2004年7月29日(木)。
栗コーダーカルテット
@月の庭


「栗コーダーカルテットとは、栗原正己、川口義之、近藤研二、関島岳郎の4人によって、リコーダーやその他のさまざまな楽器を使って、オリジナルや古今のいい曲を演奏するバンドです。」
という通り、栗コーダーカルテットの奏でる音楽はリコーダーを中心としたイイものなのである。 さらに、その”イイ”が特別視すべきことではなく、何気なく漂っているのである。
月の庭という三重県にあるレストラン。 その庭に、近所の集いのようにお客さん(子供連れの方も多かった)が集まり、リコーダーやアコギ、ピアニカ、サックス、ウクレレ、テューバ、民族打楽器などなどの重なる音を丁寧に聴いたライブは、とても優しかった。 そして、時間を全く感じさせなかった。
「あれっ? もうこんなに時間が経ったの?」
それは、”癒し”でも”和み”でもなく、”ちょっと素直な気持ち”にさせられる空気。
NHK教育の有名番組「ピタゴラスイッチ」や「JAM」、映画「クイール」、果ては沖縄のオリオンビールという商品のCMソングまで、栗コーダーの紡ぐ曲の使われ方は幅広い。 しかし、そのどれもが、素朴な響きと普遍的な良質さを持っている。 だから、この音楽は聴く人を選ばない。 ちっちゃな子供からお年寄りまで、ゆったりと聴けて、恐らくそんなに変わらない感覚を共有できるのだ。
完全に生音(スピーカーを一切使わない)で、普段見慣れているライブよりも音量が小さく、でも1曲1曲じっくりと聴かせてくれた演奏が作り上げた、柔らかな空間での出来事は、セミの鳴き声や、今日の気温湿度、座った木のイスの感触などと共に、スッと体内に入ってきて、良い夏の記憶となった。
あと、栗コーダーの音の特性はとてもアイルランドの伝統的な音楽と相性が良く、数曲披露されたカバーはどれも絶品であったことも記しておこう。


参照リンク。
栗コーダーカルテット http://www.kuricorder.com/
月の庭 http://www.h4.dion.ne.jp/~tukiniwa/