―七年前。
この日は、それまでの最高気温を更新したと言われた日だった。
みんみんと甲高い音泣き声が不快感を高くすることこのうえない。
それは郊外にある安アパートの一室でも違いなかったりする。
「だああああっ暑い!!」
がんがらがっしゃん
とミニ四駆のパーツをひっくり返しいささか目つきの悪い少年がひっくりかえしながら叫ぶ。
「あああもう集中してチューニングできねーセミもうるさいしっ!!」
もちろんセミたちにしてみれば、自分の職務をまっとうしている(?)だけなのだ。
そんな事言われる筋合いなんぞない。
六畳ほどのフローリングの部屋にはばらばらと四駆のパーツがちらばっている。
「なに、いってるの雪之丞」
と呆れたような声がふってきた。
その一瞬後に、ひょこっと姿を表したのは、二十台後半と想われる女性だ
腰まで伸びている栗色の髪は後ろで一つにくくっており手にはお玉をもっている。
服装は、濃紺のシャツにチノパンそして、赤の無地のエプロンというシンプルなものであるがその服からでもスタイルがかなり良い。
もちろん(?)―容姿も整っていた。
いや、なまじ整っている顔つきであるために、黙っていたり無表情でいたりされた時には人形のような冷たさを感じるであろう。
だがこの女性にはそれは感じない。
目は悪戯っぽく光っておりおどけたような印象がある。
美人なはずなのに、それをあまり感じない。
「だって―もうこの暑さ犯罪的だよ!!ママ」
女性をみながら少年―雪之丞が言う。
「しかも扇風機こわれちゃったし―」
むうと唇を尖らせ、言う。
「何いってんの壊したのはあんたでしょーが」
ぴしっと雪之丞に人指し指を突き刺し女性。
更にずずいっと近づきべしっと人差し指を眉間に当てる
「―それに、その犯罪的な暑さの中コンロに向かって美味しい食事を作ってくれてるママにそれをいうのかなあ?雪之丞くんは?扇風機を壊して修理代を払わせた雪之丞くんは??」
―にっこしと微笑みながら、だが声はおもいっきし低く言う。
これで脅してないなど想う人間がいたらお目にかかってみたいものだ。
「…………ごめんなさい」
というかこれ以外何も言えまい。
「―まったくもお」
くすり
と微笑み女性は仕方ないわねえと言い
「―ひんずーすくわっと100回で許してあげる」
となんでも無いことのように言った。
「!!!?????」
ぴきっとその言葉に固まる雪之丞。
そりゃ雪之丞でなくとも固まるだろう。
とゆーか何故ひんずーすくわっと??
何故100回???
「な、ななな、なんで???」
「―ん?なんとなく男の子は強くないとね」
それに男の子なんだから身体鍛えとかないとねとハートマークつきで言う。
いや確かに男は強いほーがいいだろう…だがしかし、なぜいきなり?
そんなものなんだろうか?
何かが違う。
「じゃ、もおすぐご飯できるから、ご飯食べた後にしよーか」
どおやら彼女の中では既にする事に決定しているらしい。
雪之丞…ママと暮らしていた時も幸せとはあまりいえなかったかもしれない。
つづく
ああっみみかきさんやっぱらぶっ(涙 (hazuki)
そうですか、やっぱ美神さんとかぶるんでしたか、ゆっきーママンは。
さあ、キャラクター確定(笑)! これからどーゆー展開が?
ちょっとだけ注文(ここ限定)
行間空けて頂けると読みやすいカナ? (みみかき)
とってもいい雰囲気だと思います。
ただ、21巻の「今、そこにある危機!!(その7)」にて、雪之丞は母親と赤ん坊の頃に死に別れたと取れる発言をしてるんで、この辺はどうなのかなと。
この発言自体ミニ四駆に熱中してた子供時代と相容れない感じがするのは確かですが。 (野見山)
なんか、グレ展の時と違って、ひらがなが薄いなぁ〜とか、
勝手に思ってたんですよね(←失礼!)
―――しかし、“ひんずー”!!!
嗚呼、ひんずーッ!
……全く、プロ根性見せてもらいましたよ、フッ(←褒めてます。褒めてます) (魚高)