勇敢なる水兵

佐佐木 信綱 作詞
奥 好義 作曲
佐伯 亮 編曲


煙も見えず雲もなく 空に知られぬいかづちか
風も起らず波立たず 波にきらめくいなずまか
鏡の如き黄海は 煙は空を立ちこめて
曇り初めたる時の間に 天津日影も色くらし

戦い今やたけなわに 弾丸の破片の飛び散りて
勉め尽くせる丈夫の 数多の傷を見に負えど
尊き血もて甲板は その玉の緒を勇気もて
から紅に飾られつ つなぎ止めたる水兵は

間近く立てる副長を まだ沈まずや定遠は
痛む眼に見とめけむ その言の葉は短きも
声を絞りて彼は問う 皇国を思う国民の
「まだ沈まずや定遠は」 心に永くしるされん

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谷山 重亮(sat@kcn.ne.jp)