26. 高木正勝  『JOURNAL FOR PEOPLE 』
”世界で一番イノセントなミニマル・エレクトロニカ”という言葉が帯に書かれている、このアルバム。 確かに、一般的にはそう言われそうだけど、言い切られてしまうのには抵抗があるかも。 ナゼなら、ココにはミニマルという一見難解なイメージを一掃する、何処かすごく懐かしい景色が透けて見える音像があるし、イノセントだけではない、静かに優しく響き想像力を膨らましてくれる複雑な何かが存在している気がするから。
ラップトップ・生ピアノ・アコーディオンと共に、人々の会話・生活の雑音・水の流れといった環境音が素材としてではなく、楽器と同列のラインで自然に混ざり合う姿は、日常には鳴らさずとも音楽が溢れていることを提示してくれる。 また、花火が上がって開く一時に手を加え見事に曲を構成した「wonderland」は、そのことをより明確に聴かせてくれる。 と、この世界で鳴られされいるのは、日々に埋没した忘れがちな音楽を気付かせてくれるものではないだろうか? そして、ココに存在する感覚はイノセンスではないのかもしれない。 むしろ、日常に潜んでいるが感じることがなかなかできない、思い出という形で閉じ込められた憧れの光景の断片なんじゃないかと思うのだ。
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