国際平和シンポジューム2009 in 広島
      〜核廃絶への道〜

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        8月1日、シンポジュームは秋葉市長の開会あいさつから始まりました。
   秋葉市長からは、6日の平和宣言に重複する部分と「核軍縮を進めようとしている
   オバマ大統領の構想へ日本政府が核による抑止を強調することで障害になることの
   ないようにお願いしたい・・」という旨の発言があり、唯一の被爆国日本の政府が、
   核軍縮への足を引っ張っているのかと驚きました。
    シンポジュームの基調講演は、アメリカの平和運動家のブルース・ギャニオンさん。
   「現代の戦争は軍事衛星で制御されている。アメリカは衛星を使って地球上のどこでも
   標的にできる。オバマ政権ですら、石油などのエネルギー確保のためにアフリカへの展開を
   戦略目標にし、アフリカでの最大のライバルは中国。日韓で進む米軍再編は北朝鮮を理由に
   しながら真のターゲットは中国だ。中国も周辺国との経済・軍事同盟を強めている。
   宇宙兵器禁止の条約が提唱されている今、オバマ大統領が試される時だ。
   核軍縮と同時に宇宙の非軍事化を早急に実現しなければ地球は存続できない。」
    その後トークセッションで、広島・長崎両市長が呼びかけた「平和市長会議」に
   アメリカの市長を参加させるように署名活動をしているアメリカの若者や広島出身の
   在オランダ大使館職員の女性が「私たちが被爆者から直接話を聞ける最後の世代だから、
   次世代に伝える義務がある。」など若い人たちの積極姿勢に感動。
    パネルトークではプラハ発言を踏襲して、「核なき世界へ」「核の傘なき日本へ」
   ということが、日米の有識者で話し合われました。
    医師の片岡勝子さんの「核兵器廃絶のためには人間の知性だけでは不十分、
   五感働きかけ喜び、怒りや恐れや悲しみといった感情が行動にうつる強い意志を育てる。」
   という話に納得。被爆資料や写真、絵画、映像などで広島を発信基地にできる。
   日本政府側からは、日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター長安部信泰さんから、
   来年のNPT再検討会議を成功させるには、具体的・現実的な勧告を出して、
   核保有国のリーダーを動かすというようなアイデアが必要。
   日本は核をなくそうというのであればアメリカの核の傘がなくなったときどうするのか
   議論すべき。
    プリンストン大学の教授は、「来年のNPT会議は期待もある。アメリカも92年以降
   核実験を行っていないし、核実験禁止への抵抗も薄れている。使用済み核燃料の再処理をやめよう。
   日本に再処理技術があることが不安定要因になる。ワシントンには平和資料館の別館を置いたらどうか。」
   などを提案。
    京都外国語大学の石栗勉教授は、「核軍縮にアメリカ、ロシアの指導者が取り組む姿勢を
   示しているので転換期だ。核廃絶へ明確な約束、不可逆性、透明性が必要。北朝鮮のミサイル発射、
   イランの核開発など問題も多い。アフリカ、東南アジアなどで経験例がある非核地帯を
   日本、韓国、北朝鮮で合意できるように北朝鮮の非核化に力を入れるべき・・・」
    シンポジューム全体としてはオバマ大統領のプラハでの「核なき世界」演説の評価は高く、
   ギャニオンさんだけが辛口コメントでした。言葉では賛成だけど、
   懐疑的な発言があったのは安部さんでしたが、全体としてはオバマ大統領の発言に賛成し、
   来年のNPT再検討会議に期待をするという内容でした。
    私が一番びっくりしたのは最初の秋葉市長のあいさつで
   「日本政府がアメリカの核兵器の先制不使用に待ったをかけているという旨の発言。
   それもそのはず、麻生首相の9日長崎での平和祈念式典の後のコメントで
   「核の先制不使用の考え方は、日本の安全を確保するには、現実的にいかがなものか・・・」

   いつまでアメリカの核の傘に頼っていかなければならないのでしょうか。
   まずは核の抑止力に頼る平和はあり得ないという国内世論ですね。