『ビートルジュースの逆襲』:1997、アメリカ
The Return of the
Beetlejuice
<スタッフ&キャスト>
監督…ティム・バートン
脚本…マイケル・マクダウェル&W・D・リクター
製作…ラリー・フランコ&デニス・ディ・ノーヴィ
製作総指揮…ラリー・ウィルソン&リチャード・ハシモト
音楽…ダニー・エルフマンアダム…アレック・ボールドウィン
バーバラ…ジーナ・デイヴィス
ビートルジュース…マイケル・キートン
リディア…ウィノナ・ライダー
ペイジ…ロージー・オドネル
チャールズ…ジェフリー・ジョーンズ
デリア…キャサリン・オハラ
ジャスティン…マイケル・ラパポート
ジュノー…シルヴィア・シドニー
リトル・リチャード…リトル・リチャード
<ストーリー>
コネティカット州の田舎町。小高い丘の上に立つ家に、幽霊の夫婦アダム(アレック・ボールドウィン)とバーバラ(ジーナ・デイヴィス)が暮らしている。10年前、この家で2人は仲良く暮らしていたのだが、転落事故で亡くなってしまったのだ。
2人が亡くなった後、売却された家にはチャールズ(ジェフリー・ジョーンズ)と再婚相手のデリア(キャサリン・オハラ)、チャールズの連れ子リディア(ウィノナ・ライダー)の3人が引っ越して来た。当初は色々とあったが、アダム達もチャールズの家族も互いの存在を理解し、同じ屋根の下で仲良く暮らすようになったのだ。リディアはちょっと風変わりな女性だが、そんな彼女にもジャスティン(マイケル・ラパポート)という恋人が出来た。2人は結婚しようと誓い合うが、そんな様子を憎々しげに見ている人物がいた。霊能力者の中年女性ペイジ(ロージー・オドネル)である。
ペイジは以前からジャスティンに一方的な情熱を寄せていたため、リディアに憎悪の念を抱いた。ペイジはリディアを殺すために毒薬を作るが、間違えて自分が飲んでしまい、即死してしまう。自分の死に気付いたペイジは、「リディアのせいだ」と憎しみを強めた。リディアはジャスティンを我が家に連れて行き、チャールズとデリアに紹介した。ジャスティンが緊張しながらリディアと結婚したい旨を伝えると、チャールズとデリアは喜んだ。そこへ、屋根裏で暮らしているアダムとバーバラもやって来た。
リディアは、アダムとバーバラにもジャスティンを紹介した。だが、ジャスティンには2人の姿が見えないので、戸惑ってしまう。リディアは事情を説明し、チャールズとデリアも「慣れれば2人の姿を見ることが出来る」と語った。リディアはアダムとバーバラに頼んで、みんなでマルベリー・フルーツ・バンドの『イエス・ウイ・ハヴ・ノー・バナナズ』を踊った。一方、ペイジは“新人死者のためのハンドブック”を見つけ、そこに挟まっていた1枚のチラシに目を留める。それはバイオ・エクソシストを自称する男、ビートルジュース(マイケル・キートン)の広告だった。さらに、テレビでも彼のCMが放送された。
ペイジはビートルジュースの名前を3回繰り返して唱え、彼を呼び出した。ペイジはリディア殺害の協力を要請するが、ビートルジュースは拒否した。ビートルジュースは、リディアとジャスティンの結婚を邪魔する仕事なら引き受けると告げた。チャールズとデリアは結婚式の準備を進めると言って、ニューヨークへ出掛けてしまった。一方、アダム達に別れを告げて家を出たジャスティンは、何とか冷静に状況を把握しようと努めていた。そこへ、ビートルジュースが現れてジャスティンを驚かせ、「リディアと結婚したら、俺みたいな幽霊が付きまとうぞ。ずっと怖い目に遭うぞ」と告げた。
翌日、ジャスティンはリディアに会い、昨日の出来事について話す。そこへ再びビートルジュースが現れ、2人を脅してきた。リディアはビートルジュースを追い払うため、名前を3回唱えた。だが、ビートルジュースの姿は消えなかった。ビートルジュース曰く、「幽界で通信教育を受けて訓練を積み、消えないようになった」らしい。リディアは家に戻り、ビートルジュースが復活したことをアダムとバーバラに告げた。アダムとバーバラはケースワーカーのジュノー(シルヴィア・シドニー)に会い、アドバイスを求める。多忙なジュノーは、“ビートルジュース対策マニュアル”という本を手渡した。
アダムとバーバラは対策マニュアルの初級編を読み、ビートルジュースがコウモリに弱いことを知る。だが、町にコウモリは生息していない。そこで、リディアがあることを思い出した。彫刻が趣味のデリアが、コウモリの彫刻を作っていたのだ。アダムとバーバラは、家の外に出ようとすると、砂虫に襲われてしまう。そのため、リディアが家にビートルジュースを誘い込む作戦を立てた。まんまと罠に掛かって家に入ってきたビートルジュースを、アダムとバーバラ、リディアが囲い込んだ。3人がコウモリの彫刻を突き付けると、ビートルジュースは幽界へ引き戻されて行った。
ビートルジュースの嫌がらせ作戦が失敗したことを知ったペイジは、新たな作戦を練っていた。ペイジはビートルジュースと協力し、リディアを幽界に引き摺り込んだ。間違えてジャスティンも一緒に連れて行ってしまうが、それもOKだとペイジは納得した。アダムとバーバラは、幽界へ向かった。大食堂に迷い込んだ2人は、客や店員にリディアのことを尋ねるが、相手にしてもらえない。店員は仕事に忙しく、客は食べるのに夢中なのだ。2人が覗き込むと、運ばれてくる料理は全てゲテモノばかりだった。店にリディアがいないことを確認し、2人は、場所を移動することにした。
一方、リディアは椅子に縛り付けられていた。ペイジはジャスティンの手足の自由を奪い、リディアの目の前でベタベタしてみせた。ペイジはリディアに勝ち誇った態度を示した後、ビートルジュースにアダムとバーバラの妨害をしてくるよう指示した。アダムとバーバラは、バスケットボール会場にやって来た。ガンピーのバスケット選手が試合をしているが、相手チームの首をボールと間違えてシュートしてしまう。ダンクを決めようとした選手は、腕が取れてゴールに引っ掛かってしまった。アダムとバーバラは会場を見回し、リディアがいないことを確認して、場所を移動することにした。
アダムとバーバラは、駅にやって来た。すると、“リディア行き”という列車の案内があった。2人は切符を購入し、到着時刻を待った。ベンチに座ると、隣にはパイプを吹かす老人がいたが、吐き出す煙は口ではなく穴の開いたノドから出ていた。
やがて“リディア行き”の列車が到着し、アダムとバーバラは乗り込んだ。列車の中には、鼻が腐食してメガネがズリ落ちるのを気にしている男が立っていた。列車が駅を出発し、それを駅長が見送った。その駅長は、ビートルジュースだった。リディアは牢に入れられ、ハサミを使う無口な看守に監視されていた。同じ牢には、ズブ濡れになっている女と、頭からキノコが生えている男がいた。男は、キノコを取って自分で食べていた。リディアはハサミ男に出してくれと頼むが、無視される。
アダムとバーバラが到着したのは、確かにリディアという名前の駅だった。駅を出ると、そこはデパートになっていた。そこには、ブランド品を買い漁る血だらけの貴婦人の姿があった。また、カメラを抱えたゾンビ日本人ツアー客の姿もあった。警察署を見つけた2人は、刑事にリディアの居場所を探してほしいと頼む。だが、インチキな罪を幾つも被せられてしまう。刑事の上司としてビートルジュースが現れ、2人を捕まえるよう指示した。刑事達に追われ、アダムとバーバラは慌てて逃げ出した。
アダムとバーバラは、ライブハウスに逃げ込んだ。すると、スタンダップ・コメディアンとして舞台にビートルジュースが登場した。彼は死人や幽界をネタにして喋りまくった後、アダムとバーバラを指差した。そこへ刑事が駆け付け、2人を捕まえた。アダムとバーバラは、霊柩車で移送される。その途中で、アダムは対策マニュアルを読んだ。しかし、ビートルジュースを退治する方法は見当たらず、「リトル・リチャードの曲が流れると反射的に踊り出すぐらい大好き」という文章が目に止まっただけだった。
やがて2人は、結婚式場へと連れて行かれた。そこでは、ペイジとジャスティン、ビートルジュースとリディアのダブル結婚式が行われようとしていた。ペイジとビートルジュースは、絶対に相手を好きになる魔法の矢を、ジャスティンとリディアに突き刺そうとする。その時、ピンと来たアダムとバーバラは、教会にリトル・リチャードの『トゥッティー・フルッティー』を流した。思わず、ビートルジュースはノリノリで踊り出してしまう。教会には、なぜかリトル・リチャード(本人)が出現してシャウトする。その隙にアダム達はジャスティンとリディアを奪還するが、ペイジが気付いて追い掛けようとする。
アダム達は、床のじゅうたんを思いきり引っ張った。すると、バランスを崩して倒れたビートルジュースとペイジが、互いの矢を相手に突き刺してしまった。その瞬間、2人の間に強制的に愛が芽生え、ジャスティンとリディアのことなど全く気にしなくなった。アダム達は、無事に幽界から帰還した。リディアとジャスティンは、互いの愛を確認した。チャールズとデリアがニューヨークから戻り、リディアとジャスティンの結婚式が行われた。一方、幽界ではビートルジュースとペイジの結婚式が行われていた。アダム達はパーティーの後、ハリー・ベラフォンテの『マチルダ』を楽しく踊るのだった。
<解説>
お騒がせ男、ビートルジュースが戻ってきた。
凝りもせずに、幽界から現れた。
傍若無人、迷惑千万。
シュールでサイケ、クレイジーでエキセントリック。
今回はパワフルなオバサン、ペイジとコンビを組んで、さらにパワーアップ。
お喋り、歌、変身、アクションと、様々な方法で暴れ回る。
ビートルジュースが、観客を混乱のワンダーゾーンへ引きずり込む。
あなたは「迷惑な奴だ」と思いながらも、彼から目を離せなくなるだろう。監督のティム・バートンは、これまで『バットマン』や『シザーハンズ』、『マーズ・アタック!』などで、独特の世界観を披露してきた人だ。この作品でも、第1作を遥かに上回る遊び心をフル回転させ、ファンタジックでシュールな世界を生み出している。
そんなティム・バートンの世界を飾り付ける脚本を執筆したのは、『フロム・ザ・ダークサイド/3つの闇の物語』『スティーヴン・キング/痩せゆく男』のマイケル・マクダウェルと、『ゴースト・ハンターズ』『ニードフル・シングス』のW・D・リクターだ。製作を務めたのは、『ゼイリブ』『ジュマンジ』のラリー・フランコと、『バットマン・リターンズ』『エド・ウッド』のデニス・ディ・ノーヴィ。前作で製作を担当したラリー・ウィルソン&リチャード・ハシモトが、今回は製作総指揮として作品に参加している。
音楽を担当したのは、ティム・バートンの映画には欠かせない盟友、ダニー・エルフマンだ。バートン作品の他にも、『ミッドナイト・ラン』や『ディック・トレイシー』、『ミッション:インポッシブル』など、多くのヒット作品に素晴らしい曲を提供している。出演者には、前作の主要キャストが再結集した。
まずはアダム役のアレック・ボールドウィン(『レッド・オクトーバーを追え!』『ゲッタウェイ』)とバーバラ役のジーナ・デイヴィス(『プリティ・リーグ』『カットスロート・アイランド』)。
もちろん、マイケル・キートン(『マイ・ライフ』『から騒ぎ』)がビートルジュース役だ。さらにリディア役のウィノナ・ライダー(『ドラキュラ』『若草物語』)、チャールズ役のジェフリー・ジョーンズ(『アマデウス』『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』)、デリア役のキャサリン・オハラ(『ホーム・アローン』『ワイアット・アープ』)も戻ってきた。
ジュノーを演じるシルヴィア・シドニー(『特攻サンダーボルト作戦』『(1976) ハメット』)も、わずかな出演時間ではあるが、その存在感を見せ付けている。他に、今回のストーリーのキーマンとなるペイジを演じるのは、『めぐり逢えたら』『フリントストーン/モダン石器時代』のロージー・オドネル。リディアの恋人ジャスティンを演じるのは、『トゥルー・ロマンス』『誘惑のアフロディーテ』のマイケル・ラパポート。
さらにリトル・リチャードが本人役で特別出演しているのも、見所の1つだろう。
<蛇足>
ティム・バートン作品を何か1つ扱いたいと思いまして、まず『バットマン』は絶対に無理なので、『ビートルジュース』『シザーハンズ』『マーズ・アタック!』の3つの選択肢で考えた結果、『ビートルジュース』の続編を取り上げることにしました。
『ビートルジュース』に決めたのは、3作の中で最も高く評価しているからとか、最も好きだからとか、そういうことではありません(個人的には『マーズ・アタック!』が好きです)。
『ビートルジュース』は、肝心のビートルジュースが今一つ活躍しないままで終わってしまったという印象があるので、「ビートルジュースが自由奔放に暴れるシーンを増やすことで続編を作れそうだな」と思いまして、そんな理由で選んだわけです。『ビートルジュース』では、ビートルジュースのキャラクター設定やポジショニングが不鮮明だったので、そこは都合良く解釈して、新たな設定を加えたりしています。
あと、『ビートルジュース』では、みんなでハリー・ベラフォンテの『バナナ・ボート』を踊るシーンが楽しかったので、今回は踊るシーンを増やしてみました。
「バナナ」繋がりということで『イエス・ウイ・ハヴ・ノー・バナナズ』、ハリー・ベラフォンテ繋がりで『マチルダ』の2曲を。それと『トゥッティー・フルッティー』は、まあノリのいいロックンロールなら何でも良かったんですけど、パッと思い付いたのが、それだったので。
なお、この映画は存在自体がフィクションです。
こんな映画、実際にはありません。