(C)TWO-WAY /小学校/6年生/国語/やまなし/対比/
森口 玲(法則化飛火野サークル)
宮沢賢治の「やまなし」を学ぶ前に賢治の『雨ニモ負ケズ手帳から』を学習しておくと「やまなし」がすっと落ちる!
賢治の「雨ニモ負ケズ」には彼の人生についての生き方が綴られている。最後に「そういう人に私はなりたい」とあるのだから彼のめざす人間像を読みとることができる。
風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ瞋(いか)ラズ イツモシヅカニワラツテヰル 一日ニ玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ アラユルコトヲ ジブンヲカンジヨウニ入レズニ ヨクミキヽシワカリ ソシテワスレズ 野原ノ松ノ林ノ蔭ノ 小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ 東ニ病氣ノコドモアレバ 行ツテ看病シテヤリ 西ニツカレタ母アレバ 行ツテソノ稻ノ束ヲ負ヒ 南ニ死ニサウナ人アレバ 行ツテコハガラナクテモイヽトイヒ 北ニケンクワヤソシヨウガアレバ ツマラナイカラヤメロトイヒ ヒデリノトキハナミダヲナガシ サムサノナツハオロオロアルキ ミンナニデクノボウトヨバレ ホメラレモセズ クニモサレズ サウイフモノニ ワタシハ ナリタイ |
つまり賢治は
「味噌と少しの野菜を食べて、争わず、ほめられもせず、苦にもされない」ひとになりたいのである。そこを授業でしっかりと児童と感じ取ってから「やまなし」にはいる。
そこで「やまなし」の五月と十二月の代表的な対比を挙げて話を見てみると
五月 | − | 十二月 |
カワセミ | − | やまなし |
日光 | − | 月光 |
青く暗く鋼 | − | 白いやわらか |
黄金 | − | 金 |
ぎらっ ぎらぎら |
− | きらきらっ |
こわいよ | − | いいにおい |
とがって | − | 丸い |
悪いこと | − | いいにおい |
そうすると十二月に賢治の求める世界があることに気がつく。賢治は「味噌と少しの野菜」を食べるのだから、魚や生き物を食べない人になりたいと書いてあるし、争いのないゆったりとした世界が浮かび上がってくる。一方の五月は争いや弱肉強食の世界が見えてくる。つまり十二月の幻灯には賢治の求める世界観がある。