『デッドフォール2』:1991、アメリカ
Tango & Cash
struggle again
<スタッフ&キャスト>
監督…アルバート・マグノーリ
脚本…マーク・ローゼンタール&ローレンス・コナー
製作…ジョン・アヴネット&ラリー・J・フランコ
製作総指揮…マイケル・ペイサー
音楽…ハロルド・フォルターメイヤーレイ・タンゴ…シルヴェスター・スタローン
ゲイブ・キャッシュ…カート・ラッセル
キキ・タンゴ…テリー・ハッチャー
ジェフ・スペンサー…スチュアート・ウィルソン
ドン・カイリー…アーマンド・アサンテ
ジョー・ノイス…ジョエル・グレイ
<ストーリー>
ロサンゼルス市警の東部署に勤務するレイ・タンゴ(シルヴェスター・スタローン)は、アルマーニを着こなすダンディな刑事。一方、ロサンゼルス市警の西部署に勤務するゲイヴ・キャッシュ(カート・ラッセル)は、陽気でワイルドな刑事。
2人はそれぞれ破天荒な活躍を見せており、マスコミは2人をライバルとして書き立てている。実際、レイとゲイヴもお互いのことをライバル視している。ゲイヴはレイの妹キキ(テリー・ハッチャー)と付き合っており、そのことをレイは面白く思っていない。ある日の深夜、レイは東部地区にある車の修理工場に潜入した。中にいる連中に見つからないように、慎重に身を隠すレイ。一方、ゲイヴは西部地区で車の盗難事件を目撃した。車を積み込んでトラックが走り出す。ゲイヴはトラックを追い掛け、荷台に飛び乗った。
修理工場では、深夜だというのに数名の男達が集って「もうそろそろか」などと話している。一方、ゲイヴを荷台に乗せたまま、トラックは走り続けて東部地区に入った。やがてトラックはシャッターの閉まった建物の前で止まった。それはレイが潜入した修理工場だった。工場にいた連中とトラックにいた連中は、高級車専門の窃盗グループだった。レイは物陰から、ゲイヴはトラックの中から銃を構えて窃盗グループの前に、ほぼ同時に姿を現した。窃盗グループも驚いたが、それ以上にお互いの顔を見たレイとゲイヴが驚いた。
犯人グループを逮捕して、TVリポーター達が2人の元にやって来た。彼らは2人に対して、「見事なコンビネーションによる逮捕劇ですね」などと言ってくる。しかしキャッシュは「こんなインテリぶった奴と組むはずが無いだろ」、タンゴは「こんな下品な奴と仲間だと思われたくない」とお互いを罵り合う。ゲイヴは武器密輸事件の捜査を担当することになった。どうやら最近になって勢力を伸ばしている新興ギャングが関わっているようだ。ギャングのボスは、ドン・カイリーという男(アーマンド・アサンテ)。武器密輸に関係していることは確実なのだが、逮捕するための決定的な証拠が無い。
一方、レイは地方新聞のカメラマン、ジェイソン・マックギルが自宅で殺された事件を担当する。犯人は何かを探していたようで、特に写真を置いていた場所がひどく荒らされている。レイは室内を調べるが、ラテン音楽のCDやテープが多いぐらいで、特に捜査の参考になりそうなものは見つからない。武器密輸事件の捜査では、東部署も西部署に協力することになる。西部署の署長ジョー・ノイス(ジョエル・グレイ)と共に、ゲイヴが東部署に顔を見せた。ノイス署長はゲイヴの良き理解者であったが、彼に対して「他の署と協力するのだから、自分のやり方を曲げることも必要だ」と説く。
ゲイヴはノイス署長に言われ、渋々ながらレイに対しても挨拶をする。しかしレイは「自分は別の捜査があるから関係無い」と言って、クールに対応して去っていく。そんなレイに、東部署の刑事部長ジェフ・スペンサー(スチュアート・ウィルソン)が笑いながら「もう少し優しくしてやれ」と声を掛ける。その夜、ゲイヴはレイの妹キキ(テリー・ハッチャー)を車に乗せてドライブしていた。2人は恋人関係にあるのだ。キキがそれとなく結婚願望を口にするので、ゲイヴは「キミのことは好きだが、大きな問題がある。キミのアニキとはウマが合わないってことだ」と告げる。
キキを家の前まで送ったゲイヴは、「寄って行けば?」と誘うキキに対して「キミのアニキと顔を合わせたくない」と言って断る。その時、ドアが開いてレイが2人の前に現れる。レイが「2人の交際を認めたつもりは無い」と言ったことから、3人は口論になってしまう。ゲイヴはカイリーの組織が資材倉庫に武器を密かに運び込んでいるという情報を得る。そこで彼は仲間と共に資材倉庫の手入れを行うが、中はもぬけの殻だった。ゲイヴはカイリーが自分達の動きを知っていたのではないかと考える。
レイはマックギルの務めていた新聞社にいた。レイは編集長に質問するが、特に思い当たることは無いという。続いてレイは、マックギルのデスクに向かう。デスクの周囲はひどく散らかっていたが、編集長は「新聞記者の机はそんなものだ」と呑気な態度でレイに告げる。しかし、レイは編集長の言葉に納得せず、何者かが荒らした形跡を感じ取っていた。鍵の掛かった引き出しを強引に開けたレイは、奥の方に挟まっていたメモ帳を発見する。そこには殴り書きのような文字で“証拠、TP”と書かれていた。
マックギルの行き付けのバーで店主に質問したレイは、殺される前の晩にマックギルが2人の男と飲んでおり、大きなスクープをモノにしたと話していたことを知る。メモ帳の“TP”という文字について尋ねると、マックギルの同僚記者にトニー・ポストという男がいると教えられる。東部署に戻ったレイは、スペンサーから捜査の進み具合について聞かれる。レイはメモ帳の文字のことや、トニー・ポストのことを話す。そしてポストに会おうとしたが取材に出掛けていて会えなかったこと、今日の夜に彼の自宅に行ってみるつもりだということも話す。
ゲイヴは情報屋から話を聞いていた。そして、ジェイソン・マックギルが武器密輸事件に興味を持っていたことを知る。さらにゲイヴはマックギルと親しかった人物として、トニー・ポストの名前に辿り着いた。ゲイヴはマックギルの自宅に向かうことにした。ゲイヴがポストの自宅に行くとインターホンの返事は無かったが、玄関のドアは開いていた。銃を手にして室内に侵入したゲイヴは、ポストの他殺体を発見する。驚くゲイヴの背後から、何者かが室内に飛び込んで来た。振り向いて銃を構えるが、入ってきたのはレイだった。
状況を判断しようとする暇も無く、いきなりスペンサーが部下と共に家の中に入ってくる。レイとゲイヴはポスト殺しの容疑者として連行されそうになる。ゲイヴはスペンサー達がここに来たことが不思議だとレイに話す。そしてレイは、昼間のスペンサーとの会話を思い出す。レイは自分の隣にいた刑事に、いきなり銃を突き付けた。そしてスペンサー達に、動くとこの刑事の命が無いと告げる。レイは驚くゲイヴを促し、車のエンジンを掛けさせる。レイはスペンサー達の車のタイヤを撃って追って来れなくした後、ゲイヴに運転させて車で逃亡する。
車の中で、レイはゲイヴに逃亡した理由を説明する。ゲイヴの行った通り、スペンサー達がポストの家に来るのは奇妙だ。レイはポストの家に向かうことをスペンサーに告げたが、他の人間には話していない。そこでレイは、スペンサーが事件に関与しているのではないかと疑ったのだ。レイとゲイヴは使命手配された。無実を証明するには、真犯人を突き止める必要がある。おそらく、スペンサーとカイリーが絡んでいるのではないかとレイとゲイヴは考えた。問題はマックギルがスクープした証拠写真が、果たして犯人グループの手に渡ったのかどうかということだ。
そこで2人はカイリーの手下を捕まえ、「自分達が例の証拠を手に入れた」という嘘の情報をカイリーに伝えさせ、取り引きを持ち掛けた。レイとゲイヴの潜伏先をカイリーの手下が襲ってくるが、2人はカーチェイスの末に逃亡する。これで犯人グループが写真を手に入れていないことが分かった。スペンサーとカイリーが、人気の無い場所で密かに接触していた。2人はマックギルに密会現場を目撃された時のことを話す。スペンサー達はカメラを持ったマックギルが近くにいたことは分かったが、相手が暗い現場で自分達の写真を撮れたかどうかが分からない。
そこでカイリーの部下がマックギルの行き付けのバーに行き、彼を酔わせた。するとマックギルが大スクープをモノにしたと喋ったため、彼が写真を撮影したことを確信する。しかし、マックギルを殺害して自宅や新聞社、ボストの家を捜索したが、写真は見つからなかった。
カイリーはスペンサーに対して、「次の手は打ってある」と告げ、キキを誘拐したことを知らせる。待機させてある車の中に、キキの姿があった。カイリーは彼女を引き渡すという条件で、レイとゲイヴに証拠写真を探させようと考えていた。しかし、もちろん写真が見つかれば殺してしまうつもりだ。レイとゲイヴは、証拠写真がありそうな場所を考える。レイが「マックギルの自宅にはラテン音楽のCDやテープが多かった」と話すのを聞いて、ゲイヴは「俺もラテン音楽は大好きだ」と言う。それに対してレイは、「何がいいのか分からない」と告げる。
そこでゲイヴはラテン音楽の良さを語り、「特にティト・プエンテが最高だ。ミスターTPは偉大だよ」と話す。その言葉を聞いて、レイはマックギルのメモ帳にあった“証拠、TP”という文字のことを思い出す。レイとゲイヴは、マックギルの自宅へ急行した。
レイとゲイヴはマックギルの自宅に上がり込む。レイは部屋にあったカセットテープの中からティト・プエンテの名前が書かれたテープを探し出し、携帯カセットプレイヤーに入れる。すると音楽ではなく人の話し声が録音されていた。証拠は写真ではなく、カセットテープだったのだ。そこへ、いきなり電話が掛かってくる。ゲイヴが受話器を取ると、相手はカイリーだった。カイリーはキキを預かっており、証拠品を渡せば彼女を返すと言ってくる。ゲイヴが「そっちへ証拠品を持って行く」と言うと、カイリーは「既に証拠は手に入れたのか」と聞いてくる。
ゲイヴは「ここに持っている。場所はそっちで指定しろ」と告げるが、カイリーは「こっちから出向いてやる」と言って電話を切る。電話の内容を聞いて不審に思ったレイは、窓に近付いて外を見る。数台の車がマックギルの家に接近し、その中の一台にキキが乗せられていた。外に出て行こうとするゲイヴを、レイが引き止める。レイは彼らが自分達を証拠ごと消してしまおうと考えていることに気付いていた。それでもキキを助けようとドアを開けたゲイヴだが、いきなりカイリーの手下達が発砲してきた。慌ててドアを閉めるゲイヴ。
激しい銃撃戦が始まった。カイリーの手下達が家の中にも入ってきた。カイリーはキキと運転手と共に、車の中に残って状況を見守っている。レイとゲイヴは弾丸の嵐の中で必死に反撃を試みる。自分達の拳銃だけではなく、倒した敵のライフルも使って立ち向かう。レイはカイリーの手下達を引き受け、ゲイヴに外に出てキキを助け出すよう指示する。隙を見て勝手口から外に出たゲイヴは、カイリー達の乗った車に背後からそっと回り込む。そしてゲイヴは窓ガラスを叩き割り、後部座席でキキの隣に座っていたカイリーに拳銃を突き付ける。
しかし、ゲイヴがキキを見て声を掛けた瞬間に、運転手が拳銃を払い落としてしまった、車から出てきた運転手がゲイヴに襲い掛かる。一方、家の中ではレイが奮闘していた。彼はカイリーの手下達を確実に倒していき、残るはスキンヘッドの巨漢が1人だけとなった。レイは既に弾丸が尽きてしまい、それを知ったスキンヘッドの男がニヤリと笑ってライフルを撃とうとする。だが、彼のライフルも弾が切れていた。レイとスキンヘッドは素手で戦うことになる。レイは相手の怪力に苦しめられ、壁に激しく叩き付けられる。
殴り合いの末に運転手を倒したゲイヴだが、車から外に出たカイリーがキキに自分の拳銃を突き付けていた。ゲイヴの拳銃は運転手に払い落とされて地面に落ちたままになっていたが、ゲイヴのいる場所から拳銃の落ちている場所までは距離がある。カイリーは銃をゲイヴに向けて発砲しようとするが、キキが体当たりする。衝撃でカイリーの銃が飛ばされ、その隙に自分の銃までジャンプするゲイヴ。カイリーも自分の銃を拾い上げ、2人は同時に発砲する。カイリーの弾はゲイヴの左肩をかすめ、ゲイヴの弾はカイリーの腹に命中した。
スキンヘッドに一方的にやられていたレイだが、金的を蹴って窮地を脱出し、アゴに連続パンチを入れる。フラフラになったスキンヘッドは、いきなりニヤリと笑って服の前をはだけた。すると、彼の腹部にはダイナマイトが巻き付けられていた。ゲイヴはキキを抱きしめ、そしてレイを助けるためにマックギルの家に入っていこうとする。だが、その瞬間に家の中で大爆発が起きる。慌てて体を伏せた後、レイの名を叫ぶゲイヴとキキ。そこへ数台のパトカーが駆け付ける。中から出てきた面々の中に、スペンサーとノイスの姿もある。
ゲイヴはスペンサーを見て、汚い犯罪者だと激しく罵る。スペンサーにつかみかかったゲイヴを、ノイスが間に入って制しようとする。スペンサーは自分が犯人だという証拠はどこにも無いと言い、錯乱したのかとゲイヴに告げる。悔しそうに唇を噛み締めるゲイヴ。その時、彼らの後ろから会話の声が聞こえる。それはスペンサーとカイリーが武器密輸について話している会話だった。ゲイヴ達が音のする方向を見ると、そこには携帯カセットプレイヤーを持ったレイが立っていた。ボロボロになりながらも、レイがテープを流しながら歩いてくる。
ゲイヴとキキが大喜びでレイを迎え、フラフラになった彼を抱き止めた。スペンサーは逃げる暇も無く、ノイス達に拘束された。レイはゲイヴとキキに、「お前達、そんなにピッタリ寄り添うな」と告げる。ゲイヴとキキは顔を見合わせて笑うのだった。
<解説>
タフな2人が戻ってきた。アルマーニのスーツを着こなすダンディなレイ・タンゴと、体全体で陽気さを表現するワイルドなゲイヴ・キャッシュ。見た目も性格も正反対の2人は何かに付けて対立するが、正義のために戦う気持ちだけは共通している。
そんな2人が、久しぶりに帰ってきた。前作で犯罪組織のボスに陥れられ、犯罪者に仕立て上げられた2人だが、今回も再び犯罪者にされてしまう。しかも、今回の敵は犯罪組織のボスだけではなく、身内である刑事部長も関わっている。絶体絶命のピンチから、2人は反撃を開始する。主演は前作に引き続き、シルヴェスター・スタローンとカート・ラッセルだ。
レイ役のスタローンは『ロッキー』や『ランボー』といったシリーズ作品で、これまでも様々なアクションヒーローを演じてきた。ゲイヴ役のラッセルは『遊星からの物体X』のようなSFホラーから『潮風のいたずら』のようなロマンティック・コメディーまで、幅広いジャンルの作品に出演している。レイの妹キキを演じるのは前作に引き続き、『ケビン・ベーコンのハリウッドに挑戦!!』『ソープディッシュ』のテリー・ハッチャー。ジェフ・スペンサーを演じるスチュアート・ウィルソンは、『ゼンダ城の虜』『ウェザビー』といった映画の他、テレビや舞台の出演も多いイギリス人俳優だ。
ドン・カイリーを演じているのは、『リトル・ダーリング』『殺人調書Q&A』のアーマンド・アサンテ。そしてレイとタンゴにとって数少ない味方と言えるジョー・ノイス署長を演じるのは、『キャバレー』『レモ/第1の挑戦』の名優ジョエル・グレイである。監督を務めたのは、『アメリカン・アンセム』『パープル・レイン』のアルバート・マグノーリ。脚本を書いたのは『ナイルの宝石』『スーパーマン4/最強の敵』のマーク・ローゼンタールとローレンス・コナー。音楽は『ビバリーヒルズ・コップ』『バトルランナー』のハロルド・フォルターメイヤー。
製作は、『レス・ザン・ゼロ』『フライド・グリーン・トマト』のジョン・アヴネットと、『ゼイリブ』『ロケッティア』のラリー・J・フランコが共同で務めている。そして製作総指揮は、『マドンナのスーザンを探して』『F/X 引き裂かれたトリック』のマイケル・ペイサーが担当している。
<蛇足>
駄作映画の常連であるシルヴェスター・スタローンと、B級映画への愛情を感じさせてくれるカート・ラッセル。そんな2人(どんな2人だ)がコンビを組んだ『デッドフォール』の続編を作ってみた。しかし、この『デッドフォール』という邦題の意味がイマイチ分からないなあ。
スタローン出演作品は『新ロッキー〜魂を受け継ぐ者』、カート・ラッセル出演作品は『ゴーストハンターズ2』と、それぞれが単独で出演した作品をこれまでにデッチ上げているし、今回の『デッドフォール2』を作ったことで、当分は両人の作品をデッチ上げることは無いだろう。ちなみにスタローンの場合、ネタは幾つもあるが、実際に続編が作られそうな危険性もある。特に『ロッキー』と『ランボー』は、スタローンが続編を作ることに乗り気らしい。このサイトでまたスタローン作品を扱うとすれば、『コブラ』の続編が第一候補だろうか。後は『クリフハンガー』とか。
ラッセルの場合、ジョン・カーペンター監督作品『ニューヨーク1997』『エスケープ・フロム・LA』に続く3作目は作ってみたい気がするなあ。ただ、ラッセルはスネーク・プリスケンというキャラクターを気に入ってるみたいだから、実際に作られる可能性も無いわけじゃないのよね。そこが怖いなあ。
なお、この映画は存在自体がフィクションです。
こんな映画、実際にはありません。