出版物、マスコミや最近ではインターネット掲示板など不特定多数の者が触れるもの(マスメディア)においてそれによるプライバシー侵害、名誉毀損、業務妨害が問題になっている。
しかも、プライバシー侵害が名誉毀損につながり、さらにこの名誉毀損が業務妨害につながるというふうに、これらの事件は独立したものではなく互いに関連しあっている。
ところで、こうしたマスメディアによる犯罪の中でずば抜けて重要なのが言うまでもなく名誉毀損である。
すなわち、「名誉毀損」とは
他人の名誉を傷つけ、損害をあたえること。
(1)民事上は、人の品性・名声・信用などについての社会的評価を違法に侵害すること。不法行為となる。
(2)刑事上は不特定または多数の人が知ることが可能な状態で、真偽にかかわらず、なんらかの具体的な事実を摘示して、その人の品性・能力などについての社会的評価を引き下げること。名誉毀損罪の対象となる。
(ソース 大辞林(国語辞典))
上記のように定義されているが、この文章の中で特に重要な語句が言うまでもなく”真偽にかかわらず”である。
この理由は、言うまでもなく名誉毀損における真偽の定義はわれわれが日常使っている真偽の定義とは多少異なっているためである。すなわち、通常の真偽の基準では一つでも”偽”の部分があればそれ全体が”偽”となるが、名誉毀損における真偽の基準ではそれに加えて誇張、曲解の場合にはたとえそれが正しくても”偽”となるのである。