『悪魔の毒々ゲイシャ』:1996、アメリカ&日本
The Toxic Geisha Girl

<スタッフ&キャスト>

監督…ロイド・カウフマン
脚本…ロイド・カウフマン
製作…ロイド・カウフマン&マイケル・ハーツ
製作協力…中野貴雄

小梅…藍田真潮
鈴木徹(鈴姫)…関根勤
梅奴…絵沢萠子
良し乃…木内あきら
田中角兵衛…天本英世
手品師…マギー司郎
歌手…ルー大柴
ダンサー…ラッキー池田
福奴…清川虹子
秋奴…あき竹城
椿…田口トモロヲ
瑞木…みうらじゅん
客A…蛭子能収
客B…杉作J太郎
小玉…中野貴雄


<ストーリー>

世界には様々なサービス業が存在する。そして日本には“ゲイシャ”と呼ばれる独特のサービス業がある。キモノを着てオシロイを塗り、ザシキと呼ばれる場所で歌や舞を披露し、男の客に酒を注いだり一緒にゲームを楽しんだりする。そんな女性達のことを“ゲイシャ”と呼ぶのである。
日本のゲイシャは全員、GGG(グローバル・ゲイシャ・グループ)という組織に所属している。100年以上の伝統を持つこの組織、現在の会長は梅奴(絵沢萠子)。彼女の娘である小梅(藍田真潮)もゲイシャであり、ナンバーワンの売れっ子である。

小梅はナンバーツーの売れっ子ゲイシャ・良し乃(木内あきら)と共にザシキに出た。客A(蛭子能収)&客B(杉作J太郎)と一緒にゲームをやることなった小梅と良し乃。ゲームのタイトルは「トキハカネナリ」。足の裏に金の入ったポチ袋を貼り付け、制限時間内に奪い合うというゲームだ。
小梅へのライバル心を剥き出しにする良し乃は、ドロップキックやラリアットで小梅を攻撃しようとするが、小梅がかわすので、全て客に命中。浴びせ蹴りをまともに食らった客Bの脳天はパックリ割れる。血のシャワーを浴びながら、「いやあ、すごい迫力だなあ」と喜んでいる客A。

梅奴の元を、ゲイシャの姿をした1人の男が訪れていた。男の名は鈴木徹(関根勤)。男でありながらゲイシャになることを熱望する彼は、自分をGGGに入れてほしいとお願いに来ていたのだ。しかし男を入れるわけにはいかないと、梅奴は彼の申し入れを却下する。
「じゃあいいわよ、フン。おばんですわ」と、オカマ言葉&変な京都弁で捨て台詞を吐き、去っていく鈴木徹。彼は自分と同じく「男だがゲイシャになりたい」と思う者達が集まる場所に行く。そこで彼は、「GGGに入れないのなら、自分達で組織を作るわよ」と宣言する。

こうしてオカマゲイシャ組織GGGG(グレート・グリッターリング・ゲイシャ・グループ)が結成された。リーダーは鈴木徹、ゲイシャ名は鈴姫。鈴姫率いるGGGGは、自分達が座敷に出るためにはGGGが邪魔だと考える。
鈴姫達によるGGG潰しが始まった。座敷を襲撃し、ゲイシャを襲う。頭を壺に押し込んで投げ飛ばしたり、ビール瓶を口に突き刺して殺したり。逃げようとする客にはGGGGの名刺を渡し、「アタシ達を座敷に呼んでね。呼ばないと殺しちゃうわ」と言ってウインクしたりする。

梅奴はGGGの幹部を召集し、緊急会議を開く。福奴(清川虹子)や秋奴(あき竹城)と共に対策を協議しようとする梅奴だが、そこへ鈴姫とGGGGメンバーが乱入。ライフルを撃ちまくり、梅奴と幹部連中を皆殺しにする。
小梅はGGGGに追われ、なぜか原子力発電所の近くを逃げていた。そこへ鈴姫も駆け付け、小梅を捕まえる。小梅は手足を縛られ、重りを付けて池に放りこまれる。そこは原発から垂れ流される猛毒の廃液が溜まっている池だった。沈んで行く小梅を見ながら大笑いする鈴姫。

GGGGは組織の発足とGGG壊滅を記念して盛大なパーティーを開く。特別に設置された舞台ではショーが始まった。手品師(マギー司郎)はネタが面白くないので、箱に入れられる。曲に合わせて剣を何本も刺され、箱を開けると血だらけで死んでいる。
歌手(ルー大柴)は歌が下手なので、マイクを肛門に突っ込まれて口まで通され、死亡。ダンサー(ラッキー池田)は動きが気持ち悪いので、熱した鉄板の上で踊らされ、全身黒コゲになって死亡。最後は鈴姫が奇妙な振り付けでオリジナルソングを歌い、パーティーは終了。

一方、小梅は奇跡的に池から脱出していた。しかし毒液を全身に浴び、醜い姿に変貌してしまっていた。フラフラしながら彼女が辿り着いたのは老人ホーム。そこで小梅は昔の上客だった田中角兵衛(天本英世)と出会う。
完全に姿の変わった小梅だが、田中は完全にボケてしまい、そういうことは気にならないらしい。ホームに住む他の老人も同じく。というわけで、そこで暮らし始めた小梅。体力も回復し、老人達とテレビを見たり、ゲートボールをしたり、俳句を読んだりする。

GGGGは完全に座敷を占拠するようになっていた。椿(田口トモロヲ)と瑞木(みうらじゅん)はギターを持って座敷に登場し、変な歌を披露。続いて鈴姫が登場し、クレイジーな踊りを披露。それを見るのは客Aと客B。客Bは額が割れているので、ガムテープで貼り付けてある。
気持ち良く接待している鈴姫の元へ、部下の小玉がやって来た。なんと小梅と名乗る毒々ゲイシャが老人ホームで暮らしているというのだ。それは毒の池に沈めて殺したはずの小梅に違いない。思わず客Bのガムテープを外す鈴姫。血のシャワー再び。

「生かしておかへんわよ!」と変な京都弁で叫び、GGGGのメンバーを引き連れて老人ホームを襲う鈴姫。銃を撃ちまくり、老人を殺しまくる。小梅を見つけた鈴姫はバズーカ砲を発射するが、小梅は田中を盾にして攻撃を回避する。
グチャグチャになった田中の肉片の一部を見て、「なんてことを!許さない!」と怒り爆発の小梅。鈴姫は力士、ニンジャ、メガネ、カメラ、チョンマゲ、カンフー、カラテと様々な軍団を小梅にぶつけるが、小梅はちぎっては投げ、ちぎっては投げで全員を倒す。

鈴姫は最終兵器を呼び出す。現れたのは良し乃。しかし彼女は改造され、ゲイシャロボットになっていた。パワーを貯めてオッパイロケットを発射する良し乃。しかし小梅は近くに倒れていた老人をバット代わりにして、ロケットを弾き返す。ロケットを食らった良し乃は爆死。
最後に残った鈴姫は銃を乱射しながら突っ込んでくるが、小梅は手刀で首をスパッと切り落とす。地面に落ちた鈴姫はやたら喋りまくるが、小梅が足で踏んづけて地面に埋め込ませる。残った体は串に刺し、炎に投げ入れる。

しばらく経って小梅はGGGを再結成し、新しい会長に就任。再びゲイシャの世界に活気が戻ってきたのでありました。めでたし、めでたし。


<解説>

下品なクズ映画ばかりをひたすら作り続けているトロマ社が、日本を舞台にして作り上げた作品。ロケ地は東京で、登場するのは全て日本人。日本のトラッシュ・ムービーの第一人者である、中野貴雄が製作に協力している。
トロマ社は「毒々」と付くシリーズを多く製作しており、この映画はそれのゲイシャ版である。ロイド・カウフマン&マイケル・ハーツは『悪魔の毒々モンスター』を作り出した名コンビであり、トロマ社が誇る黄金コンビである。

出演者には個性的な顔ぶれが揃った。特に関根勤は『悪魔の毒々モンスター』シリーズの2作目と3作目にも出演しており、トロマ御用達といった感じである。彼のハイテンションでクレイジーな演技が、トロマのテイストに見事なぐらいハマっている。

下品で幼稚でナンセンス。チープな見世物小屋感覚。この作品が我々に提示するのは、まさにトロマ映画の真髄である。「くだらない」と言わせる面白さが、たっぷり詰まっているのだ。


<蛇足>

ロイド・カウフマンは関根勤氏を主演にした映画の台本を既に作り上げており、実際にテレビ東京の協力で製作されるはずだったらしい。ところがバブルが崩壊してテレビ東京がスポンサーを降りてしまい、この話は立ち消えになったということだ。
ロイド・カウフマン監督で関根さん主演のバカ映画、是非とも見てみたかったなあ。今からでも遅くはないから、どこかの会社がスポンサーになってくれないかなあ。


なお、この映画は存在自体がフィクションです。
こんな映画、実際にはありません。

 

*妄想映画大王