赤城の奮戦
(坂本少佐)

佐佐木 信綱 作詞
納所 辨次郎 作曲



煙か波かはた雲かあふるる勇気おさえつつ
遥かに見ゆるうす煙待ちに待ちたる敵の艦
海原遠くながむれば砕きてうちて黄海の
嬉しやまさに敵の艦藻屑となさん時の間に

とどろく砲の音すごく艦の中にも赤城艦
逆巻く波の音荒く艦は小さくかよわきも
海洋島の沖つ辺に鉄よりかたき心もて
はげしき戦起こりたり士卒は艦を進むなり

弱きをねらう敵艦は砕けやうてや敵の艦
左に右に寄せくるを残る艦無くならんまで
続きて放つ我が砲に胸をば盾に身を的に
敵の甲板人もなし進めや打ての声高し

飛び来し敵の弾丸は砕けや打ての号令は
音凄まじく砕けたり士卒の耳に残れども
今までありし艦長の今まで立ちし艦長の
姿は見えずなりにけり姿は見えずなりにけり

かよわき艦を進めつつその身はよしや朽ちるとも
まされる艦と戦いて誉れはくちじ千代八千代
栄えあるいくさに艦長は赤城の艦の名と共に
栄えある死をばとげにけり赤き心ぞうたわれん

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谷山 重亮(sat@kcn.ne.jp)