本当の若気のいたり

 

 

 ときめきメモリアル 〜若草色のそよ風の中で〜

 

 こ・・これはタイトルだけで恥ずかしい。せめて言い訳だけでもさせてください。


 20歳の時に、その頃関係していた(すでに退部していたのだが) ある部活で、新入部員を
歓迎するために新入部員を主役にした劇をするのが恒例になっていました。
 その台本は各部員が書いてきて、合宿中に多数決で決めることになっていたのですが
私と仲の良かった友人が当時 『 ときメモ 』 にハマっており、それを題材にした台本を
書くように私に依頼してきたのです。

 当時、ある一人の部員が購入した  『 ときメモ 』 がその部で大ブームになっており、
PCエンジン CD‐ROM本体ごと(時代を感じますね。・・ってPCエンジンなんて知らないか。)
男子部員 ( だけでなく一部の女子部員も ) の間を行き交っていました。
 
   そこで『 ときメモ合宿 』 と称して後輩の下宿に無理矢理泊まり込み、友人と話し合いながら
一晩で書いたものです。
 一部ゲームとは設定などが異なります。色々アラも目立ちますが、まあ一晩ででっち上げたものなので
その辺はご容赦を。

 ちなみに原本では 『 協賛:コナミ株式会社 』 などと大嘘ぶっこいてたりしましたが、
さすがにそれは削除しました。

 
ときメモ ・・・・正式名称 『 ときめきメモリアル 』。 『恋愛シミュレーション』という新たな分野を切り開いた
                革命的なゲームであり、全国のもてない男達がときめいた。
         別にアダルトゲームではないのに、家族にそのゲームのボイスを聞かれると
        とても恥ずかしくなることで有名(?)。
 
             ちなみにそれにハマった私の友人は即行でPCエンジン版を購入し、そのあとプレステ版・
        こちらから告白できるようになるというのを聞いてサターン版も本体ごと購入、
         なぜかスーパーファミコン版まで購入し、登場キャラクターの女の子全員のフルネームは
        おろか誕生日、学年ごとのスリーサイズまでも暗記するという壊れっぷりであった。 

       

  

 
  ときめきメモリアル

     〜若草色のそよ風の中で〜    

                                                ときメモ製作委員会編
  

 
  CAST   
 
    芹沢 勝馬  : 主人公。優柔不断で、特に取り得がない普通の少年。

    如月 未緒  : 今回のヒロイン。文芸部に所属する、病弱な文学少女。

    清川 望    : 主人公の幼なじみで、男勝りだが意外な女らしさも持っているスポーツ少女。

    伊集院 レイ : 伊集院財閥の御曹司。キザで、フェミニストである。

    外井      : 伊集院のボディーガード。

    不良      : やられ役。ただそれだけ。

    

ナレーション  
  私立きらめき学園。ここに一つの伝説がある。
  この学園の裏庭にある一本の大木・・・・、『伝説の樹』と呼ばれるこの樹の下で卒業式
 の後、女の子に告白されたカップルは永遠に幸せになれるという。
  そして今、この学園の歴史に新たなるドラマが生まれようとしていた・・。

            テーマ曲流れる。
芹沢
 「 今日から僕も三年生か。
  よーし、受験生になったことだし、文芸部にでも入るとするか。」
 
ナレーション
 こうして彼は大いなる運命に導かれ、文芸部への部室へと向かった。
芹沢
 「 あった、ここか。
  すいませーん、入部したいのですが。」
如月
 「 あれ、芹沢さん。入部してくださるんですか?」
芹沢  
 「 え、どうして僕の名を・・?」
如月
 「 やだ、去年も同じクラスでしたよ。」
芹沢
 「 え?あ、ごめん!」
如月  
 「 わたし目立たないから・・。」
芹沢
 「 いや、ちがうんだ。僕、女の子と話す機会なんてほとんどないから全然名前覚えて
 なくて・・。」

            くすっ、如月微笑う。
如月
 「 いいんですよ。
 わたしは 『 如月 未緒 』 。これから仲良くしてくださいね。」
芹沢  
 「 は、はい、こちらこそ!」
           
            芹沢、ピンスポ。
芹沢
 「 如月さん・・・・慈愛に満ちたやさしいまなざし、天使のような微笑み、ひなげしの花の
 ようにたおやかないずまい、まさしく女神のようだ。
  なんで去年、彼女の存在に気づかなかったんだ、勝馬のばかばかばかっ!」
如月  
 「 せ・・芹沢さん?」
芹沢  
 「 ご・・ごめん。ちょっとあっちの世界に行ってた。」
如月
 「 ふうん・・・?

  あ、わたし友達と待ち合わせしてるからそろそろ帰らないと。」
 

芹沢
 「 あれ、部活は?」
如月
 「 今日は始業式だから部活はないんです。
  わたしはちょっと資料を取りに来ただけで・・・。

  あっ、望ちゃん。」

清川  
 「 何やってんのよ未緒、遅いじゃない。

  ・・あれ?芹沢くん。芹沢くん文芸部だったっけ?」

芹沢
 「 あ、清川さん。いや、これから入部しようと思って・・。」
如月
 「 二人とも、お知り合いなんですか?」
清川  
 「 家が近いんだ。

  じゃ、芹沢くんも一緒に帰ろうぜ。」
芹沢
 「 ラッキー。勝馬、かんげきー。」
ナレーション
  勝馬は、楽しく下校した。
           
            暗転。

            舞台中央に芹沢と清川。
  

清川  
 「 芹沢くん、なに、お願いって。」
芹沢
 「 実は・・。」
清川
 ( さえぎるように。)

 「 わかった。さりげなく未緒に芹沢くんのことどう思ってるのか聞いといてやるよ、」
芹沢  
 「 ・・まだ何も言ってないのに・・・・。

  なんでわかるんだ?」
  
清川  
 「 やだなあ、あたしだって女の子だよ。
  それくらいわかるよ。」 
芹沢
 「 そ・・そういうもんなのか。
  女の子って・・奥が深い。」

            如月登場。
清川
 「 あっ、未緒!こっちこっち。」
芹沢
 「 えっ、如月さん!?
  わっ、わっ。」

            芹沢、慌てて左右を見回し、机の下にもぐり込む。

            如月、近づく。

如月
 「 芹沢さん、何か落としたんですか?」
芹沢
 「 いや、ちょっと防災訓練を・・。

  あはははは・・・・。」


            芹沢、口笛を吹いてごまかす。
清川
 「 ねーねー未緒、そんなことより、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いーい?」
如月
 「 はい、いいですよ。」
清川
 「 あのさー・・。」
芹沢
 「 どきどき。」
清川
 「 ちょっと優柔不断で口下手で根性なしの男の子と、つぶれたチャバネゴキブリ、
 どっちが好き?」 
如月
 「 え・・えーと・・・、強いて選ぶなら男の子の方でしょうか・・・・。」

            清川、芹沢の袖を引いて舞台の前の方へ。
 
清川
 「 やったね芹沢くん、脈ありだよ。」
芹沢
 「 そ・・、そうかなあ・・・・。」
清川
 「 よーし、あとはアタックあるのみだな。
  明日の部活、みんなには休みだって連絡しとくよ。

  二人っきりなんだから、うまくやりなよ。」


            暗転。
如月
 「 他のみなさん、遅いですね。
  今日は会報を作らなければいけないのに・・。」
芹沢
 「 そ、そうだね。どうしたんだろう。」

            黙々と作業を続ける如月。

            芹沢、話しかけようとするが、何を言っていいのかわからない。 

芹沢
 「 あ・・えーと・・・・。

  『 be fond of 』 ってなんて意味だったっけ。」

如月
 「 『 好き 』 じゃないですか?
芹沢
 「 じゃ・・、じゃあ 『 like 』 は・・?」
如月
 「 『 好き 』 です。」
芹沢
 「 そ・・それじゃあ『 favorite 』 は?」
如月
 「 えーと、『 大好き 』 だと思いますけど・・。」
芹沢
 「 やった、如月さんに 『 好き 』 と言われたぞ!

  ふっ・・、むなしい。」


            暗転。                       
如月
 「 え・・?」
芹沢
 「 停電だ。」

            突然、落雷。                       
如月
 「 きゃっ!」

            如月、思わず芹沢に抱きつく。                       
 
如月
 「 ご・・、ごめんなさい。わたしカミナリが苦手で・・。」
芹沢
 「 な・・なあに、いいってことよ。
  怖かったら、いくらでも抱きついてきてくれ。」
如月
 「 くすっ、ありがとうございます。」
芹沢
 「 いやあ・・はは・・・・。」
ナレーション
  勝馬の好感度が、10上がった。

            芹沢、ピンスポ。                       
芹沢
 「 彼女が僕に微笑みかけてくれた・・。

  我が生涯に、一片の悔いなーしっっっ!」


            照明つく。                       
芹沢
 「 あ、ついた。」
如月
 「 また停電になるといけないから、今日はもう帰りませんか。」
芹沢
 「 そ・・そうだね。」
ナレーション
 勝馬は、 楽しく下校した。

 そして・・。


            不良にからまれる二人。                       
不良
 「 おうおう、見せつけてくれるやないか、お二人さん。」
芹沢
 「 お二人さん・・?
  僕たちやっぱりカップルに見えます?
  
  いやー、まいったなー。
  あははははっ。」
不良
 「 何がおかしいんじゃコラッ!」

            迫りよる不良。                       
 
如月
 「 きゃーっ!!」

            伊集院登場。。                       
 
伊集院
 「 やめたまえ!」
芹沢
 「 い・・伊集院。」
不良
 「 なんやおまえは!?」
伊集院
 「 男になのる名などない。
  とにかく御婦人をおびえさせるのはやめたまえ。」
不良
 「 ぬぁーんやとぉうぉー?」
伊集院
 「 怒りっぽいのはお腹がすいている証拠だな。
  これで好きなものでも食べたまえ。」

            伊集院、ふところから取り出した割り箸を投げる。                       
 
不良
 「 お・・おまえいつもこんなもん持ち歩いてんのか?」
伊集院
 「 これにはとても深いわけがあるのだが・・。
  ま、きみのような庶民には説明したところで到底理解できまい。」
不良
 「 けんか売ってんのかコラ!」
伊集院
 「 庶民に物を売らねばならないほど生活に困窮してはいない。」

            立ち去っていく芹沢と如月。                       
 
芹沢
 「 行こう。」
如月
 「 あの・・いいんですかほっといて。」
芹沢
 「 だいじょぶだいじょぶ。
  そのうち外井ってボディーガードが来るから。」

            二人、舞台から退場。

            伊集院はずっと言い争いを続けている。                       
 

不良
 「 ええかげんにせえよ・・。」
伊集院
 「 そう怒るな、冗談もわからんのか。

  これだから庶民は・・。」
不良
 「 いちいち人のことを庶民庶民いうなっ!」
伊集院  
 「 細かいことを気にするな、僕は全然気にしていないぞ。」
不良
 「 うがあああっ!」

            伊集院につかみかかる不良。                       
 
伊集院
 「 なんだこの手は、はなしたまえ。」
不良
 「 うるせえ、黙れっ!」

            外井登場。                       
 
外井
 「 ここにいらっしゃいましたか、レイ坊ちゃま。
  あまりに遅いのでお迎えにあがりました。」
伊集院
 「 すまない、御婦人の悲鳴が聞こえてきたものでな。」
外井
 「 ところで、なんです?その方は。
  レイ坊ちゃまのお友達でございますか。」
伊集院
 「 いや、僕にはむかう無礼なやつだ。
  外井、少し礼儀について教えてやってくれ。」
外井
 「 かしこまりました。

  ・・レイ坊ちゃまのご命令です。気の毒ですが死なない程度に殺してあげましょう。」

不良
 「 なんやそれ!?どうやんねん。」
伊集院
 「 そんなこともわからんのか。

  まったく、これだから庶民は・・。」

不良
 「 だったら説明してみぃ。」
伊集院
 「 よかろう。

  ・・・・・・・・・。

  外井、説明してやれ。」

外井
 「 かしこまりました。

  これから私があなたをぼこぼこにしたとします。
  その結果、あなたが死のうが、しぶとくしつこくいさぎ悪く見苦しく
 生き残ろうが、始めに述べた 『 死なない程度に殺す 』 という命題の半分・・
 0.5 達成したことになります。
  
  つまり、四捨五入すればどちらにしろ命題は成り立ったことになるわけです。」

伊集院
 「 ・・というわけだ。

  昆虫並のきみの脳味噌でも理解できたかな?」

不良
 「 う・・うるせえっ!
  俺は国語は苦手なんだっ!」
伊集院
 「 苦手なのは本当に国語だけかね?

  それにしても高校生にもなって 『 国語 』 はなかろう。 『 現代文 』 と言っては
 どうかね。
  
  きみ、 『 ハイジャック 』 の意味は知ってるか?」

不良
 「 何の話や!?」
伊集院
 「 まあよかろう。

  外井、そろそろ庶民の僕に対する礼儀について教えてやってくれたまえ。」
外井
 「 かしこまりました。」

            不良、ぼこぼこにされる。                       
 
伊集院
 「 外井、とどめは僕がさそう。」
外井
 「 はい、坊ちゃま。」

            伊集院、助走をつけて不良を殴ろうとするが、つまづいて外井を殴ってしまう。
                
外井
 「 ぼ・・、坊ちゃま?」 
伊集院
 「 ふ・・ふはは・・・、敵を欺くにはまず味方から、というではないか。」
不良
 「 この場合意味なしてねーぞ、それ。」
伊集院
 「 うるさい。

  と・・とにかく、これが庶民とぼくとの格の違いというものだ。
 以後、分をわきまえて行動するようにしたまえ。

  ハーッハッハッハッ。」


            暗転。     

            舞台には芹沢と清川。
           

芹沢
 「 この前はサンキューな。おかげで彼女と仲良くなれたよ。

  これ、つまらないものだけど。」 

清川
 「 そんな、気を遣わなくてもいいのに

  開けてもいいか?」


            包みを開けると、中から鉄アレイが出てくる。     
           
清川
 「 うわああ・・こんなのもらっちゃっていいの?なんか悪いなあ・・。

  ありがたくいただいとくよ。」 
ナレーション
 その様子を、通りすがりに偶然見ていた一人の少女が。
芹沢
 「 未緒ちゃん!」
如月
 「 ご・・ごめんなさい。わたし、おじゃまですね。

  さよならーさよならーさよならー・・・。(エコー) 」


            スローモーションで走り去っていく如月。(下座へ)     
           
芹沢
 「 待って!誤解だ!」 

            追いかけていく芹沢。(下座へ)

            芹沢が舞台から消えると、上座から如月が走って出てくる。
                                      (少し足がもつれている。)     
           

如月
 「 はぁ・・はぁ・・。」 

            如月、胸をおさえて倒れる。

            そこに伊集院登場。

            如月にかけより、背中をささえておこしてやる。    
           

伊集院
 「 どうした如月くん、大丈夫か。」 
如月
 「 は、はい・・、ありがとうございます。

  でも、どうしてわたしの名前を・・?」

ナレーション
  伊集院は、きらめき学園の全ての女生徒のデータを記憶していた。
伊集院 
 「 僕がきみのような美しい女性のことを知らないことがないだろう?
  さ、この伊集院家特製万能薬 『 赤チン皇帝液・ゴールド 』 を飲んで
 元気を出したまえ。」

            如月、伊集院がふところから取り出した薬を飲む。     
           
如月
 「 ありがとうございました。
  わたし、病弱なのに無理して走っちゃったから・・。」 
 伊集院
 「 そのままじっとしていたまえ。今すぐリムジンを回してくるから。」
如月 
 「 いえ、大丈夫です。

  それじゃ、急いでいるので失礼します。」


            如月、思いっきり元気に走って舞台から消える。(下座へ)

            その時、ポケットから生徒手帳を落とす。
           

伊集院
 「 ・・どうやら伊集院家と庶民では、『 病弱 』の定義がちがうらしいな・・。

  ・・おや、これは彼女の生徒手帳じゃないか。

  如月くん、待ちたまえ!」 


            伊集院、如月を追いかけていく。

            入れ違いに上座から芹沢登場。     
           

芹沢
 「 どこに行っちゃったんだ?未緒ちゃん・・・・。」 

            しばらく辺りを探す芹沢。

            そこに伊集院登場。     
           

伊集院
 「 やあ、クラスメートの庶民Aじゃないか。
  ところできみ、如月くんを知らないか。」 
芹沢 
 「 伊集院!?お前彼女に何のようだ?」
伊集院
 「 そんなこときみには関係なかろう。

  ・・ん?こっちか。」


            走り去る伊集院。     
           
ナレーション
  伊集院は、半径一キロ以内の女の子のフェロモンを探知することができた。

            立ちすくむ芹沢、ピンスポ。    
           
芹沢
 「 ま、まさか二人は、つきあってるのか!?」 

            膝をつく芹沢。

            しばらくして、暗転。      
           

ナレーション
 失意の勝馬。

 そして、なんやかんやしているうちに卒業式の日がやってきた。 

芹沢
 「 今日はもう卒業式か、早いなあ・・。

  さっき三年になったばかりのような気がするのになあ・・。」

清川
 「 あっ、いたいた。

  芹沢くん、ちょっと話があるから卒業式の後、伝説の樹のところに来てくれないか?」

芹沢
 「 えっ、べ、別にいいけど・・。」
清川
 「 絶対だよ、約束だぜ。

  じゃ、また後で。」

            
               清川、走り去る。
    

芹沢
 「 僕に話って何だろう。

  ま、まさか清川さん、僕のことを・・。」
ナレーション
  動揺する勝馬。彼は異性にもてた経験がなかったため、舞い上がっていた。

  こういう時に告白されると、たとえ相手がこれまで全然気にしていなかった
 女の子であろうと

  『 実は僕も前からきみのことを・・。』
 
 などと調子のいいことを言ってしまうのが男という生き物の悲しい性である。
  身に覚えのある人もいるだろう。

  ・・とにかく、そうこうしてなんやかんやしているうちに卒業式も終わろうとしていた。

            
               暗転。暗闇の中、校長先生のスピーチだけが聞こえる。

            その間に伝説の樹をセットする。 
    

校長
 「 ・・みなさん、今日はご卒業おめでとう

  家に帰ってお父さんとお母さんに 『 ただいま。』 というまでが卒業式です。

 寄り道をしないでまっすぐおうちに帰りましょう。」

            
               照明つく。
    

芹沢
 「 あー、終わった終わった。
  あの校長、話ながいんだよな

  ・・あれ?清川さん、まだ来てないのかな。」

            
               音楽(告白のテーマ)流れる。

             伝説の樹の後ろから、如月が出てくる。
   

芹沢
 「 ・・あれ?未緒ちゃん!?

  ここに来るのは清川さんのはずじゃあ・・。」
如月
 「 ご、ごめんなさい。わたし、自分で勝馬さんを呼び出す勇気がなくて・・。

  二人は何でもないって望ちゃんから聞きました。それで、失礼だとは思いましたけど
 どうしても今日あなたに言わなければならないことがあって、望ちゃんにお願いして
 こんなところに呼び出してもらってしまいました。」

芹沢
 「 別にいいよ。言いたいことって何?」
如月
 「 わたしは体が弱かったせいか友達もあまりいなくて、趣味は本を読むこと
 くらいしかありません。
  そして本を読むたびにその中の恋愛にあこがれ、少し嫉妬してしまう自分が
 情けなくて、本当の気持ちを打ち明けられないでいる臆病な自分がずっと
 腹立たしくて。

  ・・でも今日という日を境に今までの自分を変えようと思うんです。」

芹沢
 「 どうして?」
如月
 「 今までたくさんの本と出会ってわたしの思い出の中に残してきました。

  でもあなたと知り合った高校生活の全てをただの思い出だけにしたくないから、
 小説のような空想だけにしたくないから、わたしの一生分の勇気を出して言います。

  ・・好きです。

  恋人じゃなくお友達だっていいんです、卒業してからもずっとあなたに
 会えるなら・・。」

芹沢
 「 実を言うと僕も如月さんのことが・・・・。」
如月 
 「 本当ですか?

  本当に、こんなわたしでいいんですか?」

芹沢 
 「 もちろんだよ。

  ・・好きだよ、如月さん。」

如月
 「 ・・・・・・・・。

  うれしいです。

  ・・あっ。」

            
               如月、よろける。
    

芹沢
 「 あっ、あぶない。」

            
               芹沢、如月を抱きとめる。
    

如月
 「 ・・・・あはっ。
  体が弱いのもいいものですね。こうやってあなたに抱きとめてもらえるのですから。

  ・・しばらく、そのままでいてください。」

            
               エンディング曲流れる。

            照明消える。

            幕下りる。

            客泣く。

            ナレーター、『 いつまで抱いてんだコラ!』 と叫びながら暗闇の中で芹沢を蹴倒す。
    

            
               照明つく。
    

ナレーション
  『 後半に、つづくー。(キートン山田の声で)』

           または、

  『 銀河の歴史が、また1ページ。』

            
               

                                                        第一部・幕
    

 

 

 蛇足な解説 ; ちなみに『第一部』とか書いてますがこれだけです、第二部はありません。
          更に、一票差で投票に負けたので実際にこの劇が演じられることもありませんでした。

           それにしても今読むとかなり意味不明な部分が・・。
          「きみ、 『 ハイジャック 』 の意味は知ってるか?」
          なども何かのギャグになってたはずなのですが、もはや私にも意味不明。

           ちなみに最後のくそ恥ずかしい告白シーンはゲームの台詞そのままです。私が考えたわけでは
          ありませんので、ご了承ください。

 

 

 

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