a 百魔
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「百魔」解題

ここに掲出する「百魔」は、其日庵杉山茂丸の代表的著作として夙に知られている。
大正十五年に大日本雄辯會(現在の講談社)から出版された本書は、昭和六十三年に、講談社学術文庫に上下二巻本として収録されたが、間もなく絶版となって現在に至っている。
このため「百魔」は、通読することが困難な幻の書としても著名であり、講談社学術文庫版の復刊を望む声もあまたあるが、その可能性は杳として知れない。
しかし講談社学術文庫版は、その凡例にも「ことばづかいについては原文を尊重したが、一部配慮を加えた」と記されているように、一部の表現を改変したものであって、資料としての価値は低いと言わざるを得ない。表現改変部の一部については、本サイトの別項に検証結果を掲載しているので参照願いたい。
本サイトで復活させる「百魔」は、大正十五年の初版を底本とする決定版である。

【註記】
◆明らかな誤植については修正を施し、【】で校註を付した。
◆ルビは《》内に示した。なお、原著は総ルビであるが、難読漢字や作意にかかわると思われるもの、誤読の可能性があるものなどを除き、適宜省略した。
◆漢字の使用については、JIS第1及び第2水準の範囲内で原著に使用された漢字を踏襲した。JISで表現できない漢字については、現行の簡易字体を使用した。但し、JISが1983年の改訂時に作成した略字体(溌、顛、溢、屡などの、いわゆる「ウソ字」)については原則的に使用していない。
◆JISで表示できない漢字については「■」で置き換え、更に《》内に「※」印に続いて、その書体の表記等を記述した。
◆仮名の繰り返し記号(いわゆる「一つ点」や「くの字点」など)は使用せず、仮名に戻した。
◆原著には、今日的な観点から見れば差別的と指摘せざるを得ない表現が散見される。講談社学術文庫版は、これらの差別的表現を、出版社側の判断で改変している。この点について本サイトでは、本編は物故者の著作であり表現の改変に関して著者の了解を得ることが不可能であることや、著者の生まれ育った時代背景やその当時の人権感覚と本編の資料的価値とに鑑み、原著に忠実に覆刻している。


百魔目次

十二、槿花一朝の夢
十二、京釜鐵道引受の魂膽
十四、劉宜、奧村兩雄晴れの御前試合
十五、從容死を待つ一代の傑僧
十六、異郷の天地に星一氏と遇ふ
十七、希望に輝く青年の意氣
十八、至誠天地を動かす
十九、星氏一生涯の光榮
二十、星の熱誠米人を感動せしむ
二十一、人間の最高目的を達成して
二十二、和魂米才主義の人
二十三、伊藤侯の知遇を得て
二十四、新聞賣子より製藥王となる
二十五、政界の巨人後藤象二郎伯
二十六、勘當された後藤小伯猛太郎氏
二十七、猛太郎氏土方宮相を怒らす
二十八、一躍銅山成金となる
二十九、妾付借金三十六萬圓付の居候
三 十、兒玉總督に大人物を推薦す
三十一、某維新元勳の遺骨を拾ふ
三十二、噫稀世の英才後藤小伯
三十三、男勝りのお菊媼
三十四、絶世の美貌が禍して
三十五、纖弱き腕に強盜を生捕る
三十六、血の雨降らす漁場爭ひ
三十七、天下無双の女丈夫
三十八、奇才縱横の俳人錢六
三十九、鯛の眼球吸物の縁起
四 十、遺産爭ひ解決の妙案
四十一、化物屋敷發掘
四十二、贋山伏退治
四十三、魔人龍造寺隆邦
四十四、家運挽回に志す勇少年
四十五、十一歳の少年大山師
四十六、稀代の兇賊を手捕にす
四十七、奇計を案じて戀病を癒す
四十八、男子志を決して立てば
四十九、突如來訪せる怪紳士
五 十、祖國の危機を憂へて
五十一、厄介な國事道樂者
五十二、支那は永久亡びぬ國
五十三、庵主が懷抱せる支那政策案
五十四、一世の巨豪癌腫に斃る
五十五、夜陰に響く鐵鎚の音
五十六、榎本武揚を救つた大西郷
五十七、フランネルとモンパの爭ひ
五十八、一攫千金の有利事業
五十九、萬死に一生を得たる幸運兒
六 十、庵主の口添へが一擧六十萬圓
六十一、寡言默行の志士
六十二、北陸の傑士廣瀬千磨
六十三、大阪毎日新聞の成立
六十四、大義名分を以て後藤伯に説く
六十五、胸底深く疊んだ一大秘事
六十六、星亨の乾分を威嚇す
六十七、終焉に侍る巨頭の面々