2004年5月15日(土)。
”SATURN”
[ LIVE stage ]
V∞REDOMS (VJ:BetaLand) / BUFFALO DAUGHTER
Alaya Vijana / BOOM BOOM SATELLITES / こだま和文
THA BLUE HERB / サイケアウツG
DJ TUTTLE / DJ MAMEZUKA
[ DJ stage ]
石野卓球 / 田中フミヤ / DJ KRUSH
KURANAKA a.k.a.1945 / MOODMAN / DJ KENTARO
VJ:宇川直人
@大阪ドーム−スカイホール


「スカイホールっていうのがどんなトコか見てみたい!」
という興味が発端で、行ってきました、SATURN。
勿論、出演者も好きな人たちばっかりだったわけで、何とも濃いい時間を堪能。 会場は宇宙船の中みたいな感じで、それだけで相当現実逃避な心地になれたわけですが、さらに屋台ばっかりが集まったブースなんかも設置されていて、そこは正にちょっとしたフェスでした。


BOOM BOOM SATELLITES
「硬質で徹底的にストイックな世界。」
ライブは初めて観ました、ブンブンサテライツ。
ブンブンと言えば、機械と人力が複雑に融合したダークな音をずっと想像してて、予想通りといえば予想通りだったのだけど、思った以上に完成されたライブを構築してるとも感じました。
まず、海底から一気に湧き出してくるような重低音が効いた音像もさることながら、このバンド、基本的な音量がとにかく爆音。 さらに、掛け算方式で音が折り重なっていくステージは確固たるものを作り上げていて、演奏が始まった瞬間から異世界引きずり込まれる圧倒的な力があった。
その空気は、とにかく非現実な雰囲気が漂うもの。 いや、非現実と言うと語弊があるかもしれなく、現実をシリアスにし続けた結果生まれてしまったような非現実感で溢れた、物が溢れすぎているのに殺伐としてるような、何処か不条理なのに心惹かれてしまうようなアニメーションや映画のような世界観。 その光景はとにかくかっちょよくて、エフェクトがかかったヴォーカルさんのシャウトにもやられっぱなし。 で、「すごいなぁ。」と思ったのは、こんなに確立された世界観を終始保っていたのに、”気軽に踊れる!”というポイントはしっかりと押さえていたトコ。 暗くて重い印象とは裏腹に、ドラムと打ち込みが合わさったリズムはとにかく正しくフロア向けだった。
ただ、音が加われば加わるほどどんどん硬質になっていくライブだったので、中盤辺りから個人的にはちょっと疲れたのも事実だったり。 あと、普通ヴォーカルというか人の声が入ると、音の全体像は少し和らいで開放された感じになることが多いと思うんだけど、ブンブンの場合は声が入れば入るほど音が強固になっていくよーな感じもした。 それはおもしろい現象であって、魅力的であるのは確かなんだけど、自分の好きな雰囲気とは差異があって、その辺もちょっと疲れた要因だったかも。 だからか、逆に歌がなく淡々と踊れる爆音を出してくれている時は、とてもテンションが上がったりも。
カッコいいんだけど、好き嫌いははっきりと別れそうかもね。


こだま和文
「時間を忘れてしまうような何か。」
前述の BOOM BOOM SATELLITES が物理的にとても重たかったせいもあってか、この時間はとっても心地よかった。
とは言っても、ダブなわけで音は重いし、思想が複雑に入り組んだ雰囲気はメンタル的にもすんごい重くもあるんだけど。
でも、何か風通しがよいというか、ゆったりと音に身をゆだねられる隙間があったのも確かだったし、何より一貫して自然に音が染みこんで来るよーな感触がしたのには、何だかムズかゆくもホッとしてしまって、大きな揺り篭で揺られているような心地だった。 何回も目を閉じて聴いたんだけど、それはただただ音を受け止めることが気持ちよかったからかもしれない。
特に中盤の「LOVER'S ROCK」という、他の曲とは一線をなした穏やかな曲は最高だったなぁ。 ライブが終わった時、とても短いように思ったんだけど、実際には50分くらい過ぎてた。 これまで抱いていた、こだま和文と言う人が奏でる音への痛いくらいに現実を直視した重たい先入観とはかけ離れた感覚が味わえて、不思議な一時でした。


V∞REDOMS
「ライブと言うよりも古代の祭りか儀式のような。」
これまた初体験のV∞REDOMSだったんだけど、
「とにかくやば過ぎっ!!」
あのね、もうこのライブは”ライブ”と言う範疇じゃ到底収まり切らない、神秘的なものすら漂う時間なの! いや、時間という概念すら忘れさせてくれるような、何か意識の中にすらも残っていない古代の記憶へと人を導いてくれるような小宇宙なのだ。 そういう意味で、祭りとか儀式とかそういう未知なる大きな存在へ何かを奉げる時の行為が一番近いような印象が強烈にした。
最初、EYEがステージに出てきた時に電球みたいなものを両手に持ってたんだけど、それを振ると「何これ?」っていうような音がなるんだ。 で、その音は明らかに普通はノイズの類に属するようなものなんだけど、恐ろしくキレイなのだ。 その内、そのノイズが何だかカワイクすらも思えてきて、ニヤけてしまった。 おっと、周りのお客さんもみんな笑顔だぞ!
「この状況は一体何なんだ!?」
さらに、そこにYoshimiが弾くもう最高にキレイで動物的に懐かしい旋律が乗ったりするもんだから、狂喜乱舞。 あげく、ノイズとトリプルドラムのタイトなリズムが合わさったて眩く弾ける瞬間が訪れて、脳味噌は完全にノックアウトである。 そして、本格的に演奏が始まったと同時に、当然のように今まで観てきたライブの中では他に比べるものがないほど、脳内にアドレナリンが大放出! だって、ところどころ意識が飛んじゃってるんだもん。 絶対奇声発して狂ってたもん。 とこんなことを言うと完全にイッちゃってる人みたいなのだけど、、自分以外のお客さんも軒並み突然叫びだしたり、トランス状態になっちゃったり、服を脱ぎだしたり、その服が何枚も宙を舞ったり、靴まで飛んだり。 って、
「ホント、この状況は一体何なんだ!?」
というような、突発的に興奮状態の最高潮を超えちゃう形容する言葉が見つからない、ただただ何かが体内に入ってきて、それに体が反応しまくっちゃう状態がしばらく続く続く。 うーん、やば過ぎる、、、(2回目)。
今回はVJも付いてたんだけど、その映像のおかげで視覚的にも恐ろしい速さで動物に戻っていくような高揚感が入り込んでくる。
「もう感覚に刺激が加わりすぎてヘロヘロです。」
と、熱狂の渦が少し去った後は何だか放心状態になってしまった。 そして、次第に演奏も緩やかに変化していく。 EYEとYoshimiの原始的な発声とでも言うべき歌の掛け合いもとっても大らか。 ってか、この人達、何処から声出してるんだろう? なんてボケーッとしてたら、今度は無性に泣けてきた。 感動してるとかでは全然ないのに、何だか泣けてきた。 んで、ちょっとだけ客観的な冷静さを取り戻して目の前の光景を見ていたら、それが吐いてしまうかと思うほどキレイだった。
「あぁ、ヤバい、、、(3回目)。」
こうして、スケールの大きすぎる音の旅は幕を閉じたのでした。


BUFFALO DAUGHTER
「演奏したらホントに宇宙船の中になった。」
と言っても過言ではないほど、スカイホールという空間にピッタリと合う音を聴かせてくれたのがバッファロードーター。 衣装を全員で揃えてた細かい演出も、とっても雰囲気があって、以前ゆういちくんが観せてくれた80年代のニューウェーヴな人達(TALKING HEADSとか!)のライブを実際に観ているような気分になった。 そう、ココにあるのはちょっとダサいんだけど、笑っちゃうほどカッコよくもある、ついついはまってしまう近未来感。 宇宙船っぽいホールの空気を、あたかもホントに想像の中の宇宙船の内部にいるような錯覚に陥らせてくれた50分弱のライブは、未知なるものへのワクワクするよう好奇心と、ちょっとだけ背伸びさせてくれるようなクールさに溢れた疑似体験。
「あー、気持ちいい!」
今回はミニマルな展開をするジャーマンロックっぽい曲を多めに演奏してくれて、全体的なまとまりは今日観た中でもピカイチの完成度だった。 去年のワンマンでは思いの外暴れたおしてしまいそうになるはっちゃけた音を鳴らしていたバッファローなのだけど、今回は思い切り踊り狂うというよりは、じわじわと気持ちよくなっちゃって、知らない間に踊らされれてる感じのステージ。
んで、やっぱりドラムの人が恐ろしく上手いなぁ。 「こう来たら気持ちいい!」ってツボを押さえまくってるドラミングで、淡々と同じフレーズを繰り返すストイックでミニマルな一時も全然飽させない。 ただ声がちょっと聴こえにくい場面があったりして、掛け合い的な歌の重なり方も癖になるバンドだけに、その点だけはちょっと残念だったけど。 あと、ムーグ氏の変体ちっくな奇行をが控えめだったのも・笑。 まぁ、後者は至極個人的なお話。
最後の20分近くにわたる大曲「LI3003VE」は”圧巻”の一言で、特に後半の展開に入った辺りからの得体の知れない音の浸透感と高揚感は凄まじかった。 気付けば夜中の3時なのに夢中で踊りまくっている自分がいました。


Alaya Vijana
「大草原にポツンと寝転んでみたような感じ。」
始まったのが午前5:00。 そりゃあ、眠たいです。 しかも、一睡もしないままライブを観続けていたので(この前の THA BLUE HARB はさすがに遠巻きにちょっと聴くだけにしといたんだけど)、身体的にフラッフラ。 そんな状態で、アラヤビジャナの音を浴びるんだから、もう完全にトリップしとりました。 無意識と意識の狭間を漂ってる感じで、ゆーらゆらと揺れてました。
シタール、タブラ、シロフォン、馬頭琴(?)、ドラム、ギターで奏でられる音は、民族音楽に限りなく近いような聴き心地で、淡々とゆったりと流れていく。 そこに日本ホーメィチャンピオンの山川冬樹さんの声が溶け込んで、
「これはもうモンゴルかどっかの大草原ですか?」
っていうような景色に会場全体が塗りかえられていく雰囲気。 それは正しく”日常ではない風景”を味あわせてくれるものだったんだけど、不思議なのは、その”この国の日常とはかけ離れた場所で鳴っているような音”が、自分の環境に静かに降り注いで混ざっていくようにも思えたトコ。 こういうと矛盾しまくっていうるんだけど、これは”日常ではない場所に連れて行ってくれると同時に日常に当然のようにある音”であり、その遠く遠くの地平線まで見渡せるような想像をさせる時間は、
「永延と鳴り響くんじゃないか?」
とすら思うものだった。 基本的には非常にミニマルな抑揚はあまりない展開だったんだけど、時にギターが唐突にノイズや刺激的な音を入れ込んだりもして、決して単調にはなり過ぎずとても心地よかった。 と、最後の最後で知らぬ間に大きな上昇を描くような盛り上がりもみせたりもして、なかなか充実した内容の40分強の長い長い1曲でした。


ちなみに大阪ドームスカイホールっていうのは。

ココ。
ドームの屋根のぐにゃぐにゃしたトコで、
ドーナツ型の変わった造りの施設。