「はっ!?わ、分かった!今行く!」

ようやっとあっちの世界から帰還した雪之丞。慌ててシロについて行く。

「ところで何故雪之丞殿はこんなトコにいるんでござるか?」
「・・・聞くな」

涙を流しつつ答える雪之丞。シロの疑問は残されたまま、松茸さがしシロ隊、行動再開





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ぴぃ〜ぴょろろろろろろ〜、ぴぃ〜・・・
澄み渡った空の中、トンビがとんでいる。(本来トンビは本来人家付近や海辺にいる鳥だが)
戦国時代の平和な茶店での一時を思い出してしまうこんなのどかなシチュエーションの中で、

ずず〜っ
とお茶をすする、この場には少々不釣り合いな・・・いや、とっても似合うハズの女性がいた。

紅くて腰まである長い髪、パーフェクトといっても過言ではないその体型。女性からは「なによ、あのイケイケ女!」とまで言われてしまうそのカラダ。
すれ違った男性ならば必ず振り向くであろう美貌を持つその女性。
美神 令子だった。

彼女は横島達を松茸狩りに行かせた後、一人山頂でリラックスタイム中。
のんきに茶などすすっていた。もともとこんな催し物にはあまり興味がわかない人物である。
その彼女が何故こんな山奥に来たかというと・・・
ズバリ金のためが5割、気晴らしが3割、食欲が2割といったとこである。

「あー、ホントに気持ちいいわね!こんなの都会じゃ絶対ないわ。悪霊退治とはまた違った満足感ね」

山頂で1人、大の字になって寝る美神。ちなみに今日の服装はボディコンではなく、普通の私服なので心配はない。

「面倒くさい松茸探しは横島クン達に任せて、私は楽して金儲け・・・と。こんな元手のかからないこと、
 逃さない手はないわ!」

他力本願もいいところである。と、

・・・・ぴゅぅぅぅぅううううう

空から何か降ってきた。

「ん、何よアレ?・・・・・・っ!!え、ちょっとぉーーーーーーー!」

それが何か判断すると同時に体を起こして立ち上がり、すかさずその場から離れる。その直後、

ぴちゃっ

空を遊弋する鳥の糞が落下してきた。それもさっきまで美神の顔のあった場所に。

次第に驚きは怒りへと変わり、その怒りは遂に爆発する。

「・・・っざっけんじゃないわよー!何でこんな正確に落ちてこなきゃなんないわけ!?コラァ、この鳥野郎!
 さっさと降りて来ーい!!」

鳥に文句をいいまくる美神。もうすでに怒りは頂点付近に達している。
そしてそこに横島に内緒でつけといた盗聴器、もとい無線(GPS付き)からこんな声が。
何故盗聴器をしかけたかって?答えはカンタン、持ち逃げ防止のため。

「・・・っぱりか。あんの守銭奴め!自分だけいい思いしやがって!俺たちが必死になって働いてるってのに!
 美神さんの、美神さんのドケチ守銭奴ぉ〜〜〜!!」

ぷちっ

さっきまでのリラックスしていた美神ならば横島の松茸取り上げ、または1発殴りですんだろう。
だが今は・・・キレている。
そこら辺にあったでっかい岩にメッセージを書く。そしてポケットから文殊を取り出す。
この文殊は以前横島から回収、というか奪った文殊だ。それに『力』を込めて発動。
そしてその岩を高々と持ち上げ・・・

「せぇぇのぉぉ!・・・はーっ!」

力一杯、GPSの示す方向へその岩を投げる。無線を聞いてからここまで約5秒でこなしてしまった。そして、

ぴゅううぅぅぅぅ・・・・・・・・・・・・・ドッゴーン!!

「ぎゃーーーーーーーーっ!」

見事ストライク。おそらく下ではけっこうな惨事になってるだろう。
でもアイツはそんなのでくたばるような男ではない。だって、横島なんだもん。

「・・・はぁ、はぁ。あー、少しスッキリしたわ。でもまだ苛つくわね・・・ま、いーわ。寝よ・・・」

秋空に 優雅に眠る 美女こそあり(字あまり)

というわけで、横島が潰され、おキヌがうろたえ、タマモが松茸を探してた頃、美神は山頂でぐっすり寝ていた。


続く


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