『キング・ソロモンの秘宝3 甦る魔法宮殿』:1990、アメリカ
Allan Quatermain
and the Magic Palace
<スタッフ&キャスト>
監督…ボアズ・デヴィッドソン
キャラクター原案…H・ライダー・ハガード
脚本…ジーン・クインターノ&ボアズ・デヴィッドソン
製作…メナハム・ゴーラン&ヨーラム・グローバス
製作総指揮…アミ・アルツィ
音楽…ピノ・ドナッジオアラン・クォーターメイン…リチャード・チェンバレン
ジェシー…シャロン・ストーン
モフェット…ヤフェット・コットー
メダック…ジェイ・O・サンダース
スニード…ジェリー・オーバック
ガルデノス…マイケル・ウィンコット
マジェッタ…ブラッド・ドゥーリフ
ケイト…ギャビー・ホフマン
ジョセリン…エリザベス・グレイセン
デルマン…ルイス・ガズマン
<ストーリー>
冒険家アラン・クォーターメイン(リチャード・チェンバレン)と考古学者ジェシー・ヒューストン(シャロン・ストーン)は結婚し、6歳の娘ケイト(ギャビー・ホフマン)と3人で暮らしている。アラン達はジェシーの友人メダックの招きで、スペインへと向かった。冒険家のトッドウィルが伝説の小箱を持ち帰り、その記者発表会にゲストとして出席するためだ。
スペインに到着したアラン達は、メダック(ジェイ・O・サンダース)の出迎えを受けた。アラン達はメダックの家で、学者スニード(ジェリー・オーバック)を紹介される。メダックはスニードとは友人関係だが、あまり快く思っていないらしい。翌日、アラン達は発表会の会場へと出向いた。トッドウィルが発見したのは、妖術師ガルデノスの魂が封じ込められたとされている小箱だ。紀元前2666年、ガルデノスは世界支配を企んだが、勇者によって閉じ込められたという伝説があるのだ。
発表会の席で、記者から宝箱を開けて欲しいと頼まれたトッドウィルだが、危険だからと言って断った。その時、マジェッタ(ブラッド・ドゥーリフ)が率いる一団が会場に乱入する。彼らは、ガルデノスの復活を企むカルト教団“ガロム”の一味だ。ガロムの一味は、トッドウィルを殺して小箱を奪おうとする。会場は、一気にパニック状態に陥った。小箱は、奪い合いの中で激しく移動し、アランとジェシーが会場の隅に隠れさせたケイトの前に転がって来た。ケイトが拾い上げると箱の蓋が開き、ガルデノス(マイケル・ウィンコット)の幻影が出現した。ガルデノスは目を光らせ、ケイトの体が怪しげな霧に包まれる。
それに気付いたジェシーは、慌ててケイトを引き離し、箱を捨てさせた。すると、ガルデノスの姿は消えた。その様子を見ていたガロムの一味は、ケイトを捕まえようとする。アランはジェシーとケイトを連れて、急いで会場から逃げ出した。アラン達は、メダックのオンボロ車で会場から逃亡する。アラン達はメダックから、ガロムがケイトを捕まえようとする理由を聞く。箱を開けたことで、ガルデノス復活のカウントダウンが始まった。あと1週間で、ガルデノスの肉体は復活する。生け贄を捧げることで彼は真の力を取り戻すのだが、それにケイトが選ばれたというのだ。
手下にアラン達を追わせた後、会場を離れようとしたマジェッタに、スニードが接触した。かねてからスニードは、ガルデノスに関する研究を進めていた。ガルデノスの真の力を見てみたいという歪んだ好奇心から、スニードはマジェッタと手を組むことにしたのだ。アラン達は追跡するガロムの面々を撒いて、メダックの家に戻った。そこへスニードが現れ、「身元が割れれば、ここも安全ではないので移動すべき」とアラン達に告げる。だが、スニードはアラン達の隙を見てケイトを誘拐し、逃走してしまった。
メダックは、マジェッタやスニード達がガルデノスの住み処だった魔法宮殿へ向かうに違いないと断言する。アラン、ジェシー、メダックの3人は、魔法宮殿のあるエジプトへ飛ぶ。一方、おしゃまなケイトの生意気な態度に、マジェッタやスニードは苛立っていた。だが、マジェッタの部下デルマン(ルイス・ガズマン)だけは、ケイトと仲良くなった。エジプトに到着したアラン達は、メダックの紹介で現地の有力者モフェット(ヤフェット・コットー)に会った。アラン達は魔法宮殿へ行くために協力を求めるが、モフェットは「危険が大きすぎる」と告げて、宿の提供以外は拒否した。
メダックは、他の協力者やガイド役を探しに出掛けた。アランとジェシーは、モフェットの店で踊り子のジョセリン(エリザベス・グレイセン)と出会った。ジョセリンに誘惑されて御機嫌なアランに腹を立てたジェシーは、1人で店を立ち去った。実は、ジョセリンはマジェッタの手下だった。ジョセリンの持つ魔法のメダルを見たアランは、催眠状態に陥る。一方、スニードは魔法宮殿の封印を解くのに必要な方法を調べ上げていた。そのためには特別な鍵が必要だが、既にマジェッタが手を打っていた。
催眠状態に陥ったアランは、ジョセリンの言いなりに動く。アランはジョセリンの指示に従って塔に登り、飛び降りようとする。だが、飛び降りる直前、その不審な様子を見て後を追っていたメダックに平手打ちを食わされ、アランはハッと我に帰る。一方、ホテルに戻ったジェシーは、ガロムが放った毒サソリに襲われるが、駆け付けたアランとメダックに救われる。ホテルを後にしたアラン達は、ガロムに追われてモフェットの屋敷に逃げ込んだ。激しい銃撃戦の末、アラン達はガロムを撃退した。アランはモフェットを「仲間と思われてガロムに狙われるぞ」と脅し、協力を承諾させた。
モフェットは、「魔法宮殿に入るには、俺の持っている鍵が無くては無理だ」と得意げに語る。だが、鍵はジョセリンによって盗み出されていた。アラン達に非難されたモフェットだが、「大丈夫、こんなこともあろうかと思って合い鍵を作っておいた」と、首飾りに付けている合い鍵を見せた。アラン達は、そんなモノで大丈夫なのかと不安になった。マジェッタはジョセリンから、鍵は入手したがアラン達の殺害には失敗したという報告を受けた。それを聞いていたケイトは、「パパとママは、必ずアンタ達をやっつける」と言い放つ。マジェッタは腹を立ててケイトを殴ろうとするが、デルマンが制止した。
モフェットのガイドで、アラン達はプロペラ機に乗って魔法宮殿へと向かった。だが、モフェットが金をケチったために途中で燃料が切れ、不時着してしまう。密林の中で原住民に襲撃された一行は、逃げる途中でアラン&メダック、ジェシー&モフェットに別れてしまう。アランとメダックはジェシーとモフェットを探すが、原住民に見つかり、捕まってしまう。だが、連行された集落では、モフェットが王様のような扱いを受けており、その仲間としてアラン達も歓迎される。モフェットの指輪が、原住民には崇高なモノに見えたらしい。
その頃、マジェッタ達は魔法宮殿に到着していた。彼らはジョセリンの盗み出した鍵とスニードの解明した呪文を使い、扉の封印を解いた。中に入ると、既に肉体を甦らせたガルデノスが現れた。彼はマジェッタ達を手下として受け入れ、礼拝堂へ案内する。邪魔者が追って来ると聞かされたガルデノスは、宮殿の仕掛けで殺してやると告げた。アラン達は原住民の協力を得て、小舟で川を進んだ。途中で人食いワニに襲われるが、何とか撃退し、魔法宮殿に到着した。彼らはモフェットの合い鍵を使ってみるが、扉は開かない。だが、困っていると、自動的に扉が開いた。
アラン達が警戒しながら中に入ると、扉が閉まって開かなくなった。中へと進み、狭い廊下を進む途中、ジェシーが落とし穴に落ちそうになる。穴の中には、大量の蛇がいる。床にしがみついて耐えるジェシーを、アラン達が必死に引っ張り上げた。だが一息つく暇も無く、アラン達が歩いて来た廊下が、後ろから落下していく。慌ててアラン達は駆け出し、前方の扉を開けて部屋に入った。だが、部屋の中に毒ガスが噴射される。入ってきた扉は硬く閉じられてしまい、他の出口も見当たらない。
鼻と口を抑えて体を低くしながら、アラン達は必死で脱出方法を考える。すると、ガスの広がる方向を見ていたアランは、わずかに風が吹き込んでいることに気付いた。小さな隙間を発見したアラン達は、そこを打ち破って大きな穴を開け、脱出に成功した。ガスから逃れるために慌てて走ったアラン達は、落とし穴の罠に引っ掛かってしまう。落下した先は、真っ暗闇だった。アラン達が灯かりを付けると、前方にスライムの大群がいた。アラン達は火で焼き殺すが、どれだけ殺してもキリが無い。周囲を見回すと、少し上の方に横穴があった。アラン達は、よじ登って横穴に入り、スライムの住み処を脱出した。
しばらく進んだところで、ジェシーが前方にあった何かにぶつかってしまう。驚いたジェシーだが、それが銅像だと分かって安心し、ポンと叩く。だが、その銅像が動き出し、手に持っている斧でアラン達に襲い掛かって来た。銅像を攻撃しても全く効き目が無かったが、胸の中心にある紋章をナイフで刺すと、バラバラになって崩れ落ちた。
銅像の立っていた場所に、同じ紋章があった。しかし触っても何の変化も無いので、アラン達は先に進もうとする。だが、モフェットが紋章の上を歩いた瞬間、壁が動いてハシゴが現れた。アラン達は、そのハシゴを登っていくことにした。礼拝堂では、生け贄の儀式が行われようとしていた。ガルデノスは奥の小部屋に入り、その準備に入っている。礼拝堂には井戸があり、その中は水ではなく、炎が燃え盛っている。その炎の井戸にケイトを落とすというのが、生け贄の儀式だ。
ケイトと親しくなっていたデルモンは、隙を見て彼女を逃がそうとする。だが、すぐに気付かれ、捕まってしまう。ジョセリンはメダルを使ってデルモンを従わせようと言うが、マジェッタは「そこまでして生かしておく必要は無い」と語り、殺そうとする。マジェッタはデルモンに向かって、刀を振り上げた。次の瞬間、どこからか飛んで来た小石が、マジェッタの手首に命中する。パチンコを使って石を飛ばしたのは、アランだった。壁から出現したハシゴを登った先は、礼拝堂の2階部分だったのだ。
アラン達は、マジェッタ一味との戦いに突入した。ジェシーはデルモンからケイトを引き渡されるが、その前にジョセリンが立ち塞がる。気付いたアランがメダルに気を付けるよう叫ぶが、既に遅かった。ジェシーはジョセリンのメダルを見てしまい、催眠状態に入る。ジェシーはジョセリンの指示に従ってケイトを渡し、アランに襲い掛かった。だが、アランの熱烈なキスを受けたジェシーは、我に帰った。ジョセリンはケイトを連れて、戦いの場を離れようとする。だが、そこにアランが立ちはだかった。
メダルを見せようとしたジョセリンだが、アランはパッと顔を背けた。そこへ、横からジェシーのキックがタイミング良く入った。ジョセリンの手から落ちたメダルは、壊れてしまった。ジェシーは、動揺するジョセリンを思い切り殴り倒した。奥の小部屋からガルデノスが現れ、呪文を唱えて数体のゴーレムを作り出した。ゴーレムは敵味方関係無く、ガルデノス以外の面々を無差別に襲い始める。全く攻撃を受け付けないため、マジェッタ達も慌てて逃げるが、スニードが殺されてしまった。
アランは、スニードが死ぬ直前に水筒を開けようとしていたのを目撃していた。アランはスニードの水筒を拝借し、試しに水をゴーレムに掛けてみた。すると、ゴーレムは煙を上げて、消滅してしまった。アランは次々に水を掛け、全てのゴーレムを消滅させる。ガルデノスは、またも呪文を唱えた。すると、彼は両腕が蛇、下半身がクモ、尻尾がサソリという巨大な怪物に変身した。怪物は無差別な襲撃を開始し、マジェッタとジョセリンは死亡した。アランは逃げながらも怪物を誘導し、炎の断崖に墜落させた。
怪物が墜落した直後、礼拝堂が崩れ始めた。アラン達は、慌てて宮殿から去ろうとする。その途中、水の罠を作動させてしまい、噴水が沸き上がる。その噴水に乗ったことで、アラン達は宮殿の外に投げ出された。その直後、宮殿は崩壊した。
アラン達は互いの無事を喜んで抱き合い、それから空を眺めた。噴水は先程よりは低くなったが、相変わらず沸き続けていた。そこには、虹が掛かっていた。
<解説>
1985年。
アラン・クォーターメインとジェシーのカップルが、我々の前に登場した。
キングソロモンの秘宝を巡る、ロマンシング・アドベンチャーが描かれた。1987年。
アランとジェシーは、再びスクリーンに姿を現した。
今度は、幻の黄金都市を求めて旅をする2人の姿が描かれた。そして1990年。
アランとジェシーは観客の期待に応え、3度目の冒険に出ることになった。
H・ライダー・ハガードの小説から誕生したシリーズは、新たなステージを迎えたのだ。前2作との大きな違いは、アランとジェシーが結婚し、娘が生まれたということだ。
プロデューサーのメナハム・ゴーランとヨーラム・グローバスは、続編を作るに当たって何か変化が必要だろうと考えた。そこで、娘を誕生させたのである。
そして2人の狙い通り、新たな家族の登場が、今までとは違う展開を物語に持ち込んだ。その娘ケイトが、この作品では大きな鍵を握ることになるのだ。今回、アランとジェシーが目指すのは魔法宮殿。
そして、立ちはだかる最大の敵は妖術師だ。
これまで以上に、2人の行く先に待ち受ける障害は厳しいものとなっている。
狂信的なカルト教団、趣向を凝らした罠、様々なモンスター。
様々な苦難を乗り越え、アランとジェシーは娘を取り戻すことが出来るのだろうか?アランとジェシーを演じるのは、これまでの2作と同様、リチャード・チェンバレンとシャロン・ストーンだ。リチャード・チェンバレンは、『三銃士』や『タワーリング・インフェルノ』で御馴染みの顔。シャロン・ストーンは前2作の後、『アクション・ジャクソン/大都会最前線』や『血と砂』といった作品に出演し、着実に評価を上げている。
モフェット役でユーモラスな芝居を見せるのは、『バトルランナー』『ミッドナイト・ラン』のヤフェット・コットー。アランとジェシーの冒険に同伴するメダックを演じるのは、『第27囚人戦車隊』『グローリー』のジェイ・O・サンダース。
卑怯な男スニードを演じるのは、『誰かに見られてる』『ダーティ・ダンシング』のジェリー・オーバック。妖しげな術を使い、最後は怪物になってしまうガルデノス役は、『トーク・レディオ』『7月4日に生まれて』のマイケル・ウィンコット。カルト教団を率いるマジェッタ役は、『ブルーベルベット』『ミシシッピー・バーニング』などに出演し、『チャイルド・プレイ』ではチャッキーの声を担当したブラッド・ドゥーリフ。ジョセリンを演じるのは、『ハートビートで追いかけて』『死の標的』のエリザベス・グレイセン。
悪党一味だが実は優しい男デルマンに、『クロコダイル・ダンディー2』『ブラック・レイン』のルイス・ガズマン。そして今回の冒険の発端を作るキーパーソンである娘ケイトを、『フィールド・オブ・ドリームス』のギャビー・ホフマンが演じている。シリーズ3作目を、娯楽精神に溢れる冒険活劇に仕上げた監督は、『グローイング・アップ』『サルサ/灼熱のふたり』のボアズ・デヴィッドソン。彼と共に脚本を書いたのは、『ポリスアカデミー4/市民パトロール』『ホワイ・ミー?』のジーン・クインターノ。
キャラクターはH・ライダー・ハガードの小説から拝借しているが、内容は完全にボアズ・デヴィッドソンとジーン・クインターノによるオリジナルだ。製作は前2作に引き続いて、『スーパーマン4/最強の敵』『オーバー・ザ・トップ』など多くのヒット作品を手掛けて来たメナハム・ゴーランとヨーラム・グローバスのコンビ。
製作総指揮は、『情熱のランバダ』『シールズ/栄光の戦士たち』のアミ・アルツィ。そして音楽を、『ハウリング』『ボディ・ダブル』のピノ・ドナッジオが担当している。
<蛇足>
“インディ・ジョーンズ”系の冒険映画を、何か1つデッチ上げようと考えたんです。
でも、本家の『インディ・ジョーンズ』シリーズは続編が決定しているのでムリ。『ハムナプトラ』は最近の作品ですし、パート3が作られる可能性が高そうなので除外。そこで、『ロマンシング・ストーン』『バイブス』『キング・ソロモンの秘宝』の3つの中で考えて、『キング・ソロモンの秘宝』を選択したという次第でございます。
これまでシャロン・ストーン主演作品が1つも無かったということもありますしね。たぶん、これは続編が作られる可能性が限りなくゼロに近いだろうと思います。
こんな作品まで続編が作られたら、シャレにならんですよ。
っていうか、頼むよ、マジで。
なお、この映画は存在自体がフィクションです。
こんな映画、実際にはありません。