『ゴーストハンターズ2』:1998、アメリカ
Big Trouble In Big
Apple
<スタッフ&キャスト>
監督…ジョン・カーペンター
原案…ジョン・カーペンター&カート・ラッセル
脚本…デイナ・オルセン
製作…デブラ・ヒル&ジョン・カーペンター&カート・ラッセル
製作総指揮…アーノン・ミルチャン
アクション監督…ホン・ヤンヤン
特殊視覚効果…スクリーミング・マッド・ジョージ
音楽…ジョン・カーペンタージャック・バートン…カート・ラッセル
リー・マンホー…ホン・ヤンヤン(熊欣欣)
レイファン…ジョアン・チェン
コーディー・ブレッカー…ジェームズ・ルッソ
ティファニー・マローン…デビ・メイザー
バード・シェン…ヴィクター・ウォン
<ストーリー>
ジャック・バートン(カート・ラッセル)はトラック運転手。ある夜、彼がトラックを飛ばしていると、道端から女性が飛び出してきた。慌てて車を止め、倒れている女性に駆け寄るジャック。近くに転がっていた水晶玉を触ると、女性は急に立ち上がり、水晶玉を奪い取って一瞬にして姿を消す。
事態が飲み込めずに呆然としているジャックに向かって、前方から走ってきた男が声を掛けてきた。水晶玉を持った、目の吊り上がった中国人の女を見なかったかというのだ。ジャックがたった今遭遇した出来事を男に話すと、男は驚く。男の名はリー・マンホー(ホン・ヤンヤン)。少林寺の僧侶だという。リーによれば、その女は中国で封印されていたレイファンという妖怪らしい。だが侵入者の所為によって封印が解かれ、レイファンは復活。レイファンがアメリカへ渡ったため、リーは退治するために追ってきたのだという。
ジャックは水晶玉に触ってしまったが、それに触った男はレイファンと結婚せねばならないという。しかも、結婚すればその男も妖怪になってしまうのだという。レイファンが再びジャックに接近してくると考えたリーは、ジャックに付いて行動することにした。町を徘徊していたレイファン(ジョアン・チェン)は、コーディー・ブレッカー(ジェームズ・ルッソ)という男にナンパされる。レイファンを路地裏に連れ込んでレイプしようとしたコーディーだが、レイファンの妖術に掛かってしまう。
コーディーはレイファンの手下となり、彼女の命令に従うようになった。ジャックが行き付けの喫茶店で食事をしている。リーも彼にピッタリとくっ付いている。店には新しいアルバイト女性ティファニー・マローン(デビ・メイザー)が入っていた。バツイチだという彼女をからかったことで、ジャックとティファニーは言い争いになる。
そこへレイファンが現れた。慌てて攻撃を仕掛けようとするリーだが、不意を突かれたため、レイファンの妖術で金縛りにされてしまう。レイファンはジャックに向かって、「あなたは私の夫になる男だ。これは間違いの無い真実だ」と告げる。目の前で妖術の力を見たジャックはビビりながらも断ろうとするが、「なぜ結婚できないのか」と執拗に追及され、近くにいたティファニーを抱き寄せて「実は彼女と結婚する約束をしている。彼女との約束が先なので、君とは結婚できない」と口からデマカセを言ってしまう。
ティファニーを恐ろしい顔でにらみながらも、「なるほど」と言って姿を消すレイファン。ホッとするジャックだが、勝手に結婚相手にされたティファニーは怒る。金縛りの解けたリーは、「これでレイファンがすんなり引き下がるわけがない」と言う。喫茶店の外に出たティファニーに、コーディーと彼の率いるギャング団“ワイルド・ホークス”が襲いかかろうとする。それを目撃したジャックとリーは急いで駆け寄る。リーが得意のカンフーでワイルド・ホークスを蹴散らす。退散するワイルド・ホークスの向こうに、レイファンの姿があった。
レイファンがティファニーを殺してジャックを自分の夫にしようとしていることが分かり、ジャックはティファニーを守らざるを得なくなってしまう。彼はレイファンとの結婚を無効にする方法がないかとリーに尋ねる。リーは妖怪に詳しい先生がいるので、彼に会いに行こうと言う。ジャックとリーはティファニーを連れてニューヨークにやって来た。彼らは妖怪のエキスパートであるバード・シェン(ヴィクター・ウォン)に会う。ジャックが「エッグ・シェンを知っているか」と聞くと、「彼とは双子の兄弟だが、卵より鳥の方が上だ」と答える。
バードの家には妖怪に関する文献や、様々な種類の武器が置いてあった。長い紐の先に小さな鉤爪の付いた物を見ていたリーに、「気に入ったのならプレゼントしよう」と言って強引に手渡すバード。断ることもできず、リーはポケットにしまい込んだ。バードによれば、結婚を無効にする方法が一つだけあるという。それには古の時代にレイファンを封印した伝説の勇者ホンサンの秘伝書が必要らしい。その秘伝書がオークションに出品されることを知り、会場に向かうジャック達。
会場では既にオークションが始まっていた。しかし、金の無いジャック達に落札することは不可能だ。オークションの行方を見守っていると、一人の紳士が秘伝書を落札した。オークション終了後に紳士に話し掛けてみるが、秘伝書を譲ることはあっさりと拒否される。その紳士の後を付けたジャック達。彼は一軒のクリーニング店へと入っていった。物陰から様子を伺っていたジャック達の目の前で、紳士は急に姿を変え、毛むくじゃらの怪物になってしまった。ティファニーが声を出したため、怪物に気付かれてしまう。
怪物はレイファンの手下だった。ジャック達が秘伝書を手に入れることを予期していたレイファンが先手を打っていたのだ。怪物と戦闘になるが、ジャックとリーが2人で飛び掛かっても、怪物の凄まじい力に跳ね返されてしまう。ティファニーは店の奥にあった業務用のスチーム機を発見し、そのことをジャックとリーに伝える。ジッャクがオトリになって怪物をスチーム機におびき寄せ、リーが渾身の飛び蹴りを食らわす。スチーム機に怪物がぶつかった瞬間、ジャックが機械のスイッチを入れる。
怪物はスチームの威力で弱っていくが、「ただでは死なない」と言って秘伝書を抱えたまま自爆。瞬時に伏せたため助かったジャック達だが、秘伝書は怪物と共に消滅してしまった。仕方なく、彼らは再びバードの元へ行って助言を仰ぐことにした。ティファニーが体の汚れを落としたいと言うので、彼女にシャワーを浴びさせ、その間にバードからアドバイスを受けるジャックとリー。秘伝書が消滅したため、もはやレイファンを退治する以外に結婚を無効にする方法は無いという。
その時、浴室で悲鳴が聞こえた。慌てて行ってみると、レイファンがティファニーをさらっていこうとしていた。ティファニーの手をつかんで引き止めようとするジャック。しかし、レイファンはティファニーとジャックと共に姿を消してしまった。残されたリーは、ホンサンの剣を手に入れればレイファンを倒せるだろうとバードから告げられる。その剣はお化け屋敷と噂されるロートン屋敷の地下に保管されているはずだと聞かされ、リーは早速ロートン屋敷へ向かった。
ロートン屋敷にはレイファンが棲んでいた。レイファンはティファニーを監禁し、ジャックを拘束して結婚式の準備を進めていた。手伝うのはコーディーとワイルド・ホークスのメンバー。しかしワイルド・ホークスはレイファンの妖術に掛かっているわけではないので、渋々手伝っている。
ロートン屋敷に潜入したリーは、地下を探索する。そして彼はやけに見張り役の多い部屋を発見。見張り役を倒して中に入ってみると、そこにはホンサンの剣があった。しかし剣を手に取ろうとした瞬間、見えない力で跳ね返される。レイファンの妖術で見えない壁が作られていたのだ。いよいよ結婚式の準備は整った。後ろ手に縛られ、自由に動けない状態のジャックは、コーディーに押さえ付けられてレイファンの隣に立たされる。ついに結婚の儀式が始められ、誓いの接吻が交わされようとしたその時、リーが飛び込んで来た。
ワイルド・ホークスの面々を倒してレイファンに迫るが、見えない波動で弾き飛ばされる。レイファンがとどめを刺そうと近付いた時、光線が彼女を弾き飛ばした。駆け付けたバードの力によるものだった。彼もまた妖術の使い手だったのだ。バードは自分が戦っている間にジャックを助けてホンサンの剣を入手するようリーに言う。リーはジャックの拘束を解き、2人で地下室へと戻る。ジャックが剣を握ると、今度は簡単に抜くことができた。しかし次の瞬間、壁から何匹もの植物妖怪が現れる。
一方、バードはレイファンに傷を負わせたものの、自らもパワーを使い果たしてしまった。レイファンはその場から退却し、屋上へと上がっていく。激闘の末に植物妖怪を倒したジャックとリーはバードから言われ、レイファンを追って屋上へと向かう。屋上ではティファニーが壁に磔にされていた。その前に立ち塞がり、ティファニーを助けたかったら自分と結婚しろとジャックに迫る。ジャックが断ると、レイファンはティファニーに向かって波動を発射しようとする。だがジャックがホンサンの剣を投げ付け、レイファンの腕に命中させる。
レイファンが苦しむ間にリーがティファニーを救出。しかしホンサンの剣はレイファンの近くに落ちたままだ。剣が無くてはレイファンを倒すのは無理。怒りに狂ったレイファンの攻撃を受けてしまうジャック。さらに助けようとしたリーも跳ね返される。レイファンがジャックに向かって強烈な波動を発射しようとした時、リーがポケットにあった小さな鉤爪付きの長い紐を剣に向かって投げ付けた。バードの家でプレゼントされた物だ。その鉤爪が剣の柄に引っ掛かり、引っ張ると同時に空中に剣が飛び上がった。
リーは自らジャンプして剣に蹴りを見舞い、飛んできた剣をジャックがキャッチする。すかさずジャックは剣をレイファンに振り下ろす。レイファンは苦しみ始め、そしてまぶしい光を発しながら、大きな音を上げて爆発してしまう。
どうにかレイファンを退治したジャック達はバードに結果を報告。ジャック、リー、ティファニー、バードの4人はロートン屋敷を後にするのであった。
<解説>
香港のアクションとハリウッドのSFXが融合した映画『ゴーストハンターズ』は、ジョン・カーペンター監督作品としては珍しい、脳天気な明るさを持った作品であった。その続編を作る発端となったのは、『ニューヨーク1997』の続編である『エスケープ・フロム・LA』を製作した時のことだった。
『エスケープ・フロム・LA』を製作している際、カーペンターとラッセルは『ゴーストハンターズ』の続編も作ろうかという話で盛り上がった。それは冗談話で終わることなく、実際に舞台をリトル・チャイナからニューヨークに移した続編が生み出されることになった。監督は前作に続き、『ハロウィン』『遊星からの物体X』など多くのB級SF映画を作り出しているジョン・カーペンター。彼は音楽も担当している。原案はカーペンターとカート・ラッセルで、それを『メイフィールドの怪人たち』『ジャングル・ジョージ』のデイナ・オルセンが脚本として仕上げている。
製作はカーペンターとラッセルの2人に加え、『デッドゾーン』『フィッシャー・キング』のデブラ・ヒル。製作総指揮は『ヒート』『ファイト・クラブ』などヒット作を連発するアーノン・ミルチャン。SFXは当初、前作と同じくリチャード・エドランドが担当する予定だったが、彼が社長を務めるボス・フィルムが倒産した直後だったこともあり、前作ではエドランドの下でクリーチャーを製作していたスクリーミング・マッド・ジョージと彼の会社SMGエフェクツが担当している。
ジャック・バートン役はもちろん前作に引き続き、『バックドラフト』『ブレーキ・ダウン』のカート・ラッセル。相棒となるリー・マンホーには『ワンス・アポン・ア・タイム/天地大乱』『ブレード/刃』のホン・ヤンヤン。彼はアクション監督も務めている。
レイファン役は『ラストエンペラー』『沈黙の要塞』のジョアン・チェン。コーディー役は『俺たちは天使じゃない』『孤独の絆』のジェームズ・ルッソ、ティファニー役を『スペース・トラッカー』『コーザ・ノストラ』のデビ・メイザー。バード役は前作でエッグ・シェンを演じ、他に『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』『ゴールデン・チャイルド』等に出演しているヴィクター・ウォンである。
<蛇足>
ジョン・カーペンターが監督でカート・ラッセルが主演するというだけで、間違い無くバカなB級映画だろうという予想が付く。カーペンターとラッセルというのは、そんな組み合わせなのである。そして、『ゴーストハンターズ』はまさにバカ爆発のB級SFアクション映画なのである。
あまり一般的な評価は高くない作品だし、いくら『ニューヨーク1997』の続編である『エスケープ・フロム・LA』を作った2人とはいえ、おそらく実際に続編が作られることは無いだろう。でも、一部のマニアは続編を見たがっていたりするのである。
あくまでも「一部のマニア」でしかないのだが。
なお、この映画は存在自体がフィクションです。
こんな映画、実際にはありません。