トモダチがケータイのカメラで写真を撮るのにはまっているらしく、「最近なー。大正デモクラシーがブームやねん。夕方の紫の煙で包まれたような空気がたちこめる光景がいいねん。パープルヘイズやな！」と、嬉しそうに４５０枚もの厳選集を１枚１枚解説付きで紹介してくれた。「今冬のテーマは斜陽やってんけど、もう春になってしまったしな。桜も散ってしまったし、次のお題を見つけんとな！」と、メモリースティックを取り出して、さらに何百枚か熱弁。トモダチとは数年来仲良くしてもらっている。一緒にバンドも組んでいたし、付き合っていたなんて過去もある。その頃のことを思い出すと、ほろ苦い味がする。バカ笑いもできるのに。そんなトモダチは現在無職だ。
この国の状況を憂いて、勝手に落ち込んでいる場合じゃない。帰宅しママンと話していると、的を得すぎていることを言われドキマギした。当たり前だけど、将来について悩んでいても生きていけるだけありがたい状況下。蒼いアンテナは変わらずに、自分はちょっとだけ大人になってしまった。とても下らないことなんだ。でも、とても困ったことなんだ。そして、とてもありがたいことなんだ。
「メーデー。メーデー。聞こえますか？」
今日も呼吸をしていたことをちゃんと確認しなくては。そうしないとオレは頭でっかちな脳味噌だけになってしまう。
▲レトロフィーチャーなコラージュ