2004年4月9日(金)。
”カツラギSUNSET 第3夜”
ZARIGANI 5
@十三ファンダンゴ


「ザリガニの背綿を食べると死にます。」
今月に入って急に
「ZARIGANI 5のライブが観てぇ!」
と思い立ち。たくさんのバンドが出るイベントなので実質ライブは40分くらいしかないのにも関わらず、約1年半振りに観て来ました。
ちなみに、ザリガニさん、大阪でのライブは今年初だったそうです。

「めちゃくちゃパワーアップしてるっ!」
というのが、今日一番感じたこと。
最初の1音を聴いた瞬間に、明らかに去年の1月に観た時とは格段に進化してた! まず、伝わってくる空気感の濃度が前とは比べ物にならないくらい熱を帯びてのに、ガッツリと心を持っていかれたし。 打ち込みを適度に導入して、3ピースのバンドだと感じさせない音の豊富さがぐーんと増していたのに、ディストーションを主体にした散漫にならない統一感もあり絶妙だった。

ZARIGANI 5は、所謂”下北沢”が似合いそうな、PAVEMENTっぽい倦怠感が漂うギターポップバンドだと一般的には認知されているのだろうけど(事実、自分もそう思ってたのです)、今回は、そんな狭い枠組みには収まらない、というか知らぬ間に枠から外れてしまっていたような不思議な佇まいが強烈にした。
それは、”下北沢”のギターポップバンドというある種のファッション性を感じさせないというのもあるし、かといって、「オシャレなんてクソ食らえ!」といった青春パンク系のバンドの泥臭さとも無縁であるということ。
ギターを持って歌うことがステイタスの一部であるかのような、押し付けがましいスタイリッシュさはないし、闇雲に希望を吐き散らしたり、雨の中全力疾走しながら何かを主張したりするっぽい雰囲気もしない。 どちらかというと、表す言葉がなく、ぷっかりと宙に浮いているような存在感。
でも、この規格外な存在感から出される熱は、とても瑞々しい。
それは、小さい頃に体験したするワクワクする未知の感覚や、初めて楽器を鳴らした時に感じた新鮮な感触に似ている。
だから、ZARIGANI 5には惚れのバンド像みたいなものを抱いてしまう。
「こんなバンドで演奏できたら、楽しいだろうなぁ!」
と、無意識に思わせてくれるドキドキが、たくさんたくさん鳴っているのだ。
実際にライブ中のメンバーはとても楽しそうだし、
「仲がすごく良いんだなぁ。」
という人懐っこい感じもいっぱい漂っていて、何だか観ていて元気が出てくる。 ベースのあっくんによるシュールで暑苦しい(勿論いい意味でね!)MCも、とっても楽しく笑わせてくれる。
うーん、素敵バンドだっ、ザリガニさん。

んで、シンディローパーの「Time after Time」のカバーには驚かされた!
「あんましギターバンドで、シンディローパーとかカバーしないでしょ?」
というのもあるし、このある種ベッタベタな選曲を、さらっと嫌味がないどころか、じわじわとメロディが染みてくるように聴かせてくれたから。 ありがちにテンポを速くしたりギターでコテコテにコーティングしたりしない、どちらかというと原曲のチープな電子音が浮遊する感じに近いアレンジで聴かせてくれたのも、新たな発見。
さらに、ミニマルな打ち込みで始まった新曲も、カバーに続いて、
「80年代っぽい方向に進んでいるのかも?」
なんて印象を受ける、ニューウェーブっぽい近未来感やおもちゃ感溢れていて、やっぱりいい具合に掴みどころがない。
でも、そんなどちらかというと機械的で人をなめたよーな雰囲気の曲にも、しっかりと前述したような無邪気な人懐っこさは鳴っていて、プラスティックな質感のものに、懐かしくて新しい感覚を混ぜ込んだ感じ。
そして、そんな人懐っこさが全開で発揮された、思い切りイノセントな風景を見させてくれた新曲もあり、ぐっときた。
ヴォーカルのRIKU君の歌声はとっても中性的で、性別の境目があやふやな女の人とも男の人とも違うような独特のもの(だからシンディローパーをカバーしても歌が無理なくすんなりと聴こえたのだ)。
「そう! この人の声は男の子って形容が一番しっくりくる!」
そんな声質もこの暖かくてちょっと切ない空気を増幅させていて、
「あー、少し泣いてしまいそうだ、、、。」
かと思ったら、高揚感がバシバシ飛び散る「Shot your sun」というノリのいい曲で、叫びまくりの暴れまくりのノイズまみれ。

「すっげーよかったです!」
と、終わった後に、居てもたってもいられず、そう伝えに言ってしまった、この確かな手ごたえは間違いない。
いつか大阪でもワンマンライブをしてほしいなぁ。

余談。
メンバー全員にサイン貰っちゃった。へへっ。
ドラムのあきもっちゃんとたくさん喋れたのも嬉しかった。へへっ。