『バーブ・ワイヤー2/ブロンド美女爆走記』:2003、アメリカ
Candyman vs.
Pinhead
<スタッフ&キャスト>
監督…フレデリック・フォレスティア
脚本…レス・ウェルドン
製作…ジャンヌ・ヴァン・コット&レス・ウェルドン
製作総指揮…マイク・リチャードソン&パメラ・アンダーソン
音楽…ミシェル・コロンビエバーブ・ワイヤー…パメラ・アンダーソン
ヴェノム…ルー・ダイアモンド・フィリップス
マスタード…キース・デヴィッド
レグゾン…ミッキー・ローク
ジャスト…ニコラス・リー
レイズ…ジーア・カリディス
アルファ…ファイルザ・バーク
クウェイク…マックス・パーリック
サミー…ブルース・スペンス
スワロー…ライアン・メリマン
<ストーリー>
戦争によって荒廃し、殺人や略奪が平然と行われるようになった近未来。賞金稼ぎのバーブ・ワイヤー(パメラ・アンダーソン)は、注文した改造ハーレーを受け取るため、交換物資のガスボンベを持って約束の場所に現れた。だが、車を持って来るはずの改造屋サミー(ブルース・スペンス)は、なかなか現れない。
そこへ、暴走族の一団が現れた。ヘッドのヴェノム(ルー・ダイアモンド・フィリップス)、ヤク中の女アルファ(ファイルザ・バーク)、貧乏揺すりがクセのクウェイク(マックス・パーリック)達だ。彼らはバーブに襲い掛かり、ガスボンベを奪い去った。しばらくしてサミーが姿を現したが、彼は改造ハーレーを運んで来なかった。サミーは、ガスボンベを確認してからハーレーの保管場所に案内するつもりだったと釈明する。だが、ガスボンベが無いのであれば、ハーレーは引き渡せないとも告げた。
サミーはバーブに、稼ぎたいのならガルタウンに行って来訪中のレグゾン(ミッキー・ローク)に会ってみろと勧めた。スリングタウンの支配者レグゾンは、運転技術に自信があって、危険を恐れぬタフガイを探しているというのだ。バーブは、ガルタウンへ足を向けた。レグゾンに会ったバーブは、原油を積んだタンクローリーをスリングタウンまで運ぶという仕事を依頼される。レグゾンはガルタウンで原油を購入したが、暴走族に狙われる危険性が高いため、輸送の仕事を誰も引き受けないというのだ。バーブはガスボンベと原油の一部を報酬として受け取る約束を交わし、仕事を引き受けた。
レグゾンは、部下のマスタード(キース・デヴィッド)を目付役としてバーブに同行させる。レグゾンは他の部下達と共に、別ルートで移動するらしい。バーブはタンクローリー、マスタードは改造車でガルタウンを出た。出発して間もなく、遊び半分で進路を妨害するスポーツカーの男女が現れるが、バーブはタンクローリーで踏み潰して先を急ぐ。途中、バーブとマスタードは、食堂で休憩を取ることにした。店内に入ると、店主がスワロー(ライアン・メリマン)という少年を苛めていた。マスタードが軽く注意するが、店主は「使い走りに使えるかと思って拾ってやったが、まるで役立たずだ」と怒鳴り散らすばかりだ。スワローは救いを求める視線をバーブに向けたが、バーブは無視した。
食事を終えたバーブは、トイレに行ったマスタードを置いて先に店を出た。すると、向こうからヴェノム達が来るのが分かった。バーブは急いでタンクローリーに乗り込み、エンジンを吹かした。トイレから出て来たマスタードを置き去りにして、バーブは車を発進させた。バーブは逃亡を図るが、ヴェノム達がバイクと車で追い掛けて来る。途中、スワローがタンクローリーに密かに乗り込んでいたことが分かるが、そんなことに構っている余裕は無く、そのままバーブはヴェノム達との激しいチェイスを続ける。
そこへジャスト(ニコラス・リー)が率いる自警団“パーフェクト・オーダー”が現れ、ヴェノム達を退散させた。パーフェクト・オーダーは、「世界に秩序を取り戻すための正義の集団」として活動するグループだ。マックスはジャストから行動目的を尋ねられるが、何も答えない。だが、そこにマスタードが現れ、レグゾンの仕事をしていると明かす。パーフェクト・オーダーにとって、レグゾンは敵だった。バーブとマスタードは捕まり、パーフェクト・オーダーが牢屋として使っているトラックに収容された。タンクローリーは没収された。スワローはタンクローリーの身を隠したため、見つからずに済んだ。
バーブとマスタードは、牢屋に収容されていた男から、パーフェクト・オーダーの実体を聞かされる。彼らは正義の旗の下で貧しい人々からの略奪を繰り返しており、逆らう人々を「秩序を乱す犯罪者」として冷酷に処刑しているというのだ。ジャストの恋人レイズ(ジーア・カリディス)は、パーフェクト・オーダーに疑問を抱いていた。最初は正義感からメンバーに加わったレイズだが、グループが単なる略奪集団に変貌していくことに危惧を感じていた。レイズは1人でトラックに現れ、翌朝に公開が予定されていることをバーブに告げた。ジャストが近付いて来たため、レイズは慌てて立ち去った。
翌朝、バーブは後ろ手に手錠を掛けられ、広場に連れ出された。その周囲には、パーフェクト・オーダーが捕まえた囚人が収容されたトラックが並べられ、広場を見られるようにしてある。有名人であるマックスの処刑を、見せしめにしようというのだ。ジャストはレイズを強く抱き寄せ、処刑の様子をニヤニヤしながら眺めている。バーブはパーフェクト・オーダーの男に殴り倒され、ショットガンで射殺されそうになる。その時、タンクローリーに隠れていたスワローが、激しくクラクションを鳴らした。
男が驚いてタンクローリーに目を移した隙に、バーブは足を払って彼を転倒させ、思いきり腹を踏み潰した。レイズはジャストの手を振り払い、バーブに走り寄った。そして鍵を使い、バーブの手錠を外した。バーブは男のショットガンを奪い取り、発砲した。ジャストはレイズを射殺し、バーブを狙う。バーブはレイズの腰に下がっていた鍵の束を掴み、物陰に隠れて応戦する。バーブは駆け寄ろうとしたスワローを制止し、鍵束を投げ渡した。そしてバーブはスワローに、牢屋へ行って鍵を開けるよう告げた。
バーブがジャスト達と銃撃戦を繰り広げている間に、スワローは牢屋の鍵を開けて囚人達を解放する。広場に囚人達が雪崩れ込み、パーフェクト・オーダーに襲い掛かる。現場は大混乱に陥り、激しい戦闘の末に、バーブはジャストを始末した。混乱が続く中、バーブはタンクローリーに乗り込み、広場から逃走する。スワローは、手榴弾など幾つかの武器が入った箱を車に持ち込んでいた。しばらくバーブがタンクローリーを走らせていると、マスタードがトラックに乗って追い掛けて来た。
マスタードはバーブに「なぜ置き去りにしたのか」と文句を言うが、そこにヴェノム達が現れる。バーブは早速、スワローが奪取した武器を駆使してヴェノム達と戦う。バーブはマスタードに手伝わせようとするが、彼は戦闘の現場から離れた場所にいた。そして、なぜかヴェノム達はマスタードを全く攻撃せず、タンクローリーだけを狙う。バーブはヴェノム達を全滅させるが、タンクローリーは破壊されてしまう。だが、タンクローリーの中身は原油ではなく、水だった。近くにいた瀕死状態のクウェイクは、「まさか、あの野郎、騙しやがったな」とつぶやき、マスタードに目をやった。
バーブはクウェイクを詰問し、自分の進路をマスタードが全て漏らしていたことを聞き出した。マスタードはバーブの命を狙うが、スワローが妨害した。バーブはマスタードを脅し、自分が囮に使われていたことを知る。全ては、レグゾンの策略だったのだ。レグゾンはヴェノム達の目をバーブに引き付けておき、その間に自分達が別ルートで原油を運んでいた。サミーがレグゾンに会うよう勧めたのも、計画の内だった。マスタードはレグゾンのスパイとしてバーブの行動を監視し、情報をヴェノム達に漏らしていた。
マスタードは、もしもバーブがヴェノム達の攻撃を全て回避した場合、自分が殺すようにレグゾンから指示されていたことを語った。マスタードは、助けてくれれば協力すると告げた。しかしバーブはスワローの目を自分の手で隠し、マスタードを射殺した。バーブはサミーの工場に現れ、彼を殴り倒して改造ハーレーを奪取した。一方、スリングタウンに戻ったレグゾンは、市長就任1年の記念パレードを行っていた。だが、そこへ予期せぬ乱入者が現れる。それは、ハーレーに乗ったバーブだった。
バーブの登場に驚いたレグゾンだが、必死に笑顔を取り繕う。だが、バーブが「全てバレているんだよ」と告げると、兵隊に射殺命令を下した。バーブは銃を乱射し、兵隊と激しい戦闘を繰り広げる。レグゾンは車に乗り、その場からの逃亡を図る。
バーブは敵の攻撃をかいくぐり、レグゾンを追い掛ける。バーブの狙撃により、レグゾンの車は激しく横転した。レグゾンは、必死の形相で車から這い出した。バーブはハーレーを降り、車に近付いた。そしてバーブは、レグゾンを見下ろした。
レグゾンは傷付いた体を押さえながらも、「街を繁栄させるためには、ある程度の犠牲者は必要だ」と口にした。レグゾンは隙を見て隠し持っていた銃を撃とうとするが、構えた次の瞬間、バーブの放った銃弾が彼の頭を撃ち抜いていた。
<解説>
1996年にダークホース・コミックスの人気漫画『バーブ・ワイヤー』が映画化された時、主演女優パメラ・アンダーソンを見た人々は口を揃えて言った。
「まさにバーブ・ワイヤーそのものだ」と。
新世代のブリジット・バルドー、パメラ・アンダーソンは、溢れる美貌とセクシーな肉体をアピールし、パワフルにアクションをこなし、人々の期待に応えてみせた。前作から、7年が経過した。
しかし続編の企画が持ち上がった時、主演女優のキャスティングが難航することは無かった。「主演女優の若返りや変更」を主張する関係者は、誰1人としていなかった。
「なぜなら、バーブ・ワイヤーはパメラそのものだからだ。いや、逆かな」
ダークホース・エンターテインメントの創設者、マイク・リチャードソンは語る。
今回、彼は製作総指揮を担当している。
「続編を作ると決まった時、何よりも重要なのはパメラが再び出演することだった。彼女がオファーを受けていなければ、この映画は製作中止になっていただろう」脚本を書いたレス・ウェルドンも、同じ考えだった。
これまでに『フリーフォール』や『レプリカント』などの脚本を担当したウェルドンは、今回のシナリオ作りを大いにエンジョイしたと語った。
「まず、パメラの姿を思い浮かべた。すると僕の頭の中で、勝手にパメラが動き始めたんだ。だから僕は、彼女の活躍を文章にするだけで良かった。楽しかったね。それは、バーブ役がパメラだったからこそ得られた体験だと思うよ」パメラが主演したTVシリーズ『V.I.P.』のプロデューサーで、この映画の製作をレ・ウェルドンと共に担当したジャンヌ・ヴァン・コットは、次のように語った。
「パメラは、セルフ・イメージを良く理解している女性です。自分に何が向いているか、何が出来るのか、それを分かっています。そんな彼女が、自分にとって最高の当たり役だと考えているのが、バーブ・ワイヤーなのです」今回の監督を務めたのは、フレデリック・フォレスティア。
『ピースキーパー』と『ル・ブレ』で激しいアクションシーンを演出し、その手腕が絶賛された新世代の監督で、ハリウッドでも将来を期待されている人物の1人だ。
「出演者には、かなり無理を言ったかもしれない。だから嫌われたかもね」
フォレスティアは、苦笑いを浮かべながら言った。
「だけど、とにかく私は今までに見たことの無いような、エキサイティングなアクションシーンを撮りたかったんだ。特にカーアクションには、こだわった。役者には厳しい要求もしたけど、その分、胸を張って観客に見てもらえるだけの迫力は出せたと思うよ」「彼は素晴らしいわ。そのアイデアには、いつも驚かされた」
パメラ・アンダーソンは、フォレスティアの手腕を絶賛する。
「全てのアクションは、凄まじくもあり、同時に軽快でもあるの。フォレスティアは、常に新しいアイデアを提案し、それを見事に実現してみせたわ」
そして、そんなフォレスティアの要望に、パメラは見事に応えてみせた。
ヴェノム達のカーチェイス、パーフェクト・オーダーとの銃撃戦、レグゾン一味との戦闘シーンと、パメラは危険を恐れない果敢なチャレンジを見せている。パメラを取り囲む出演陣には、アクの強い実力者達が揃った。
ヴェノムを演じるのは、『ブロークダウン・パレス』『スーパーノヴァ』のルー・ダイアモンド・フィリップス。マスタード役は、『アルマゲドン』『レクイエム・フォー・ドリーム』のキース・デヴィッド。レグゾン役は、『ダブルチーム』『追撃者』のミッキー・ローク。
ジャスト役は、『バーティカル・リミット』『イグニッション』のニコラス・リー。レイズ役は、『ボイスレター』『オースティン・パワーズ:デラックス』のジーア・カリディス。アルファを演じるのは、『ザ・クラフト』『ウォーターボーイ』のファイルザ・バーク。
クウェイク役は、『ブレイブ』『ブロウ』のマックス・パーリック。サミー役は、『ダークシティ』『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』のブルース・スペンス。そしてスワロー役は、『ディープエンド・オブ・オーシャン』『ハロウィン レザレクション』のライアン・メリマンだ。2003年、『バーブ・ワイヤー2』がアクション映画の決定版になる。
SF映画もワクワクするだろう。ファンタジー映画も楽しいだろう。
だが、あなたがパワーと爽快感を得たいのなら、この映画を見るべきだ。
<蛇足>
実は、この作品、当初は『マッドマックス』シリーズの新作としてプロットを考え、シナリオ作りを進めていたシロモノです。ところが実際に『マッドマックス』のリメイクが決まったために、設定を少し変えて『バーブ・ワイヤー2』に転用したわけです。
そもそもは主人公とレイズの間にロマンスを用意するはずだったのですが、主人公が女性になったので、恋愛の要素は消えちゃったような次第です。『バーブ・ワイヤー』はアメコミが原作になっていましたが、この作品、前述したように『マッドマックス』シリーズの企画からの転用ですから、完全に原作を無視して作っています。というか、そもそも『バーブ・ワイヤー』の原作なんて、読んだことがありませんし。
1作目と比べると、賞金稼ぎのバーブ・ワイヤーが活躍するという以外、ほとんど関連性がありません。バーブ・ワイヤーのキャラ設定も、かなり変わっております。
でも、『マッドマックス』シリーズだって1作目と2作目では世界観が全く違っていましたし、まあOKなんじゃないかと勝手に思っております。ダメでしょうか。
ダメなら、それでも別にいいですけど。
なお、この映画は存在自体がフィクションです。
こんな映画、実際にはありません。