北股林道

2005.11.17
ある休日の午前、用事があって早朝出発できず。出発したのは、もうお昼前だった。
何日か前から、林道地図を見ていたワタシは、奈良県の川上村の大迫ダムから北上する「北股林道」が気になっていた。
時間的に行けないことはないし、近くの別の林道もロケしておきたいし、急いで向かうことにした。
とはいえ、自宅からデポ地まで2時間半。先週の川原樋川についで、日没との戦いとなった。
大迫ダムから入って入之波(しおのは)温泉まで、車で行く。温泉といっても、ちいさい温泉である。
温泉から、ダム湖の方へ下りていき、橋の袂にデポする。

なんだか、いきなり夕日っぽい感じでダム湖の水が照り返している。
橋の袂には、クルマ数台ぐらいは置けそうな空き地があり、そこにクルマをデポする。
クルマから降りてみたら、けっこう寒い。走り出せば暖かくなるだろうと思う。既に午後なので、ごはんは持っていない。補給食だけである。
まず、橋を渡り、ダムサイトを栃谷の集落の方へ走り出す。
ダム湖の対岸にも道が見えるが、廃道っぽい。ところどころ崩落しているのが見える。
実は、対岸の道も「ゴウシギ線」という林道なのだが、まともに走れそうではなかった。
ダムサイトを走ること数分、バックウォーターが途切れる頃、トラス橋が見えてくる。
これは、「ゴウシギ線」へ入るための橋である。
道が廃道なら、廃橋か。
近くで見ると、まだきれいでしっかりしているし、特にゲートもない。
ああ、また「廃」になってしまった・・・

北股へ向かうためには、分岐を左にとり、本沢川を渡る。そこにあった、まさしく「廃橋」
水圧のためか、欄干が圧しつぶされている。

大迫ダムができたためにふだんは水没してるような感じである。

いいモノを発見できて、上機嫌で上流へ向かう。

なお、この分岐には小屋があって、猟犬数匹がいる。それが激しく吠えまくる。
廃橋を撮りたい方はスピーディに。
廃橋を過ぎて、すぐに川岸に採石場があり、ダンプが多い。道は泥水であふれていて、走りづらい。

泥水のところを抜けるとポンプ小屋のようなものがあり、そのあたりの雰囲気はとてもいい。

そのまま走り続けると、川が広くなる。北股川と三之公川の合流点である。



右の橋から走ってきて、振り返ったところ。左へ行くと三之公林道。
どこがどうと書きにくいが、標準的な林道の姿に、紅葉や遠くの山の美しさをトッピングしたような感じ。
珍しく、途中に自然林が多く、北股川沿いに自生している木々が彩りを添えてくれる。
だいたい林道へ入って30分あたりである。特に分岐もなく、迷うところはない。
まだ舗装路が続く。前ばかり見て走っていると、なかなか自分が登ってきた高度がわかりにくい。時々振り返って、来た道を確認してみると、意外にいい風景だったりすることもある。
谷を遡上する形になっているので、日が射しにくく、自然林が多いとはいえ、なんとなく薄暗い。
右の写真の感じが見た目に実感的に近い。
簡素な神社がある。特に熱心にお世話されている感じではない。
人工物を見て、ほっとしたりする。
このあたりからダートになる。入り口から7kmぐらいのところだ。
ダートになってからの方が、斜度が緩く走りやすい。
北股川はだんだん高度を稼ぐにつれ、荒々しくなり、滝もある。この滝はΩ型のカーブのところにあって、近くまで登っていける。
この位置から林道を眺めてみると、山々が美しいし、走ってきた感じがよくわかる。
このあたりまで、写真を撮りながら約50分かかっている。
写真でもわかるように、まだまだ轍ははっきりしていて、ダートになってからも、クルマがよく往来しているようである。
そのわりには、チェーンソーの音も聞こえないし、鳥の声もせず、静かである。
自分の息遣いとタイヤが小石をはじくぱちぱちとした音が聞こえるだけで、かえって気味悪い感じすらする。
道はいい感じで落ち葉が落ちている。走りやすい。カーブを曲がると、どーんと素掘りのトンネルがあって驚く。 トンネル内の距離は10mほどしかない。
2.5万の地図には2個のトンネルが載っていて、その一つ目である。
素堀りであることに加え、高さがあって、迫力がある。
作業小屋が点在していて、ほとんどが廃屋である。なかには、現役のものもあり、クルマが停まっているのを見かけた。最後の比較的大きな作業小屋からすぐに、看板があり、2km先で崩落と書いてある。
看板からは、一挙に道の石が大きくなり、荒れている。

2つ目のトンネルに遭遇。
なんとなく歪んで見える・・・

このあたりで、既に景色の興味は薄れ、最後はどうなっているのかという方向性に興味の対象が変わっていた。

ちなみに道はゆるいのぼりで、そんなに負担がかかるほどではないので、どんどん登ってはいける。
ついに崩落現場に至る。
道の半分ぐらいがヌケていて、残った方も土砂で覆われている。踏み後があるので、人一人なら歩いていけそうだが、自転車を連れて行けるかどうかは微妙。

無理して転落してもなぁ・・・

ということで、自転車を放置して、歩いて越えてみる。
案の定、足元は安定しない。
崩落現場からはさすがにクルマの轍がない。少しの間はいい感じのルートだが、そこからは荒れ放題。
無理していくのもきついので、ここで探索終了とする。
おまけ 奥玉谷沿いの道
下りは、ハイペース。
もう写真とることもないし、谷間は日が翳り、寒い&心細いでだーっと下ってきた。

とはいえ、分岐があると気にはなるもので、入り口に近いところまで下りてきたときに、奥玉谷沿いに伸びているダートを見つけ、ちょっと入ってみる。
この道はどういうわけか林道でないようで、なんの表示もない。

きれいな紅葉が見られ、入り口付近はいい感じの道であった。

ただ、もう日没が近いので、とりあえず入り口付近だけ写真に収め、デポ地へ帰ってきた。
林道 北股線
日が短い度 ★★★★★ 深い谷間に日の射す時間は短く、あっという間に日が暮れる。
激坂度 ★★☆☆☆ 段階的に登っていくので、そう急な感じではない。走ってて楽しい程度である。
ダート度 ★★★☆☆ 半分くらいがダート。舗装面もそこそこ荒れている。
再訪希望度 ★★★★☆ 紅葉だけなら入り口付近だけでも楽しめる。(走りを楽しむなら奥まで行った方がいい。)
支線が気になる度 ★★★★★ 三之公林道、奥玉谷沿いのダート、ゴウシギ線、気になります。
北股林道の最後まで確認することはできませんでしたが、たぷん同じような感じで続いているのだろうと思います。
こういうあまり知られていない林道を探索するのはとても面白いと感じます。
どんな知らない風景があるのだろうかとか、最後はどうなってるのだろうかとか・・・
でも、何かトラブルがあったときには、携帯も圏外が多く、GPSも衛星ロストが多いので、どうすることもできなくなってしまう可能性もあり、日が短いことも考えて、時間に余裕を持って慎重に行動することが必要だとつくづく思ったのでした。
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