2004年7月16日(金)。
菊地成孔クインテッド・ライブ・ダブ
@タワーレコード難波店


「危険な音楽。」
Date Course Pentagon Royal GardenやUAのサポートでの菊地さんの音は聴いたことがあったけど、クリンテッド・ライブ・ダブとして、ジャズを鳴らすのを観るのは初めて。
当然と言えば当然なのだけど、
「演奏上手過ぎ!」
もう、最初に浮かんだことはこれ以外何もなかった。
うわぁ、感受性乏しー、、、。
でも、ドラム、ベース、ピアノで作られる時間は、演奏の見事さから、とても優雅で流れるような気持ちよさは格別であった。 特に最初の曲はゆったりとしたジャズだったから尚更で、非常にキレイに構築され快適に管理された部屋に居る心地よさ。
しかし、そこに菊地さんのサックスが入ってくると、一気にドロドロとした質感が流れだすのはナゼだろう? それは、澄んだ水の中で色とりどりの熱帯魚がゆったりと泳ぐ光景に、いきなりピラニアが介入してきて、熱帯魚を食い散らかすようなグロさと言ってもいい狂気じみた何か。
もちろんサックスの音色も全体のトーンには馴染んでいるのだけど、その音がうねりを上げれば上げるほど、
「狂ってる!」
しかも、そのピラニアの食い散らかし方が何だかとても丹精で丁寧なんだなぁ。 食い散らかしてるのに、まるでケーキをキレイにカットしながら食べていくような行儀のよさも兼ね備えているのだ。
「なんだんだろ? この感じは。」
2曲目からは比較的テンポの速いものをやってくれたのもあって、ズブズブとその空間にはまっていく。 自分はジャズのことなんて全く詳しくないので、目の前で繰り広げられている演奏を何て言っていいのか、適切な言葉なんて見つからない。 けど、とにかく高水準な技術で奏でられ絡み合った音達がダブ処理されて、深い響きを残していくのに急速に夢中になってしまった。 そして、理由も分からずドキドキした。
「何だかこれ以上はまり込んではいけないものを聴いているような、、、。」
といった、不安感にさえもかられてしまう中毒性。 それは演奏が続けば続くほどに全身に回ってしまうような危険な麻薬のようでもあった。
ドコまでもこの時間を体感していたいと思う好奇心と、「もうダメだよ!」という自制心がせめぎ合う、非常にスリリングな体験。
それなのに、この狂気たっぷりの音楽は、とても優美な外観をしている。
「もう、何なの? これ?」
インストアイベントだったので、4曲で40分にも満たないライブだったのに、すっかりと心を持っていかれてしまった。


蛇足。
で、CD購入者特典で菊地さんにサインして貰いました。 うわーい。
ちょっとだけ話せたけど、普段読んでいる文面から想像される通りであり、想像よりも柔らかい口調のナルタン。
握手してもらった帰り際、ウインクしてくれた・笑。
もう、何てダメで、何てカッコいい大人なのっ!