ウォーターワールド2』:2000、アメリカ
Waterworld 2:New Generation

<スタッフ&キャスト>

監督…ケヴィン・コスナー
脚本…マイケル・シーファー
製作…ケヴィン・コスナー&イアン・ブライス
製作総指揮…ローリー・マクドナルド&ウォルター・F・パークス
視覚効果監修…ジム・ミッチェル
音楽…ジェームズ・ホーナー

ホープ/マリナー…ケヴィン・コスナー
ルシンダ…ファムケ・ヤンセン
ドルガン…ジョン・リスゴウ
ジャド…オリバー・プラット
ウォート…ハリー・ディーン・スタントン
レヴィン…ジェームズ・レマー


<ストーリー>

未来の地球。極地の氷が解け尽くしたため、地球は全て水に覆われてしまった。生き残った人間は新しい世界に順応し、巨大な人工の浮遊都市を築いて生活していた。唯一の陸地として“ドライランド”という島が存在したが、大地震によって数十年前に沈没してしまった。
地震をきっかけにして、大小幾つもの浮遊都市が作られた。時を同じくして、ギリギリの段階で保たれていた秩序は完全に崩壊した。悪党は自由に動き回るようになり、強盗、強姦、殺人が日常茶飯事となった。警察組織など存在しないため、一般の民衆はただ怯えて暮らすしかなかった。

浮遊都市の1つ、フリージア。小さな都市であるフリージアに、くたびれた格好をした1人の男が流れ着いた。男の名はホープ(ケヴィン・コスナー)。
彼は奇妙な形の船に乗っていた。一般的な船と違い、前方が鋭く尖っており、後方は三股に分かれて広がっている。

浮遊都市への武器の持ち込みが禁止されているため、ホープは船着き場の管理人から持ち物検査を受ける。ホープは腰に装着していた武器を見せる。それはレバーを引くとセットした小さな矢が発射されるという、手作りのボウガンだ。ホープはボウガンを管理人に渡す。
上陸の目的を聞かれ、ホープは人探しだと答える。詳しく説明を求められたホープは、その人物に会ったことは無いし、生きているのかどうかさえ分からないと答える。管理人はホープに不審を感じながらも、武器の不所持を確認して上陸を許可することにした。

その頃、ドルガン(ジョン・リスゴウ)率いる海賊集団の乗った巨大武装船が、フリージアの近くを航行していた。ドルガンの元に、補佐役のレヴィン(ジェームズ・レマー)がやって来た。奇妙な物が海面に浮かんでいるのを監視係が見つけ、引き揚げたらしい。
レヴィンは引き揚げた物をドルガンに渡す。それは何やら文字のようなものが書かれている石版だ。それを見たドルガンは、「もしかしたら……」とつぶやく。そしてドルガンはレヴィンに、その石版を船内にいる学者に見せて文字を解読させるよう指示する。

酒場に入ったホープは、マスターに「ウォートという名前の男を知らないか」と尋ねる。しかし、マスターは知らないと答える。ホープは上機嫌の酔っ払いに声を掛けられ、どこから来たのかと問われる。ホープが「ドライランドだ」と答えると、酔っ払いは「沈んだ島から来たってよ」と笑い出す。
ホープが酒場を出ると、女がガラの悪い男達に囲まれていた。男達にイヤらしい目で見られても、女は強気の態度を崩さない。ホープが立ち去ろうとすると、女は「か弱い女が困ってるのに、黙って見過ごすの?助けなさいよ」とホープに叫ぶ。ホープは笑って立ち止まる。

ホープは女に向かって、「助けたら俺に何の得がある?」と言う。「望みがあるなら言って見なさいよ」と言う女。ホープは笑って、「今晩泊めてくれるか?」と尋ねる。「泊めるだけでいいの?」と聞き返す女に、「他に何かしてほしいのか」と言うホープ。
そんなやり取りをしていると、男達が「ゴチャゴチャ言い合ってんじゃねえ!」と怒り出した。近付いてきた男の手を捻じり上げたホープは、襲い掛かってくる男達を殴り倒し、撃退する。そんなホープに女が近付いて来て、そっけない感じで感謝の言葉を告げた。

女は名をルシンダ(ファムケ・ヤンセン)といった。ホープは約束通り家に泊めてもらうことを確認し、ルシンダの案内で彼女の家に向かった。彼女は兄のジャド(オリバー・プラット)と2人で暮らしていた。ジャドは発明家で、家には珍妙な道具が幾つも置いてあった。
ルシンダから助けてもらったということを聞き、ジャドは仕方なくホープを泊めることを承諾する。ホープはルシンダとジャドにウォートという名前の男について尋ねるが、2人とも知らないと言う。ルシンダは物知りの老人がいるから、明日にでも訪れてみてはどうかと勧める。

次の日、ホープはルシンダに案内されて、老人の元を訪れる。深く帽子を被ったその老人は、フリージアで一番の物知りらしい。ホープがウォートという男について尋ねると、老人は「その男を見つけてどうするつもりだ?」と尋ねる。ホープは「会うまでは目的は言えない」と老人に告げる。
老人が「ウォートという名前の男が1人とは限らない」と言うと、ホープは「今までにウォートという名前の3人の男に会ったことがある。しかし、会えば自分の探しているウォートではないことが分かる」と言う。体に大きな特徴があるというのだが、それについては話せないらしい。

ドルガン達がフリージアにやって来た。ドルガンは石版を見ながら、「やはり間違い無かった」とつぶやく。ドルガンはレヴィンや数名の部下と共に、フリージアに上陸した。怯えつつも持ち物検査をしようとする管理人を強引に押しのけ、彼らはジャドとルシンダの家に向かう。
家にいたジャドを見つけたドルガン達は、いきなり長時間の深海探索が可能な道具を作るよう命令する。いきなりの注文に戸惑うジャドだが、ドルガン達に脅されて「しばらく時間が掛かる」と答える。1週間で作れと言われて無理だと答えるが、再び凄まれて「努力します」と力無く言う。

石版に書かれていたのは、ミュータント(魚人間)の文字だった。かつてミュータントは深海に王国を作っていたが、謎の滅亡を遂げた。そこには宝が眠るという伝説があったが、石版の文字は伝説が本当だということを示していた。
そこでドルガンは、ミュータントの宝を手に入れようと考えたのだ。

船着き場まで戻ってきたドルガンは、ウォートの元から家に戻ろうとしていたホープとルシンダを見掛ける。ドルガンはルシンダの美しさを見て気に入り、レヴィン達に彼女を連れてくるよう指示する。レヴィンと部下達はルシンダに近付いていきなり連れて行こうとするが、もちろん抵抗される。
間に割って入ったホープに、レヴィンはナイフを突き付ける。ホープはレヴィンの喉元に親指を立て、「このまま突き刺せば死ぬぞ。どちらが早いか試してみるか?」と言う。その状態のまま、ホープはルシンダに逃げるよう告げる。ためらうルシンダだが、ホープに強く急かされて走り去る。

レヴィンの部下達がルシンダを追い掛けようとするが、ホープに「それ以上動いたらこの男が死ぬぞ」と言われ、足を止める。そこへ、いきなり小型の槍が飛んでくる。すんでのところで身をかわすホープ。槍の飛んできた方向を見ると、そこにはドルガンがいた。
ホープが離れた隙に、レヴィンの部下が各々の武器を手に取った。ドルガンも小型の槍を発射するライフル型の武器を構えて、ホープに発射してくる。ホープとドルガン達の激しい争いが繰り広げられる様子を、家から出てきていた老人が眺めている。
ドルガンの放った槍がホープに迫り、突き刺さる寸前でホープは背後にジャンプするようにして海に飛び込む。しばらく海中を凝視していたドルガン達だが、ホープが全く上がってこないために死んだものと思い、武装船に乗り込んで去っていく。

ドルガンの武装船が去った後、海辺までやって来たルシンダやジャドの前に、ホープが海中から姿を見せる。そんなに長く海中で呼吸が出来るものかと驚くルシンダとジャド。そこへ老人が歩み寄り、ホープの耳の裏を見る。そこにはエラがあった。老人はホープに、父親の名前を尋ねる。
ホープが「マリナーだ」と答え、老人は「やはりそうか」とうなずく。老人が帽子を脱いで耳の裏を見せると、ホープと同じようにエラがあった。老人は自分がウォート(ハリー・ディーン・スタントン)だということを明かす。そんな様子を、船着き場の管理人が見ていた。

ホープはミュータントの父親マリナーと人間の母親ヘレンの間に生まれ、ドライランドで育った。。ホープがまだ幼い頃に母親は亡くなり、ミュータントの特性を持ったホープはマリナーに水中での呼吸法などを学んだ。やがてホープが少年に成長した頃、火山の爆発が起きた。
流れ出したマグマに飲み込まれそうになったホープを助けるため、マリナーは命を落とした。マリナーは死ぬ直前にペンダントをホープに渡し、それをウォートというミュータントの仲間に返すよう頼んだ。それ以来、ホープはずっとウォートを探し続けていた。

マリナーとウォートはミュータントの数少ない生き残りで、若い頃は親友同士だった。ウォートは友情の証しにと、大切にしていたペンダントをマリナーに貸した。
しかし、2人はささいなことでケンカ別れしてしまった。マリナーはペンダントを借りたままになっていることを気にしていたのだ。

1週間後、ドルガン達がジャドの元を訪れる。ちょうどホープはウォートの家に行って留守だった。深海探索用の道具が完成したかと問われたジャドは、試作品は作ったがまだ海中での実験はしていないと告げる。するとドルガンはルシンダを使って実験しようと言い出す。
ジャドを押しのけ、ドルガン達は強引にルシンダを連れて行く。しばらくしてホープとウォートが姿を現し、ジャドから事情を聞く。ホープは急いでドルガン達の後を追った。しかし、既にルシンダはジャドの作った特製の海底探索スーツを着せられ、海に沈められていた。

スーツには欠陥があったため、すぐに穴が開いてしまった。呼吸が出来なくなって苦しむルシンダ。そこへホープが現れ、ルシンダを救出する。ホープの出現に驚くドルガン達。すると近寄ってきた船着き場の管理人が、ホープがミュータントだということを彼らに話す。
海から上がってきたホープとルシンダの前に、ドルガン達が立ちはだかった。彼らは駆け付けたジャドとウォートを人質に取り、宝の探索に協力するようホープを脅す。仕方なくホープは協力することに同意するが、ウォートは宝の封印を解くと災いが起きると言って恐れる。

ホープ、ルシンダ、ジャド、ウォートの4人は、ドルガン達の武装船に乗せられた。武装船は石版に書かれていた水域に到着し、ドルガンはホープに潜って調べるよう命令する。深海に向かったホープは、そこに滅亡したミュータントの王国を発見する。
王国の中枢部に辿り着いたホープは、石版に書かれていた通り、神殿の中に箱が置かれているのを見つけた。ホープが箱を開けると、そこには宝など入っておらず、黒いアメーバ状の物体がホープに襲い掛かってくる。慌てて逃げ出すホープ。

武装船に上がったホープは早く逃げるように言うが、ドルガンは忠告を無視して海を覗き込んだ。その顔に、猛スピードで上昇してきた黒い物体が張り付いてしまう。必死に引き剥がそうとするドルガンだが、黒い物体はドルガンの体を覆い隠すように広がっていく。
ドルガンは足をふらつかせ、海に身を投げる。完全に黒い物体に侵食されてしまったドルガンは、怪物のような姿に変形して巨大化してしまった。怪物の出現に驚くレヴィンに、ホープは死にたくなかったら言うことを聞くよう告げて、武装船の武器を使うよう指示する。

レヴィンの号令で銛銃が発射されるが、全く効き目が無い。ウォートはホープに、神殿にあった箱を使えば怪物を倒せるはずだと告げる。ウォートは自分が怪物を引き付けておくから、その間に深海に潜って箱を持ってくるようホープに指示する。
ホープは海に潜り、神殿へと急ぐ。彼が箱を手に取った頃、海上では怪物の攻撃によって武装船が破壊されていた。そこへホープが戻ってくる。ウォートに指示され、ホープは箱の蓋を開けて怪物に向ける。すると、怪物は箱の中に吸い込まれていった。蓋を閉めるホープ。

神殿に箱を戻し、フリージアへと戻ったホープ達。ジャドは「今度は怪物を一発で倒せる道具を発明する」と言う。ルシンダはホープに「ここに留まって欲しい」と訴えるが、ホープは父親との約束を果たしたので、フリージアを去って旅に出るつもりだと告げる。
船着き場でホープを見送るルシンダやジャド、ウォート。ホープは預けていた武器を船着き場の管理人から返してもらい、そしてアクシデントに見せ掛けて彼を殴り倒す。最後にホープはルシンダと熱いキスを交わし、ルシンダが「ホープ!」と叫ぶ中、船に乗って海へと出ていったのであった。


<解説>

1995年の作品『ウォーターワールド』は、約190億円という莫大な製作費を掛けて作られた、超大作の海洋アクション映画であった。海上には過去と未来の両方のイメージを喚起させる舞台装置が設置され、激しい活劇とロマン溢れる冒険が怒涛の如く展開された。
それから5年、世界は再び水没後の地球を目にすることになった。続編となる『ウォーターワールド2』がお目見えしたのだ。舞台は前作から数十年後、そして主人公の名はホープ。前作の主人公マリナーとヒロインのヘレンとの間に生まれた、ミュータント(魚人間)と人間のハーフである。

前作では海上でのアクションシーンが非常に多かったため、必要以上に経費と時間が掛かってしまうという問題点があった。そこで今回は海上のシーンは最低限に抑え、ストーリーの大半を海上都市で展開させることにした。これにより、製作費は前作よりも抑えることが可能となった。
とはいえ、決してスケールが前作よりも落ちるということではない。むしろ、スピード感溢れる展開とアクロバティックな動き、そしてダイナミックなカメラワークにより、アクションシーンは前作よりも迫力が増している。これは超一流のアクション・アドベンチャー映画なのだ。

主役のホープと父親マリナーの二役を演じるのはケヴィン・コスナー。『アンタッチャブル』『ボディガード』などで主演を務めている彼は、戦う英雄を演じることがピッタリ当てはまる男である。
ヒロインのルシンダ役にはファムケ・ヤンセン。007シリーズの『ゴールデンアイ』でボンドガールとなった彼女は、この作品でも妖艶でありながら可愛らしさも兼ね備えた女性の魅力を見せてくれる。

ホープの前に立ちはだかる海賊集団の頭領ドルガンを演じるのは、『レイジング・ケイン』『クリフハンガー』などで個性的な存在感を見せているジョン・リスゴウ。その部下レヴィンを、『ドラッグ・ストア・カウボーイ』『ウェドロック』のジェームズ・レマーが演じる。
その他、ルシンダの兄ジャドを『三銃士』『ドクター・ドリトル』オリバー・プラット、ウォートを『ローズ』『ストレイト・ストーリー』のハリー・ディーン・スタントンが担当している。

監督を務めるのは、主演もしているケヴィン・コスナー。これまでも『ダンス・ウィズ・ウルブズ』『ポストマン』と、自身の主演作で監督を務めてきた。
前作でもクレジットでは監督がケヴィン・レイルズとなっていたものの、実際には途中からケヴィン・コスナーが監督を務めていたと言われている。

脚本を手掛けたのはマイケル・シーファー。『クリムゾン・タイド』『ピースメーカー』など、スケールの大きなアクション映画を生み出してきた男だ。製作は、『ツイスター』『プライベート・ライアン』のイアン・ブライスがケヴィン・コスナーと共同で担当している。
製作総指揮を務めるのは、ローリー・マクドナルドとウォルター・F・パークス。『マスク・オブ・ゾロ』『グラディエーター』などのヒット作を次々に送り出してきたコンビだ。さらに視覚効果監修は『マーズ・アタック!』『遠い空の向こうに』のジム・ミッチェル、音楽が『タイタニック』『ディープ・インパクト』のジェームズ・ホーナーと、優れたスタッフが揃っている。


<蛇足>

『妄想映画大王』を始めた当初から、とにかくシルヴェスター・スタローン、ケヴィン・コスナー、ジャン・クロード・ヴァン・ダム、スティーヴン・セガール、この4人の作品は必ずデッチ上げようと考えていた。今回の『ウォーターワールド2』によって、その目的は達成されたことになる。
内容としては微妙に破綻しているかもしれないと思える部分もあったりするけど、前作が破綻してたので、それもアリでしょ。ま、この作品に関しては、ある部分では気楽ですな。何しろ本家は大コケしてしまったので、絶対に本物の続編は作られることが無いだろうから。

ケヴィン・コスナー作品の候補としては当初、『ウォーターワールド』の他に『ボディガード』や『ポストマン』の続編も考えていた。で、同じ海洋映画で『カットスロート・アイランド』の続編をデッチ上げようかと考えていたこともあって、最初は『ウォーターワールド』を候補から外したりもした。
でも、『カットスロート・アイランド』の続編のアイデアが固まらなかったこともあり、結局は『ウォーターワールド』の続編を作ることにした。機会があれば『ボディガード』や『ポストマン』、それと『カットスロート・アイランド』の続編を作る可能性もあるけど、当分は無いですな。


なお、この映画は存在自体がフィクションです。
こんな映画、実際にはありません。

 

*妄想映画大王