2003年7月9日(水)。
toe / the mercury progrum / Fluid / up & coming
@西院 Ohh-La La


「結構ゆったり観れるかなぁ?」
と思って行った、久々のtoeのライブ。
そんな予想に反して、たくさん人が来ていて、さらにウーララは狭いので、人口密度はかなりのものでした。軽くぎゅうぎゅう。いや、かなりぎゅうぎゅう?


up & coming
観るのは2回目なこのバンド。
メンバーが1人減った(?)らしく、3ピースになっていて。それまでギターだった人がドラムにパートチェンジしたらしい。
「えっ?ドラムもできるの?」
と少し驚くも、かなりがんばって叩いておられました。ってか、上手い!さらに、パワフルなドラミング。複雑に変わっていく曲展開や、さりげなくも魅力的なメロディ(個人的にもかなり好きな流れ)などは、以前と変わっておらず、なかなかよかったです。
でも、3人になった分、音色の豊富という点では、おもしろみが減ったかなぁ、という印象も。それは、この日観た他の3バンドと比べて改めて感じたのだけど、曲自体は好きっぽいんだけど、音の質感が一辺倒過ぎて薄っぺらく聴こえてしまった感があるということで、、、。せっかく強弱のある曲調なのに、いまいちメリハリに欠けた気がしたというか、、、。
いや、このシンプルさで無駄なものを殺ぎ落としたストイックな音の重なりは、それはそれでいいなとも思うんだけど。個人的には、こういうポストロックとエモが合体したような音なんだから、もうちょい音色の多彩さがほしいかなって。
ただ、このまま3人で進化していくと独特の感じになるのかも!と思ったりもするんで、これからも期待。


Fluid
こないだ観た時に一気に好きになったFluidだけど、さらにパワーアップしてて、相当かっちょよかったです。祭りの行列を録音したよーな物音が左右のスピーカーから振り分けられて流れる中、1曲目がスタート!
いきなりごっちゃごちゃしたカオスな音の大量放出にドキドキ。カオスといっても、Fluidの場合は何だかとってもかわいらしい気がするんですよね。かわいらしいというか、無邪気というか。ファミコン少年の逆襲というか。水鉄砲でこんがらがった意識をばっしばしとクリアにしてく感じ。ひたすらに先が読めない構成の曲に、淡々と平坦な旋律。ギタボの女の人の声もいい意味で抑揚がなくて、さらさら。パッと聴き、ちょっと怖くて冷たい雰囲気が漂う音なのに、何でかとっても心地よく。一気にぐちゃぐちゃになる瞬間がとてもスリリング。
途中、
「これってどっから音が鳴ってるんかな?」
と、色んな音が色んな位置から飛び回る空間になる時とか!
それは、”気持ちいい病気”とでも言いたくなるよーな。はまる人は恐ろしくはまっちゃいそうな中毒性。今回は曲間に日常音を加工したようなノイズをギターの人が出して、間を繋いだり。ベースの人が熱唱したり。不思議なコーラスのヘンテコかつ効果的な重なりもたくさん聴けて、改めておもしろいなー、って。
うん、やっぱりかなり好きです、このバンド。最後の曲でのぐーっとストレートな爆発具合に、自分1人だけ(?)テンション上がりまくったり。
音自体にキャッチーさがそんなにあるわけではないのに、全体を通して飽きさせないのはすごいのです。ただ、一番好きな「alaska」をやらなかったってのだけがちょっと残念だった点ではあるんだけど、、、。
いや、でも、カオティックかつ痛快ないいライブでした。


toe
間違いなく本日のベストアクトでしょ?
もうね、最初の1音が鳴ると同時に辺りの雰囲気がすーっと変わっちゃうもん。
出される音が、ことごとくしなやかで気持ち良過ぎ!つーか、全ての楽器の音が素敵過ぎです。どのパートを聴いても、すぐに
「あっ、toeだっ!」
って分かるよーな。すっげーなぁ。さらに、バンドのアンサンブルも最高で、至極滑らかに繋がっていく展開と絶妙なブレイクがツボをつきまくり。
ホント、こんな心地よく熱く高揚感があるライブをする人達ってほとんどいないと思う。めちゃくちゃキレイできっちりと構築された音像なのに、めちゃくちゃパンキッシュなノリで溢れてて!そう言えば、何か心なしか以前より、お客さんにキッズっぽい子も増えた気がするし、うーん、toeのライブでモッシュ、ダイブが発生する日も遠い未来ではないかも!?
そんなことはどーでもよいのだけど、無償に体が動いちゃって、踊り狂いたくなるのは事実。時々、心地よすぎてボーってしちゃう時もあるんだけど。
んで、「velvet blanc」のベースラインに聴き惚れ。←大好き。
ドラムの音の1つ1つが何とも柔らかくて、聴き酔い。終盤の「1,2,3,4」が始まる時とかもう!ギターがガーッて轟音を出して走っていって、
カウント”カツカツカツカツ・・・”
「キタッ!」
みたいな、あの瞬間はヤバイ。とてもヤバイ。ぎゅうぎゅうのため自粛しましたが、飛び上がりかけたさ、マジで。これはもう必殺曲中の必殺曲のよーな気がする。今日最後の「path」はメンバーも大暴れ。ギターの山嵜さんに至っては叫ぶ叫ぶ。ついにはこぶしを振り上げて、ギターを投げかけてた。それに伴って、こっちのテンションも急上昇するわけで。心地良過ぎて、意識が振り切れかけたり。なんなんでしょ?この柔らかくってわくわくする感覚。
そして、曲が終わった後も、たくさん弾き倒し音をぶちまけて、toeの皆さんは帰っていきました。大満足。


the marcury progrum
アメリカ(?)のバンドなんでしょっか?
とにかく今日のメインはこの人達。ポストロックで、トリステザに似た質感がふんわり心地よい。編成はギター、ベース、ドラム、鍵盤とシンプル。基本的にはギターの人がひたすら同じフレーズを繰り返して、そこに変化に富んだベースとドラム、鳴っている音を豊かに彩るよーな、トロトロでふわふわした音の鍵盤が重なる感じ。
他にも1,2曲目ではドラムと鍵盤の人がビブラフォン(鉄琴)で少しだけ支離滅裂なメロディを奏でて。その静謐なエレクトニカをあえて全て生演奏でやっている雰囲気に溶けそうになる。特に、ビブラフォンが二重奏になる時(1つのビブラフォンの高音部と低音部を2人で演奏!)はとてもキレイだったなー。で、繰り返しながら、ちょっとづつ変わって行くのは、どことなしかFridgeっぽいとも思ったり。けど、 marcuryの方がシンプルでバンドっぽいかな?
とにもかくにも、ゆるーく、終始大きな流れの中を漂ってるような感覚でした。
途中、あまりの大らかさ加減に立ったまま寝てしまったり・・・。30時間以上寝てなかったんで・・・。でも、それってこの音楽だからこそなのかも。ぼやけた映像がゆっくり移り変わっていくよーな夢見心地。
「あっ、夢まで音に合ってる!」
と、そんな具合に夢と音の融合してって。ふむふむ、不思議な体験だ。
そして、アンコールでやってくれた曲は、
「Brandnew One.」
とのコメントだったけど、本編でやったのとは違った曲調。ひたすらに短いフレーズを繰り消すミニマル的なものじゃなくて、もっと明確に展開があって、コード進行が癖になる。インストなのに、どこからか歌が聴こえてきそうな気もして。すごーくよかった。ゆーったりした音空間に浮かんだ一時でありました。