ジョーズ2001』:2001、アメリカ
Jaws 2001

<スタッフ&キャスト>

監督…ジョージ・P・コスマトス
原案…ピーター・ベンチリー
脚本…レスリー・ボーム
製作…リチャード・B・ルイス&ペン・デンシャム&ジョン・ワトソン
製作総指揮…ラファエラ・デ・ラウレンティス
特殊視覚効果…スタン・ウィンストン
音楽…ジェリー・ゴールドスミス

アラン・ウィンタース…ピーター・ウェラー
スコット・ネルソン…マイケル・ルーカー
アンソニー・ウィルマン…フォレスト・ウィテカー
グロリア・モートン…カリ・ウーラー
ケヴィン・ブラット…キーファー・サザーランド
ラリー・フラナガン…ディーン・ストックウェル


<ストーリー>

美しい海に囲まれた観光の島、アミティ島。特に大きな事件が起こることも無く、住民は恵まれた自然の中で穏やかな生活を送っている。警察も小さなトラブルを解決する程度の仕事しか無く、署長のアラン・ウィンタース(ピーター・ウェラー)もノンビリとした毎日を暮らしている。
島にはネイチャー・マガジンが取材に来ている。アミティ島の近くでしか見られない珍しい海洋生物の取材に来ていたのだ。メンバーは記者のグロリア・モートン(カリ・ウーラー)とカメラマンのケヴィン・ブラット(キーファー・サザーランド)、そして新人記者ウォーレン・ティドウェルだ。

グロリアやケヴィンは翌日の朝早くからの取材に備えて眠りに就くが、ウォーレンは2人に内緒でスクープをつかもうと考え、単独行動を取る。夜中に一人で勝手にボートを出して海に出たウォーレンだが、謎の物体に襲われてしまう。
翌日、グロリアとケヴィンの連絡を受け、警察は行方不明になったウォーレンの捜査を開始した。海でボートが発見されたため、現場検証をした警官はウォーレンが誤って海に落ちてしまったのではないかと推測する。しかし破損したボートを見たアランは、事故ではないかもしれないと考える。

1組のカップルが海に遊びに来ていた。2人はジェットスキーを楽しんでいたが、突然バランスを失い、海に引き摺り込まれるようにして姿を消す。現場に向かったアランは、事故を目撃した老婆から「何か黒い大きな影に2人が飲み込まれたように見えた」という証言を聞く。
現場に浮かんでいたゴム片に歯型が付いているのを発見したアランは、海洋学者アンソニー・ウィルマン(フォレスト・ウィテカー)に意見を聞きに行く。アンソニーは、その歯型が人食い鮫の噛み跡である可能性が高いとアランに告げ、再び鮫が現れる危険性について話す。

アランは市長のラリー・フラナガン(ディーン・ストックウェル)に面会し、鮫が存在するかどうかの調査をする間、遊泳禁止令を出すように頼む。しかし、観光産業へのダメージを恐れた市長は、人食い鮫などいるわけがないと言って全く応じようとはしない。
そんな中、海岸沿いで遊んでいた少年が人食い鮫に襲われる。今回は少年の父親である漁師スコット・ネルソン(マイケル・ルーカー)が鮫を目撃していた。アランは再び遊泳禁止令を出すよう市長に嘆願するが、市長はスコットの目撃証言を疑い、禁止令を出そうとはしない。

鮫がいるという絶対的な証拠を市長に提示するため、アランは自ら船に乗って鮫を探しに行くことを決意。アンソニーも協力を約束してくれた。さらに仲間のウォーレンを失ったグロリアとケヴィンも同行を申し出る。息子を殺されたスコットの強い頼みを受け入れ、メンバーは彼の船で海に出た。
途中、ケヴィンが誤って腕を傷付けてしまう。手渡されたタオルで血を拭いたケヴィンだが、そのタオルを奪い取ったスコットがいきなり海の中に投げ込んでしまう。「血におびき寄せられて鮫が来てしまう」と焦るアンソニーだが、スコットは「そのつもりで投げ込んだ」と言う。

スコットは最初から、鮫を殺すつもりで船を出していた。彼の狙い通り、血におびき寄せられた人食い鮫が船に近付いてきた。銛銃を見事に鮫の体に突き刺したスコットだが、傷を負いながらも暴れる鮫が船に体当たりしてくる。バランスを崩したスコットは海に投げ出されてしまった。
鮫は大きく口を開けてスコットに襲い掛かる。足から飲み込まれていくスコットの姿を、ただ見つめることしか出来ないアラン達。スコットは「オレは息子の側に行く。後は頼んだぞ」と言い残し、完全に鮫の口の中に消えていった。

呆然としているアラン達だが、鮫が再び船に突撃したことで我に帰る。アランは船を操縦して鮫から離れた場所に移動し、対策を考える。鮫の出現を市長が報告しても、信じてもらえるとは限らない。アランは自分達で鮫を退治するしかないと訴える。
だが、ケヴィンが鮫の姿を写真に撮影していたことを話す。スコットが襲われる場面もカメラに収めており、それを見せれば市長も動かざるを得ないだろう。アラン達は島に戻ることにするが、船を走らせようとした次の瞬間、再び鮫が襲い掛かって来た。

倒れ込んだグロリアは、数丁の銃が隠すように置いてあるのを発見。どうやらスコットが鮫退治用に積み込んであったらしい。アランとアンソニーは銃を手に取り、鮫に向かって発砲。一瞬はひるむ様子を見せた鮫だが、さらに攻撃を続けてくる。
銃が隠してあった場所をさらに探っていたグロリアは、奥の方に箱があるのを発見。開けてみると、そこには爆破装置が入っていた。アランはアンソニーに射撃の続行を、ケヴィンに船の操縦を、そしてグロリアには合図と共に爆破スイッチのボタンを押すことを指示する。

アランは爆弾をつかみ、鮫に向かっていく。鮫が大きく口を開けた瞬間、アランは爆弾を口の中に投げ込む。ケヴィンに船を動かすよう指示し、グロリアにスイッチを押せと叫ぶ。グロリアがスイッチを押した瞬間、潜っていた鮫は大爆発を起こす。
衝撃による大波で激しく揺れる船の中で、必死に体のバランスを取るアラン達。やがて波は穏やかになり、彼らは鮫を退治したことを確認する。アンソニーは「他にも人食い鮫はいるかもしれない」と言うが、アランは「とりあえず、今は島に戻って体を休めよう」と言うのだった。


<解説>

ピータ・ベンチリーの小説を映像化した海洋パニック映画の傑作『ジョーズ』が、21世紀に再び戻ってきた。今回の新作が製作されるに当たって、テーマとして示されたのは「原点回帰」ということだった。鮫の恐怖を表現するという原点に立ち返り、シンプルでありながらパワーのあるパニック映画を目指したのだ。
だが、第1作目のリメイクを作ろうとしたわけではない。作り出そうとするのは、あくまでも『ジョーズ』シリーズの最新作なのだ。単なるノスタルジーではなく、優れた部分を残したバージョンアップ。それが『ジョーズ2001』の目指した到達点なのだ。

監督は『カサンドラ・クロス』『コブラ』のジョージ・P・コスマトス。脚本は『デイライト 』『ダンテズ・ピーク』のレスリー・ボーム。製作は『バックドラフト』『タンク・ガール』のリチャード・B・ルイス&ペン・デンシャム&ジョン・ワトソン。
製作総指揮は『バックドラフト』『デイライト』のラファエラ・デ・ラウレンティス。特殊視覚効果は『エイリアン2』『ターミネーター2』『ジュラシック・パーク』などを手掛けたスタン・ウィンストン。そして音楽は『トータル・リコール』や『エアフォース・ワン』のジェリー・ゴールドスミスが担当している。

人間味溢れる警察署長アランを演じるのは、『ロボコップ』『裸のランチ』のピーター・ウェラー。骨太の男スコットを演じるのは、『クリフハンガー』『リプレイスメント・キラー』のマイケル・ルーカー。海洋学者アンソニー役は『バード』『ゴースト・ドッグ』のフォレスト・ウィテカー。
記者グロリアを演じるのは、『アナコンダ』で注目されたカリ・ウーラー。カメラマンのケヴィン役は『フラットライナーズ』『三銃士』のキーファー・サザーランド。市長を演じるのは『愛されちゃって、マフィア』や『ハートに火をつけて』のベテラン俳優ディーン・ストックウェルだ。


<蛇足>

この手の「何者かに襲われる」というパニック映画って、どう考えても続編を作るのは難しいと思う。1作目で既に襲撃者の正体は判明しているわけだから、2作目からは「正体が分からない」という部分での恐怖感は全く無いわけで。
そうなると他の部分で恐怖を演出しなければならないわけだけど、怪物ならともかく、実際に棲息する動物の場合はキツイよなあ。姿形を変えるわけにもいかないし。そんなわけだから、私が考えるところの“続編の法則”にハマってしまうのよね、この手の映画は。

ただ、それにしたって、『ジョーズ』シリーズぐらい1作目とそれ以降の作品の評価が大きく離れているシリーズ映画ってのは、他に例を見ないかもしれない。
1作目の『ジョーズ』は傑作と言われ、『ジョーズ2』『ジョーズ3D』『ジョーズ’87復讐編』は駄作と言われ(実際に駄作だと思うけど)。

ちなみに今回の『ジョーズ2001』は、最初は一連の“ジョーズ”シリーズとは全く違う方向からストーリーを考えた。具体的に書くと、大量のジョーズが襲撃してくるという内容。質より量で勝負ってことね。だけど、途中で方向転換して、最終的には第1作目に近い形になってしまった。ま、別にいいんですけどね。


なお、この映画は存在自体がフィクションです。
こんな映画、実際にはありません。

 

*妄想映画大王