2003年6月9日(日)。
とめ。
@扇町DICE


「確かこの辺にあったはず、、、?」
と、まずDICEを見つけることが大変でした。商店街の中にあるんだけど、ちょっと分かりづらいんですよね。天神橋商店街を行ったり来たり。
「もー、どこやー?」
ってなってたら、一番最初に通ったトコにありました、とさ。見事に気付かず通り過ぎてました、、、。ひぃ。


まず、DICEの大きさに驚き。
「関西で一番小さいライブハウス?」
みたいなことを聞いてたんだけど、ホントに狭かった。定員50人くらいかな?100人は入れないような気がする。中は天井からダッコちゃんなどのおもちゃが幾つか吊るしてあったりして、不思議な懐かしい感触の場所。
お客さんはとめ。の友達ばっかりだったのだろか?始まる前からアットホームな雰囲気。そして、”とめ。通信”とでも呼びたくなるような、メンバーがだらだらと談笑しながら、はしゃぎながら告知をするテープ(?)が流され、へなちょこな電子音が鳴りまくるBGMもファミコン的で、さらに友達っぽい感覚が増幅。
と、こうしている内におもむろにメンバーが登場して、ライブスタート。
「最初からノリのいい曲を連発してくれるなぁ。」
と思っていたら、どうやらギタボのぶゆくんはセットリストを間違えまくっていたらしい・笑。でも、ひたすら突き進む、突き進む。
前のライブでも思ったのだけど、このバンドは技術的に上手い方ではないかも。(とめくんのドラムは素直に「おぉ!」って思ったのだけど。)ただ、下手くそなだけというわけでもない。むしろ、独特の味がある気がして。時々ギターソロが切れ切れになっても、ナゼか全然「あり。」だと思わせちゃう変わった素敵な力があるよーな。んで、数曲聴く内に強烈に
「よく分からないけど、ものすごい懐かしい。」
って感じたり。個人的にデジャブ状態だったというか。
「こういう時間、こういう光景ってどっかで観たことがある!」
って。けど、ホントは絶対に観たことなんてなくて。それは、脳味噌の端っこに追いやられてた感覚を、もう一回手前に持って来てくれた感じであり、何だか息が詰まりそうなほど懐かしかった。ずっと、この空間の中にいたいって思ったりね。
「じゃ、何でそういう風に感じたのか?」
ちゃんとは分からないんだけど。おぼろげに思うのは、とめ。の歌は現在世の中にたくさん氾濫してる青春パンクとは明らかにどっか違うということ。多くのそういったバンドは、”かなわなかった青春を懐古して、「前に進もうぜ!」”みたいなことを歌っている。これって、一見ものすごく有効な表現方法であるように見せかけて、実は形式的に作っちゃうと、ものすごい胡散臭くなるという危険性を帯びていると思うんです。中途半端な恣意に満ちた懐古的て前向きな言葉じゃ、懐かしく感じたり、ましてや足りなかった思いを埋めることなんてできやしねぇ。その点で、とめ。は元から目指すものが違うよーな印象がする。一見、単純でペラペラなことを歌ってるんだけど、とめ。は懐古なんてしてない。歌っていることがまんま昔のこと、その当時と同じのよーな気がする。高校とか中学の時に、
「あっ、歌作っちゃったべ。」
って、友達集めてバンド組んで、ライブして。こんな行動を何もひねらず、アウトプットし続けてる感じ。くだらないこともおもしろがってそのまま言っちゃうし、無理に言葉を感動的にしたりポジティブにしたりする必要なんてなくて。極端なことを言うと、とめ。は中高生のまま。いや、もちろんメンバーさんは中高生じゃないんだけど、ある意味、中高生より中高生な感覚で満ち溢れてるバンド。ゆえにストレートに懐かしい気分になるのかも。だって、自分が高校生になって、学校で友達がライブしてるのを直接観てるような状態なんだから!それをバーチャ体験させてくれる空気。
途中、ぶゆくんは暴れまくって転がりまくり、演奏ぐちゃぐちゃ。”NOVAに行こう!”ってのを歌いまくる「NOVAのうた」。「大谷君の歌」→「ケイコ」の繋がりは、直球でかっちょいい高揚感が炸裂。観ている内に、感覚がどんどん戻ってく。とってもほほえましくて、こっちまで嬉しくなってしまう。
巧妙に作り上げた初期衝動なんて、楽しくないでしょ?「あー、こんな言葉はくだらんわー。」って却下しちゃう矛盾。初期衝動はくだらんものも、悪ふざけも、切ないことも全部ごっちゃに入ってる。で、そんなことなんて考えないのがホントの衝動なんだろね。
ワンマンなのに、アンコールを含め1時間ちょいで終わってしまったのは少々残念だけど。うん、いいライブでした。