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秋さがし!

ぷろろぉぐ・狩りの開始だっ!


投稿者名:BOM
投稿日時:03/11/ 2

ぷすっ

「あぎゃぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!」

昼下がりの晴れた空、その一声がのどかさをちょっとだけ壊す、そんな秋の1日。
今回はそんなお話。






                『秋さがし』



美神達は紅葉を見に来ていた。悪霊達も秋に活動が活発になるのかはよくわからないが、ここのところ仕事仕事で
(それも書類仕事が重なって)忙しかったから、気分転換も兼ねて・・・
と、ゆーことで横島の案内でこの山に来ていたのだった。

「いやぁ、しかしホントにキレイですよね、これは」
「そーね、でもまさかアンタからそんな言葉が出るとはね。そっちの方が驚きだわ」
「俺だってたまには感動しますよ!自分だって半分金目的のクセに・・・っぷおっ!」

ぼそっとつぶやいた横島。だがそのとたん、

バキッ

強烈な裏拳が一発お見舞いされた。

「なんか言った?横島クン?」
「い、いえ。なんでもありまふぇん、みふぁみさん・・・」

あくまで何事もなかったかのように尋ねる美神。すっごい笑顔である。女神様とはこのことを言うのだろう。
しかしその目はこう訴えている。
『次言ったら・・・逝かせちゃうからね♪』みたいな。

「まーまー、美神さん。せっかく来たんですから」

おキヌがなだめるのだが、さらに美神を逆撫でするかのようにシロのこの一言。

「そーでござるよ、美神殿。そんなに怒ってはせっかくの紅葉が全部散ってしまうでござる」
「どーゆー意味よ!?」
「キャウン!」
「まぁまぁ・・・それにしても・・・いい天気ですねぇ。絶好の行楽日和ですよ」
「あ、それ私も賛成。きつねうどんほど良くはないけどね」

ってタマモが言ったのだが・・・

(何なんだろう?何かが・・・何かが違うんじゃないかな?それは・・・?)

と、全員が思ったそうな。

「そういえば横島クン、なんでアンタがこんな山知ってるの?」
「あ、そーいえばそーですね。どーしてですか、横島さん?」
「え?あぁ、それはこないだシロと散歩に行ってさんざん連れ回された時に見つけたんだよ」
「そうでござる!拙者のお手柄でござる!」

しっぽをぶんぶん振るシロ。その傍らで・・・

(じゃぁ半分秘境じゃないの?ここは・・・?)

と思うタマモがいた。


そんなちょっとした疑問を感じつつも一同は山の頂上付近に到着。
すると美神が突如、

「さぁ!探すわよ!」
「探すって・・・何をですか?」
「決まってるじゃないの!松茸よ、松茸!完全国産モノなんて高く売れるわよ!」

ドテッ
一同、豪快にコケる

「結局金もーけですか!?他になんかこーくるもんはないんすか!?景色がキレイだな〜とか!」
「そんなのあるわけないじゃない」

キッパリと言いのける美神。

「「・・・・・・・・・・・」」

半ばあきれて、そして尊敬してものも言えない横島&おキヌ。

「さぁ、そーと決まったらさっさと働け!時給入ってんだからね!」

(だからすんなりと行くことにしたんだな、この人は。
 ・・・ったく相変わらず金のことになると目の色が変わるんだから)

「なんですってぇ!横島ァ!」
「あぁ!また声に出してしまった!?」            

バキッゴキッ

肘鉄が一発、だめ押しのローリングソバットがもう一発。そしてとどめのアッパー。
空に打ち上げられ、薄れゆく意識の中、横島は思った。

『絶対見返してやるーーーーーーっ!!』














ま、そんなこんなで早速狩りを開始する一同。だが、

「せんせー、松茸って何でござるか?」

ズドッ

いきなりの的はずれな質問。シロは自分が何か悪いことでも言ったのかというよーな顔をしている。
が、仕方あるまい。いくら人狼とて獲物が何か分からねば狩りができんのは当たり前。

「おまえ知らんで探そうとしとったのか!?松茸ってのはだなー・・・・・」
「松茸とは?」
「えっと、あー、何だ?だからつまりその・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・辞書で調べろ」
「そんなもんないでござるよ。まさかせんせー、知らないんでござるか?」

ホントに邪念のない顔で聞くシロ。
でもそんなことを言っちゃうと飢えた獣が騒ぎ出す。

「しゃーないやろ!どないしたらごっつ薄給でこの身を賭けて働いとる俺に、松茸のよーな高価な秋の味覚を
 味わえる余裕があるっちゅーんじゃー!そんな金あったらゴムのゆるんどるきばんだパンツはかずに
 毎食タマゴいれたチャーシュー麺とパック寿司たらふく食って生活できるんやー!!」

バックには荒波が出てきて、鬼のような形相で眼から血の涙を流しながら叫ぶ横島。
そのあまりの迫力にビビって後ずさるシロ。
横島の金銭的状況が分かっている以上、ここは納得するしかない。

するとおキヌちゃん、シロにこんなことを。

「シロちゃん、松茸ってのはね、とっても美味しいけど高い食べ物なの。
 焼いたり炊き込みご飯にして食べるのよ。」


そのとき、シロの頭では!?

ここまでで分かったことが2つあるでござる。

松茸とは何か!?

1.食べ物でござる!
2.高価なものでござる!!
3.焼いて食べるものでござる!!!

この2つから導き出されるものは?

食べ物×高価なもの=肉×高い肉=最上級霜降り肉でござるぅ!!!!

シロの思考回路はこのよーに分析したのであった。

「わかったでござる!おキヌ殿。霜降り肉でござろう?拙者頑張って見つけるござるよぉぉぉ・・・!」

ズドドドド・・・・
土埃をそこらへんにまき散らしながら、シロは森のなかに突っ込んでいった。

「ち、違うでしょー!この馬鹿犬ー!!
 はぁ、はぁ、まったくあいつったら、とことん神経が単純なんだから。ところで・・・」
「「え?」」
「松茸ってなんなの?」

あ、二人が・・・凍った。


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