神奈川県の辻堂海岸には、毎年 sputnik という海の家拡張版みたいな設備ができて、7月末〜9月前半の間、毎晩ライブやDJが行われているのです。音は野外ということで、すごくよいわけではないけど、それでも充分な質で、独特な響きもあるよーな。さらに、海をバックに浜辺で音楽が聴けるというロケーションは最高。しかも、全イベント無料!( ほぼボランティアで運営されているようで、基本的にはカンパ制。)

そんな素敵なイベントの1つに行ってきたわけで。感想とか写真とかを。ちなみにこの日は多少曇っていたものの、雨も降らず潮風も適度に気持ちよい、ライブを観るにはよい環境でした。

TUFF SESSION
存在も名前も知らなかったバンド。ホントに前知識ゼロで観たライブは、のんびりと落ち着いた雰囲気。日本語でどことなく懐かしい気がする歌物で、音はダブやレゲエといった趣。The MiceteethやDETERMINATIONSからホーンを抜いて、代わりにヴァイオリン(ヴォーカルの人が弾いてた)が加わった感じもしたり。重たくも滑らかな旋律のベースも時折入ってくるヴァイオリンも至極気持ちよく、こういう暑ーい夕方とか海岸とかがとても似合うゆったりした音で、心地よかったなぁ。ただ、買出しに行ってた関係で、ちょっとしか観れなかったのが残念。2曲ほどしか聴けませんでした。
 → TUFF SESSION

RAYMOND TEAM

昔から大好きなバンドなんで、今まで一番多く観てるレイモンドチーム。めちゃくちゃ感動した時もあれば、どっかしっくりこなかった時もあったんだけど、海辺で聴いた今日はこれまでとはちょっと違った感じのいいライブだった。「やっぱ、こういうバンドは野外で聴いたら、格別!」って言いたくなる、浜辺の環境にひっそり溶けるみたいな音で、いい具合に酔っちゃいそーな感覚。柔らかい音がふわふわと層を織り成して、周囲にドーム型の空間を作っていくよーな、ひたすら夢見心地な一時。複雑に疾走するインスト「NP」とか、ハワイアンとポストロックが合体したっぽい「-HWI AB-」、しっかりしたベースラインが周りの音をぐんぐん引っ張っていく「Dove!!」は当然のごとく心地よすぎだったし(そりゃ、酒もすすみます)。フレーズをミニマルちっくに繰り返しながら、何度か大きく展開し盛り上がってく「Lion」や「nine apartment ten」は、しゅわしゅわと散らばっていた音が徐々にまとまって、花火みたいに上から音がキラキラ降ってくるみたいで、ささやかながら圧巻でした。ただ、マイクのヴォリュームが低く、声があんまし通らなくて、歌が聴こえづらかったのは心残りかも。元からガナったりするのとはある意味対極の、ぼんやりと浮かんで楽器の音に融合するみたいな歌だけど、他の楽器のバランスは相当よかった気がするんで。
 → RAYMOND TEAM

Breath Mark

Breath Markっていうのは二羽高次さんという人のソロユニットで、声にかなり癖のある歌が特徴。今回は特にアコースティックギター1本での弾き語りだったので、歌がより際だってたというか、歌そのものを聴くみたいだった。で、何といっても歌が上手い。腹の底からひねり出すよーな個性的な声質と歌い方なんで、好き嫌いは分かれるかもしれないけど、とにかく上手い。声も通りまくって、遠く遠く彼方まで届きそうな感じ。さらに、力強い。迫力があるけど威圧的ではなくて、丸みを帯びていて、とても大らか。”ソウルフル”って言葉はこういう歌に使うのかも、ってか、無性に使いたくなる歌。セットリストはほとんど日本語の曲で、以前SILENT POETSとコラボレートしたらしい英詞曲も(個人的にはこの曲が一番好きだった)。他にも美和明寛のカバーである「ヨイトマケの唄」とか、学生運動が盛んだった頃の「みんな夢の中」(すごいいい曲!)とか。ブレイスマークって古い日本の唄を歌うと、とーっても合うんすよね。童謡や民謡もこの声で聴きたいな、って思うし。オリジナル曲もどことなく泥臭くて古きよき懐かしさがある気がする。でも、この人が歌うと絶対情感ドロドロにはならなくて、雰囲気とか匂いとかはありつつさっぱりしてる。そんな不思議なバランスがまた素敵。ステージと海、両方に耳を向けて聴いてると、波の音と歌が混ざり合って、何とも言えず最高でした。たくさん曲をやってくれて、たっぷりと歌声を堪能。お腹いっぱいです。
 → Breath Mark

HALIOLI HULA SISTERS & TADAHIRO
フラダンスでした。いやもう、フラダンス。とにかく、フラダンス。10人くらいのキレイな姉さんが踊っていたわけですが、フラダンスって手の動きが何とも癖になる。クネクネっていうか、滑らかでふんわりした質感。BGMはもちろんハワイアン。うーん、ハワイ固有の言葉ってどことなく日本語と似てませんか?気のせいですかね?終始陽気な感じで、踊っている間はずっと笑顔。あたり前かもしれないけど、すんごい笑顔なの。でも、踊ってる人達本人も楽しそうだったんで、観ていてめっちゃ楽しかった。周りの人達もぼっけーとその光景に浸ってるみたいでした。こういうのを観た直後には、躊躇なく「浜辺に踊りはかかせない!」と言い切れちゃいますよ、はい。あっ、けどナゼかこの時だけ写真撮ってない、、、。

IMATANI meets HANCHOU (from GROUP)

打ち込みの簡素なリズムを流しながら、ギター2本とトランペット(?)で演奏。GROUP自体もゆったりした空気が漂う空間を作り出してく音のバンドなんだけど、このGROUPコンパクト版といった編成の奏でる音はもっとゆるーいゆるーい。控えめで的確な2本のギターが絡み合う中を、ほんのり哀愁やわびさびといった感覚のあるトランペットの音が浮かんで、何ともホッとする。何だかいつまでも聴いていたい気分にさせられる、そんな風通しのいい音。「あー、気持ちいいねー。」ってぐだぐだまったりしていたら、1曲で終わっちゃいました。「えっ?ホントにもう終わり?」 もっと長くやってほしかったなぁ。それに、GROUPのドラマーTaichiさんも来てたみたいだし、GROUPとしてちゃんとライブをやってもよかったんじゃ?
 → GROUP

曽我部恵一

「無料で曽我部が観れるなんてお得だよねぇ。」ってくらいの気持ちで観たんだけど、予想より遥かによかったです。間違いなく今日観た中で一番よかった。エレクトリックギターとアコースティックギターを使い分けての弾き語りで、Breath Markとは違った印象の声の通り方のよさ。上手いっていうより、歌そのものがとんでもなく気持ちいい。歌った瞬間に場が和むというか、どんどんリラックスしてきて、とろーんとしてくる。中盤のゲストギターを迎えてのブルースっぽいセッションもたまらん出来でしたが、「おとなになんかならないで」や「ギター」、「100年後の世界」みたいな元々弾き語りを主体にしたアレンジの曲はホントに最高。今更思ったんだけど、この人の曲ってすんごいメロディがいい。めちゃくちゃいい。何か普遍的なよさという感じがしたりさえする。一番聴きたかった「夏」もいい高揚感を保ってやってくれたし、最後の「mellow mind」なんてねぇ、もうトロトロ。「生で聴くとこんなによいものか!」と歌声の素晴らしさと、その雰囲気や空気感に酔いました。
 → 曽我部恵一