第1回 ヨーガ道場で、河内敏子さんから配布された資料を、ホームページに変換しました。

     
  NHKやさしい健康体操 ヨーガ   佐保田鶴治 かしいけいこ著
NHK出版 1985年10月1日第1刷発行 より
ヨーガは心身の健康法

 ヨーガはだれにでもできる心身の健康法で
す。やせたい、病気を治したい、スタイルを
よくしたい、などの目的で、ヨーガを始める
人も多いようですが、もともとヨーガは、そ
れらを目的として開発されたものではありま
せん。ところが、実際にヨーガをやり始めて
みると、「肩こりが治った」「便秘が治った」
「冷え性が解消された」という声をよく耳に
します。そのために、ヨーガに病気治療が目
的である、と言うイメージをもたれてしまい
ました。
 ヨーガの歴史は古く、起源は紀元前7〜8
世紀ごろのインドにさかのぼります。ヨーガ
という語は語源的には「馬に馬具をつける」
「車に馬をつなぐ」などの意味をもっていま
す。それは、言いかえれば、怒りや嫉妬など
にふりまわされた散漫な心の動き(=あばれ
馬)を、自分の意志の力でしっかりと1ヵ所
に結びつけ、真の心の自由を得ようというこ
とです。まさに、ヨーガの本質そのものをつ
いたことばといってよいでしょう。

ヨーガは体操・呼吸法・めい想からなる

 ヨーガには数多くの流派がありますが、私
たちがこれから学ぶのは、主としてハタ・ヨ
ーガの伝統を受け継いだ行法です。ハタ・ヨ
ーガは、体と呼吸の修練を重視していて、心
身の健康と成長を目的としています。
 ヨーガ(以下ここでは、ハタ・ヨーガのこ
と)は、アーサナと呼ぶ体位法・呼吸法・め
い想の3段階に分けることができます。ヨー
ガの究極の目的は心の平静にあり、行きつく
ところはめい想なのです。ところが、めい想
をするためには、呼吸がととのっていなくて
はなりません。さらに正しい呼吸をするには
背骨がねじれていたり、曲がっていたりして
はだめです。そこで、これら体操・呼吸法・
めい想の三つをそろえて練習することが必要
とされるわけです。
ヨーガの体操はだれにでもできる

 ヨーガが一種の体操と異なる点に、体を
「鍛える」のではなく、あくまでも体を「と
とのえる」ことを目的にしていることです。
一般のスポーツが「動」を主体としているの
に対して、ヨーガは「静」が中心となります。
できるだけゆるやかな動きで、自分の体の限
界をさぐりながら、徐々に進歩していくこと
が大切なのです。
 同じ体操をしても、年齢や性別によって差
が出るのは当然のことです。10代、30代、
50代、70代・・・みんなそれぞれ、その
年齢や個人差にふさわしいやり方があります。
ですから、他人の力を借りたり、いきなり激
しい動きをするのはヨーガでは禁物です。決
して無理をしないこと、自分の体に合わせて
行うように心がけてください。そうすれば、
何歳になっても、あるいは病弱の人でも、ス
ポーツは苦手の人でも、それなりの方法を見
いだすことができるでしょう。ヨーガの体操
には、四つの原則があります。
(1)動きはできるだけゆっくり行う
(2)緊張と弛緩の適度な交替を意識する
(3)意識は体全体または一部に向けておく
(4)動作は必ず呼吸と結びついている
この四原則を備えて、初めて健康上の大きな
効果を現すのです。動作の形がどうであるか
にこだわる前に、この四原則を守って行って
いるかに注意をはらってください。

ストレス解消に役立つヨーガ

 心の平静を目的とするヨーガは、ストレス
のたまりやすい現代人にとって、最適の健康
法でもあります。ストレスは私たちにさまざ
まな影響を及ぼし、数々の心身の病を生む原
因となっていることは一般にも知られていま
す。その一つの現れとして、家庭内暴力や校
内暴力が挙げられます。さらに、最近では騒
音が原因で殺人事件にまで発展してしまうと
いう状況なのです。これらのほとんどは、イ
ライラから発生したストレスによるものと考
えてよさそうです。
 ヨーガでは体操は体に関し、めい想は心に
関係します。この二つは切り離して考えるこ
とはできません。なぜならば、真の健康は、
心と体が一致してこそ実現するからです。




 ヨーガには、いくつかの原則や注意点があります。初
 心者はもちろんですが、経験者ももう一度しっかり頭
 に入れてから、ヨーガを行うようにしましょう。
マイペースで
 ヨーガは自分との対話です。無理は禁物。
自分の体の声を聞きながら、自分の限界を広
げていきましょう。

自力で行う
 自分だけの力で行います。器具を使ったり、
他人に助けてもらうのは、ヨーガの本筋では
ありません。

継続すること
 思いつきで時々行うだけでも、そのときは
気分爽快。でも毎日継続しなければ、しょせ
んその場限りのものでしかありません。ぜひ、
日課に組み入れる工夫をしてください。

食後3時間たってから
 血液が胃に集まっているときは、消化の邪
魔になってしまいます。血液が体に十分に流
れるように、食後は3時間くらいたってから。

伸縮性のある服装で
 体をしめつけると、血行を悪くするばかり
か、筋肉の力を弱めます。ゆったりした服装
で、のびのび体を動かせるようにしましょう。
ヨーガをするときだけでなく、日常でもコル
セットなどの強いしめつけは好ましくありま
せん。
入浴は30分後に
 実技をして、すぐに入浴してはいけません。
完全弛緩法を十分行い、ヨーガを行ったあと
の刺激がおさまってから入浴してください。
入浴後に行うときも、30分くらいたってか
らにします。

病中・病後のヨーガ
 ヨーガは治療法ではありません。病気の急
性期で、高熱や痛みのあるときは、静かにし
て、病状の去るのを待ってください。回復期
や慢性病の場合は、ヨーガの基本に即した方
法で、簡易体操や基本体操をおすすめします。

呼吸と動作の関係
(1)動作を始めるときは吸い、戻るときは吐く
(2)胸を広げるときは吸い、前屈など肺を縮め
るような動作をするときは吐く
(3)力と緊張を伴う姿勢では吸い、体の力を抜
いてゆるめる場合は吐く

完全弛緩法
 一定の体位で体操をしたら、必ず完全弛緩
法を行ってから次に移ります。全体の練習が
終わったあとは、少し長めに休むようにしま
しょう。あとで疲れが残るのは、弛緩が足り
ないからです。

痛みについて 
 実技をして痛みを感じることがあります。
それはふだん使わない筋肉を使ったために起
こる痛みですから、むしろ好ましいものです。
不快感を伴う病的な痛みの場合は、腫れてい
た異状が、ヨーガの刺激で現れたのかもしれ
ません。内的感覚でよく確かめ、注意してく
ださい。
実習上の四原則
  (1) 動作はゆるやかに行うこと
  (2) 緊張と弛緩の適度な交替を意識し、特に弛緩を大切に
    すること
  (3) 意識は体全体または一部に向けておく
  (4) 動作と呼吸が一致するように行う

   大切なのは、形より内容です。この四原則をふまえて、
   じっくり取り組みましょう。




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河内敏子さんから Word データ を借用、
馬場勇治がホームページに変換しました。