本当に冥王星は矮惑星(=小惑星)である

 ご存知のとおり、2006年まで「冥王星」は「地球」や「木星」と同じく「惑星」に分類されていた。ところが、「冥王星」は「惑星」に分類されていた天体の中ではずば抜けて小さかったばかりか、その大きさがむしろ「ケレス」や「ベスタ」などの「小惑星」なるカテゴリーに分類されていた天体に似ていた。

 したがって、「冥王星」は「ケレス」や「ベスタ」と同じ仲間に分類したほうがはるかに都合が良いことが明らかであろう。実際、むしろ「ケレス」や「ベスタ」のほうが冥王星よりもはるかに明るく、そのため冥王星よりずっと早く発見されているのである。

 ところが、「天王星」や「海王星」の外側にも「惑星」が存在すると信じていた天文学者は、「冥王星」は「天王星」や「海王星」と同じ仲間だと思い込み、そのため「冥王星」を「惑星」に分類したのである。ところが、後に海王星の外側に小天体がたくさん存在することが分かり、最近では冥王星もこの一員(このカテゴリーは以前は「小惑星」と呼ばれていたが、冥王星をこのカテゴリーにふくめるときに「矮惑星」に改称された。)ではないかと考えられているのである。

 しかし、最近までは冥王星は自身以外のどの既知の矮惑星(小惑星)よりも大きいと考えられ、このことが災いして先述のとおり最近まで冥王星はケレスやベスタとは異なる仲間に分類されていたのである。

太陽から遠い惑星が暗く見えるもう一つの理由

 しかし、大きさではなく地球から見た明るさで冥王星といくつかの大型の矮惑星(小惑星)を比べると、すでに逆転は生じているのである。それどころか、ケレス、パラス、ベスタは地球から見ると海王星よりも明るく見え、このうちベスタにいたっては地球に最も接近したときには天王星とほぼ同じ明るさになることもある。

 この理由は、惑星など自ら光を出さず太陽からの光を反射して光っている天体の明るさはその天体からの距離の2乗に反比例するだけではなく、さらに太陽からの距離の2乗にも反比例するためである。つまり、天体が反射する光の総量はその天体が太陽から受ける光の総量に反射率をかけたものに等しく、このうち太陽から受ける光の総量は太陽からの距離の2乗に反比例するために太陽からの光を反射して光っている天体の明るさも太陽からの距離の2乗に反比例するのである。

HOME