又兵衛桜を見に行こう

2004.4.11

スタンプジャンパーM4・・・

それまで、MTBはフルサスしか持っていなかった。ツーリングに行くと、やはりかなり疲れてしまい、自分の脚力では100キロが限界だった。近場の山のシングルトラックで遊ぶには最適な自転車も、オールマイティなわけではないことを痛感していた。

そんなわけで、フルサスMTBの対極というべきロードを導入した。とはいえ、自分の一番使いたいシチュエーションはそこそこの距離のアプローチを自走で行き、そこに気分のいいダートがあれば走ってみたい そんなシチュエーションである。それは、ロードではできない。ハードテールMTBが欲しかったのはそういう理由であった。ゲイリー・フィッシャーの29erがその設計思想的に最も近かったが、ショップでの取り扱いがなかったので、これは断念した。
M4を選んだのにはあまり深い理由はない。他メーカーのものでも何の問題もなかったのだが、単純にFSRのフレームカラーがブラックなので、これもその対極としてのホワイトのフレームが欲しかったというだけである。捜してみると、ホワイトのフレームカラーというのは意外に少なく、これのほかは、ルイガノとアンカーくらいしかない。
ルイガノやアンカーが良くなかったわけではなく、今までの馴染みがついついスペシャライズドになっただけである。

納車になってから、春先は公私共に忙しく、また天候にも恵まれなかったこともあってなかなか乗ることができなかった。サイクルメーターは部品待ちでまだ取り付けていない。それを待っていると桜のシーズンが終わってしまうので、とりあえず飛び出した。

どのルートで南下するか考えたが、時間のこともあり、山之辺の道のなかで桜のありそうなところをつまみ食いしながら桜井へ向かうこととする。
とりあえず石上神社周辺へ。
まあ残ってはいるかなぁという程度。
内山永久寺跡。ここの桜も有名であるが、もうすっかり散っていた。でも、葉桜の下でお弁当をしている方を見かける。

ちなみに石上神社のほうからここへ来る途中、堆肥の山がある。とてもきつい匂いがする。多くの観光客が通る山の辺の道だけに何とかならないものかなと思う。
いったん国道に戻る。写真左の森は景行天皇陵。奥に三輪山を臨む。桃の花が多い。
今日は先があるので、山之辺の道は通っていない。以前何回か走っているが、ハイカーの多いシーズンは避けたい。

このまま国道を南下すると、笠荒神への分岐点である巻内の交差点に出る。ここでJRを高架でまたぐが、下の道は交差点を渡り、右折する。少しややこしいので注意。
正しく入れると、上街道と呼ばれる旧街道に入ることができる。
国道ができるまでの旧街道の味が残るいい雰囲気の道をたどって三輪神社へ出ることができる。
三輪の町を通り過ぎようとしたとき、恵比須神社の桜がきれいだったので、立ち寄る。
三輪の旧市内にあって「えべっさん」の名前で親しまれている。1月には祭りがあって通行止めになり、多くの露天で賑わう。特に植木関係の露天が多い。

私も子供の頃、場所は覚えていないが、駄菓子ほしさに親父に連れられてよく露天めぐりをした。
綿菓子なんかを買ってもらって喜んでいるのだが、その間、父が一生懸命植木を見ているのが何が面白いのか不思議であり、退屈な時間だった。
もう一枚、恵比須神社の境内で撮った桜。入り口付近に数本ある。
この桜は花びらがフリルのようになっていて、一瞬造花かと思うほど見事だった。
三輪の町を過ぎ、金屋に入る。「金屋の石仏」で有名な集落である。初瀬側に沿って堤防沿いに走る。
川床が整備されつつあり、写真のように広々とした公園になっている。ベンチなどもあり、休憩するにはもってこいの場所である。

コンビニで買ったいつものおにぎりで昼ごはんにする。お茶を買い忘れ、スポーツドリンクで流し込むことになってしまう。
なんでも合う合わないはあるもので、やはりおにぎりにはお茶ですよね。以前もコーヒーで食べたことがあるが、これもおいしくなかった。
さてさて、金谷を出て、外山の交差点をとおり、大宇陀方面へと向かう。すぐにゆるゆるとのぼりが始まり、どーんと一直線の登りが見える。ここから、女寄峠へ向かって登ることになる。
登坂車線のある坂で、冬場は凍結して登れない車が多発する峠である。勤務する会社の者から「自転車で登るなんて絶対無理っ!」と言われていたので、チャレンジしがいがある。


最初は直線で一本調子で登るが、途中いったん傾斜が緩やかになるところがあって、続きが下からは見えない。あそこまでと思ってがんばっても、また、直登が出てきて、くじけそうになる。(途中くじけたところからの写真)

見ず知らずの車から、子供が顔を出して、「がんばってくださーい」なんて言われて、余裕もないのに手を振ったりして、いささか気分がいい。
峠も越え、結構なスピードで下ってくると、「又兵衛桜→」と書いた大きな看板が出てきて、思わず看板に従い右折。

まだ新しい道である。又兵衛桜へのショートカットのバイパスかと思ったが、なかなかアップダウンが激しい。

その道から、一本集落の中へ入ったところにこのような桜が。満開であった。
また余談ながら、昔PCゲームでシムタウンと言うのがあった。都市整備シュミレーションゲームで、公園を作る場合がある。季節がたつと、町の中にその公園の桜が画面上にぽつぽつと咲き始める。 そんな感じの桜であった。
これもそのバイパス?から見つけた風景。

新しい道は人が歩くことを前提には作られておらず、地形を忠実にトレースしており、アップダウンが激しいことを思い知る。これに比べ、人や荷車が往来した旧街道はできるだけ平坦なところを選んでいるように思う。

だからこそ、急な峠には名前がついたし、峠の茶屋もあった。車で越える峠には名前をつける必要もないし、わざわざ峠に茶屋を作る必要もないのである。
やっと到着した。桜は大きく存在感があり、近くへ寄ると圧倒される。後ろの桃の花とのコンビネーションがいい。
だが、しかし、周辺は車で大渋滞。クラクションと大声のやり取りが修羅場の様相だ。
こんなとき「自転車だもんね。渋滞関係ないもんね。駐車場いっぱいでも関係ないもんね。近くまでいけるもんね。」と妙に優越感にひたれる。


どうも人の多いのは苦手なので、ひととおり見て退散する。
そのまま帰ろうかとも思ったが、大宇陀の町並みを見て帰ることにする。なかなか雰囲気があって、すばらしい町並みだ。ここだけ見に来てもいいくらいに思う。

今回はそこそこ距離があり、ちょっとしたツーリングになった。M4もFSRとほぼ同仕様としたので、スムーズに乗れた。
特に感じたのは、舗装路と言ってもアスファルトが荒れているところや細かい凹凸があるところが多く、結構FSRのフルサスに助けられていたということ。まぁ、結局どんな自転車に乗っても面白いなぁという感でいっぱいだった。
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