ロボコップ/ファイナル・バトル』:2004、アメリカ
Robocop : The Final

<スタッフ&キャスト>

監督…ポール・ヴァーホーヴェン
キャラクター創作…エドワード・ニューマイヤー&マイケル・マイナー
脚本…デヴィッド・J・スコウ
製作…ジョン・デイヴィソン&パトリック・クロウリー
製作総指揮…アーン・L・シュミット
特殊メイクアップ効果監修…ロブ・ボッティン
特殊視覚効果監修…フィル・ティペット
音楽…ニック・グレニー=スミス

ロボコップ(アレックス・J・マーフィー)…ポール・ウェラー
エリック・フェラー…ジェローン・クラッベ
バーン・ビックル…
ルトガー・ハウアー
ジャック・サザーリン…ヘンリー・ギブソン
アリソン・サザーリン…キム・デラニー
スタン・マクラーレン…マーク・アンソニー
エリーシャ・マクマレイ…
アンナ・ニコール・スミス
ラルフ・ブレイキー…エディー・グリフィン


<ストーリー>

近未来のデトロイト。巨大コングロマリットのオムニ社が市政を牛耳り、警察も支配下に置いている。デトロイト警察では安い給料での労働を強いられているため、マトモに働こうとする警官は限りなくゼロに近い。市民を守ろうとしているのは、元はアレックス・マーフィーという人間だったサイボーグ警官ロボコップ(ポール・ウェラー)ぐらいだ。
オムニ社はヨーロッパの企業に吸収合併され、新しくエリック・フェラー(ジェローン・クラッベ)が社長に就任していた。開発部ではオムニ社のやり方に反抗的な警官の代わりになる存在として、量産型ロボコップ“OJ(オムニ・ジャスティス)”が開発されていた。副主任エリーシャ・マクマレイ(アンナ・ニコール・スミス)は、フェラーの愛人だ。

OJが何台も製造され、デトロイト警察の各部署に配置された。マーフィーのいる南署にも、数台のOJが配置された。OJは非常に暴力的で、犯人を逮捕するより射殺することの方が多いぐらいだった。市民からは反発の声も高まるが、確実に検挙率は上がった。そんな中、フェラーは人間的感情を持つマーフィーを、用済みだと考える。
マーフィーは不快感を抱きつつも、OJと共に捜査に出向いた。OJは凶悪犯人の潜むアジトとして一件の家を指定し、発見すれば容赦無く射殺するようマーフィーにも指示した。だが、乗り込んだ家にいたのは、弱そうな老婆が1人だけだけだった。マーフィーがためらっていると、背後から現れたOJが有無を言わせず老婆を射殺した。

マーフィーはバーン・ビックル署長(レイ・ワイズ)から、解雇を通告された。それは、フェラーの指示を受けてのことだった。マーフィーは機能を停止させられ、スクラップ工場に送られた。だが、深夜に部品を手に入れるために工場へ潜入したエンジニアのラルフ・ブレイキー(エディー・グリフィン)がマーフィーを発見し、盗み出した。
ブレイキーはマーフィーの回路を改造し、繋がりのある武器密売組織のボス、ジャック・サザーリン(ヘンリー・ギブソン)に用心棒として売り付けた。サザーリンにはアリソン(キム・デラニー)という娘がいたが、彼女は父親の組織とは距離を置いていた。

回路の改造によって人間の心を失ったマーフィーは、サザーリンの忠実な下僕として務めを果たす。サザーリンは、嫌がるアリソンの護衛という任務もマーフィーに任せた。一方、OJ部隊の横暴はさらに激しくなり、無実の市民も大勢が犠牲となっていた。
密売組織の幹部スタン・マクラーレン(マーク・アンソニー)が、武器取り引きの話を持って来た。サザーリンは数名の部下とマーフィーを連れて、指定された倉庫にやって来た。そこに取り引き相手は現れず、サザーリン達は武装した連中に襲撃されるが、マーフィーが撃退した。この事件を受け、マーフィーは警察に追われる身となった。

武装した連中を送り込んだのは、裏切り者のマクラーレンだった。彼はビックル署長と手を組み、武器取り引きの権利を掌握しようと企んでいた。マクラーレンが裏社会を牛耳り、ビックルが武器を横流しして金儲けするという計画があるのだ。
マーフィーは、人間の心を取り戻し始めていた。そんな中、マクラーレンの流した情報で、OJ部隊がサザーリンの一味を襲撃した。逃亡を図ったサザーリンは、待ち伏せていたマクラーレンに射殺される。マーフィーは撃たれるが、何とか現場から逃亡する。

傷付いた体となったマーフィーを、エリーシャが発見した。エリーシャは、マーフィーを自宅に連れ帰った。エリーシャは「助けてあげる」とマーフィーに告げる。だが、彼女はフェラーに連絡を入れ、主任の座と引き替えにマーフィーの居場所を教えた。
エリーシャの家に、OJ部隊が現れた。OJ部隊はマーフィーを攻撃し、逃げようとしたエリーシャを射殺した。激しい銃撃をかいくぐってマーフィーが家を脱出したところに、アリソンが現れた。彼女はマーフィーを車に乗せて、現場から逃走した。

マーフィーはアリソンの案内でブレイキーの家に行き、脅迫して修理させる。さらにマーフィーはブレイキーから、マクラーレンとビックルが密会する情報を聞き出した。マーフィーは密会現場に現れ、マクラーレンと彼の一味、そしてビックルを皆殺しにした。
マーフィーはオムニ社の本社ビルに乗り込み、駆け付けたOJ部隊と激しい戦いを繰り広げる。マーフィーは確実にOJの数を減らして行くが、ダメージも受ける。マーフィーは体のあちこちに激しい損傷を受けながらも、罠を仕掛けてOJ部隊を全滅させた。

マーフィーは体を引きずりながら、社長室に乗り込んだ。フェラーは、マーフィーに命乞いをする。マーフィーが隙を見せた瞬間、フェラーは隠し持っていた銃を発砲した。
だが、マーフィーは銃弾を受けながらも、逆にフェラーに何発もの銃弾を浴びせられた。フェラーが蜂の巣になった後、マーフィーも機能停止状態となった。


<解説>

1987年、映画『ロボコップ』が公開された。
監督はポール・ヴァーホーヴェン、主演はピーター・ウェラー。
『ロボコップ』は人々の熱狂によって迎えられ、大ヒットを記録した。
世界各国で多くの亜流映画が作られるなど、その影響力は多大だった。
本家『ロボコップ』も、2本の続編が作られた。
しかし、ポール・ヴァーホーヴェンは2作目以降のメガホンを執ることは無く、ピータ・ウェラーもイメージの固定を嫌って2作目でロボコップ役を降板した。

だが、ヴァーホーヴェンは『ロボコップ』を過去の産物にしておくつもりは無かった。
彼は、いずれ新作を手掛けたいという気持ちを抱き続けていた。
ただし、そこにはクリアせねばならない大きな問題があった。
彼は、ポール・ウェラーが主演しなければ意味が無いと考えていたのだ。

かつてイメージの固定を嫌って役を降りているのだから、ポール・ウェラーが再びロボコップを演じることは、まず有り得ないことだろうと思われた。
それゆえ、ロボコップの新作も幻に終わるかのように思われた。
しかし、ポール・ヴァーホーヴェン監督の熱意に打たれたポール・ウェラーは、ロボコップを再び演じることを、快く承諾したのである。
こうして、『ロボコップ/ファイナル・バトル』は実現に漕ぎ付けたのだ。

元アレックス・J・マーフィー、ロボコップを演じるポール・ウェラーは、『裸のランチ』『誘惑のアフロディーテ』など、様々なジャンルで活躍している。フェラー役のジェローン・クラッベは、『不滅の恋/ベートーヴェン』『エバー・アフター』などに出演している名優だ。

ビックルを演じるのは、『ブレードランナー』『ブラインド・フューリー』のルトガー・ハウアー。サザーリン役は、『ブルース・ブラザース』『メイフィールドの怪人たち』のヘンリー・ギブソン。アリソン役は、『ダークマン2』『ミッション・トゥ・マーズ』のキム・デラニー。

マクラーレン役は、『野獣教師』『救命士』のマーク・アンソニー。エリーシャ役は、『未来は今』『ジャッジ・ブロンド』のアンナ・ニコール・スミス。そしてブレイキー役は、『アンダーカバー・ブラザー』『ジョンQ 最後の決断』のエディー・グリフィンだ。

監督のポール・ヴァーホーヴェンは、これまで『氷の微笑』や『スターシップ・トゥルーパーズ』など多くのヒット作を手掛けて来た。そんな彼のライフワークとでも言うべき“ロボコップ”シリーズ最終章のために、『悪魔のいけにえ3/レザーフェイス逆襲』『クロウ/飛翔伝説』のデヴィッド・J・スコウが素晴らしいシナリオを用意した。

製作は、『飛べ、バージル/プロジェクトX』『シックス・デイ』のジョン・デイヴィソンと、『めぐり逢えたら』『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』のパトリック・クロウリー。
製作総指揮は、『チェーン・リアクション』『トリプルX』のアーン・L・シュミットだ。

音楽を提供しているのは、『ザ・ロック』『仮面の男』のニック・グレニー=スミス。特殊メイクアップ効果のスーパーバイザーを務めたのは、『ミッション・インポッシブル』『チャーリーズ・エンジェル』のロブ・ボッティン。そして特殊視覚効果の監修を、『ジュラシック・パーク』『アルマゲドン』のフィル・ティペットが担当している。


<蛇足>

「ポール・ヴァーホーヴェン監督作品を扱おう」と考えた時に、やはり代表作は『ロボコップ』になるだろうということで、この作品を作ってみました。
っていうか、消去法でいっても『ロボコップ』ぐらいしか無いんですよね。『スターシップ・トゥルーパーズ』は他の監督でパート2が作られていますし、『トータル・リコール』の続編ってのは難しい気がしますし。『インビジブル』は、ごく最近の作品ですしね。
後は『氷の微笑』と『ショーガール』がありますけど、『ショーガール』は続編を作ってみたいという気持ちが全く起きません。『氷の微笑』は、シャロン・ストーンが続編に意欲を見せているようなので、敬遠しておかないとヤバいだろうということで。

今回は、とにかく“ポール・ヴァーホーヴェン風味”ということを強く意識しました。
だから、性と暴力のはびこる世界観の中で、出てくる奴らはチンケな悪党ばかり。誰もがギラギラした欲望を抱いており、卑怯で醜悪な姿を見せ付けます。
出世のためにマーフィーを売るエリーシャには、ヴァーホーヴェンが好きそうなビッチな女、アンナ・ニコール・スミスをキャスティングしました。一時期、彼女はものすげえデブチンになっちゃったのですが、2004年に入ると体型も元に戻りつつあったので、まあ大丈夫じゃないかと思いましてね(何が大丈夫なのやら)。
あと、監督と同じオランダ出身で、かつてヴァーホーヴェン作品に出演したことがあるジェローン・クラッベとルトガー・ハウアーをキャスティングしてみました。

最後に悪党が殺されるのはヴァーホーヴェンらしくないのですが(彼の好みでいえば悪党は生き残るべき)、そうしないと話が終わらないので、そこは折れてもらうということで。
もし不満なら、ヴァーホーヴェン監督の希望する話は、ディレクターズ・カット版としてDVDでも出してもらうということで(実在しない映画なのに、何を言ってるんだか)。


なお、この映画は存在自体がフィクションです。
こんな映画、実際にはありません。

 

*妄想映画大王