特集 総合芸術への進出

〜現代神話〜 アルティ・ブヨウ・フェスティバル 2004/2/7〜8

原作・楽器製作・音楽・演出 :三木俊治
振付・舞踊 :花嵐(コンテンポラリー・ダンス)

コンテンポラリーダンスと、いままで世界に存在しない斬新な楽器群、
そして宇宙観を表現した壮大なストーリー。
京都府立府民ホール「アルティ」主催の、第2回アルティ・ブヨウ・フェス
ティバルで発表された神話作品を紹介します。
競争率18倍の公開オーディションを突破し、三木がシナリオ・ライター
としてのスタートを切った作品でもあります。この作品によって、ひょうフィ
ルは単なる音楽集団、から総合舞台芸術へと踏み出しました。
この作品は、国内外で有料公演を行います。お問い合わせは音楽文化
総合研究所まで。

ダンサー(花嵐)と奏者群全景

この作品の楽器は、全て新作。それぞれが神話の一部として
カミやヒトの象徴的役割を担っている。

「極低音ひょうたんハープ」 (古典的天空神のシンボル・男神) 
       ・・・・・・ひょうたんを共鳴胴に用い、4m近い弦を張った、
           可聴限界に迫る極低音を発するハープ。
           セミエレクトリックになっている。
「八角鼓」 (古典的大地母神のシンボル・女神)
     ・・・・・・・・直径1mの巨大なフレームドラム。
           これだけはひょうたん製でないが、音程の変化しない
           和太鼓と異なり、フレームドラム構造になっている
           ため、メロディーが演奏できる。さらに重低音が腹
           にこたえる。
「弦管楽器」(人間界の楽器のシンボル)
       ・・・・・新しいシステムの楽器で、弦の振動エネルギーで
           ひょうたん製のラッパを鳴らす。
           ‘弦管楽器’という新しいジャンルをも作った楽器。
「西還」(人間界の楽器のシンボル)
   ・・・・・・・・・・ひょうたん製の三弦。
           ただし音色は三味線系ではなく、より豪放。 


(おおまかなあらすじ)
混沌とした世界。そこには色も形も顔もない、様々なエネルギー
だけが存在した。
やがて深淵のような闇の中から、異形のカミガミが姿をあらわす。
徐々に数を増し、形を作って行くカミガミ達。見知らぬカミガミの出現
に人々は震撼し、畏怖するが、人智を越えたカミガミのふるまいに
なす術なく立ち尽くすしかない。
しかし最後には、あるもの全ては想像もつかない、けた違いに大きな
別の力によってクロス・フェードされ、その中に飲みこまれて行く。

*原作で意図したものは、文明化の過程で放逐されてしまった
 アニミスティックな世界を現代に復活すること。
 現代のカミガミとは、一体何か?という問いの答えを、
 ハイテクと人間疎外という普遍的な現象に求め、その世界を
 音と踊りで表現したいと思った。
 現代の未知のカミガミ、と言えばさしずめ「ナノテク」「核兵器」
 「遺伝子組替え」などといったところかも知れない。
 こいつらは、ヒトの手を離れて何をするかわからない。
 そういったものに対する生理的恐怖感を表現するため、楽器も
 既存のものではダメ。新開発の超音波笛、極低音のハープなど
 は、その目的を達してくれたと思う。 



4mの巨大ハープとシンセサイザをコントロールして闇の世界を
創り出す三木理恵

現れたカミとその踊り〜手前は大森

‘ヒト’の音楽を柿右衛門で演奏する大森

右上の巨大なフレームドラムが繰り出す重低音の中で、
カミガミとヒトが踊り狂う

フィナーレで、すべてを飲みこむ宇宙の圧倒的な
営みを三弦で表現する高橋。

《新作楽器の中でもスターの楽器》
今回特別に製作された楽器の中で、もっとも特異な笛「風神」。
差音を利用し、2つの周波数を微妙に調整することで、超音波を
発する機構を持つ、全く新たなシステムの楽器である。

笛の類は、文化人類学的にみると楽器であることと同時に
祭礼具である事が多く、笛を吹いてカミをおろすとか、笛を吹いて
清める、といった事実が多く認められる。
まさに、神話の世界とは密接な関係があると言える。

楽器という部分での笛は、個人的な娯楽からコミュニケーション
の道具としての存在、催しのBGMなど様々な機能がある。
特に東アジア〜東南アジアでは、現在でもひょうたんや竹の笛
が歌垣のメディアとして用いられており、言葉を介しないコミュニ
ケーションが多岐にわたる事を実証している。