『裸の手裏剣を持つ男』:1999、アメリカ
Mission: Imitative
<スタッフ&キャスト>
監督…ピーター・シーガル
脚本…ボブ・ローガン
製作…ロバート・K・ワイス
製作総指揮…レスリー・ニールセン&ロバート・L・ローゼン
音楽…デヴィッド・ニューマンジャック・ポット…レスリー・ニールセン
ジリアン…ダフニ・ズーニガ
ドクター・トゥモロー…チャールズ・S・ダットン
ホイットロウ大統領…ジョージ・ズンザ
宇宙帝王ローランド…コリー・フェルドマン
科学者…ネッド・ビーティー
<ストーリー>
ジャック・ポット(レスリー・ニールセン)はアメリカ政府が管轄する組織“APE”に所属する秘密諜報員。彼は『ミッション・インポッシブル』の主人公のように、組織のボスからの命令を車のカーステレオで聞く。今回の内容を説明した後、ボスは「ここで一曲」と言って音楽を流し始める。どうやらボスは、ラジオのDJのようだ。
変装したジャックは、ある秘密のパーティーに潜入する。しかしネオナチの秘密パーティーにプレスリーの変装で現れた彼は完全に浮いており、警備担当者に怪しまれる。ジャックはユダヤ人でないことを証明するため、皮かぶりのチンコを見せた。パーティー会場に潜入したジャックは、『ジャッカル』のように暗殺を実行する。銃弾は思いっきり標的を外れたが、相手の護衛が撃った銃弾が逃げようとして飛び出した標的に命中する。結果的に暗殺は成功し、ジャックは現場から逃走する。しかし飛び込もうとした川が予想以上に浅く、ジャックは頭を打って死亡する。
ナンバーワンの諜報員であるジャックを失ったAPEだが、こんなこともあろうかと先手を打っていた。APEの幹部は、『エイリアン4』のリプリーのような状態(でもポーズは珍妙)になっているクローンのレスリーを、死んだレスリーの代わりに起用することにした。『インデペンデンス・デイ』のように、巨大な宇宙船から無数の宇宙船が地球に向かって飛来する。アメリカ合衆国のホイットロウ大統領(ジョージ・ズンザ)は、宇宙船とのコンタクトを試みる。だが、宇宙船の通信を傍受した科学者は、そこに「バカ、マヌケ、ウンコ踏ん付けて死んじまえ」という信号が隠されていることを見抜く。
地球に飛来した宇宙船の1つは、『コン・エアー』のように看板にぶつかるが、宇宙船の方が破損してしまう。やがて宇宙人は竜巻を起こして、攻撃を開始する。『ツイスター』に登場するような観測チームは調査に向かうが、竜巻に巻き込まれて吹っ飛ぶ。ジャックはホイットロウに呼ばれ、政府の研究所に来ていた。研究所では『スピーシーズ/種の起源』のように宇宙のDNAを使られていた女性の人造人間ナターシャが生み出されていたが、宇宙船が飛来するという事態に、彼女は反応を示しているらしい。
大統領は、彼女が男とセックスして繁殖しようとしていると告げる。ジャックは下心から、その話が真実かどうか自分が実験台になって確認すると言い出す。しかし実際に見た人造人間が超ブスで太っちょだったため、ジャックはすぐさま彼女を射殺する。
射殺した女の背中には、まるで『ウォーターワールド』の少女のように文字が彫られていた。ジャックには全く解読できなかったが、居合わせた日本人科学者が、日本語で「宇宙人の弱点はニンジャの能力」と書いてあることを、あっさりと語る。政府はコスタリカ沖の孤島に、『ジュラシック・パーク』ならぬ“ニンジャラシック・パーク”という施設を作っていた。宇宙船に対抗するため、大統領はAPEの諜報員の数名を選抜し、その施設に送り込んでニンジャの能力を習得させることにした。
メンバーの1人として選ばれたジャックは、他の諜報員と共に船で孤島へ向かう。メンバーの中には、『コンゴ』のエイミーのような特殊な装置を着用しているゴリラも混ざっている。途中、『スピード2』のテーマ曲が流れ、船は緊張感に包まれる。だが、モーターボートが追い越していく横で、ジャックの乗った船はノンビリと進んでいる。船は孤島に到着し、ジャック達は「歓迎・秘密諜報員御一行様」と書かれた横断幕を目にする。ジャック達の前に、いきなり数名のニンジャが姿を現す。驚くジャック達に対して、ニンジャ達は『ショーガール』の舞台のようなパフォーマンスを披露する。
ニンジャ達のパフォーマンスが終わると、『D.N.A.』のドクター・モローならぬドクター・トゥモロー(チャールズ・S・ダットン)が現れる。彼の横には獣のような人間がいるが、トゥモローが趣味の特殊メイクで助手を変身させただけらしい。施設の所長でありニンジャ訓練の教官も務めるトゥモローは、ジャック達を所長室に通す。そして彼はジャック達にニンジャ訓練に対する心構えを説明し、「ニンジャは絶対に拳銃など使わない」と語る。そんなトゥモローのいる所長室には、『デス・ウィッシュ』や『ダーティハリー』シリーズのビデオが並べられている。
ジャック達は訓練期間に宿泊する個室に案内されるが、そこは上半身だけが見える程度の小さな窓が廊下側に付いている、独房のような部屋だ。ジャックの部屋には骸骨が放置されているが、御丁寧にニンジャの頭巾を被っている。
個室に入ったジャック達は早速、音を立てずに走る訓練として、腰に鈴を付けて走らされる。廊下から各部屋をチェックするトゥモローは、ジャックの部屋から鈴の音が聞こえないのを確認し、飲み込みが早いと感心する。だが、実は下半身が外から見えないのをいいことに、ジャックは鈴を手で押さえて走っていたのだった。翌日から、本格的に訓練が開始された。まずはジャンプ力を付けるために、高い場所に吊り下げられたリンゴを取る訓練が行われた。他の面々が必死に飛び上がる中、ジャックはマジックハンドを伸ばしてリンゴをキャッチした。
水上に伸ばした筒を使って水中で呼吸する訓練では、他の面々が水中で耐える中、ジャックは呼吸が出来ずにドザエモン状態で水面に浮かぶ。関節を外して戻す訓練では、他の面々の前を、腕が不自然にブラブラした状態のジャックが担架で運ばれていく。
蛇と戦う訓練に挑んだジャックは、毒は無いと聞いて安心するが、出てきたのは『アナコンダ』のような大蛇だった。驚いたジャックは、思わず隣にいたゴリラの諜報員を前に思いっきり突き出した。哀れなゴリラは、頭から大蛇に食われてしまった。ジャックは施設の科学者(ネッド・ビーティ)と親しくなり、彼が発明した新しい手裏剣を貰う。それは『フラバー』のように強い弾力性を持つ手裏剣だった。科学者は「素晴らしい発明だが、問題は、手裏剣としては全く役に立たないということだ」と語る。
レスリーはシャワー室で、自分にだけ特に厳しく接しているトゥモローと一緒になる。険悪なムードが漂う中、2人は何となく互いの下半身に視線を落とす。それから2人はゆっくりと近付き、「同志よ」と言って強く抱きしめ合うのであった。馬に乗る訓練をしていたレスリーは、仲間の諜報員から訓練の終了を知らされる。レスリーは『ポストマン』のケヴィン・コスナーのように勢いを付けて馬を走らせ、仲間の持っている認定証をキャッチしようとする。だが、走り始めた瞬間に馬から落ちてしまう。
ニンジャ装束に身を包んだレスリーは、トゥモローの元へと向かう。『愛と青春の旅立ち』の曲が流れる中で、ジャックは振り向いたトゥモローを抱え上げる。そして2人がキスをしようとした瞬間、宇宙人が施設への攻撃を開始する。ジャックは『フォレスト・ガンプ/一期一会』のトム・ハンクスのように、トゥモローを抱えて走ろうとする。しかし、つまづいてトゥモローを地面に投げ出してしまい、さらにジャックは立ち上がろうとした彼を踏み付けてしまう。ちょうどそこに、宇宙人の攻撃が命中する。
瀕死のトゥモローは、「宇宙人を倒すには、ある女性の協力が必要だ」とジャックに告げる。トゥモローは『カットスロート・アイランド』のヒロインの父のように、「皮を剥げ」と告げる。ジャックが彼のチンコの皮を剥ぐと、そこに女の名前と居場所が書いてあった。ジャックは女がいるはずのストリップバーへと向かう。ところが店内で揉めている弾みで、舞台の上に押し出されてしまう。音楽が流れ始め、なぜかジャックは『素顔のままで』のデミ・ムーアのように踊り始める。調子に乗って気持ち良く踊り終えたジャックだが、当然の如く、客からはモノを投げられて罵声を浴びせられる。
ジャックはトゥモローが言っていた女ジリアン(ダフニ・ズーニガ)に会うが、娘のクリスマスプレゼントを買いに行くので忙しいと言われる。彼女に協力することにしたジャックは、子供達に大人気のジェット・レディ人形をデパートに買いに行く。デパートではジェット・レディ人形を求めて、大勢の人々が群がっていた。最後の1つとなった人形を獲得するため、ジャックは『ジングル・オール・ザ・ウェイ』のシュワちゃんのようにジャンプする。しかし、同時に人形に飛び付いた男がいた。
ジャックは人形を必死につかんだまま、「これは大切なクリスマスのプレゼントなんだ」と叫ぶ。一方、その男も「私だって娘への大事なクリスマスプレゼントなんだ」と叫ぶ。ジャックが良く見ると、その男はユダヤ教のラビの格好をしていた。ジャックはデパートの外で待っていたジリアンに、購入した人形を渡す。ジリアンはジャックに礼を言い、協力を承諾する。ジリアンの家に向かおうとする2人の後ろでは、清掃員が黒いゴミ袋を運んでいるが、そこからラビの衣装がはみ出している。
ジリアンは、トゥモローと宇宙人女性との間に生まれた女性だった。トゥモローは黒人なのにジリアンの肌が白いことにジャックは疑問を抱くが、彼女は「宇宙人の色素が強すぎて白くなったの。マイケル・ジャクソンと同じよ」と話す。
ジリアンはジャックと話しながら、自分が生まれてから今までのことを回想する。だが、回想している途中で、自分とジャックが『ナイン・ハーフ』や『氷の微笑』、『危険な情事』などを真似ているエロティックな妄想が何度も挿入されてしまう。ジャックとジリアンは、レストランに食事に出掛けた。ずっと施設で訓練を続けていたジャックは、久しぶりにありついた豪勢な料理をガツガツと食べまくる。「あんまり食べると太るわよ」とジリアンが言うが、ジャックは「これぐらい何とも無いさ」と返す。しかし、画面に全身が写ると、ジャックの体はブクブクに太ってしまっていた。
食事を終えたジャックと、ジリアンは、そのままモーテルに直行する。もちろん次にすることは決まっているので、互いに服を脱ぎ始める2人。ところが、ジャックの下半身を見たジリアンは「あなた、大事なモノが見当たらないわよ」と告げる。体が太ったジャックは、そのブヨブヨの肉で小さいチンコが埋もれてしまっていたのだ。落胆したジャックと彼を慰めるジリアンは、モーテルを立ち去ることにした。そこへ、宇宙人が攻撃してきた。おデブになったジャックは、『チェーン・リアクション』のキアヌ・リーヴスのように逃げる。宇宙人の攻撃がケツに当たったジャックは、まるで浮き輪の空気が抜けたかのように、太っていた体がプシューと音を立て、しぼんで元通りになった。
屋根に登ったジャックは、超低空飛行で接近してきた宇宙船の上に飛び乗った。すると、宇宙船の上部には、「急停止する場合、このボタンを押してください」と注意書きされたボタンが取り付けられている。それを押すと、宇宙船は停止してストンと着陸した。
ジャックは宇宙船の屋根の自動扉を開けて、落下するようにして中に入る。ジャックは宇宙船の内部を見回すが、そこには誰の姿も無かった。しかし良く見ると、ジャックの下敷きになった宇宙人が、ペチャンコに押し潰されて紙のようになっていた。小型宇宙船に乗ったジャックとジリアンは、巨大宇宙船に到着した。2人は、なぜか設置してある受付でチェックインを済ませ、内部へと足を進めた。2人は『スターシップ・トゥルーパーズ』に登場したバグのような恐ろしい形状の敵に遭遇するが、ジャックがあっさりと退治する。敵は、見た目は怖いが、ものすごく小さかったのだ。
しばらく進むと、2人は「ここに宇宙帝王はいません」と書いた張り紙のある扉を発見する。扉を開けると、宇宙帝王ローランド(コリー・フェルドマン)の姿があった。「どうして、ここにいることが分かったんだ?」と、ローランドは驚いた様子を見せた。ローランドは、ジャックとジリアンに、地球を襲った理由を話した。ローランドの妻が実験中の事故により、『バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲』のアイス・スーツならぬ、ゴールデン・スーツを着用していなければ生きられない体になった。それを保つための金塊が母星では足りなくなり、地球で手に入れようとしたというのだ。
ジャックはローランドに同情する気持ちを見せ、奥さんに会ってみたいと告げた。だが、隣の部屋で眠っていたローランドの妻は、政府の研究所で出会ったブスでデブの女ナターシャに瓜二つだったため、ジャックは反射的に射殺してしまった。しかし、ローランドは怒るどころか、大喜びでジャックに感謝の気持ちを述べた。ローランドは妻を恐れており、自分では、なかなか手を下せなかったので、殺してもらって嬉しいと告げる。ジャックは、全て計算通りに進んだと、うそぶいた。
ジャックとジリアンは、小型宇宙船で地上に戻ることになった。しかし、ハッチが開けられた直後、まだ生きていたローランドの妻が現れ、ジャックに襲い掛かった。ジャックはローランドの妻ともつれ合うようにして、地上へと落下してしまった。ジリアンは悲鳴を上げ、ローランドは巨大宇宙船で地上に降りようとする。だが、巨大宇宙船のスクリーンに視線をやったローランドとジリアンは、妙な光景を目にした。ジャックが、地面にぶつかってはバウンドするという運動を繰り返していたのだ。それは、ジャックが腹部に入れていたゴム手裏剣がもたらした動きだった。
ローランドと宇宙人達は、去って行った。
こうして、地球は救われた。
ジャックは大統領から表彰を受け、大勢の人々からの喝采を浴びた。
そしてジャックは、ジリアンと結婚式を挙げる。
ジリアンが投げた花束をキャッチしたのは、ローランドの妻だった。
<解説>
パロディー映画の大御所、レスリー・ニールセンが、またまた戻ってきた。今回は、ニンジャ修行を積み、宇宙人と戦うという、見事にバカバカしい話の主人公だ。レスリーは相変わらず、おバカな活躍を見せて、観客を爆笑の渦に巻き込んでくれる。
今回も、数々の映画がパロディとして調理されている。『ミッション・インポッシブル』、『ジャッカル』、『エイリアン4』、『インデペンデンス・デイ』、『コン・エアー』、『ウォーターワールド』、『ジュラシック・パーク』、『コンゴ』などなど。どんな映画がネタにされているのか、それを探すのも、この映画の楽しみ方の1つと言っていいだろう。主演のレスリー・ニールセンは、これまでに多くのコメディー映画で我々に笑いを提供してくれている。『裸の銃を持つ男』シリーズで人気を得た後も、『スパイ・ハード』『裸の銃を持つ逃亡者』など数多くの作品で、年齢を感じさせないバカっぷりを披露している。
ヒロインのジリアンを演じるのは、『スペースボール』『ザ・フライ2/二世誕生』のダフニ・ズーニガ。ドクター・トゥモローを演じるのは、『エイリアン3』『ニック・オブ・タイム』など、シリアスな作品への出演も多いチャールズ・S・ダットン。
ホイットロウ大統領を演じるのは、『夢の降る街』『氷の微笑』のジョージ・ズンザ。ローランド役のコリー・フェルドマンは、『スタンド・バイ・ミー』や『メイフィールドの怪人たち』などで子役として人気を得て、今も活躍を続けている。科学者を演じたネッド・ビーティーは、『ナッシュビル』『キスへのプレリュード』などに出演したベテラン俳優だ。監督は、『裸の銃を持つ男PART33 1/3/最後の侮辱』『クリス・ファーレイはトミーボーイ』のピーター・シーガル。脚本は、『裸の十字架を持つ男/エクソシストフォーエバー』『サマー・アカデミー』のボブ・ローガン。コメディーに精通した2人がコンビを組んだ。
製作に携わったのは、『ブルース・ブラザース』『ドラグネット・正義一直線』のロバート・K・ワイス。製作総指揮は、『スパイ・ハード』『Mr.マグー』というレスリー主演作を手掛けたロバート・L・ローゼンが、レスリーと共同で務めている。音楽は、『ローズ家の戦争』『フリントストーン/モダン石器時代』のデヴィッド・ニューマンが担当している。
<蛇足>
パロディー映画も1つぐらいは扱っておきたいなあ(このコンテンツ自体がパロディーなんですけどね)、と思った時に、やはりレスリー・ニールセンかZAZトリオ、どちらかに登場してもらうべきだろうという考えに至ったわけで。
というわけで、レスリー・ニールセン主演作をデッチ上げることにしたわけで。
先にタイトルを決めて後から内容を作っていったので、「実はニンジャの要素は無くても成立するし、むしろ無い方がスッキリするんじゃないだろうか」という困った状態になっちゃってます。あと、多くの映画のパロディーを入れることだけを考えた結果、ストーリー展開がグチャグチャになってます。もう完全にヘロヘロです。
う〜む、どうしましょ。
ま、どうにもなりませんな。
とりあえず、「そんなことは知ったこっちゃないわいな」と開き直っておきます。
なお、この映画は存在自体がフィクションです。
こんな映画、実際にはありません。