■結波さんよりいただきもの



「ただいまー・・・って、寛和はもう寝てるんですか?」
「おかえりなさい、アル」

外はもうとっくに真っ暗になっている。
まだ夕飯の支度中。
寛和は珍しく(?)嘉禄の隣で丸くなって眠っている。
「アル、今日はいつもより遅かったですね」
「あぁ、寛和にホワイトデーのお返しを買ってきたんです。大したモノじゃないんですけど」
アルの手には、小さな可愛らしい紙袋。
寛和が眠ってる内に隠さないと、なんて言いながらアルは買ってきたモノを押入れに隠し始める。
嘉吉はアルの隠すのを手伝っている。
そうか、ホワイトデーが近づいてるのか・・・。
・・・・ホワイトデー?

「・・・・・・・・・・!」

カッシャーン!


「あ、兄貴!?」
「兄さん!?」
「大兄・・・」
足元にはさっきまで手に持っていたはずの器。
洗ったばっかりだったのに・・・・・。
でもまぁ、プラスチックだったから割れなくて済んだらしいし、いいとしよう。
あ、寛和は起きてない。よかった・・・。
「どうしたんですか兄さん?」
「うん・・・寛和のホワイトデーどうしようかと思って・・・」
今年、初めて寛和からバレンタインチョコをもらった。
お返しをしようとは考えてはいたんだけど、最近になって忘れてしまってた。(きっと家計の危機で忘れた)
ヤバイ、何も用意してないじゃないか・・・!
「小兄、太巻きじゃダメなの?」
「妹に太巻きをあげる気に嘉吉はなれるんですか?」
「・・・なれない・・・かな」
太巻き、却下。
「んー・・・・・・・・・・」
2月は嘉元の誕生日があった。4月には、寛和の誕生日がある。
ケーキを買ったりはできないけど、せめていつもよりほんの少し豪華ご飯を食べさせてあげたい。
だから、ホワイトデーにお金をかけることはできない。(というか、掛けられる程ない)
でも、寛和は俺達を喜ばせてくれたから、寛和にも喜んでもらいたい。
「んー・・・・・うー・・・・・・・・・ぁ」
洗い物を済ませてから、押入れを漁る。
寛和を起こさないようにこっそりと。
「・・・・・あった」
「何があったんだよ?」
嘉禄が覗き込んでくる。
嘉元達も興味を持ち始めたみたいだ。
アルは寛和に布団かけてあげている。
みんなの前に、見つけたモノを出す。
「『これ』をみんなで作ろうと思うんだ。で、寛和にプレゼントする」
「『これ』・・・・小姉が買ったけど結局手を付けなかったヤツだよな」
「じゃぁ分担しましょうか」
早速作る部分を四人で分ける。
アルはもう買ってきたから不参加で。
『これ』なら、お金は掛からないし、きっと喜んでもらえると思う。
問題は、どこでやるか、だ。
「家に帰ってきたらもう寛和は居るからなぁ」
「学校でやればいいじゃん」
「いいと思いますよ。それしかもう方法はないと思いますし」
「・・・・あと一日だろ?大丈夫なのか?」
「とりあえず、やれるだけやってみよう」
今日は3月13日。
ホワイトデーまであと1日しかない。
とにかくやれるだけやってみよう。
寛和のために。

***

3月14日。
ホワイトデー当日。

「今日はいつにも増して注目浴びてるな」
「・・・はぁ・・・・裁縫箱持ってるだけなんだけどな・・・」
現在登校中。
寛和を幼稚園まで送り届けた後灰峪と遭遇した。
・・・視線が集まる中、話しかけてくれたことに感謝。
俺が持っていた裁縫箱(昔から家にあったヤツで、大きい)に視線が行くらしい。
「何に使うんだ?」
「寛和へのホワイトデーのプレゼント作るんだ」
「・・・妹と通ってるんだよな?気づかなかったか?」
「うん。意外と疑問には思わなかったらしい」
寛和を送る間に、『それ何?』と質問されるコトはなかったから、多分大丈夫だと思う。
寛和は素直だから気になったらすぐ言うだろうし。
きっと授業で使うんだ、と思ってるはず。(多分)
「お前裁縫できんのか?」
「そんなに不器用ってワケじゃないけど・・・作り方は正直わからない」
灰峪に、『あれ』を見せる。
灰峪は短気だから多分作れないだろうけど、作り方知ってるかもしれないし。
でも(予想通り)灰峪は顔をしかめた。
「あ゛ー・・・・こういうのは専門のヤツに訊いた方が早いだろ」
「専門のヤツって?」
「ま、学校着いてからでいいだろ」
「あ、うん」
誰のコトを言ってるんだろう?
黒川も橡も、こういうのが得意だとは聞いたことないけど・・・。



in月澄高校

灰峪に連れてこられたのは、俺の隣の隣のクラス。
知り合いは・・・いないと思う。(多分)
灰峪がずかずかと中に入っていくから、慌てて追いかける。
灰峪が立ち止まったのは・・・読書してる女の子の前。
「おい」
「うぁはいっ!?!!」
黒髪のセミロングの女の子は、自分を見下ろしてる(しかも軽く睨んでるように見える)灰峪に吃驚して変な声をあげた。
この子が、専門の子・・・?
「お前、世月だな?」
「そ、そうですけれども何か御用でございますですか・・・っ」
世月さんというらしい。
緊張してるのか、日本語が変・・・。
なんでか知らないけど、このクラスの人も、緊張してるのか静まり返ってる。
灰峪は、いきなり世月さんに縫い針を突きつける。
「俺達はコレの使い方を知らねぇ。血が見たくなかったらさっさとついてこい」
「は、はひっ!」
「(完全に脅し・・・!)」
灰峪はそう言うとスタスタと歩き出し、世月さんも急いで追いかける。
仕方ないから俺もついていくコトにした。←元凶
それにしても、俺は作り方知らないだけであって、針で血だらけになるコトはないと思う・・・。



in月澄高校の屋上

「ええええと、あの、それで、用件は・・・」
世月さんはビクビクしてる。・・・当たり前か。
女一人に男二人だし、しかも脅されてきたんだし・・・。
「コイツに『これ』の作り方を教えてやれ」
「・・・・・・へ?」
世月さんが驚いたように目を見開いて俺の方を見る。
まぁ、17歳の男子が裁縫なんてしないよな・・・。
「・・・・妹に、作ろうと思って・・・・」
「妹さんに?・・・そういうことでしたら、喜んでお手伝いさせていただきます・・・っ」
にっこり笑う世月さん。
・・・・良い人だ・・・・。

その後、世月さんとは軽く自己紹介した。何故か世月さんは俺のコト知ってたけど。
どうやら世月さんは手芸部の部長さんらしい。
教えなれてるのか、わかりやすく丁寧に作り方を教えてくれた。
「白雉くんって器用なんですね・・・!
 あとは綿を入れてほかの部品を縫い合わせて仕上げ・・・それで、終わりです」
「ありがとうございます、世月さん」
「いえいえ。・・・・あ、そうだ!こういうのしたらどうでしょう?」
世月さんが見せてくれたのはハンカチに縫ってある刺繍。
ローマ字で世月さんの名前が入っている。
「妹さんの名前を入れたら、世界に一つだけのモノになるですし、きっと喜んでくれますよ」
「・・・・・・じゃぁ・・・・」
寛和が喜んでくれるなら、やる価値はあると思うから。
世月さんは、何故かとても嬉しそうにやり方を教えてくれた。
なかなか難しくて、一時間目はサボリになってしまったけど。
「なんか不恰好じゃないですか・・・?」
「全然大丈夫ですよ!肝心なのは気持ちです!」
「お、できたのか?」
「大体は・・・刺繍って初めてだからちょっと変なんだ」
「初めてにしては、良い方なんじゃねぇの?」
「・・・・そうだな」
あとは、兄弟たちのと繋げるだけ。
嘉禄が心配だけど、この調子ならきっと今日の夜には間に合うと思う。
急な計画だったから結構大変だけど、寛和が喜んでくれたら、それでいい。

***

in月澄高校─嘉禄のクラス─

チクチクチク・・・
「白雉何やってんだー?」
「うっさい黙れ」
「嘉禄って縫い物できるのー?」
「・・・・・・・」
縫い物なんて家庭科でしかやったことねぇよ!
ほつれた服とか縫うの兄貴だし・・・。
つか、こんな小さいの縫えるかっての!
寛和のためじゃなかったら絶対やってねぇし。(やらなかったら兄貴が怖いし)

「ぐっどもーにんぐ☆我が親愛なる級友達よ!」
「遅刻しといて何言ってんだよー」
「でもそのおかげで今日のニュース仕入れられたんだぜー?」
「何々!?」
スガが二時間目の前に教室に入ってきた。
ったく、よくあんなにハイテンションでいられるよな。
いけね、今それどころじゃ・・・・

「『黒龍一派が鋭い凶器を持って女子生徒誘拐』──!!」

ズドォッ

「ッっっだぁぁああぁああ!?!!!」

「「あはははははー♪」」

今思いっきし針指に刺したぞ!?
妙な効果音までついたし!!明らかにおかしかっただろ今の!
てーか痛ぇ!!
「もー何やってるのよー」
恵が指に絆創膏を貼ってくれた。
結構血出てんな・・・・かなり深く刺したから仕方ないか。
布は・・・・汚れてない。よかった・・・。
てか、誘拐って何だよ!?
「祥兄が凶器持ってるって想像できないんだけど・・・」
「おっきいお兄さんって人畜無害だもんね」
そーだよ、ぼーっとしてて妹に特に優しい家事の得意な兄貴だよ!
何をどうやったらそんな噂が立つんだ!?
「おいスガ!それどういうことだよ!?」
「センパイから聞いたー♪あ、女子生徒は一時間後に帰ってきたってよ」
「はぁっ!?」
一時間後って・・・何やってたんだよ!?
つか、サボリか?兄貴とうとうサボったのか!?
サボるほどのコトがあったのか?
「女子生徒は何があったか一切語ってないってさ」
「何でだよ!もっとこう・・・弁解とか・・・」
「知られたくないことでもあったんじゃないのかー?」
スガがにやにや笑いながら言う。
畜生・・・人の苦労を楽しみやがって・・・・!!
「はいはい、落ち着いて嘉禄。それ作るの手伝ってあげるから」
「そうそう。おっきいお兄さんのことなら、後で聞けばいいでしょ?」
「・・・・そうだな」
恵達に教わりながら縫っていく。
布が小さいから縫いにくいけど、なんとか出来た。
恵達に教わりはしたけど、結局は自分で全部縫った。
不恰好ではあるけど、俺にしてはよくできた・・・と思う。
こんなんで寛和が喜ぶのか・・・?
ま、喜んでもらえりゃこの苦労は報われんだけどな。

***

in嘉元の中学校

「うーん・・・この部分難しいですね・・・」
只今休み時間。
昨日兄さんから渡されたモノを作っています。
「・・・・・・・・・・・・・・・?」
「え?あぁこれですか?ホワイトデーのお返しを作ってるんですよ」
隣にいるのは楓。
まだ寒いのか、ハムスター連れてきてます。(生徒会長黙認です)
「今年は太巻きじゃないのかって?」
「(コクコク)」
「流石に妹に太巻きをあげる気にはなれませんよ。
 エサを与えてるみたいじゃないですか」
「・・・・・(コク)」
楓は無口ですが、僕の話をしっかり聞いてくれる良い人です。
動物好きで優しいですし。
僕の一番の友達ですね。
「兄さんがこれの材料を押入れから見つけたから、お金は特に掛かってないんですよ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「ああ、これは家にあったヤツです。
 糸と針だけ持ってきたんですよ。多分中兄さん達もそうです」
「・・・・・・・?」
「はさみ?流石に手芸用はさみは一つしかなかったから持ってきませんでした。
 ・・・・ぁ、さっきは手と歯で切ったけど、仕上げの時はできませんね・・・」
引っ張ったらカタチが崩れてしまいますし。
どうしようか考えていたら、楓があるモノを差し出した。
「・・・・・・・ハムスター?」
「(コク)」
「ハムスターを、どうしろと?」
「・・・・・・噛み切れる」
「いや、それは・・・どうなんでしょう?」
楓の気持ちは嬉しいんですけどね、失敗したら困るでしょう?((そっちの問題?
とりあえず、後で試してみましょう。
「・・・・♪」
結構良い感じにできてきてます。
あ、でも、この部品はもう少し下の方が可愛いかな・・・?
「・・・・・」
「えぇ、楽しいですよ。
 ・・・寛和がバレンタインチョコをくれた時、すごく嬉しかったんです。僕たちを喜ばせようとしてくれたんだなーって考えると、とても。」
「(コクコク)」
楓は、微笑に見えるけど、とても優しい笑顔を浮かべている。
妹さんに何かもらったことがあるのかな?
楓は感受性豊かだから、僕の気持ちが伝わったのかもしれない。
「僕も、寛和がしてくれたように喜ばせることができたらいいな、って思うんです。
 こうしたら寛和好みになるかな?とか、こんなのだったら寛和がもらって嬉しいかな?とか
 そういうことを考えながら作るのは、とても楽しいです」
「・・・・・・・」
楓も同感してくれているらしい。
こんなこと、兄弟のいるところでは話せませんね。
友達でも、きっと楓にしか話せないと思う。
「・・・・・・・・・・・・?」
「え?仕事?・・・・・・あぁ、学級委員の仕事ですか?
 ・・・・・・・クラスの人達が早く作文を提出してくれれば終わりますよ」

シーーーン



カキカキカキカキ・・・・───

あれ?
なんだか急に静かになって、何かを書く音が多くなりましたね?
・・・・・みんな作文を書いてる・・・。
これなら今日中に提出物集まりそうですね♪

***

in嘉吉の通ってる小学校

「えーっと・・・この縫い方は・・・」
休み時間を利用して寛和へのプレゼントを作る。
結構難しいと思ってたけど、コツを掴んだら簡単かもしんない。
中兄は苦手かもなぁ・・・こういうの・・。
「白雉くん、なにやってるのー?」
「え?・・・・あぁ、世月さん」
聞きなれない声が聞こえたから顔を上げる。
黒のふわふわしてそうな髪に、おとなしそうな、とろーっとした?目つき。
間違っていなければ、世月さんだ。
世月さんは何年か前に引っ越してきた人で、あまり話したことない。
ただ、姉妹で手芸に興味があるってことは噂で聞いたことある。
「・・妹へのプレゼント作ってるんだ」
「ぷれぜんと・・・!すてきだね!」
・・・なんかこの子日本語が発達してない気がするのは気のせいかな?
なんかまたボケキャラな気が・・・。
「世月さんだぁっ!」
「うひゃわぁっ!?」
いきなり世月さんに飛びついたのは我らがトラブル吸引機・南。
世月さんが奇声をあげた。
早速か、南・・・。
「あれ?吉っちゃん何やってんの?」
「手を離してやれ世月さんが死ぬから!」
首が絞まってるのに気づいてなかったのか・・・。
や、気づいてたら殺人犯だよな・・・。
「ぷはぁ・・・・死んだばぁちゃんのばぁちゃんのばぁちゃんに会ったよ・・・」
「よかったね!」
「良かったねって・・・南・・・・」
大体ばぁちゃんのばぁちゃんのばぁちゃんに会ったことあるのか?
会ったことなかったらわかんないはずだし・・・・((問題はそこか
「で、吉っちゃん何やってるの?」
「・・・裁縫」
「裁縫?裁縫なら世月ちゃんが得意だよね!」
「え、えと・・・す、好きだけど・・・?」
「教えてあげなよ!」
えぇぇええぇえぇええええ!!//
 む、無理だよ・・・・それに、そんなことしなくたってもう上手にできてるよ?」
「え、ホント?」
裁縫が上手いって評判の世月さんに褒められたんなら上出来かな。
つか、オレが作ったとこって小さいからすぐ終わるし。
まぁその小さいのが大変だったんだけどさ・・。
「妹さんにあげるんだよね?」
「うん?」
「じゃぁこのリボンあげるね!このあいだの図工でつかったヤツなんだけど・・・・。
 『それ』のかんせー品にむすんであげたらきっとカワイイと思うよ」
差し出されたのは寛和好みの可愛い模様のリボン。
完成品に結んでも結構余る気がする。
「でも、こんなにもらってもいいのか?」
「だいじょぶだよ!家にいっぱいあるから」
「・・・そっか。ありがと」
「!ううん、どういたしまして」
世月さんがたたたーっと走り去っていく。
うわ・・・・・めちゃくちゃ速い・・・・。
あ、それよりも仕上げしなくちゃな。
「・・・・吉っちゃん気づいてない系?」
「は?」

「衽ー!吉っちゃんがニブチンだよーっ!」
「ニブチンとか言うなっ!」

南に何度か邪魔されたけど、なんとか出来た。
これであとは大兄に渡すだけ。
あ、あとはリボンも付けないと。
寛和、お返し喜んでくれるかな・・・・。
喜んでくれたらいいな。うん。

***

「ただいまー」
「お帰り嘉禄」
中兄が帰ってきた。
これで兄弟全員が揃う。
あとは・・・・寛和だ。予定ではアル兄が何とかしてくれるらしいけど・・・。
「それでは、寛和は私と一緒に夜のお散歩に行ってきます」
「おかずもあったらとってくるね!」
「気をつけて行って来て下さいね」
「はい。ちゃんと寛和は守りますから安心してください」
ガッツポーズを取るアル兄。
・・・なんか夫みたい・・・・・。
「アルちゃんカッコイー!」
「・・・・・・・・」
「兄貴!兄貴落ち着けって!」
「そうですよ兄さん!最近キレやすくなってませんか!?」
「小兄、それは春だから仕方ないよ」
「「違います!」」
小兄と中兄にツッコまれた・・・・。
俺、ツッコミなのかボケなのかわからなくなってきたよ・・・。
・・・って、これは俺のキャラじゃないと思う!
・・・・まぁそんな感じで寛和とアル兄は出かけていった。
寛和を長く歩かせる訳にはいかないから、早くやらないと帰ってきちゃう。
「みんなちゃんと部品は完成させてきたんですね」
「・・・・恵達に教えてもらったからな。それより!兄貴誘拐なんてしてないよな!?
「・・・・・は?」
大兄はぽかん、としてる。
その顔を見て中兄はなんか安堵してるし。
・・・話についていけない・・・。
「する訳ないだろ。・・・あ、でも・・・・」
「!?」
「灰峪が誘拐じみたコトはしたかな・・・。現に俺一時間目サボったけど・・・」
「やっぱりサボったのかよ!?じゃ、じゃぁ『鋭い凶器』ってのは?」
「鋭い・・・・?あぁ、針のことか?」
「針・・・・っ!」
冷静な大兄にころころ表情を変える中兄。
小兄に関しては呆れた表情を浮かべている。
「いいから早く進めましょうよ。時間がない訳ですし」
「そうだったな」
小兄の言葉で、大兄が縫い始める。
綿を詰めて、縫い合わせて・・・・の繰り返し。
大兄はやったことがあるのかな?なんかスムーズに進んでる。
「大兄、こういうの得意?」
「得意って訳じゃないけど・・・やり方を教えてもらったから・・・」
「!それ教えたのが誘拐(?)された女子生徒!」
「正解」
「そのネタまだやるんですか・・・・」
中兄は謎が全て解けたみたいで、すっきり!って感じの表情してる。
ふーん・・・教えてもらったのか・・・。
確かに、大兄の作ったヤツはなんか凝った刺繍がしてある。

「これで出来上がり・・・か?」
しばらくして、やっと形が出来上がった。
部品はそれぞれで分けて作ったから・・・なんか手作り感があふれ出てる。
「こんなに早くできるもんなのか?」
「まぁ皆で分担しましたからね・・・・」
「・・・・世月さんならもっと早く一人で作れちゃいそうだけど」
「え?嘉吉、世月さんと知り合いなのか?」
「え・・・・

「ただいまーーーっっ!!」

寛和が帰ってきた。
大兄が言ってた意味よくわかんなかったけど・・・大兄も世月さんと知り合いなのかな?
まぁ、これはおいといて。
「?それなぁに?祥ちゃん」
「これは・・・・・寛和にだよ。みんなで作ったんだ」
「寛和にくれるの・・・っ!?」
「そうだよ」
「わぁいっっv」
寛和にプレゼントしたのはテディベア。
頭は小兄、体は大兄、手は俺で、足は中兄が作った。
寛和がいつも持ち歩けるような小さいサイズ。
・・・・あ。
「寛和」
「?なぁに、吉っちゃん」
寛和が持っているテディベアの首?辺りにリボンを結ぶ。
世月さんにもらったヤツ。
「中兄と小兄、手伝って」
「わかりました」
「こういうのは兄貴に頼めよな・・・・」
「だって大兄は寛和抱っこしてるしさ・・・」
残ったリボンは二等分して、寛和のツインテールのゴムの部分に結ぶ。
抱っこされてると結ぶのが難しいから兄貴達に手伝ってもらった。
・・・身長がほしい・・・。
「はい、出来上がりです」
「えへへ♪くまさんとお揃いだぁv祥ちゃん、似合ってる?」
「うん、似合ってるよ」
寛和は、最初は吃驚してたけど嬉しそう。
心なしか背景に花が飛んでる気がする。
アル兄は後ろでニコニコしてるし。
アル兄は散歩に行った時に渡したのかな?
「祥ちゃん、禄ちゃん、元ちゃん、吉っちゃん、ありがとぉ!大切にするね!
 大好きだよーっ!」
寛和のとびっきりの笑顔。
頑張ってよかったって思う。
兄貴達もみんな満足気だし。


HAPPY WHITEDAY!!




寛和の家族は世界一!だよぉっ♪
みんな大好きっっ



みんなの視点を書いてみましたけど・・・嘉祥くんはなんか掴めませんでした・・・。その分嘉禄くんはやりやすかったです♪
嘉元くんは・・・あんな思考でいいんでしょうか・・・。
嘉吉くんは、二回目だから前よりは・・・書けたかな?
結局は妹思いの兄たちと、兄大好きな寛和ちゃんが書きたかったんです・・。寛和ちゃんの出番が少ないですねぇ・・・・。
テディベアって、あんなに早く作れちゃっていいんですかね?(訊くな
                   結波



結波さんより大家族のホワイトデー小説頂きましたv

ぎゃー!!男性陣一人一人の視点で書いて下さいましたですよー!!
挿絵を描けば載せてもいいと仰ってくださったので(笑)挿絵を描いてみました。
あれ、やっぱ俺の絵いらなくね?魅力半減してね?
友人連中まで登場!まさかスガや南まで出してくださるとは・・・!
マイナーキャラなのに・・・!そして関係性までばっちりと掴んでくださって凄く嬉しかったです!
結波さんオリジナルの世月さん姉妹もいい子で可愛くてもうたまらんです・・・!嫁に来い!(帰れ
世月(妹)ちゃんの喋り方が素敵。おっとりした子すきだー!
針を眼前に突きつける灰峪がツボに入りました。
お、お前エェェ!!何てコミカルな奴なんだ!(えっ!?
嘉禄はもう、クラスのアイドルにしかなりませんね!ナイスお約束リアクション!!
そして楓・・・!楓エェェ!!ハムスターて!お前!
ああもう結波さんにここまで自分のキャラで胸ときめかされるとは思いませんでした・・・!
ぐはっ!(吐血煤i゚□゚;

本当に素敵な小説ありがとうございました・・・!