田中峰彦・理子・三木俊治・理恵の4名ティームで、韓国国立国楽院を訪れ、
学術交流を行った。
日本側としては京都市立芸術大学で三木の作成した楽器図録の謹呈を
主目的にし、韓国伝統音楽の奏者と、ひょうたんとの将来的な演奏交流
も視野に入れた、日韓交流の提案も行った。
折りしも国楽院では、伝統楽器の改良を目的とした「楽器研究所」が
発足したばかりで、研究所担当者との楽器開発に関する情報交換も
行われ、大変有意義な交流となった。
関空にて
国楽院
韓国の伝統音楽の本拠地で、研究者の集まった研究棟、博物館、
ホールそして新しく開設した楽器研究所などの複数の建物から成る。
担当者・李氏と出会う
図録の贈呈式
三木が京都市立芸術大学で取り組んできた田辺尚雄の楽器資料
を贈呈した。韓国側は田辺尚雄の韓国における功績について周知しており、
大変喜ばれるとともに、芸大における田辺資料の詳細について
詳しく聞かれた。
博物館の見学
国楽院に併設される博物館では、世界各地の楽器と、韓国の名人
とその使用した楽器等が展示されている。
この写真は、国外の楽器展示室である。
説明を行う李氏
名人室
伝統音楽の大家とその使用楽器を展示した部屋
正倉院の復元楽器展示
日本の正倉院は、唐代の楽器が温存されている
貴重な資料庫として、韓国・中国の研究者が
交流している。
これは正倉院の筝を復元したもので、伝統楽器の
製作家に依頼して特別製作したものとの事。
伝統芸能リハーサルの見学
丁度ホールにて、パンソリのリハーサルが行われていた。
ピリ(ヒチリキ)の強力な音響が印象的であった。
●楽器研究所の見学
新しく開設されたばかりの楽器研究所では、テグム(横笛)
センファン(笙)カヤグム(筝)など、さまざまな楽器の開発
作業が行われている。早速担当者と「楽器開発談義」と
なる。
研究所の工具類
研究所、とはいっても、大きな国楽院の中ではひとつの
部屋に過ぎないし、担当者もまだひとりだけであるが、
工具類は精度のいいものを使用していた。
音律測定用の電子チューナーはやはり日本製であった。
電子チューナーは、日本製が世界を席巻している。
テグムの材料
巨大な竹笛「テグム」の改良型は、竹を割って再び張り合わせる
日本の笛と同じ工法を採用している。最新の技術が日本の
古来の技術とオーバーラップしているのは興味深いものが
ある。
センファンのリード作り
韓国の笙は「センファン」と言う。この楽器のリード製作
風景も見せてもらった。
改良型テグムの試奏
テグムを吹かせてもらったが、専門奏者でないために
伝統楽器との違いが出なかった。
センファンのリード製作について解説する担当者
改良伝統楽器とオーケストラのリハーサル風景
別のホールで、改良ヘグム(胡弓の仲間)と西洋オーケストラ
による現代作品のリハーサルがあるというので見学。
チケットを頂いたので、この後、夕刻に改めて国楽院
ホールで行われた本番を見せていただいた。
ヘグムは、伝統的な「泣き」の入る奏法を生かしながらも
オーケストラの平均律にも合わせるなど、実験的な試みから
洋楽との折衷をすすめている、という印象だったが、
バッキングのオーケストラの水準、リハーサルがいまいち
だったのが残念だった。
ヘグムでコンチェルトを演奏するというテーマについて
も、その必然性みたいなものはあまり感じられなかった。
今回の交流では、伝統音楽を生かしつつ、新しい時代に
発信してゆこうとする国家的な強い意思を感じたし、伝統が
楽器研究所、という形で科学的に分析され、色々な開発
行為となって結実しているありさまを見るのは、楽器製作者として
とてもうれしい交流だったし、現場レベルで色々と楽器の
話ができたのも大きな収穫だった。
将来的に、新しい日本文化、ひょうたんオーケストラと、
韓国の新しい楽器群で交流ができれば、さぞかし面白い
であろうと思われた。
【食文化と「韓国で発見したひょうたん文化」】
屋台へ繰り出す
宿が南大門(ナンデムン)の近くだったので、市場に繰り出す。
ありとあらゆる食べ物屋、屋台、食堂のメッカである。
印象としては、大阪の鶴橋のビッグ版という感じだが、
もっと派手でカラフルである。キリスト教もさかんなので
いちばのそこここにケバケバしいクリスマスツリーが飾られ、
東京渋谷的なパワーもある。
トンソクの専門店
●ひょうたん屋を発見!
南大門の地下街で、ひょうたんの専門店を発見する。
全長60センチ以上の巨大なものから、小さいものまで、ひょうたん
とその加工品に集約して売られているのには驚くと同時に
うれしいものがあった。
ただ、日本と異なり、ほとんどのひょうたんが縦割りになって
いて、ひしゃくのような形で売られている。
水汲みに使っていた昔のなごりであろうか。
ひょうたん屋の主人と
韓国の虫食文化発見!
コンビニ、スーパーで普通に売られていて、日本では絶対
ないもの
「蚕のさなぎの缶詰」
を発見。早速、作曲家の三木理恵が試食。
「一言で言うと海老ですねえ。みためも似てるし」
との感想だった。
コンビニで売られるほど一般的なのであるから、これは
酒の肴なのである。しかし蚕、といえば中国雲南近辺の
照葉樹林文化。こんなところにもシルクロードの大きな
足跡があるのに感動した。
帰国後、大阪外国語大学のベトナム語学科教室に理恵が
持っていって試食会をしたところ、教授の冨田健次さんを始
め「OK派」 と、「ダメダメ派」に二分されたらしい。
焼肉
韓国ではムルキムチ(水キムチ)のいいものを食べたいと
思っていたが、焼肉屋でそれにありつけるとは幸運だった。