蓮ダム周辺を探索

〜「廃」な方にも〜




何の気なしに訪れた蓮ダム
単なる自転車ツーリング
だけでなくナニかが・・

2005.11.18
何か現実離れした世界を見てしまったようで、自分が自転車に乗ってきたことも忘れそうな感じであったが、
旧加杖坂峠への勝負はまだこれからである。気を取り直して、再度自転車にまたがる。
6.旧道に向かうヨ
徐々に高度を稼ぎながら、のらりくらりと上ってきた道が、ついに斜度に耐え切れず、ヘアピンカーブとなる。

フロントギアは既にインナーに落ちていて、時速は1ケタ台。
きついという感じではないが、スピードは出ない。

ヘアピンカーブを2度3度と繰り返し、一気に上っていく。
このあたりが一番きついと思う。
トンネル手前から、少し勾配が緩くなる。
右に急登していく道が旧道である。
入り口は舗装されている。

迷わずここへ入っていく。
入ってすぐの曲率の小さい右カーブを過ぎると、下にトンネルが見える。植林と雑木林の林である。

道はすぐにダートになるが、よく固まっていて、荒れてはいない。

道も林もあまり美しくはない。
登ってきたところを振り返る。

朝から食べたきり、コーヒーしか飲んでないので、ここでお握り一個を食べる。
陽だまりは暖かい。峠まで行ってとも思ったが、ここで食べて正解。
一旦切り通しのようなところを抜ける。
下からは、ここがピークのようにも思えるが、
ここを過ぎるとしばらくは平坦なトラバースルートとなる。
右へ分岐していく林道があった。
林道 横平線起点とある。
旧道なのによく踏まれている感じがしたのは、ここへの工事用車両が出入りしているためかもしれない。

当然、まっすぐ進む。
ここが峠のようだ。
栃谷側は道の中央に草が生えていて、旧道っぽい感じである。

お地蔵さんがおられたような祠があるが中は空っぽ。どこかへ拉致されたのかとも思う。

先ほどお握り一個を食べておいて正解だったのは、ここは吹き上げてくる風の通り道らしく、強風で寒く、とてもじっとしていられない。
写真だけ撮ってすぐに下ることにする。
下りてきた。栃谷への下り側はコンクリート舗装である。青田側より急勾配かもしれない。
峠の地蔵さんは、トンネルの出口にちゃんと安置されていた。

昭和55年のトンネルの開通に伴い、旧道を通る人がいなくなったため、少しでもにぎやかなこの地へ移設したとの記述がある。

地元の人は、永年峠を通る人を見守ってきたお地蔵さんを忘れずにちゃんとお守りされていたのである。

なんだかうれしかった。
トンネルを出て、栃谷の集落と出会う。

わざわざ停まって写真を撮るほどのこともない場所であるが・・・

クルマを追い掛け回して下りてきたら、この少し手前に段差があって、かなりのスピードで通り過ぎた拍子にザックのポケットに入れてあったデジカメが飛び出して転んでいったのである。
WOW!と引き返し、拾い上げ、作動するかどうか試しにとったのがこの写真。

デジカメもメモリーも無事らしいのでほっとする。
蓋が空いて飛び出した単三電池は行方不明。

7.R166を激走る
R166への合流点。
ここで、標高約450m。蓮への分岐が約225mだから、200m以上を下っていく。平坦はあっても、登りがほとんどないので、30〜40kmぐらいで走れる。
アベレージが距離計のようにみるみる上がっていくのが面白い。
半ば意地になってこぎ続ける。

ここから、デポ地まで約1時間。
写真も撮らず、オニのようにこぎ続け、ツーリングを終えた。
タイトル写真に使った、蓮ダム建設の碑の裏には、建設に携わった方々の名前がある。
一方、ダムによって立ち退きを決断せざるを得なかった青田地区の碑の裏にも、当時の住民の方々の名前がある。
どちらが是でどちらが非ということではなく、双方いずれもの想いが各々の碑に刻まれて対峙していることが、10年以上の歳月を越えて、ふらりとこの地を訪れた一人の中年自転車乗りの胸に、なんとも言えない感慨を抱かせたのは事実である。
〜了〜
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