『キャノンボール・リターンズ』:2000、アメリカ&カナダ
The Cannonball Run
Returns !
<スタッフ&キャスト>
監督…ハル・ニーダム
脚本…デヴィッド・S・ウォード&ハル・ニーダム
製作…アルバート・S・ラディーリック・スピード…チャーリー・シーン
ウィリー・ホワイト…アーセニオ・ホール
バーガー・トム…ジョン・グッドマン
ブルース・チェン…ジェット・リー
カレン・ウェンリー…ミンナ・ウェン
ブリジット・マーティン…エリザベス・バークレー
クロコダイル・ダンディー…ポール・ホーガン
ディック・プレストン…パトリック・デンプシー
レニー・ザイル…マーティン・ショート
DJハリー…アル・ヤンコヴィック
警官ライアン…トム・スケリット
警官ニック…マシュー・ブロデリック
キッス…キッス
JJ・マクルーア…バート・レイノルズ
バーバラ・マクルーア…キャシー・ベイツ
ウェイン・ダーモット…ジェームズ・コバーン
ボブ・ヒューズ…ピーター・マクニコル
<ストーリー>
JJ・マクルーア(バート・レイノルズ)はその昔、キャノンボールに参加していた男。キャノンボールとは、アメリカ東海岸のコネチカットから西海岸のロサンゼルスまでの5000キロに渡るカーレースだ。
スタントマンだった彼はそのレースに2回連続で出場し、少しは有名になった。そんなJJは現在、小さな自動車工場を経営している。彼は同時に“自動車で好き勝手に走りまくろう”党、通称CAR党の党首でもある。
といってもCAR党は非常に規模が小さく、党員はわずか100人くらい。妻バーバラ(キャシー・ベイツ)からは「恥ずかしいからやめて」とまで言われる始末。
それでもJJは得意満面なのである。そんなJJの元に、何通もの手紙が送られてきた。内容は全て同じ。キャノンボールを復活させてほしいという要望が書かれてあった。どれも字が似ているのは気になったが、JJは自らの手でキャノンボールを復活させることに決める。
一方、ある場所でせっせと手紙を書いている男がいた。「キャノンボール復活要望」という内容。この男が1人で手紙を書き、それぞれ別の場所から投函していたのだ。「また間違えて自分の名前を書きそうになっちまった」と言って、男は自分の名前を消そうとする。
男が消そうとする自分の名前は「ハル・ニーダム」。キャノンボール復活を決定したのはいいが、JJは優勝賞金を出すほど金持ちではない。「なんせ昔は自己破産もしたしなあ」とつぶやくJJ(バート・レイノルズは実際に自己破産の経験がある)。
そこで彼はCAR党の熱心な党員であるレニー・ザイル(マーティン・ショート)を出場させ、彼に優勝させようと考える。そうすれば賞金は出さなくてもいいわけだ。JJがキャノンボールを復活させることを知って怒っている人がいた。それはCAR党を嫌う“安全運転に気を付けよう”党、通称DRIVE党の党首ウェイン・ダーモット(ジェームズ・コバーン)。
ダーモットは秘書のボブ・ヒューズ(ピーター・マクニコル)と相談し、安全運転を否定するキャノンボールを潰さなければならないと考える。さて、レース当日。スタート地点には多くの参加者が集まった。まずは、レーサーでスピード狂のリック・スピード(チャーリー・シーン)とメカニックの相棒ウィリー・ホワイト(アーセニオ・ホール)。
自分の名声を広めようとやって来た中国出身のブルース・チェン(ジェット・リー)の姿もある。とにかく派手なことが好きで参加したセクシーな女性ブリジット・マーティン(エリザベス・バークレー)もいる。ハンバーガー大好きの大食漢バーガー・トム(ジョン・グッドマン)は、ハンバーガー代を稼ぐために参加。相棒は怖い目をしたネズミの着ぐるみを身に付けた男、愛称チャッキー・マウス(チャイルド・プレイのチャッキーとミッキーマウスを掛け合わせたような着ぐるみを着ている)。
クロコダイル・ダンディー(ポール・ホーガン)はオーストラリアからアメリカに来たばかりで、何が何だか分からない内に参加。もちろんCAR党のレニーも参加。そして、このレースを妨害しようとするダーモットとヒューズも参加している。スタート直前、ブルースが車の点検をしていると、慌てて走ってきたカレン・ウェンリー(ミンナ・ウェン)とぶつかった。イヤな男に追われていると言うカレンは、助けを求めて強引にブルースの車に乗り込んでくる。
ブルースが抵抗する暇も無く、スタートの合図が鳴らされた。彼はカレンを乗せたまま、車を走らせることになった。DJハリー(アル・ヤンコヴィック)がレースの様子をヘリで追跡しながら実況する。飛び出したのはレニーの乗るGMのシボレーコルベット。改造に改造を重ねた特別車は、ものすごいスピードで他の車を引き離す。
一方、ダーモット達の乗るフォルクスワーゲン・シャランはゆっくり走っている。ヒューズが党の規則に従い、安全運転を心掛けようとしているからだ。ダーモットは「巨悪を壊滅させるためには我々もリスクを負わねばならない。涙を飲んで、特別に党の規則を破るのだ」と、妙な理屈を付けて速度を上げさせる。ランボルギーニ・ディアブロに乗るリックとウェインは、モトグッチ1100SPORTに乗るブリジットの横を走っていた。ブリジットに誘惑されていたのだ。ウェインがその気になるが、リックは「悪いな、俺はミッキー・ロークでもマイケル・ダグラスでもないんだ」(2人とも女好きで有名)と言ってスピードを上げる。残されたブリジットは「何よ、アンタも同じようなモンでしょ」(チャーリー・シーンの女好きも有名)と言い放つ。
ローバーミニに乗るバーガー・トムはチャッキーと話しながらレースをしている。ノンキな感じのトムに対し、毒々しい言葉をたっぷり投げ掛け、トムをバカにしているチャッキー。「俺はネズミでお前はブタ。アニマルコンビだな、ケケケ」などと言っていたりもする。ホンダのアコードを運転するブルースは、カレンに彼女を追い掛けている男について尋ねる。話していると、後ろから近付いてくる車がある。フォードのマスタングに乗っているその男を見て、カレンはあの男だと言う。男はブルース達の車の横に来た。
その男は笑顔でカレンに話しかけてくる。「どうして逃げるんだいハニー。僕の愛は君だけのためにあるのさ」などと歯の浮くような台詞を吐く男。カレンはそれが自分の昔の夫ディック・プレストン(パトリック・デンプシー)だと打ち明ける。口説き文句を次から次に並べ立てるディック。しかし道が二股に分かれている場所で、ブルース達が右の道を進んだのに、喋りに夢中だったディックは左の道を進んでしまう。
それでも口説き文句を続けながら、ディックはカレンからどんどん離れて走っていく。クライスラーのジープ・ラングラーに乗るクロコダイル・ダンディーは、自分のペースで快適なドライブを楽しんでいる。
途中でダンディーがコンビニに立ち寄ると、そこではなぜかキッス(本物)が買い物をしている。奇妙なメイクの彼らを見たダンディーは「君達、バンドでもやったらどうだい」と言う。ヒューズはダーモットに「どうやってレースを妨害するんですか」と尋ねていた。しかし実は何も考えていなかったダーモット。とりあえず参加車を運転不能にしてしまおうと考え、前の車を追うためにさらにスピードを上げろと要求。ヒューズが「でも…」と言うのを遮るように「いいから飛ばせ」と命令。
命令通りにスピードを上げたヒューズ。しかしその時、車はちょうど大きなカーブに差し掛かっていた。曲がり切れずに小川に突っ込む車。ずぶ濡れになりながら、「でもカーブがあります、と言おうとしたんですが」と言うヒューズ。さて、キャノンボールが行われているコースの脇にパトカーを止め、休憩中の警官ライアン(トム・スケリット)とニック(マシュー・ブロデリック)。猛スピードで何台もの車が通りすぎていくのを見てビックリ。次にやってきたブリジットのバイクを止めようとするが、「キャノンボールの最中よ」と言って彼女は去っていく。
一瞬、あ然と見送った2人だが、我に帰ってパトカーに乗り込み、暴走するレース参加車を追い掛ける。本部に連絡して応援を要請するライアンだが、「ゴジラが上陸したので全員がそちらへ駆り出されており、応援には行けない」と言われる。「僕もそっちが良かったなあ」と言うニック(マシュー・ブロデリックはアメリカ版『ゴジラ』に出演している)。リックとウェインはレニーの車に追いつこうとしていた。派手なカーチェイスを繰り返す2台の車。階増車両の優れた機能で突き放そうとするレニーと、華麗なドライブテクニックで追い掛けるリック。同じ頃、バーガー・トムとチャッキー・マウスはバカな会話をしながらレース中。
ブルースの車にブリジットが近づいてきた。今度はブルースを誘惑しようとするブリジット。しかしカレンと言い合いになってしまう。言い争いの中、カレンはブリジットに「何よ、ショーガール上がりのくせに」とキツイ一言(エリザベス・バークレーは『ショーガール』というサイテー映画で主演デビュー)。ダーモットとヒューズは妨害作戦にことごとく失敗していた。だがダーモットは、奥の手としてチンピラ軍団にJJの妻バーバラを誘拐させていたことを思い出す。そこで彼はJJに連絡し、バーバラを返して欲しければレースを中止しろと要求する。
バーバラはイヤミな女だが、それでも妻は妻。JJは仕方なく、参加者に事情を話してレースを中止しようとする。しかし参加者達は「ここまで来て中止するなんて納得できない」と言い、みんなでバーバラを奪還しようと考える。ダーモットとヒューズはバーバラを誘拐したチンピラ軍団のいる小屋に到着。チンピラ軍団はバーバラのワガママぶりに手を焼いていた。ダーモットは報酬を巡ってチンピラ軍団とトラブルになるが、そこへキャノンボーラー達が駆け付ける。
チンピラ軍団と格闘になるキャノンボーラー。ブルースは得意のカンフーで次々に敵をやっつける。後ろから襲われそうになるが、カレンがジャンプキックで救う。「やるじゃないか」と言うブルースに、「これでも元ストリートファイターよ」と答えるカレン(ミンナ・ウェンは『ストリートファイター』に出演)。リックは車の中でためらっていたが、ウィリーがカセットテープで「ワイルド・シング」の音楽を流して野球のボールを手渡す。するとリックの目の色が変わり、敵に向けて豪速球を投げる。ところがボールは敵に当たらず、とんでもない方向へ。「しまった、メガネを忘れた」というウィリー(一連の流れは『メジャーリーグ』のパロディー)。
クロコダイル・ダンディーは投げ縄で敵を捕獲していく。バーガー・トムはボーッと突っ立っているだけだが、チャッキー・マウスは狂ったように暴れまくっている。やがてチンピラ軍団を撃退し、バーバラを奪い返したキャノンボーラー達。そこでレースは再開される。ゴールまであとわずか。デッドヒートが繰り広げられるが、ゴール寸前にフォードF−150が猛スピードで追い掛けてきて、そのままトップでゴールする。乗っていたのは、なんとバーバラだ。
実は彼女、JJに「こんなくだらないレースで油を売っていないで、ちゃんと仕事をしなさい」と説教するために追い掛けてきたのだった。優勝賞金を払わずに済んだJJだったが、さんざんバーバラに怒られてしまうのであった。
<解説>
1989年のシリーズ第3作『キャノンボール/新しき挑戦者たち』から、実に11年ぶりにキャノンボールが復活した。
製作に当たったのは、シリーズを手掛けてきたアルバート・S・ラディー。監督はスタントマン出身で『キャノンボール』『キャノンボール2』の他、多くのカーレース映画を撮ってきたハル・ニーダム。脚本は『メジャーリーグ』のデヴィッド・S・ウォードがハル・ニーダムと共同で執筆している。オールスターキャストが売りのカーレース映画だけに、もちろん出演者は豪華。
まずJJ・マクルーア役は、1作目と2作目で主演したバート・レイノルズ。『ストローカーエース』や『ブギーナイツ』でも男臭い演技を見せている。
その妻バーバラに『ミザリー』『フライド・グリーン・トマト』の実力派女優キャシー・ベイツ。JJを敵視するウェイン・ダーモット役に『戦争のはらわた』『リベンジャー』など多くの映画で存在感を見せるジェームズ・コバーン。秘書のボブ・ヒューズ役は『ソフィーの選択』や『ビーン』のピーター・マクニコル。キャノンボーラーは、まず『ウォール街』『メジャーリーグ』などでお馴染みの二枚目俳優チャーリー・シーン。彼の相棒に『星の王子ニューヨークへ行く』のアーセニオ・ホール。『ラルフ一世はアメリカン』『フリントストーン/モダン石器時代』の巨漢俳優ジョン・グッドマンもいい味を出している。
格闘シーンで目立つのは『リーサル・ウエポン4』『ロミオ・マスト・ダイ』のアクション俳優ジェット・リーだ。彼と同乗するのは『ストリートファイター』『ワン・ナイト・スタンド』のミンナ・ウェン。彼女の元夫に『モブスターズ/青春の群像』『スクリーム3』のパトリック・デンプシー。『ショーガール』で華々しい主演デビューをしたエリザベス・バークレーは色気を振りまく。ポール・ホーガンは『クロコダイル・ダンディー』で演じた役そのままで出演している。JJの指令を受けたレニーは『サボテン・ブラザース』『花嫁のパパ』のコメディー俳優マーティン・ショートが演じている。
警官は『エイリアン』『コンタクト』のベテラン俳優トム・スケリットと、『トーチングトリロジー』『ケーブルガイ』のマシュー・ブロデリック。さらにパロディー歌手のアル・ヤンコビックやロックバンドのキッスも出演している。
<蛇足>
今までの中で、この作品が最も大変だった。ストーリーやスタッフ&キャストだけでなく、出演者が乗る車の種類も考えなきゃいけなかったし。私、車の知識がほとんど無いのよね。どんな車がどういう名前なのか、さっぱり分からないし。
そんなわけで、調べるのはホントに大変でございました。それでも間違ってるかもしれないけどね。何しろ車のことはさっぱり分からないから。しかし、かなり苦労しただけに、結構イイ感じになっているんじゃないかなあ。ストーリーもバカバカしくなってるし、キャスティングも結構ハマってる気がするんだけどなあ。これ、ホントに映画化してくれないかなあ。まあ無理だけどさ。
なお、この映画は存在自体がフィクションです。
こんな映画、実際にはありません。