産卵と養殖(さんらんとようしょく)

1)池替え

池替えとは、池の金魚をすべて取りさり、底に溜まった泥をとりさり、まっさらな状態にすること。
産卵前には池替えをして、稚魚を入れる池や親池を確保するわけね。

…だけど、この池替え…めちゃくちゃしんどいわけ。
金魚を全部とるのもしんどいんだけど、その後に待ってる『泥掻き』が大変…
泥をグランドをならすトンボ状のものをつかって、ポンプで外に出すんだけど、もう腕も足もパンパンになるね。
広い池を何回も泥をひっぱって往復…いま思ってもつらいねぇ…
特に暑い夏場の池替えは地獄…
全身汗だくなのはもちろんのこと、太ももまで隠れるゴム長靴をはいているので、終わったあと長靴を脱ぐとズボンが汗でびしょびしょになってるからね。
夏場に池替えを2,3個やったら余裕で2,3kg痩せれるよ(笑)
2)産卵準備

卵を産んでくれる親ばかりをはなした親池というものを用意する。

馬鹿でかい金魚がうじゃうじゃいる(笑)
(20cm以上の小赤…っていうか、大姉もザラにいる)

そこに金魚が卵を産みつけるための藻を入れておき、卵を産みつけたらそれを下記の孵化池に移し、また新たな藻をいれておくという作業を繰り返す。
3)産卵

見えるかどうかはわかんないけど、写真のように藻に卵が産み付けられてます。

ちなみにこの卵をそのまま食べると、ひじょ〜に生臭い(ヒデ曰く、生臭さの塊らしい(笑))らしいので、食べない方がいいよ(笑)
4)孵化池に移す

卵が産みつけられたら、このように藻を引き上げ、孵化池に移します。
5)孵化(ふか)池

写真のように孵化池に卵のついた藻を均等に並べる。
孵化してくるまではこのまま。

あわてないあわてない…(笑)
6)孵化

これも見えるかどうか微妙なんだけど、つぶつぶしてるのが稚魚ね。
さっきの孵化池は稚魚だらけ。
うじゃうじゃ〜って感じに稚魚がいます。
7)餌付け

少し大きくなるまで、孵化池で餌付けを行います。
エサは定番の卵の黄身ね。
(家で孵化させた場合に卵の黄身を使うと、水が汚れやすくなるので注意ね)
8)稚魚池に移動

少し大きくなったら、最初に池替えして準備しておいた稚魚池に移動させます。
稚魚は小さいので、全部すくいきれないのが悩みどころ…
かならず孵化池のはしっことかにくっついてる稚魚とかがいるからね…
かわいそうなんだけど、そんなのぜんぶとってられないから、無視。
南無ぅ〜…
9)稚魚池

稚魚池で出荷できるようになるまで大きくします。
ここが腕の見せ所。
池の水やエサに気をつけ、毎年、試行錯誤でがんばってます♪
10)出荷前

稚魚が出荷できるくらいの大きさになると、出荷する量ずつ池からとりだし、写真のようなコンクリート池に網をはった場所に入れ、エサきりを行います。

エサきりを行わないと、出荷した金魚はすぐに死んでしまうんです。

ちなみに、写真の左上から水が飛んでますが、これはおしっこじゃないのであしからず(笑)
水を落としてバッキしてるんですね。
11)出荷準備

そして、その金魚たちを選別し、箱詰めします。
…が、それは下記で別途詳しく説明します♪
12)出荷

こうして、金魚たちはみなさんに届けられたり金魚市場に出荷されていきます。

あぁ…感無量…って瞬間ですね♪

出荷(しゅっか)

11−1)注文を受ける

上の11)を詳しく説明します。
まずは注文を受けます。

『金魚屋の息子』の場合、メールで注文を受けます。

携帯に注文メールを転送しているので、注文メールがあるとかなり嬉しいです♪
うひょ〜♪注文きた〜♪って感じ(笑)
11−2)選別&数読み

金魚の選別と数読みを同時に行います。

うちの場合、この作業は母が行っており、さすが金魚屋歴30年!
ものすごい速さで選別と数読みをこなします。
私もヒデもできますが、母の速さにはぜんぜんかなわないっす(笑)
この作業は早いほうが金魚に負担がかからないんだよねぇ…私もヒデもがんばらないと!

先日、旅行者さんが見学にきたときに母の数読みを見て、
「えっ、これで数とか数えれてるの!?」
とびっくりしてました(笑)
たしかに、はじめてみたら、無造作にバケツに金魚を入れてるようにしか見えないからなぁ(笑)
11−3)水の準備

金魚を入れる袋に水を入れます。
水は金魚が輸送中に病気になるのを防ぐため、薬を入れています。
(だから色がすこし黄色い)

この水入れだけど、夏の忙しい時期になると、1日に200箱分以上用意するときもあるわけで…
しゃく一杯にはいる水の量は約2リットル。
っつうことは2kg。
それを1袋に2回いれます。
っつうことは、200箱分いれようと思ったら、2kgを400回上下させるわけね。
昔からこればっかりやってた私の右腕は、左腕とくらべ、1まわり以上太くなってたりします(笑)
11−4)岩塩を入れる

これも病気にならないための工夫のひとつで、岩塩を入れています。
岩塩は病気の予防や、水が変わっても金魚がしんどくなりにくい…といった効果があります。
11−5)袋に金魚を入れる

選別&数読みされた金魚を二重にした袋にいれます。
このとき、元気すぎる金魚は飛び出たりするので大変です(笑)
11−6)酸素を入れる

運送中に金魚が死なないように酸素を注入します。
11−7)ゴムでとめる

酸素や空気がもれないように、しっかりゴムで止めます。

夏場、このゴム止めをくりかえすと、よく擦れる人差し指なんかが、ぱっくり割れることもあります…
これがまた痛いのなんのって…
皮膚はごつくなってきてるんだけど、水を触ったあとなんかにやると、水で皮膚が少しふやけているので、ぱっくりいきやすいんです…
でも、ここで手を抜いて軽くゴムをとめると水漏れや空気漏れがおこるので手は抜けません。
11−8)箱詰め

ダンボール箱の底には新聞紙をしき、ぴったり収めるように入れます。
11−9)紐をかける

機械でしっかりをかけます。
11−10)出荷

伝票を貼りつけ、出荷準備完了です。この後、宅配業者に委託して、みなさまの元へと届けます。

1箱の重さは約15kg。
これを忙しいときは200箱ほど、運んだりしています。
そりゃ、普通より力が強くなるわな…って感じで(笑)
でもでも、腰も痛くなるよな…って感じで(泣)